どうも、しがない黒子テツヤです。時は春を過ぎ夏が近づいています。そろそろ皆クラスに慣れてきており、僕もそこそこ学校生活を楽しんでいます。それに司波兄妹は七草生徒会長と渡辺風紀委員長の助力を受け、約束通りエガリテは解散させることができました。やはり、司波兄妹は優秀ですね。これで校内が騒がしくなることはないでしょう。しかし、達也くんがいささか目立ち過ぎている気がします。なんでも、達也くんはエガリテに所属する女生徒を口説いたとか。…まぁ、人の自由ですから関係ないのですがね。ただ、文句があるとすればそのことについて延々と愚痴を聞かされる身にもなってください。
「ちゃんと聞いていますか?」
「はいはい、ちゃんと聞いていますよ。」
現在、テツヤは深雪と学校のカフェでお茶をしていた。たまたま、通りかかったところで深雪の話し相手として、捕まったようだ。
「本当ですか?」
「僕が深雪さんの言葉を聞かないわけないじゃないですか。」
深雪は胡散臭くおもったが、気のせいだと思うことにした。ふと、ずっと疑問に思っていたことをテツヤに聞いてみることにした。
「…まぁ、いいです。そういえば、テツヤさんはどこのクラスにいるんですか?全然、お見かけしないのですが。」
「え、僕は深雪さんと同じクラスにいますし、深雪さんと席それほど離れていませんよ。」
テツヤの答えは衝撃的なものだった。深雪は慌てふためく。
「そ、それは申し訳ありませんでした。てっきり、他のクラスに所属しているとばかり思っていました。」
「僕、傷ついてしまいました。悲しいです。」
テツヤは本当に傷ついた様子で深雪をさらに慌てさせた。
「本当に申し訳ありませんでした。」
「…まぁ、嘘なんですが。」
テツヤは深雪の様子を見て満足したのか、ネタバラシをする。
「は、?」
深雪は一瞬何を言われたのかわからなかったようだ。
「すいません。深雪さんが慌てている顔が見てみたくて、つい悪ふざけをしてしまいました。ですが、美人はどんな表情でも見応えありますね。」
テツヤは犯行の動機を語り始めた。だが、深雪の変化にまだ気づいた様子はない。
「…」
「深雪さん…?」
深雪の体から冷気が漏れ始めてようやく気づいたようだ。
「テツヤさんには説教が必要みたいですね。」
「!?」
深雪からの最後通牒に慌てるテツヤ、しかし、テツヤは冷静に考えてこの危機を逃れる策を考える。
「何か他に言い訳はありますか?」
熟慮の末、ようやくテツヤは見つけた。
「…そうですね。想像以上に怒らせてしまったみたいで申し訳ないです。ですが、さっき言ったことは本音です。美人は一番笑顔が素晴らしいというのは事実ですが、様々な表情を見たいというのは人の性です。ですから、深雪さんはもっと様々な顔を見せるべきなのです。そうすれば、もっと達也くんが深雪さんを見てくれるかもしれませんよ。」
「!?」
テツヤはとりあえず、達也くんで攻めることにした。
「深雪さんは達也くんの前ではおとなしすぎです。達也くんはあなたの兄なのですから、もっとワガママを言うべきなのです。」
「しかし、お兄様に嫌われでもしたら。」
「いいんですか?あまり手のかからない妹を演じていたら、達也くんに放置されますよ。」
「そ、それは。」
この頃には既に先程の出来事はなかったかの様子だ。テツヤはさらに深雪を攻める。
「確かにやり過ぎは嫌われます。ですが、僕の見立てでは達也くんのキャパはまだまだ広いと思います。特にあなたに対するものはもっともっと広いです。」
そして、自分の考えを伝えて、深雪を納得させる言葉を言いつつ、最後の決め台詞を紡ぐ。
「僕を信じて、一歩踏み出してみませんか?」
深雪はすでにお兄様のことでいっぱいで何をして貰いたいかを考えている様子だ。
「そうですよね。お兄さんにもう少しぐらい甘えるのもいいかもしれませんね。すいません。お兄様に用事がありますので、これで失礼します。」
「行ってらっしゃい。」
テツヤは安堵の息を吐いた。
深雪さんとの絡みでした。なるべく自然に深雪を誘導するテツヤ、行動すべて裏がありそうで怖いですね。