戦姫絶唱シンフォギア 王を継ぎし者   作:夜叉竜

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 皆さん、つい先日、ゴジラ、キング・オブ・モンスターの新予告が出ましたが……アーーーーーーーーーーーーーーーーー!!ってなったわ!何だあれ!マジで楽しみすぎるんだけど!何なんだよ!何なんだよあれは!もういろんな意味で狂うわ!とにかくデコレで俺はまだまだ戦える。

 では、とりあえず本編どうぞ!


1-16

 緑羅は何も言わずに黙ってその言葉を聞いていた。響が一人で戦いに出ていて、その事を秘密にしていた響に対して許せない気持ちがあることを。でもそれは事実で、自分は響の何の力にもなってあげられない。それが分かるから、すごく嫌な気持ちになる事、ほかにもいろんな感情がないまぜになって、もう訳が分からなくなっている事が未来の口から語られる。

 そして未来が話し終わると、緑羅はそっか、と小さく呟く。それから少しして、

 

 「……ねえ、未来。今日俺が言ったこと覚えてる?」

 「え……あ、そう言えば、ひどいこと言ってたよね?」

 「あはは、ごめんごめん。でも、事実だよ。戦えないやつが戦場に行ったところで、何の役にも立たない。むしろ足手まといだよ」

 

 未来が再び視線を険しくすると、

 

 「実際、俺がそうだったしね」

 「え?」

 「……簡単に言うとさ、父さんと暮らしてた時に、家に悪い奴が乗り込んできたんだよね。そこで俺は……そいつの人質になったんだ」

 「え!?」

 

 まさかの言葉に未来は驚いたように目を見開く。だって緑羅は一見するとすごく強そうだ。その緑羅が人質になるなど……そう言わんばかりに見開かれた目を見て緑羅は小さく目を細めながら続ける。

 

 「俺だって最初は弱かった。特にあの頃は……争いごとも嫌いでね……そんな俺とは対照的に父さんは強くてね、一人でだったならあいつを追い返せただろうけど、俺が捕まってたせいで満足に戦えなくて………結果として父さんは負けて、俺は捕まったままだった」

 「……」

 「結果的にそいつは倒されて、俺は解放されたんだ。だけど、今でも思い出すだけで悔しい。あの時俺がもう少し強かったら……少なくとも自分の身は守れるぐらいに強かったら、あんなことにはならなかったんじゃないかって」

 

 そう言いながら緑羅は自分の右手を見つめ、ぐっと握りしめる。今でもあの時の無力感は忘れない。忘れてはならない。

 

 「だから、未来の力になりたいのになれない悔しさってのは分かるつもりだよ……すごく悔しくて、そして寂しいよね」

 

 緑羅の言葉に未来は小さく頷く。でも、と緑羅は続ける。

 

 「それでも君が響の力になれてないなんてことはないよ。間違いなく」

 「………でも……」

 「さっきの話の続きなんだけど、開放された俺は少しして、それなりに力を扱えるようになったんだ。父さんのように」

 「それって……お父さんもあの姿になれたって事?」

 「まあ、そんなところ。でね、その時は本当にうれしかった。これで俺も父さんの足手まといにならずに済む。父さんと一緒に戦えるってね。で、その事を父さんに報告に行ったんだ。そしたら……」

 

 

 

 

 父は人間には分からないだろうが、困ったような表情を浮かべながら自分に体をこすりつけながら口を開く。

 

 『そんな無理して戦おうとしなくていいんだ。お前はここで俺が帰ってきてくれるのを待っててくれればいい』

 『でも……僕、このままお父さんの足手まといなんて嫌だよ……』

 『足手まといなんて……そんなわけない。お前がここで待っててくれてるだけで俺はどんな奴にだって負けない。お前がいてくれてるだけで、俺はいくらだって戦えるんだ』

 『???どういう事?』

 『よく分からないか……俺には今まで何もなかった。全てを奪われて……そんな中でお前に出会った。守るべき存在に。お前のおかげで俺は変われた。お前を守るためなら俺はたとえどれほど強大な敵だろうと打ち倒して、そしてここに帰ってくる。つまりだ……お前がいてくれるだけで俺は強くなれる』

 『そうなの……?』

 『ああ。だから、無理しなくていい。強くなろうとすることは悪い事じゃないが……無理しなくていいんだ。ここで俺の事を待っててくれ。そうしたら俺は……絶対に帰ってくるから……』

 

 

 

 

 

 

 「………あの時はいまいち意味が分からなかった。でも、今ならなんとなくだけど意味が分かる。大切な人がいる。どこかで俺の事を待っててくれる人がいる。そう思うとさ、絶対に死にたくない、たとえ何者であろうと負けるわけにはいかない。必ず勝って、その人の元に帰る。そう思うんだ」

 「………」

 「きっと響にとって帰る場所は未来……君だ。戦って戦って、どれ程の死地に立とうと、君の元に帰るために響は絶対に諦めない。必ず勝って帰ってくる。帰る場所っていうのはそういうものだと思うよ」

 「……でも……やっぱり何もできないのは……」

 

 緑羅は困ったように頬を掻く。未来の気持ちが分かるだけにあまり無碍にもできず、どうしたものかと緑羅は唸る。

 少し唸ると緑羅は困ったような笑みを浮かべ、

 

 「……そうだな……それだったら、響の事を信じて、未来も諦めないというのは?」

 「え?」

 「たとえどれほど絶望的な状況だろうと、響は必ず自分の元に帰ってきてくれると信じる。だから自分も絶対に諦めない。必ず生きて、響にお帰りって言ってあげるっていうのはどうかな?未来が死んだら……きっと響も悲しむ……いや、きっと憎悪に狂う。それはきっと……死よりも辛い事だと思う。だから、生きる。最後まで諦めずに響を信じて、目の前の困難と闘う……う~~ん、なんて言えばいいのか……」

 「……ううん。言いたいことは……何となくわかるよ」

 

 緑羅の言葉に未来は小さく頷く。

 待っているばかりだというのは……置いていかれるのはつらい事だ。でも、響は自分の元に帰ってきてくれると信じる。そうだ。これまでだって、響は戦いに赴いていたかもしれないけど、それでもちゃんと帰ってきてくれた。そして自分がお帰りと言うと、響はいつものようにただいまって言ってくれた。自分は響の帰る場所。そんな自分にできることは何だ?ああ、ああ、そんな事、いくらだってある。一緒に戦えないかもしれない。でも、それでも、響を支えることはできるではないか。これまでと同じように。そうしてこれたではないか。

 そう考えた瞬間、未来は目の前の暗雲が吹き飛ばされていくような感覚を覚えた。心の中の薄暗い気持ちに光が差し込んだような。今まで見えてたはずなのに、見えなかったものが見えたような。

 響はこれからも戦い続けるだろう。自分では共に戦う事はできない。でも、共に戦ってくれる友達がいる。なら自分は響の事を信じて待とう。そして帰ってきた響にいつも通りにお帰りって言ってあげよう。そしてその為にできる事をしよう。たとえノイズに襲われようと、響を悲しませないために、狂わせないために絶対に諦めず、生きて、お帰りを言う。それが自分の戦い。自分にできること……!

 

 未来の表情が変わった。先ほどまでの鬱々としたものから光に満ちた目に変わる。

 緑羅が見ていると、未来はすっといつもの笑みを浮かべ、

 

 「ありがとう、緑羅君。おかげで自分のやるべきこと、見えたような気がする」

 「……もう大丈夫?」

 「うん、多分……」

 「多分って……不安をあおるなぁ……」

 

 そこで、二人そろって笑みを浮かべると、玄関が開く音が聞こえ、

 

 「あ、あの……ただいま~~、未来……」

 

 そこから恐る恐ると言った様子で響が顔を出す。それに気づいた未来が振り返ると、緑羅はとん、と未来の背を押す。

 

 「行ってきな」

 「……緑羅君も!」

 

 そう言うと未来は緑羅の手を取ってそのまま部屋の中に戻っていく。ちなみに緑羅は土足なのだがそんなの気にしないと言わんばかりに未来は招き入れる。

 

 「は、いや、えちょ……!?」

 「未来……?って緑羅君!?」

 

 部屋の中を見渡した響はそこに緑羅がいることに気づくと驚いたように目を丸くする。

 緑羅は軽く片手を上げながら靴を脱いでいる。

 

 「ど、どうして緑羅君が……?」

 「いや、未来の様子を見に来たんだけどね……」

 「響」

 

 緑羅がそう言いながら靴を担ぐと未来が響に声をかけ、響はピクリと体を震わせ、おずおずと言った様子で未来に視線をやる。

 未来はしばし黙って響を見ていたが、ふっといつも通りの笑みを浮かべて、

 

 「おかえり、響」

 「あ、えっと……う、うん。ただいま……未来」 

 

 そう言うと、未来はうん、と頷き、緑羅も腕を組みながらよしよし、と頷いている。その様子に何だか疎外感を感じて響はんん?と首を傾げる。

 

 「ねえ……二人とも何かあった?」

 「ん~~~、ちょっとお兄ちゃんに甘えただけかな……」

 

 未来は顎に指を当てながら緑羅に視線を向けながらそう言うと、響はますますわからないと言うように首を傾げ、緑羅は苦笑を浮かべる。

 

 「未来、正直に言いな。ちゃんと伝えないとだめだよ」

 「うん、そうだね……あのね、響……全部聞いたよ。あの人たちから、響が前から戦っている事……時々約束を守らなかったのは戦ってたからだよね?」

 「う、うん……ごめん、未来……」

 

 申し訳なさそうに響が項垂れるが、未来は小さく首を横に振る。

 

 「ううん。それは響が自分で決めた事だから……でも、そりゃ、ちょっとは頭にきてたよ?私に隠れて危ない事をしてたって……私に何も言わなかったって……もう、私はいらないのかなって……」

 「そ、そんな事ないよ!話せなかったことは本当にごめん!でも、未来の事をいらないなんて考えたことなんて一度もない!未来は今までも、これからもずっと、私の大切な親友だよ!」

 

 響が叫ぶと未来はうん、と小さく頷く。

 

 「うん、私にとっても響は大切な親友で、緑羅君は大切な友達。でも、だからこそ私はそんな風に考えちゃってた。響と緑羅君の二人に置いて行かれたようで……二人が戦っているのに、私は何もできず、二人のために何もできない自分に腹が立って……いろんなものがごちゃ混ぜになってて」

 

 未来の言葉に響は辛そうに顔を歪め、何か言おうとするが、それを未来はでも、と明るい声で遮る。

 

 「緑羅君のおかげで私は大切なものを見失わずに済んだ。私のできる事を見つけることができた」

 「できる事って……」

 「響、緑羅君。二人が戦うなら、私も戦う。私の戦場で、全力で戦い続ける」

 

 その言葉に緑羅は満足そうに頷くが、響は驚愕に目を見開き、慌てた様子で口を開く。

 

 「戦うって……だ、だめだよ!未来はシンフォギアを持ってないんだよ!?そんなことしちゃだめだよ!」

 

 すると、未来はうん、と小さく頷き、響はふぇ?と声を漏らす。

 

 「私にはノイズと戦う力はない。そんなのは知ってるし、自覚してる。でも、何もできないわけじゃない。私には私の戦いがある。二人が誰かのために戦うのなら、私は絶対に生きる。生きて、二人の帰る場所になって帰ってきた二人に、お帰りって言ってあげる。それが私の戦い」

 

 そう言いながら未来は毅然とした表情を浮かべ、響はあっけにとられたような表情を浮かべ、思わず緑羅に視線を向ける。緑羅は小さく肩をすくめると、

 

 「何も実際に脅威に立ち向かうだけが戦いじゃない。その人にはその人の戦場という物がある。人の命を救う医者、何かを作る職人、情報収集する者、そして、生き残るためにもがく者。みんなみんな戦っている。君が助けようとしたあの女の子も、あの瞬間戦っていた。2年前の……君だってね」

 

 その言葉に響は大きく目を見開く。それと同時に脳裏のあの時、奏の言葉が蘇る。

 

 『生きるのを諦めるな!』

 (ああ、そっか………私や翼さん、緑羅君だけじゃなかった。師匠や緒方さんだけじゃない。他にも大勢の人が私と一緒に戦ってくれている。私が助けようとする人も、最後まで諦めずに戦っている。だからあの時、奏さんは諦めるなって言ったんだ……誰かを助けるっていうのは、私と誰かが一緒に頑張ってできる事なんだ……)

 

 響は自分の胸元でそっと手を握り、目を伏せる。

 

 (ようやくはっきりした。私の戦う理由……私は………この思いを繋げたい。奏さんから受け継いだこの思いを……だから……)

 「……そっか……じゃあ、絶対に帰ってこないとね」

 「うん!」

 

 響が小さく笑みを浮かべながら言うと、未来はうれしそうに頷き、それを見ていた緑羅は目を細めながらその様子を見つめていた。

 

 「さて………それじゃあ、俺はそろそろ行きますか」

 

 そう言うと緑羅はそのままベランダに向かって歩き出すが、

 

 「あ、待って!緑羅君」

 

 その背に未来が声をかける。ん?と振り返ると、

 

 「ありがとう、緑羅君」

 「……別に。大したことはしてないよ」

 

 そう言って緑羅はひらひらと手を振って出ていこうとするが、

 

 「あ、ちょっと、緑羅君!もう行っちゃうの?せっかくだからお茶でも飲んでいきなよ。せっかくだからいろいろとお話したいし」

 

 今度は響が声を上げ、緑羅は呆れたような表情を浮かべる。

 

 「話って……それなら今度改めて日時を「ううん。そっちじゃない。私が聞きたいのは緑羅君が過ごした時間の事」え?」

 「緑羅君、1年以上も旅してたんでしょ?電話越しじゃ詳しく聞けなかったしさ、どんなものを見てきたとか、どんな風に過ごしてきたのか、聞きたいな」

 「それいいね!私も聞きたいかも」

 

 未来も嬉しそうに手を打ち、乗り気を示す。

 

 「いや、別に面白い事なんてないよ?景色も何も特にみてきたわけじゃないし……」

 「いいの。私たちが聞きたいんだから。私たち、もっと緑羅君の事と話がしたい。もっと一緒にいたい。だから……」

 

 そう言い、二人はじっと緑羅を見つめる。そう、話が聞きたいというのも本心だが、二人が考えてることは一つ。ようやく3人そろったのだ。もっとお話がしたい。もっともっと、同じ時間を過ごしたい。それだけだった。

 緑羅はポリポリと頬を掻きながら考え、少しすると、

 

 「………大丈夫なの?俺が知る限りだとこういう寮って色々と規約があるんじゃ……」

 「そんなの誤魔化しちゃえば問題なし!」

 「うん、そうだね!ぶっちゃけ言うとこれまでの響の事とかいろいろ誤魔化してきたから慣れてるよ」

 「うぇ!?そうなの!?」

 「そうだよ。私だけ誤魔化せばいいと思ってたみたいだけど、先生とか、弓美とかにもフォローしなくちゃいけなかったんだよ?それ全部私がやったんだから」

 「そ、それは……ご迷惑をおかけしました」

 

 響が深々と未来に頭を下げるのを見ていた緑羅は、呆れたように息をつき、

 

 「………分かったよ。つまんないだろうけど、それでいいなら……」

 「「うん!」」

 

 緑羅がその場でどかりと腰を下ろすと響も嬉しそうに腰を下ろして、未来がお茶の準備を始める。

 

 

 その日、リディアン音楽院の寮の一室は遅くまで煌々と光をともし続けていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どこかの地下室とでもいうべき場所、その女性は手にした計測結果に目を通していた。

 少しすると落胆したようにため息を吐いてそれを机の上に放る。

 

 「やはり制御は難しいか……私をもってしても制御できないとは……なんという力だ……」

 

 そう言いながら女性は目の前の冷凍された試験管の中にあるものを睨みつける。

 

 「………まあ、いい。どのみちもうじき私の悲願は達成される。そうすれば……その後にでもじっくりと……」

 

 そこまで言って不意に彼女は言葉を区切る。まるで、何かを思いついたように。そしてゆっくりと歪んだ笑みを浮かべると、

 

 「……そうだ。あそこにはそれなりに世話になった。礼もかねてこれをプレゼントするか……」

 

 そして彼女は薄暗い笑みを浮かべながら夢想する。

 

 「文字通り人知を超えた力を手にして人間がどうなるのか……実に見ものじゃないか」

 

 そう言うと彼女は試験管を保管して輸送の手はずを整えようと試験管を手にする。それにはG細胞と言う文字が記されていた。




 最後のシーン、どこで、どうして、と思うでしょう。そのヒントは……0章にあります。

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