戦姫絶唱シンフォギア 王を継ぎし者   作:夜叉竜

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 コツコツ書いてたのができたので投稿しますね。

 ではどうぞ!
 


G編
2-1


 ゆっくりと、ゆっくりと。まるで深い海の底にあったものが引き上げられるように意識が浮かび上がる。

 その意識に連動するように瞼が震える。そしてゆっくりと目を開けていく。それと同時に周囲の光が飛び込んできて目をくらまし、うめき声を上げる。

 すると周囲が慌ただしくなり、少しして目の前に一人の女性が飛び込んでくる。

 誰だろう……今にも泣きだしそうな、それでいて嬉しそうな顔をしている。

 いや、そもそも自分は誰だったけ?記憶がはっきりしない………落ち着いて思い出そう。

 自分……いや、私の名前は………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 世界を震撼させたルナアタックから3か月の月日が経過した。あれほどの大惨事が起きたにもかかわらず、人間達はすでに復興への道を歩んでいる。

 そんな日本の街の一角に彼はいた。以前よりも伸びた背に以前と違ってバッサリと首元で切られた後ろ髪と顔の右目付近を隠すように伸ばされた前髪。

 五条緑羅。ルナアタックの際の功労者の彼は街中をぶらついていた。と言っても、今回は以前と違って明確な目的がある。

 

 「ああ、もう……あいつらの本拠地がぶっ壊れてたの忘れてたなんて……俺もバカだなぁ」

 

 深いため息を吐きながら緑羅は背中のバッグを背負いなおしながら歩いていく。

 あれから3か月。緑羅はフィーネが残したFISと言う言葉を調べるために世界各地を回った。軍資金は例のごとく裏組織を襲撃、そこの金を強奪、ついでに連中をその国の警察の前に放り出すようにしておいた。そうやって調べていたのだが、めぼしい情報は何一つ見つからなかった。

 もしも細胞が使われていればすぐにでも場所が分かると思うのだが、その気配は全くない。だが、原因はそれだけではないのだ。

 ここ最近、どうにもぴりついた妙な感覚が常時体を襲っている。身体事態に異常があるという訳ではなく、何といえばいいのだろうか………まるで常に何らかの危険を感じ取っていると言えばいいのだろうか……

 とにかく、その妙な感覚のせいでどうにも他の気配に対し鈍くなりがちだ。このままでは細胞を探し出すことなんてできない。

 そう判断した彼は一度日本に戻り、二課と合流すると決断した。そこで情報を交換しようと思っている。だが、彼は細胞の件で協力は求めるつもりはなかった。細胞を確保されたら厄介と言うのもあるが、あれは自分の不始末なのだ。ならば自分自身が決着をつけなくてはならない。緑羅はそう思っていた。

 そうやって日本に戻ってきたはいいのだが、彼は二課の本拠地があの一件で破壊されていると言う事を失念していた。破壊されたと言う事は当然別のところに移設している可能性がある。そうなると非常に厄介だ。今の自分では響たちの気配を追う事はできない。二課を探し出すのは困難な事だ。リディアンも破壊されたので生徒たちが別の学校に移動している可能性も高い。

 

 「はあ……とりあえず、未来か響に連絡しよう……」

 

 そう判断し、緑羅は公衆電話を探しながら歩き出す。

 そうやって街中を歩いていると、

 

 「ん?」

 

 あるポスターが目に留まり、歩みを止める。

 

 「これは……風鳴翼?ライブをやるのか………って、隣の奴誰だ?」

 

 緑羅が目にしたポスターには翼が写り込んでいるが、その隣に見慣れぬ女性がいる。ピンクの長髪が頭のところで猫の耳のようになっている女性。その女性を見て、緑羅はん~~?と首を傾げる。見慣れないが、どこかで見た覚えのある女性だったからだ。

 どこだっけか……と思い出そうと首を傾げるが、少しして、まあいいか、とすぐに思い出すことをやめる。それよりも重要なのは……

 

 「ここにいけば風鳴翼に確実に会える。ここに行くとするか」

 

 響たちに連絡を取ってもいいが、会えるかどうかは不明だ。だが、ここならば確実に会える。今は時間が惜しい。二人には悪いがここは確実性を取るべきだ。

 

 「片がついたら……響たちとどこかに遊びに行くか」

 

 それぐらいの埋め合わせはしなくては。そう考えながら緑羅はライブの場所と日時を確認する。

 

 「えっと、QUEENS of MUSIC……いや名前はどうでもいいんだ。日時は……今日!?ちょ、ちょっと待て!場所は……よし!覚えた!始まるのは夜、まだ時間がある!今から間に合うか……!?ええい、会えればいいや!とっとと行こう!」

 

 緑羅はすぐさま荷物を背負いなおし、駅に向かって走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日の暮れ。緑羅はQUEENS of MUSICの会場にたどり着き、ふう、と小さく息を吐いていた。

 

 「何とか間に合ったかな………いやまあ、別にいいんだけど」

 

 緑羅は軽く頭を掻きながら息を吐き、とりあえず入場ゲートに向かってみる。当然係員がおり、忍び込むのは難しそうだ。

 

 「これは……まあ、当然だよな」

 

 優先すべきは翼との合流。係員用の通路に向かおうかとも考えたが、入れるとは思えない。と、なると………

 

 「あの方法で行くとするか」

 

 そう呟くと緑羅はそのまま会場の人目がつかない場所に移動する。

 

 「あの時と負けず劣らず変わった形だなぁ……」

 

 見上げるのは円錐を反対にしたような形状の建物。

 これは登るのは面倒そうだ。そう考えながら緑羅は勢いよく跳躍。建物の外壁にとりつくと、そのまま勢いよく上っていく。

 そして頂上にたどり着くとすぐに伏せて身を隠し、周囲をうかがう。

 どうやら頂上がライブ会場のようだ。すり鉢のような会場はすでに満員御礼だ。一部には特別席っぽい部分もある。

 

 「さすがにこの中を突っ切るのは目立つか……仕方ない。ライブが終わったら潜り込むことにしますか」

 

 それまではライブを楽しもうと緑羅はその場にどっかりと腰を下ろし、荷物も下す。

 それからしばらくすると、照明が消え、観客が歓声を上げる。

 始まるか、と思っていると、ステージに翼ともう一人女性、マリア・カデンツァヴナ・イヴが現れ、ライブが始まる。

 依然と変わりなくライブは大盛り上がりと言っていい。観客たちの歓声はもはや咆哮といっていいだろう。

 元気だなぁ、と半ば感心しながら見ていると、歌い終わり、観客たちはひと際盛大な歓声を上げる。

 

 「本当にすごいな……」

 

 緑羅は胡坐をかいて頬杖を突きながら眺める。会場で二人が何か言っているが、まあ、これはスルーでいいだろう。

 さて、そろそろ会場内に潜り込むとするか、と緑羅が腰を上げた瞬間、

 

 「ん?」

 

 不意に感じた気配に緑羅は小さく眉を顰め、そしてそれが目前にまで迫った時、ようやく正体に気づき、顔を青ざめさせる。

 

 「嘘だろ……!?」

 

 そう言った瞬間、会場の至る所にノイズが出現する。

 

 「なんでまたノイズが現れるんだ……!」

 

 観客たちは悲鳴を上げながらノイズから距離を取ろうとする。このままでは2年前の再現にしかならない。

 緑羅は即座に変異しようとするが、

 

 「狼狽えるなッ!!」

 

 突如として響いた怒声に顔を向ければ、ステージの上のマリアがマイクを持って叫んでいた。その叫びによって会場の観客たちも動きを止めている。

 そこで緑羅は違和感に気づいた。ノイズたちが動いていないのだ。出現した場所から動こうとせず、じっとしている。妙だ。ノイズは人を殺す存在。にも拘らず人を襲わない。よく見れば周囲に煤も舞っておらず、誰かが犠牲になった気配もない。

 緑羅は一瞬訝し気に首を傾げるが、次の瞬間はっと目を見開く。

 

 「まさかとは思うがソロモンの杖か!?なんであんなものがまだ残ってるんだよ……!」

 

 処分してなかったのか。理由は何か分からないが、なんにしても碌なものではないだろう。人間のあさましい欲望が原因だ。

 忌々し気に舌打ちをしながら緑羅は荷物から双眼鏡を取り出すと周囲を探り始める。ノイズが操られているなら必ずどこかにソロモンの杖があるはずだ。気配はしないが、見つけ出し、杖を破壊する。そこまで考えるが、すぐにそれだとノイズが暴れまわることに気づき、苛立ったように側頭部を叩く。

 そこで緑羅は翼が未だにシンフォギアを展開していないことに気づき、苛立ったように顔をしかめる。

 

 「あいつはあいつで何やってんだ……さっさと準備しろよ……!」

 

 言いながら緑羅は翼を睨む。彼女がマリアの注意をひいてくれたら助かるのだが……

 

 「いいや、ノイズと観客が一緒にいる中でそれは愚策か……」

 

 下手したらノイズたちが解き放たれてしまう。流石の緑羅もそれは避けたい事態だ。くそっと毒づきながら緑羅はマリアを睨む。彼女はこの状況であっても落ち着いた様子を見せている。恐らく、彼女はこの事態に関わっている。だが、あいつは杖を持っていない。つまり他に仲間がいると言う事だ。

 そいつを見つけ出すか?と緑羅が考えていると事態が動く。

 マリアが手に持っていた剣を模したマイクを回し、次の瞬間、高い音を立てて周囲の注目を集める。

 

 「私達は、ノイズを操る力を以ってしてこの星の全ての国家に要求するッ!そして……」

 

 そこまで言って彼女は手にしていたマイクを放り投げる。

 なんだ?と緑羅が首を傾げていると、

 

 「Granzizel bilfen gungnir zizzl」

 

 その歌を歌った瞬間にマリアの体から光があふれる。

 それと同時に緑羅は目を見開く。

 

 「こいつは……まさか……!」

 

 緑羅が驚愕に目を見開く中、マリアの姿が変わる。ボディースーツを纏った上に響に似た形状の腕部の装甲に黒いマント。腰と脚部にも装甲を纏い、頭には響のものと同じヘッドセットを装着する。その配色は黒とピンクを中心にしている。

 

 「響のと同じシンフォギアか……!」

 

 緑羅が唸りながら睨みつける中、マリアは宣言する。

 

 「私は……私達はフィーネ。そう、終わりの名を持つ者だッ!!」




 感想、評価、どんどんお願いします。

 アイスボーンやってるんですが、この前ちょっとしたことが。竜結晶の地のガジャブーとブツブツ交換でこんがり肉を渡したらゴワゴワクイナ渡されました……ふつうには?ってなったわ。
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