戦姫絶唱シンフォギア 王を継ぎし者   作:夜叉竜

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 今回で0章は終了。次から原作に入っていきます。

 ではどうぞ!


0-7

 「う~~~む………やっぱり携帯持つのは………リスクが大きすぎるよな……」

 

 携帯ショップの一角にて、緑羅はカタログを睨みながら小さくうめき声をあげる。

 響との一件があった次の日。早速緑羅は携帯を手に入れようとここに来たのだが、携帯と言うものは予想以上に面倒な代物だった。

 まずやはりというべきか戸籍情報が必要になってくる。まずそんな物持ってないので手の施しようがない。偽ろうにも偽り方も何も知らないのでどうしようもない。

 次に携帯にはGPSとか言う物がある。持ち主の居場所を特定する機能とか今自分が一番欲しくない機能だ。

 更に言えば、携帯の持ち主の情報はその携帯の売ったところに保存されるらしい。もう何というか、最悪としか言いようがない。こんな物持った日にはもう自分の居場所は完全に露見して、いつまでも追いかけられること間違いない。と言うか何で通信機器にそんな機能を付けるのだ。他にも明らかに不必要としか思えない機能がゴロゴロついている。意味が分からない。何がしたいのだろうか、人間達は……

 

 「響達には悪いけど、携帯は持つわけにはいかないな」

 「それで、どうですか?何か気になる機種はありましたか?」

 「あ、いいえ。携帯はまた今度ということで」

 

 緑羅はそう言うとカタログを閉じて対応していた店員に帰すと、荷物を持ってそのまま携帯ショップを後にする。

 はあ、と疲れたようにため息をつきながら緑羅は空を見上げる。

 今日も変わらずのいい天気である。だが、その下で、響達はいじめを受けているのかもしれない。昨日、しっかりと釘を刺しておいたが、人間と言うのは中々どうしようもない。喉元過ぎれば熱さを忘れるともいう。またいじめをおこなう者がいてもおかしくはない。

 

 「大丈夫かな……間違いなくあいつらの心を折った気はするけど……人間って変なところでタフだからなぁ……どうにかしたいけど、聖遺物の件も調べないといけないし、どうしたものか……」

 

 もともとこの町に来た理由である聖遺物。響の一件や、こちらを探る者たちのせいでそこら辺の調査が疎かになってしまっているが、近いうちにここを離れるつもりなので、その前に少しでも調べていきたい。

 

 「今日は……確か休日だったよね。とりあえず二人から何か話を聞いて、それから調べようかな……」

 

 と言っても、どこにいるのか、まだ分からないし、番号をもらった次の日にいきなり電話していいのだろうか……

 彼女たちを探すのに集中するよりも、まずは聖遺物の事を調べながらその中で彼女たちと合流を目指すという方がいいのだろうか。

 そんな事を考えながらのんびりと町の中を歩いていると、

 

 「五条さん!」

 「ん?」

 

 後ろから声をかけられ、緑羅が振り返ると、道の先から響が手を振りながら駆け寄ってくる。

 

 「立花響?どうしたの?」

 「いや、あの…、響でいいですよ。そんな他人行儀じゃなくていいですから。今日は何をしてるんですか?」

 「携帯を見に来たんだけど……機能が多すぎて意味が分からなすぎる。なんであんなに大量の機能を放り込むのかな……」

 「ええ?そうですか?いろいろと便利だと思いますけど……」

 「いやいや、だからってゲームをできるようにするって意味が分からないよ。あれは通信機器でしょ?なんでゲームが必要なのさ」

 「いいと思いますけど……」

 

 響はむう、と唸りながら首を傾げる。

 緑羅はふうむ、と唸りながらもちらりと響に視線を向ける。首を傾げている様子からは昨日まであった焦燥はない。すっかり明るい性格になっている。それもかなり自然体だ。恐らくだが、こっちが本当の彼女なのだろう。

 

 「……もう大丈夫なの?」

 「あ、えっと……なんといいますか、五条さんのおかげでだいぶ心が軽くなって……そしたら結構余裕が出てきて……それに、なぜだか今日は特にそう言った目にあってないんです。そのおかげもありますかね」

 

 緑羅はふ~~ん、と小さく頷いていると、不意にん?と小さく眉を動かす。そしてそのまま響に顔を近づけると、すんすんと鼻を動かす。

 

 「え、えっと……五条さん?」

 

 戸惑ったように声を漏らす響をよそに緑羅は彼女の体のあちこちの匂いを嗅いでいく。

 響はうぅ……と小さく呻きながらも、どうしていいのか分からないのか恥ずかしそうに体をすぼめ、身動きが取れない。

 そんな響を後目に緑羅はしばし匂いを嗅いでいたが、不意にああ、と小さく声を漏らす。

 

 「君だったのか……」

 「ふぇ?君だったのかって?」

 「ああ、いや、こっちの話………ところでさ、昨日リハビリしてたって言ってたけど、体の方はもう大丈夫なの?」

 「あ、はい。体の方はもう大丈夫です。すっかり治ってますよ」

 

 そう言いながら響はむん、と力こぶを作って見せる。

 

 「そう………ならいいんだ」

 

 緑羅は満足そうに頷くと、響は不安そうに緑羅を見上げる。

 

 「あの……もしかして私、変な匂いします?」

 「ん?いや、普通にいい匂いだけど……」

 

 緑羅がそう言うと響は恥ずかしそうに顔を赤くして俯き、そ、そうですか、と小さく呟く。

 

 「さっきのはまあ………気にしないで。こっちにも色々とあってね」

 「は、はあ……」

 「とりあえず、俺はまだやることがあるから、今日はこの辺で」

 「あ、はい。それじゃあ、また」

 

 二人は互いに手を振り合うとその場から別れ、歩いていく。

 それからしばらく歩いていき、緑羅は小さく息を吐く。

 

 「まさか……彼女の中に聖遺物があるとは……」

 

 この町にある脆弱な聖遺物の気配。それは響の体から漂っていた。恐らくだが、半年前、彼女と自分に刺さった欠片が彼女の体内に残っているのだろう。

 だが、本当に極微弱だ。あまりにも弱々しすぎる。間違っても、自分の様に戦う力を引き出すことはできないし、そんな力を内包してもいないだろう。

 まあ、本人は大丈夫そうだし、このまま放置していてもいいだろう。

 目的は達したし、後はこの町を去るだけである、と緑羅が考えた瞬間、彼は立ち止まり、ちらりと視線を後ろにやる。

 その先にはあの自分を探っている人間達が何人かいる。

 ついに見つかったか………と、緑羅ははあ、と深いため息を吐く。まさかこのタイミングで見つかるとは思わなかった。

 緑羅はそのままどうするか考えるが、少しして小さく笑みを浮かべる。色々と調べて回ってくれたのだ。せめてその面は拝んでおこう。

 緑羅は静かに拠点にしている廃墟に向かって走っていく。

 しばらく走っていくと、廃墟にたどり着く。そこは町はずれにある場所で、元は小さなホテルか何かだったのだろう、そこそこ大きな廃墟だった。敷地もなかなかに広い。

 緑羅はその廃墟の敷地の中で立ち止まる。

 しばらくすると、敷地の中に数人の人間が入り込んでくる。黒服にサングラスとか言うある意味典型的な外見だ。

 緑羅が小さくため息を吐くと同時にその中から一人前に出る。一見するとただの茶髪の優男なのだが、その身からにじみ出るのは間違いなく強者の気配。

 緑羅が低い唸り声を漏らしながら口を開く。

 

 「何?俺に何か用?」

 「突然の訪問、お許しください。申し訳ないのですが、少々我々と一緒に来てくださいませんか?」

 「本当にいきなり何さ。俺、何も悪いことした覚えがないんだけど?」

 「誤魔化しても無駄です。数日前のノイズ襲撃の際、そのノイズを一人で駆逐したのはあなただと分かっています」

 

 やっぱりか、と緑羅ははあ、と小さくため息をつき、

 

 「そう……分かってるんだ。だけど、そっちには悪いけど、そんなこと言われてはい、ついていきますとはいけないんだよね?」

 「………ですが、こちらはそうはいかないのです。どうかそこを曲げて……」

 

 優男の言葉に緑羅ははあ、と深いため息をつく。

 

 「お断りだね。人の事をひそかにこそこそと探ったりしているような連中についていくとか、今時子供でもやらないよ。とにかく、とっととお引き取り願うよ」

 

 そう言いながら緑羅はしっしと手を振る。

 だが、優男は引き下がらない。

 

 「それでは仕方ありません……あなたの身柄を拘束させていただきます」

 「………できると思ってんの?」

 

 そう呟くと同時に緑羅は地面を吹き飛ばしながら一気に加速、敷地の外に向かって突き進む。

 人間ではありえない速度に黒服たちは驚いたように目を見開いているが、

 

 「逃がしはしません」

 

 その緑羅のすぐ隣を優男が並走する。

 へあっ!?と緑羅が驚愕に目を見開く。確かにこの男は強者の予感がしたが、それはあくまでも人間の話。自分には及ばないと思っていた。だが、まさか自分に追いついてくるとは……

 緑羅が目を見開いている間に優男がこちらに向かって手を伸ばしてくるが、緑羅はとっさに回し蹴りを繰り出す。

 優男がそれを回避するために後ろに下がった瞬間、緑羅は憎々し気に顔をしかめる。

 まさかこんな男がいると思ってもいなかった。これでは町中に逃げ込んでも逃げ切れるか分からない。ならば……

 考えるのは一瞬。緑羅は進路を変更して今度は廃墟に向かって突き進み、中に飛び込む。

 優男はすぐさま緑羅の後を追い、廃墟の中に入り込もうとした瞬間、

 入り口が轟音とともに爆発を起こし、大量の煙が噴き出す。

 

 「な!?」

 

 優男は慌てて急停止するが、そうしている間に廃墟は至る所から爆発音が響き、壁が吹き飛んでいく。

 

 「離れて!崩落に巻き込まれてしまいます!」

 

 優男の声に黒服たちが慌てて敷地からと逃げ出し、優男が敷地の外に出た瞬間、轟音と共に廃墟が崩れ落ちていき、周囲をすさまじい量の煙が包み込む。

 

 それからしばらく経った頃、黒服たちが廃墟の跡地を調べたのだが、そこには緑羅はおろか彼の荷物もなく、あるのは無数の瓦礫と下水道まで掘られた巨大な穴だけが残っていた。




 感想、評価、どんどんお願いします。

 次回からなのはの投稿に移ります。

 最近、ソウルサクリファイスとシンフォギアのクロスなんて意味の分からんのが浮かんだ。その中で奏さんが魔物になってしまった。かなりグロテスクだった。こんな僕を許してください。
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