戦姫絶唱シンフォギア 王を継ぎし者   作:夜叉竜

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 緑羅の見せ場なので、割と早めに投稿しますね。

 ではどうぞ!

 5/6 追記


0-5

 とある場所のはるか地下奥深くにその施設はあった。その施設の一角の部屋には巨大なモニターに複雑な機器が無数に設置されており、それを操作するためのオペレーター達があわただしく機器を操作している。

 その部屋に青い髪の少女が入ってきて口を開く。

 

 「状況を教えてください」

 「今、反応の絞り込みを行っているところ……!?ノイズとは反応が異なる高エネルギーを検知!」

 「波形の照合を急げ!」

 

 予想外の事態だったのか、オペレーター達は一層慌ただしく動き始める。彼らは急いでそのエネルギーの発せられる位置を探るが、意外と簡単に絞り込むことができた。なぜならそれはノイズのすぐそばで発生したからだ。

 

 「位置、絞り込めました!結果、出ます!」

 

 そしてモニターに表示された結果はUNKNOWNという文字。

 

 「これは町中……それにこれって……アウフヴァッヘン波形!?」

 「おまけにUNKNOWNだと!?まさか……新たなシンフォギアか!?」

 

 その結果を見て、赤いシャツを着た偉丈夫と白衣を着た眼鏡の女性は驚いた声を発する。それも無理からぬだろう。それは彼らには慣れしたんだものだが、間違ってもどこかの町中で確認されるものではない。

 

 「映像、出ます!」

 

 その言葉と共にモニターが切り替わり、映像が表示されたのだが、それを見た瞬間、全員の顔が驚愕に見開かれ、絶句したように誰も彼もが言葉を失った。

 

 「な……なんだ………あの生物は………」

 

 しばし静寂に包まれた部屋に衝撃から立ち直った偉丈夫の男性が絞り出した声が響くが、だれもそれに答えることはなかった。だが、その言葉のその場の全員共通の疑問だった。

 本来、これが確認された映像の中に映っているのはノイズと特異な服と武器を持った少女のはずだ。

 だが、映像に映っているのはノイズとノイズ以上の異様な異形の存在だった。

 全身を黒く、恐竜のような質感の皮膚で覆っているが、一部に同色の鎧のような部分がある体。

 背中から幾重にも枝分かれした背びれが無数に生えており、それはきちんと3列に連なっている。腰回りにはまるで黒いコートの裾のようなものが広がり、長い尾まで生えている。両足と左手には鋭い爪が備わっており、頭からは脇までの長さの髪が生えている。そして顔は右側が人間なのだが、残った左側と口元は黒い皮膚で覆われ、口元は耳元まで裂けており、その中には骨など軽く噛み砕けそうな牙がずらりと生えている。

 そして右手はその体とは対照的に黒い鎧に覆われており、さらには巨大な爪を携えたガントレットを装着している。

 生物と機械が融合したノイズ以上の異形。彼らはそれが何のか、敵なのかどうかすら把握できていなかった。

 だが、その中で青い髪の少女だけはその姿を見て、ある事を思い出していた。

 

 (あのガントレット……それにあの皮膚は………!)

 

 その瞬間、彼女の脳裏に半年前のあの光景が思い浮かぶ。

 半壊したライブ会場、ノイズの残骸である黒い煤が舞い散る中、こちらを見つめる異形の少年。

 そして、少女の記憶を刺激するように、モニターの向こうの異形が凄まじい咆哮を轟かせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その咆哮が轟いた瞬間、ノイズたちはずり、と思わず後ろに下がっていた。

 人間を殺すための兵器であるノイズは、それゆえに心なんてものは持たない、本能も何もない。あるのは人間を殺すという目的意識だけ。そのはずだった。

 だが、その咆哮を聞いた瞬間、ノイズたちのあるはずのない心が、本能が、恐怖を感じたのだ。これまで決して感じたことのないもの。自分たちに絶対の死をもたらす存在への恐怖が彼らを飲み込み、目的を見失わせ、後ろに下がらせた。

 そのノイズを後目に緑羅はこきこきと首を鳴らして視線を落とし、自分の体を確認すると、右手に視線を向け、ガントレットの指を動かしてみる。ガントレットの指は彼の思い通りに動き、その事に彼は満足そうにうなずくと、ノイズの一団に目を向けて低く唸り声をあげる。それと同時にノイズの何匹かがさらに一歩後ろに下がり、それに気づいていないのか、それとも興味もないのか緑羅は何のリアクションも起こさず、そのまま静かに足を踏み出す。

 瞬間、ノイズたちが咆哮を上げながら体を槍のような形状にして一斉に襲い掛かってくる。まるで彼の圧力に耐えかねたように。怯えを振り払うように、やられる前にやるというように。

 だが、緑羅はそれを見て小さく唸るとその場で勢いよく体を回転させ、尾を勢いよく薙ぎ払う。

 尾がノイズを直撃した瞬間、その体はまとめて吹き飛ばされ、他のノイズと激突するとまとめて煤に変わってしまう。

 緑羅はそのまま体を一回転させてノイズと向き直るとアスファルトを破砕しながら一気に加速してノイズの一団に突っ込む。

 そして己の間合いに入った瞬間、ガントレットを勢いよく薙ぎ払う。

 大気を切り裂きながら振るわれた4本の爪は容赦なくノイズを切り裂き、煤に変える。そのまま返す拳で裏拳のようにガントレットを薙ぐとまた新たなノイズが吹き飛ばされ、拳圧で煤が飛び散る。

 だがノイズもやられてばかりではない。拳を振り切った体制の緑羅に対して正面から襲い掛かる。

 だが、緑羅は前に勢いよく蹴りを繰り出し、ノイズを蹴り飛ばす。

 さらに蹴りを繰り出した足を地面に叩きつけて固定すると、そこを軸に勢いよく体を回転させ、ガントレットと尾で飛び掛かってきたノイズを一気に薙ぎ払う。

 瞬間、大型のノイズが口からヘドロのようなものを吐き出し、緑羅を攻撃するが、緑羅は素早く後方に跳んで回避すると、再び距離を詰め、大型のノイズの懐に潜り込むと、ガントレットに拳を握らせて勢いよく叩きこむ。

 瞬間、轟音と共にノイズの巨体が吹き飛び、何体ものノイズを巻き込み、煤となり崩れ落ちる。

 そこでガントレットからぎしりという音がすると、無数の部品が現れ、それはガントレットを飲み込むように展開していき、組み合わさっていく。

 それが終わった時、右手にあったのはガントレットではなく、恐竜の頭部を模した巨大な武器。

 緑羅はそれを構えてノイズに突っ込むと、勢いよく振り下ろしてノイズを叩き潰し、そのまま薙ぎ払い、周囲のノイズもまとめて粉砕する。

 すると、他の大型のノイズが緑羅目掛けて腕を振るってくるが、緑羅はそれをジャンプして回避すると、武器の顎ががばりと開く。その中には鋭い杭のような牙が2重で生えており、喉元にはガントレットに内蔵されていたパイルが顔をのぞかせている。緑羅がノイズ目掛けて武器を振るうと顎がノイズの頭部に当たる部分に食らいつき、力任せに食い千切る。

 大型ノイズが崩れ落ちる中緑羅は着地すると、残ったノイズたちがいる方角に武器を向け、顎を大きく開く。

 そして背中の背びれが青白い閃光を発した瞬間、顎の奥から青白い熱線が放たれる。

 それは進路上のノイズを残らず飲み込むと同時に焼き尽くし、着弾すると同時に凄まじい轟音と共に爆炎をまき散らし、周囲の建物ごと残ったノイズを容赦なく焼き払う。

 そして最後に残ったのは炎が上がり、破壊された道路と燃え上がっている家屋、そしてそこに佇む緑羅だけだった。

 

 「………上々かな。家を壊しちゃったけど、まあ、だれも巻き込んでないし、いいか」

 

 そう呟くと、緑羅はふう、と力を抜くように息を吐く。

 それと同時に右手の武器はパーツが分解され、消えていき、元のガントレットに戻る。

 それも分解と共に消えていくと、全身の黒い皮膚が見る見る消えていき、背中の背びれと尾も消えていく。

 そしてすべてが無くなると、緑羅は変化する前の姿に戻っていた。

 ふう、と緑羅は小さく息を吐くと、その場から歩き出し、バッグを放り投げたところからバッグを回収すると、その場から歩き去る。

 

 「とりあえず……ここから離れたところを拠点にして町を調べようかな」

 

 そう呟きながら緑羅は無人の町の中を歩いていく。それを見られていると気づかぬまま。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「なんと凄まじい……」

 

 指令室では緑羅の戦闘を見て、その場にいた者たちは唖然としていた。

 ノイズたちは攻撃らしい攻撃ができていなかった。ほとんど一方的にそれはノイズたちを蹂躙していた。ほとんど力任せと言ってもいい戦闘なのだが、だがその戦いぶりには迷いはなく、幾度も戦ってきた歴戦の戦士を彷彿とさせる。

 そうしているうちに周辺の建物に被害を与えながらもノイズを駆逐しつくした。

 それと同時にそれは力を抜くように息を吐き、手をだらりと下げる。

 それと同時に右腕のガントレットが分解され。そのパーツが消えていく。それと同時に体の異常な皮膚が見る見るうちに消えていき、背びれや尾は体の中に消えていくように縮んでいく。

 そして全てが無くなった時、その場にいた全員が驚愕に目を見開く。

 そこに立っていたのは緑がかった黒い髪をした中学生ぐらいの少年だったからだ。

 ありえない。男がシンフォギアと同じ波形を発することもそうだが、何よりも人間があんな異形に変異し、あまつさえ元の姿?に戻るなんて……彼らの常識では考えられない事だった。

 見られていることに気付いた様子もなく少年は近くの家の敷地の中に入っていくと、そこからバッグを二つ取り出すとそれを背負ってその場から歩き出す。

 何なのだろうあの少年は。なぜシンフォギアと同じ波形を発するのか、あの姿は何なのか、どうしてノイズを殺したのか。あの少年に関してはあまりにも謎が多すぎる。

 何とかして彼と話をする必要があると偉丈夫の男性は感じた。

 

 「至急現場に急行し、彼を捜索してくれ。彼と話がしたい」

 「それじゃあ「私が行きます……」え?って、ちょっと翼ちゃん!?」

 

 眼鏡の女性が驚いた声を上げて振り返ると、そこには先ほどまでいた青い髪の少女はおらず、ただ扉が閉まる音だけが響き渡る。

 

 「行っちゃった………でも、どうしちゃったのかしら、翼ちゃん。なんか明らかに雰囲気がおかしかったけど……」

 「分からん……翼はあの少年の事を何か知っているのか?」

 

 彼らはそろって首を傾げるが、それでも自分たちのやるべきを見失ってはおらず、彼らは即座に行動に移す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、彼らは周辺を調査し、緑羅を探したのだが、彼はその日以降、忽然とその痕跡を消し、姿をくらませてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ふうむ、一通り調べてみたけど、特に妙なところはないんだよな……」

 

 ノイズの襲撃から数日が経過したころ、緑羅は町中で肉まんを頬張りながら町中を歩いていた。

 ここ数日、彼はこの町一帯を調べて回っていたのだが、特にめぼしいものは見つけられなかったのだ。いたって普通の町だ。それにあの日以来聖遺物の気配を感じる事はない。あの時感じたのは勘違いだったのだろうか……

 彼はふうむ、と唸りながら首を傾げながらも緑羅は肉まんを飲み込むと、そろそろ調査を切り上げて別の場所に向かった方がいいかな、と顔をしかめながら考える。

 ここ最近、町中で妙な連中を見かけるときが多くなった。明らかに他の人間とは雰囲気が違っているのだ。そいつらは町中で聞き込みを行っており、誰かを探しているようだ。

 直感だが、彼はあの連中に見つかるのはマズい様な気がしていた。そもそも彼らが現れたのがノイズ戦後だったのだ。その時に暴れていたのは自分だ。関係を疑うなという方が無理だ。

 なのでここ数日は妙な連中に気を付けながら情報収集を行っていた。幸いにも前世では本気で隠れれば人間の監視網を潜り抜けることができるほどの隠密性を得ることができた。それはこちらでも受け継がれており、それをフル活用して見つかることはなく過ごすことができたが、これ以上は危険かもしれない。ここいらで逃げたほうがいいだろう。

 そう考えながら歩いていると、緑羅はん?と首を傾げる。何やら言い争うような声を聞き取ったのだ。

 むう、と彼は小さく唸りながら考え込むと、少ししてそちらに向かって歩き出す。

 少し歩いていくと、近くの学校らしき場所にたどり着く。

 んん?と彼が首を傾げながら近づいていくと、校庭に人だかりができている。更にそれは明らかに二人の人間を取り囲んでいる。

 いじめ、という奴だろう。緑羅は明らかに不快気に顔をしかめていたが、そのいじめられている二人を見て、緑羅の顔は一気に怒りに染まると、そのまま校庭内に入っていく。

 そのまま荒々しい足音と共に突き進んでいくと罵詈雑言がより聞き取れるようになっていく。人殺しだとか、お前が死ねばよかったとか……ふざけた言葉の数々が。緑羅はさらに顔を険しくしながら人垣にたどり着くと、

 

 「邪魔だ」

 「え?何……うお!?」

 

 目の前の生徒を力任せに押しのけ、そのままいじめられている二人の前に立つ。

 周りの生徒たちは突然現れた緑羅に心底驚いたように目を見開き、罵詈雑言が止まる。その隙に彼は振り返り、

 

 「大丈夫?立花響、小日向未来」

 「え……へ!?五条さん!?」

 「な、なんでここに……」

 

 響と未来は驚いたように緑羅を見上げ、二人の無事を確認した緑羅はふう、と小さく息を吐くが、

 

 「おい!お前何なんだよ!?」

 

 前から投げかけられた言葉にいら立ちを隠しもせずに顔をしかめ、ぎろりと視線を前に向ける。

 その視線に生徒たちは思わずたじろぐが、すぐに視線を鋭くすると、

 

 「何をしてるって言ってるんだ!まさかそいつらをかばう気か!?」

 「ああ?普通はいじめを見たら止めるんじゃないのか?そもそも、なんでこんなことした。こんな大勢の人間で」

 

 そもそも、改めてみると明らかにいじめる側の人間が多すぎる。少なくとも緑羅の知識のいじめよりもずっと多い。

 緑羅が問いかけた瞬間、周りの生徒は火が付いたように口を開く。

 

 「知らないのか!?そいつは半年前のライブで大勢の人を殺して自分だけ助かろうとしたんだぞ!」

 「そうよ!そいつは人殺しなのよ!責められて当然よ!」

 「そいつらのせいでどれほどの人が死んだと思ってんだ!?」

 「そんな奴をかばうような奴も同じだ!ただのくそだ!」

 

 彼らはまるで自分達こそ正義だといわんばかりに興奮したように口を開き、その言葉の暴力に響の顔は見る見るうちに歪んでいき、未来もまた辛そうにしている。

 故に誰も気づかなかった。緑羅の顔が加速度的に怒りに染まろうとするが、それを必死に抑えているのか頬は痙攣し、額も青筋が浮かび上がろうとするかのように引くついていることに。

 だが誰もそれに気づかず、ついに最後の一線を踏み越える。

 

 「そんな奴、死ぬべきだったんだ!そいつが死ねばよかったんだ!」

 

 ブチっ

 

 「なんで……なんでそん「ドンッ!」!?」

 

 次の瞬間、緑羅は勢いよく地面を踏みつける。鈍く低い音が回りの生徒全員を強制的に黙らせ、更には遠巻きに眺めるだけの生徒たちの動きすら止める。

 そして緑羅はため込んだ怒りを爆発させる。

 

 「黙れって言ったのが聞こえなかったのかゴミ共が………!!」

 

 そう緑羅が阿修羅すらかわいく見える程に憤怒で歪んだ顔で吐き捨てた瞬間、その場に尋常ではない殺気がほぼ無差別にまき散らされる。




 感想、評価、どんどんお願いします。それが俺の力になる。

 ところで……アニメゴジラ、ビジュアルやストーリーが公開されましたね。フツアの神って……双子などから考えても絶対にあいつですよね………さらに言えば、約一名悪役オーラ発しているように見えるのは俺の気のせい?
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