ところでシンフォギア、まさかの公式でゴジラとコラボしちゃったよ……どうなるんでしょうね。俺はゲームはやってませんが……なかなか気になるな。
ではどうぞ!
「フィーネ……?またずいぶんと懐かしい名前だな……」
マリアが告げた言葉に緑羅は小さく唸りながら会場を睨みつける。
「我ら武装組織フィーネは、各国政府に対して要求する。そうだな、差し当たっては国土の割譲を求めようか」
「バカなッ!?」
「もしも24時間以内にこちらの要求が果たされない場合は、各国の首都機能がノイズによって不全となるだろう」
「またずいぶんと無茶苦茶な要求だな……」
「……何処までが本気なの?」
「私が王道を敷き、私達が住まう為の楽土だ。素晴らしいと思わないか!」
「なんつうか……フィーネを名乗ってるわりには随分と俗物だな………」
緑羅はう~~む、唸りながら頬を掻く。だが、すぐに周囲を双眼鏡で見渡す。恐らくだがどこかにいるはずなのだ。あの女の仲間が。そしてそいつがソロモンの杖を持っているはずだ。まずはそいつを確保、その後に人質を解放して、ソロモンの杖を破壊し、尋問する。これがベストだろう。
そう考えているのだが、どうにも見当たらない。内部にいるのだろうか。
その一方、翼はステージ上で対峙するマリアを睨みつけていた。
「何を意図した騙りか知らないけど……」
「私が騙りだと?」
「そうよ! ガングニールのシンフォギアはあなたのような人に纏える物ではないと知りなさいッ!」
そう言うと翼は目を閉じ、
「Imyuteus ameno──」
シンフォギアを纏おうと聖詠を歌い始める。
「ちょ、待て!今歌ったら……!」
緑羅が顔を引きつらせるが、すぐに翼は歌うのをやめる。
ほっと息を吐いた緑羅はうめき声を上げながらマリアを睨む。やはり人質がいては動くのは無理だ。やはりここは無理してでも内部に入って仲間を見つけ出さなければ……
そう思って緑羅が動き出そうとした瞬間、
「会場のオーディエンス諸君を解放する!ノイズに手出しはさせない。速やかにお引き取り願おうか!」
はい?と緑羅の動きが止まり、慌ててステージ上の目を向ける。突然の人質の解放宣言に人質達にも動揺と混乱が広がっていく。
「な、なんだあいつ……どう言う事だ………?どうなってんだ……?」
意味が分からない。どうして折角手にしている優位を捨て去るのだろうか。これでは奴らの要求も通りにくくなる。
その目の前で人質の解放が始められる。どうやら開放は本当のようで、ノイズたちが人質を襲う気配はない。一応会場の外も見てみるが、ノイズはいない。
緑羅は視線をステージに戻し、唸り声を上げる。人質がいなくなるのなら動きやすくなるが………
「そうだな………まずは作戦会議だな」
そう呟くと一度目を閉じ、少しすると再び目を開け、それと同時に目が赤く光る。
翼は困惑しながらも油断せずにマリアを睨んでいた。人質の解放は順調に行われ、次々と人々は外に出ていくが、いつノイズたちが動き出すが分からない。今、自分は下手にシンフォギアを纏えないが、それでもできる事をやらなくては……
(風鳴翼。聞こえる?)
不意に頭の中に聞こえてきた声に翼は一瞬目を見開くが、すぐにそれが聞き覚えのある声であることに気づく。なので以前と同じように答える。
(五条緑羅?)
(そうだよ………久しぶりだね)
(え、ええ、そうね……って、貴方今どこにいるの!?こっちは今それどころじゃ……)
(知ってる。俺も会場にいる。状況は把握しているよ)
その言葉に翼は軽く目を見開くと、それと同時に頭の中が一気に冷静になる。
(そっちから何か怪しい動きをしている奴はいる?ノイズを操っているならソロモンの杖があるはずだ。奴が持っていないなら他に持っている奴がいるはずだけど……)
(それは……でもおかしいわ。ソロモンの杖は今米軍基地に護送されているはずよ。立花たちがその任務に就いているわ)
(だけど、他にノイズを操るものが都合よくあるわけじゃないだろう)
(それは、そうだけ……)
そこで翼はあることを思い出す。ライブが始まる前、マネージャーの緒川が何や深刻そうな顔で連絡を取っていたがまさか………
(ああ、もう、いい。方法なんてのは後だ。それで。そっちに怪しい奴は?)
翼は素早く周囲に視線を向け、
(………見た限り確認はできないわ)
(そうか……よし、とにかく今はあのマリアってやつを何とかしよう。人質の解放が終わったら俺が突っ込んで隙を作るから……)
(待って。今の状況では私はシンフォギアを纏えないわ)
(は?なんでだよ)
(ここの状況が世界中に中継されているからよ。私がシンフォギアの奏者だと言う事が世界にばれてしまう)
(それって不味い事なの?)
(……今までシンフォギアに関する情報や技術は日本政府が独占してきたわ。だけどルナアタックを皮切りに日本政府は世界にシンフォギアに関するデータを開示した。でも、奏者が誰かまでは開示していないのよ)
(はぁ?なんだってそんな面倒な事を……いや、そうか。誰か分かっちまえば、弱みを握り放題。そんで拉致れば調べ放題って事か)
(まあ、そう言う事よ。そう言った事情から下手に纏えないのよ。いざとなったらばれるのを覚悟で戦うけど……)
(了解。理解したよ………じゃあ何か?手始めにこの中継を何とかしろってのか?)
(そうね……そうしてくれると助かるわ)
(………………はぁ、分かったよ。どこに行けばいい)
(緒川さんに連絡するわ。詳細は彼に)
(了解…………ちなみに合図はどうする?派手に行く?それとも大人し目に?)
(……そうね。この際だわ。派手に最後を飾るのも悪くないかもしれないわね。けが人が出ない程度にね)
思わず意地の悪い笑みを浮かべながら告げると、それを最後に緑羅からの声は届かなくなる。翼は小さく息を吐くと通信機を起動させ、
「緒川さん。五条緑羅がそちらに向かいます」
『翼さん?いきなり何を……って五条君が!?一体どういう……』
「詳しくは彼から」
それだけを言って翼は通信を切り、意識をマリアに向ける。
こうなった以上、自分の役割は彼女、そしてその仲間の注意を自分に向けさせることだけだ。
(頼んだわよ、五条緑羅……!)
人質のほとんどが避難した会場と会場内部への入り口。そこに緒川は困惑の表情で立っていた。何せついさっきステージ上の翼から緑羅が来ており、こちらに向かっていると言われたのだ。
「緑羅君は数か月も行方知れずだったのに……そんな都合よく来てるわけが……それに翼さんはどうやってその事を「それは企業秘密だよ」うわっ!?」
不意に割り込んできた声に緒川は驚いた声を発し、慌てて顔を向ければ、そこには入り口からさかさまに顔をのぞかせている緑羅がいた。髪型がだいぶ変わっているが、それでも間違いなく彼だ。
「りょ、緑羅君……?本当に……君なんですか?」
「ああ、そうだよ」
よっ、と軽い調子で飛び降りて着地した緑羅は軽く首を動かし、緒川に目を向ける。
「久しぶりだね、優男」
「いつまでたっても僕の名前覚えてくれないんですね……」
「最初の出会いが最悪だったからね……状況は把握している。中継をどうにかしたいんだけど、どうすればいい」
その言葉にげんなりとした表情の緒川はすぐに表情を引き締める。
「それだったら中継室をどうにかしてください。案内します」
「いや、場所だけ教えてくれ。あんたには他にもいるであろうマリア・カデンツァヴナ・イヴ仲間を探してもらいたい」
「仲間って……確証は?」
「奴はほとんど何もしていないのにノイズは操られている。つまりノイズを操ってる奴がほかにもいる。そう考えるのが自然だろう」
「なるほど………分かりました。中継室は………」
緒川の説明を聞きながら緑羅は何度も小さく頷く。
「……よし、分かった。それじゃあそっちは頼んだよ」
「はい、分かりました………そう言えば君の事、響さんたちには……」
「言っていいよ。なんだったら、二課の連中にも」
それだけを言うと、緑羅はさっさと走り去ってしまう。その背中を見てはあ、と小さくため息を吐くが、緒川はすぐさま通信を繋げる。
「こんな時とは言え、響さんたち、喜ぶでしょうね……」
緑羅はスタッフ用の通路を軽々と駆け抜けていく。
「えっと……確かこの先を左だったかな……」
順路を思い出しながら緑羅が走っていくと、不意に視界の端に手をつないだ二人の少女が見える。
「ん?この状況のこんなところに誰だ?」
緑羅は不審に思い即座にそちらに進路を向け、彼女たちが消えた物影を覗き込む。
「おい、お前ら何してるんだ?」
「わっ!?」
その声に驚いた声を上げ、一人が慌ててこちらを振り返り、もう一人はその後ろから緑羅を見つめる。
慌てて振り返ったのは金髪に緑の髪飾りをつけた少女。見つめてくるのは黒髪をツインテールにした少女だ。
「こんなところでどうした。迷子にでもなったのか?」
「ああっ!?えーっとですねー……」
「じ~……」
金髪の少女は動揺丸出しで何と目を泳がせており、ツインテールの少女はわざわざじ~っを口に出しながらこちらを見つめてくる。
「この子がね、急にトイレとか言い出しちゃって………!」
「じ~……」
金髪がツインテールを背に隠そうとするが、ツインテールはすぐさま顔を出して緑羅を見つめる。
緑羅は胡散臭げに目を細めていたが、小さく唸りながら軽く体を揺すると、
「ふ~~ん……トイレならあっちにあった。さっさと済ませて逃げろ」
「これはこれは、ご丁寧にどうもデス!それじゃあちゃちゃっと済ませちゃいますから!」
「言ってないでさっさと行けよ」
小さくため息を吐きながら緑羅は走り去っていく。
「あれで誤魔化したつもりなるって………バカなのか?」
人質が完全にいなくなり、無人となったライブ会場。いるのはノイズとマリアと翼だけだ。
「帰るところがあると言うのは、幸せな事だ」
「マリア、貴方はいったい……?」
不意に呟かれた言葉に翼が問いかける。それはまるで、今の自分の状況をうらやむが、自分もそれを持っていると言うような響きだ。が、マリアはそれを無視して翼に声をかける。
「観客は皆退去した。もう被害者が出ることはない。それでも私と戦えないと言うのであれば、それはあなたの保身のため」
マリアが手にしていたマイクを突き付けると同時にノイズの群れがステージに向かって歩き出す。
「あなたはその程度の覚悟しか出来てないのかしら?」
そう挑発されるが、翼は小さく息を吐く。その程度の挑発に、今の翼は乗りはしない。
「確かにこのままでは私は防人失格だな……だが、あいにくと私は欲張りでな。防人も、歌を歌うのも……どっちも諦められないんだ」
冷静にそう返すと、マリアは小さく眉を顰めるが、少しすると小さく鼻を鳴らし、
「全く強欲だな………そうだ。そのついでと言っては何だが、一つ聞こう」
「?」
「ビースト……この名を持つ存在は今どこにいる?」
その問いに翼は軽く目を見開く。ビースト。それが指し示す存在は彼女が知る限り一人しかいない。
「………それはあれかしら。黒い魔獣の事?」
「やはり知っているか……日本で数多く目撃されていたらしいからな……」
あえて名前を伏せ、都市伝説の名称を告げたら案の定、緑羅の事だった。
(これで気付いたと言う事は、個人の特定はできていないという訳ね……でも、何でここで彼の事を……って、あれしかないか)
「……聞いてどうするのかしら?」
「それは貴女には関係のない事よ」
そう言うが、彼女の狙いが何なのか、翼にも分かる。間違いなく、彼の細胞を欲しているのだろう。
あの後、二課の者達に翼達は緑羅の細胞の事は話していない。たとえ信用のおける人たちであろうと、安易に話すことはできなかったのだ。
だが、緑羅も言っていたが細胞の情報はすでに外部に流れている。それを手にしたものが彼を捜索していても不思議はない。
「あいにくだけど………彼がどこにいるかはこっちが知りたいぐらいよ。会いたがってる子たちだっているのに、あの放蕩者は……」
やれやれ、と言うように小さくため息をつく。その様子にマリアは真意を探る様に目を細めるが、翼は表情を崩さない。
「……まあいい。こっちは一応ついで。本命を優先しましょう」
そう言ってマリアはレイピア状のマイクを構えると、勢いよく飛び出して翼に切りかかる。
翼はすぐさま後ろに跳んで回避するが、それと同時にマリアが体を回転させると、背中のマントが翼に襲い掛かる。
翼はとっさに手にしていたマイクでマントを防ぐが、マイクは一瞬で破壊される。
翼は目を見開くもすぐさましゃがみ込んでマントを回避、そのままバック転を繰り出して距離を離す。
マイクの残骸を放り捨て、翼は小さく唇をかみしめる。一体何をしているのだろうか、彼は。出来れば早くしてほしいのだが……
後ろから聞こえる物音に目を向ければ、ノイズたちがついにステージの縁にまで来ている。
「さあ、この期に及んでまだかしら?貴女も強情「ドゴォォォォォォォォォォォォ!!」な、なんだ!?」
マリアが再び翼を挑発しようとした瞬間、ライブ会場の無人の観客席、その一角が轟音と共に爆発し、炎を噴き上げている。
更にそれと連動するように会場の中継を映していた映像が全て途切れ、NO SIGNALと言う文字しか映し出されない。
「中継が切断された!?だがあの爆発は……!?」
「ふふ、盛大なカーテンコールね……では、私も全力で行かせてもらおう!」
翼は立ち上がり、静かに歌いあげる。
「Imyuteus amenohabakiri tron」
聖詠を歌いきると同時に翼のシンフォギアが起動、その身にまとっていくが、その形状は少し変わっている。
全体的な色合いは青と白と黒で構成され、脚部のブレードは以前よりも小振りになっている。
シンフォギアを纏った翼は即座に刀を手にすると、ノイズの群れに突貫、次々と切り伏せていく。ここで翼は飛び上がると刀を片刃の大剣に変形させ、
ー蒼ノ一閃ー
青い斬撃を放ち、ノイズを吹き飛ばす。
その空間に翼が着地しようとした瞬間、ボバッ!と炎の中から何かが飛び出すと、そのままノイズの一団の中に着地し、周囲一帯に青白い爆炎を放ち、ノイズを焼き払う。
炎が収まった時、ノイズは一匹も残っておらず、彼だけがいた。翼は彼の隣に着地する。
「少し遅かったんじゃない?」
「無茶を言うな。これでも壁をぶち破って最短で来たんだぞ」
そう言いながら緑羅は小さく肩をすくめる。当然ながらその身は変異しているのだが、その姿は少し変わっている。
姿はほとんど変わっていないのだが、髪型が変わっており、人間の顔である右側が隠されている。そして以前は全身にまばらに散らされていた鎧が左胸元に集中している。
「さて……とりあえず初めまして、マリア………何とかかんとかさん?」
緑羅がガントレットを突き付けながらそう言うと、マリアは真っ直ぐに緑羅を睨み、
「ビースト………ようやく見つけたわ……マムを救う唯一の希望……!」
ステージから離れた個所に一台の車が止められている。一見すると大型の車にしか見えないが、その内部には無数の無数の機器とモニターが設置されている。
その中には電動式の車いすに座った眼帯をつけた老齢の女性がおり、ライブ会場が映し出されたモニターを見ている。
「まさかビーストが来ていたなんて……完全に予想外だわ……3人だけでは……」
彼女が思案するように爪を噛んでいると、不意に後ろの方から音がする。
はっとなって振り返れば、一人の少女が外に出ようとしている。
「何をしているの!?」
「私も行きます……頭数で負けかねないのに相手はビースト……助っ人は必要です」
「ダメよ!あなたはまだ目覚めて数日なのよ!?無理をしては……!」
「………だけど、無理ですよ……」
そう言って少女は振り返るが、その表情はまるで何かをこらえるかのようだ。少女はそのまま自分の胸元に手を当て、
「全身が……細胞が疼いてる……ビーストに反応してるんだと思ういます……だから……行かないと……」
女性は小さく顔をしかめるが、少しすると小さくため息を吐き、
「くれぐれも無茶はしないでください……絶対に……」
「はい。ありがとう、マム」
そして少女は車から勢いよく飛び出す。
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