魔法科にあの影の薄いキャラがいたら   作:キラヤマト

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 九校戦編はもう少しお待ちください。頑張って面白い話を書きますから。


 閑話2〜テツヤと真夜〜

「それで、いつまでこうしていればいいのですか?」

 

「あなたが無茶した反省をするまでよ。」

 

 テツヤは真夜に屋敷まで呼び出されて、ブランシュの件について説明をしにやってきた。しかし、部屋に入ってすぐに正座を求められてしまう。部屋の主は優雅に紅茶を嗜みながら、テツヤの姿を眺める。

 

「しかし、僕からすればあれが最善だと思いました。公安の犠牲なくして解決は難しいと思います。」

 

 テツヤは真夜に言い訳を述べる。しかし、真夜はテツヤの言い分を無視して現状を伝える。

 

「現在、公安内部は分裂しかけています。いえ、もともと分裂の兆しはあったみたいだけど、今回が決定的だったわ。この機会に今までの執行部を責任追及して権力を掌握しようという動きが活発している。この調子だとしばらく公安は組織として機能しないわ。」

 

「でも、元はといえば公安の暴挙が原因です。そのお叱りを僕が受けなくてはならないのは納得いきません。」

 

 やはり、テツヤは不満なようだ。だが、真夜は続ける。

 

「公安の暴挙は執行部の権力掌握の策だとしてもかしら。分裂の危機を脱したい執行部は大きな賭けに出た。ダメだったみたいだけど。」

 

「…」

 

「確かにあなたがもたらした利益は計り知れないわ。ブランシュの機密情報なんて今、四葉以外に持っていないもの。でも、元々の原因とはいえ国家機関が停止状態ではまずいのよ。何も公安はブランシュだけに存在しているわけではないのよ。」

 

「…」

 

「あなたにその責任として公安の仕事全て代行できるかしら?できないでしょう。何よりあなたが納得しないし、私もそんなブラック業務にテツヤを放り込むつもりはさらさらないわ。」

 

「…」

 

「わかったなら、そのままおとなしく正座を続けて反省なさい。今回はそれで手打ちとします。」

 

 テツヤは真夜の説明の間じっと口を噤んでいた。

 

「…」

 

「何かまだ不満でもあるのかしら?」

 

 真夜は何も言わないテツヤが気になったようだ。

 

「いえ、今後の事を考えておりました。」

 

「今後の事?」

 

 テツヤからの返答は思いもよらないものだった。

 

「はい、今、公安が動けないと言うならば、敵は活発に動けるということになります。しかし、逆に言えば、こちらも大きく行動することが可能です。それに動き出した敵の足跡を辿ることも容易になります。従って、四葉の利益を増やすチャンスです!」

 

「…あなた全く懲りていないようね。気が変わりました。あと三時間は正座していなさい。」

 

 テツヤの説明に真夜は呆れた。また、自分の話を何も聞いていなかったのかと思い、罰を延長しようと決めた。

 

「そんな!僕はすでに反省しています。どうかもう勘弁してください、お願いします。」

 

 必死の懇願が届いたのか、テツヤは一時間で許された。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 テツヤを帰らせた後、その一室は重く静まりかえっていた。

 

「どうしたものかしら。どう思う、葉山さん?」

 

「私は一介の執事ですので、そういうことは。」

 

「そういうのはいいから、答えなさい。」

 

 執事の遠慮を無視して、答えを求める。

 

「まずいでしょうな。将来に禍根を残しそうです。」

 

「やっぱり?」

 

「ええ。」

 

「「…」」

 

 二人の中にはある共通認識があった。

 

「もしも黒子殿が離反した場合、どの程度の脅威と考えれば良いのか判断がつきません。教えていただけますか?」

 

「四葉の裏を達也以上に知り尽くしているのよ。四葉の精鋭を追手に出したとしても返り討ちに遭うわ。その後のことを考えて、今度は中枢の人物を狙って、指揮系統の分断をはかる。そして、四葉に反感を持つ者を自陣に引き込んで、じわじわと力を削ぎにくるわ。そうなったらおしまい。四葉は余程のことがない限り、元の勢力を取り戻せない。テツヤが必ず阻止するもの。」

 

「明らかに詰みですな。達也殿と同盟を結ばれたら手の施しようがないのでは?」

 

 暗に達也と近づけるのを避けたらどうかと執事は真夜に言う。

 

「でも、今の消極的策を続ける他ないわ。テツヤの私への信頼が揺らいだらもっと悪化する。それしか方法が思いつかないしね。」

 

「…」

 

 実のところ真夜はテツヤが自分を裏切るとは思っていない。それどころか、今一番信頼の置ける配下とさえ思っている。しかし、問題は自分が現役を退いた後である。テツヤは真夜に恩義があり、尽くしてくれている。しかし、他の四葉の人間の為にテツヤが動く理由がない。それに、外部の人間であるテツヤは四葉がどうなろうと興味がない。すべては真夜のための行動なのだから。従って、真夜は次世代を担う司波兄妹との接触をテツヤに命令した。そして、テツヤが世代交代後にも四葉に残らせるために。だから、今回ブランシュの件にわざと制限をかけて司波兄妹と協力させ、関係を深めさせようと真夜は考えた。だが、テツヤはブランシュの件を司波兄妹の助力なしで解決してみせた。また今回、真夜はテツヤが既に独自の情報基盤を持ち、独り立ちが可能であると思い知った。本来ならば、テツヤの周囲を探るべきだが、深入りするとテツヤに気づかれる。まさに八方塞がりである。

 

「気難しい子に好かれたものだわ。本当にどうしたものかしら?」

 

「一応、言っておきますが真夜様は四葉の長です。」

 

 執事は何を思ったのか主に釘を刺す。

 

「分かっているわ。…本当に分かっているのだから。」

 

 真夜は何度も自分に言い聞かせるかのようにそう呟く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




 真夜はテツヤをどうしたいんでしょうね?どう思いますか?
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