ではどうぞ!
「クリスちゃんも……私や翼さんと同じ……」
目の前で新しいシンフォギアを纏った少女を見て響が呟くと、緑羅は小さく眉を動かして視線を響に向ける。
「クリス……?もしかしてアイツの名前?」
「あ、うん。さっき自分の名前を言ってた……雪音クリスって……」
「雪音クリス……ね……」
緑羅が小さくその名を反復させながら周囲に視線を巡らす。あたりの木々はなぎ倒され、鎧の破片が散らばっている。どうやら鎧を吹き飛ばし、その後にあれを纏ったようだ。
緑羅が状況を理解すると同時にクリスが口を開く。
「歌わせたな」
「え?」
「ん?」
「アタシに歌を歌わせたな!教えてやる!アタシは歌が大嫌いなんだよ!」
そう言いクリスがこちらを睨みつけると同時に緑羅は威嚇するように吠えながら構える。先ほどまでとは明らかに目の色、気迫が違う。恐らく……ここからが彼女の……雪音クリスという人間の本当の力。
「響、気を引き締めて「歌が嫌いって……どういう事……?」おい!」
緑羅はすかさず響の肩をつかんで後ろに引き倒し、自分が前に出る。それと同時にクリスが歌の続きを歌い動き出す。
腕の装甲が変形し、ボウガンのような形になるとそこから矢の形状のエネルギー弾を放つ。
緑羅はすぐにガントレットで弾き返すが、クリスはすかさずエネルギー弾を連射してくる。
緑羅は小さく舌打ちをするとガントレットに火球を形成し、炸裂させる。
-崩炎ー
炸裂した炎と衝撃波がエネルギー弾をすべて吹き飛ばす。
「なるほど、こいつはなかなか……!?」
納得したように緑羅が呟いた瞬間、背筋に嫌な予感が走り緑羅は響をガントレットでつかみ上げてその場から跳躍する。
その瞬間、煙から尋常ではない量の弾丸の嵐が飛び出し、周囲の木をなぎ倒す。
それが収まり、煙が晴れた時、クリスの腕部装甲は両方とも三つの銃口を持つガトリング砲のような形状になっており、銃口から煙が昇っている。
だが、そこに肝心の緑羅と響がいないことに気づいたクリスはすぐに視線を巡らせて空中の二人を見つける。
するとクリスの腰の装甲が変形し、そこからミサイルの弾頭が顔をのぞかせる。
「吹っ飛べ!」
ーMEGA DETH PARTYー
次の瞬間、無数のミサイルが一斉に吐き出され、緑羅と響目掛けて襲い掛かる。
「舐めるなぁ!」
そう叫ぶと緑羅は響を放り投げ、即座にガントレットを顎に変化させ、襲い掛かるミサイル群に向ける。
ガバリと開いた顎の奥が青白く光り、青白い爆炎が吐き出される。
広範囲に放たれた爆炎はそのままミサイル群をのみ込み、全て破壊する。
ミサイル全てを破壊した緑羅はガントレットに戻しながら着地する。
「緑羅君!いきなり投げるなんてひどい「まだまだぁ!」へ!?」
響が思わず文句を言った瞬間、クリスが再びミサイル群を二人目掛けて撃ち込む。
まずい、と緑羅はすぐにガントレットを振り上げる。それと同時に爪が青白く光り、
ー斬葬ー
勢いよく振り下ろすと同時に爪の数と同じ4つの斬撃が放たれ、ミサイルを打ち落とすが、全て撃ち落とす事はできず残ったミサイルが二人を直撃し爆発が起こる。
さらにクリスは腕部のガトリングの銃口を着弾個所に向け、
ーBILLION MAIDENー
ガトリング砲が大量の弾丸を吐き出し、襲い掛かる。
しばらく乱射したころ、ようやく攻撃をやめ、クリスは荒い息を吐きながら煙を爆煙を睨みつける。
だが、煙が晴れてクリスの目に映ったのは青いラインの入った銀色の何かだった。
「盾?」
「剣だ」
その声にクリスは弾かれたように顔を上げる。銀色の何かー天ノ逆鱗の上に翼が佇んでいた。
「へっ、死に体でおねんねと聞いていたが、頼りない足手まといと憎き仇敵を庇いに来たのか?」
「もう何も失うものかと決めたのだ」
そう言い、少しして翼は響のほうに視線を向ける。
「大丈夫?立花」
「翼さん……!」
翼はそのまま緑羅のほうに視線を向け、
「私も十全ではない……二人とも、力を貸してほしい」
その言葉に響と緑羅は軽く目を見開き、
「は、はい!」
「何があった………ま、いいけどさ!」
次の瞬間、クリスが翼目掛けてガトリングを放つが、翼は特大剣の上から飛び降りて回避する。それと同時に緑羅が剣の陰から飛び出してクリスに襲い掛かる。
クリスは即座に緑羅にガトリングを放つが緑羅はガントレットを眼前にかざしてそのまま突進する。
「何を!?」
クリスが目を剥いた瞬間弾幕が緑羅に襲い掛かるがガントレットに当たるとキンキンという音を立てて弾かれ、体にも次々と直撃するが、火花が散るだけだ。さっきは響にも当たりかねないから回避したが、今なら問題ない。だからこそ真っ向から突き進む。
緑羅はそのままクリスの前にたどり着くと勢いよくガントレットを振るう。クリスは回避するが、そこを狙ったかのように翼が刀を振るう。
クリスはとっさに頭を下げて回避するが、そこに緑羅が頭からの突進を叩きこんでクリスを吹っ飛ばす。
吹っ飛ばされるもすぐにその勢いを殺すが、その後ろにいつの間にか翼が回り込み、首元に刀を当てていた。
(この女……なんでちょっと前まで憎んでた奴とここまで……)
「翼さん!その子……」
「無力化に留めてよ。貴重な情報源なんだから」
二人の正反対な言葉に翼が一瞬気を取られた瞬間、クリスはガトリングで翼の刀を弾いて距離を取る。
(刃を交える敵じゃないと信じたい。それに10年前に失われた第2号聖遺物の事もある……)
刀を構えなおす翼に対し、クリスもガトリング砲を構え、
「上だ!」
緑羅の警告の声が響いた瞬間、上空から二匹の鳥型ノイズが槍のような形状で降り注ぎ、クリスのガトリング砲んを破壊する。
「何!?」
突然の攻撃にクリスは驚いて動きが止まり、そこに間髪入れずノイズが襲い掛かるのとクリスの装甲にカンッという音が響く。
「ぬおっ!?」
次の瞬間、何かを巻き上げる音と共にクリスの体は引っ張られ、ノイズはだれもいない地面に突き刺さる。
そのまま宙を舞ったクリスが見たのは装甲から生えた黒いワイヤー。その出所は緑羅のガントレットの甲の部分だ。
緑羅はそのままワイヤーの先端のフックを外し、ワイヤーを回収する。クリスはそのまま地面に叩きつけられ、うめき声を上げる。
「て、てめぇ……!」
「死ななかっただけマシでしょう……」
「そ、そうじゃなくてなんで……」
「情報源を失うわけにいかないしね」
嘆息しながらそう呟くと、
「命じたこともできないなんて、あなたはどこまで私を失望させるのかしら?」
ふいに響いた誰でもない声に4人はそろってその声が聞こえてきた方向に顔を向ける。
その方向には高台があり、そこには黒い服と金髪の女性が柵に寄りかかっていた。その手にはあのノイズを召喚する杖が握られており、空にはあの鳥型ノイズが数体飛行している。
「あいつは……」
「フィーネ!」
「フィーネ?」
(フィーネ……終わりの名を持つ者……?」
緑羅は低いうなり声を上げながら前に出ようとするが、クリスが緑羅を押しのけて前にでる。
「こんな奴がいなくたって戦争の火種ぐらいアタシ一人で消してやる!そうすればあんたの言う通り、人は呪いから解放されてバラバラになった世界は元に戻るんだろ!?」
その言葉に緑羅はんん?首をかしげる。
「ふう……もうあなたに用はないわ」
「な……なんだよそれ!?」
フィーネが右手をかざすと青白く輝き、それと同時に周囲に散らばっていたネフシュタンの鎧が次々と光に変わって彼女の右手に集まっていく。
「なるほど……お前が黒幕か………つまり……ここでお前をつぶせば全部終わる!」
そう言うと緑羅は右手のガントレットをフィーネに突き出す。
瞬間、手首に当たるところから炎が噴き出すと勢いよくワイヤーを伴いながら掌が射出される。
掌が一直線にフィーネに襲い掛かるが上空のノイズが拳に体当たりをくらわして軌道をそらし、明後日の方向行ってします。
ちっ、と緑羅が舌打ちをして回収のためにワイヤーが巻き上がると同時にほかのノイズが緑羅に襲い掛かるが翼と響がノイズを撃退する。
だが、その隙をついてフィーネはそのままどこかに消える。
「待てよ、フィーネ!」
そのフィーネの後を追ってクリスもそのままその場から去って行く。
緑羅が掌を回収し、響たちがノイズを殲滅した時にはフィーネもクリスいなくなっていた
「クリスちゃん……」
「いなくなったか……逃げ足の速い」
緑羅は忌々しそうに顔を歪めながら吐き捨てる。
それから緑羅は翼のほうに視線を向ける。それに気づいたのか翼も緑羅のほうに視線を向け、二人はそのまま体の向きを変え、互いに互いを見つめ合う。
それに気づいた響が不安そうに二人を見つめるが、翼から以前までの険悪な雰囲気は感じられなかった。
しばしの間二人は無言だったのだが、先に緑羅が口を開く。
「………どうしたのさ。憎まれごとの一つや二つは来ると思ってたんだけど」
緑羅がそう言うと、翼は小さく肩を震わせるが、小さく息を吐いて口を開く。
「聞きたいことがある」
「ん?」
「2年前……あの時どうして奏を助けられなかったのか……あの時、いったい何が起こっていたのか……真実を教えてほしいの」
その言葉に緑羅は小さく残った右眉を動かし、響は小さく息をのむ。
「あなたは私が絶唱を歌ったとき、もうこの歌でだれも死なせないって言ったと聞いた……つまり、あなたはあの時、奏を助けたかった。だけど何らかの理由でそれができたくてもできなかった……違う?」
「………」
「あの時一体何が起こっていたの?いったいどうしてあなたは奏を助けられなかったの?」
翼は静かに緑羅に問いかけるが、緑羅はしばしの間無言で考え込むように唸った後、
「………どうでもいいでしょ。そんな事」
そう言い切り、翼は視線を険しくし、響もむ、と顔をしかめる。
「どう言ったところで俺が彼女を助けなかったのは変わらない。俺が彼女を殺した事に、君の仇であることに変わりはない。そんなこと知ったところで意味もない」
「それを判断するのは貴方ではない。私よ」
「ああ、そう。でも俺には関係ない。あの日の事を話す気は俺にはない。それだけだ」
そう言うと緑羅は背を向けてその場を去ろうとするが、その前に響が立ちふさがる。
「響………」
「緑羅君……話して。あの日の事、何か知ってるなら私にも教えて」
「君まで……」
「このまま奏さんの死の責任を自分一人で背負っていくつもりなの?」
「背負うも何もその通りでしょう」
緑羅は何を言ってるんだというように目を細めるが、響はじっと緑羅を見上げる。
「そんなの間違ってるよ。そうやって全部自分一人で背負いこんで、自分で終わらせるの?そんなの続けてたら緑羅君、一人になっちゃう。そんなの私はいや!もしも緑羅君が何か背負ってるなら一緒に背負ってあげたい!緑羅君を一人にしたくない!」
「奏は私の大切なパートナーだった。もしもその死に何か秘密があるなら、私にはそれを知る権利があるはずよ
あなた一人で終わらせていい問題じゃない」
翼も緑羅の前に回り込み、訴えかける。
響と翼の視線を受け、緑羅は小さく唸り声を漏らしながら顔をしかめる。
そのままどれほど経っただろうか。不意に唸り声をあげていた緑羅がはあ、と深いため息をつきながら両手を上げる。
「分かった分かった。降参だよ………」
「緑羅君……!」
両手を上げながら口を開いた緑羅に響は顔を輝かせるが、不意に緑羅はその場から軽く跳躍し、二人から距離を取る。
響と翼が疑問を感じた瞬間、緑羅はガントレットを構え、戦闘態勢をとる。
「俺とやり合って、俺の体にかすり傷一つでも付けたら………教えてやるよ。人間共」
ここで一つお知らせを。これからしばらく、なのはの投稿を優先させてください。
理由としましては自分としてはなのはの映画が放映されている間に無印ぐらいは終わらせたいなと思っているからです。
なのでなのはの無印が終わるまでシンフォギアの更新はちょいとお休みします。出来る限り早く更新できるように努力しますので。
では感想、評価、どんどんお願いします。