Fate/cross wind   作:ファルクラム

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第4話「黒白のジャンヌ・ダルク」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 奇妙な一団だった。

 

 草原を馬で駆ける3人組。

 

 だが、その全員が、頭からローブを被り、顔を見分ける事が出来なかった。

 

 しかもそのうちの1人は、馬にまたがるのではなく、足を揃えて横座りしている。それでスピードを保っているのだから奇妙な事である。

 

 どれくらい走った事だろう?

 

 先頭を走る人物が馬を止めると、続く2人もまた馬を止めて寄せてきた。

 

「ちょっと、どうしたのよ急に止まって?」

 

 不満を告げる相方。

 

 それに対し、先頭の人物は腕を上げて指し示す。

 

「あれを・・・・・・」

 

 指示した方角に目をやる。

 

 森を抜けた先。

 

 その彼方から、数条の煙が上がっているのが見えた。

 

 煮炊きの煙ではない。明らかに、敵襲によって火災が起こっている様子が見とれた。

 

「・・・・・・どうやら、遅かったみたいですわね」

 

 それまで黙っていた3人目が口を開く。

 

 1人だけ、馬の鞍に横座りしたその人物は、ローブ越しの視線を向ける。

 

「どういたしますの? 今から行っても、もう・・・・・・」

「・・・・・・・・・・・・」

 

 躊躇いがちに声を掛ける。

 

 対して、先頭に立つ人物は、黙したまま、彼方の煙を眺めやっている。

 

 込み上げるのは悔恨。

 

 自分たちは結局、間に合わなかった。

 

 もっと急いで来ていればあるいは、救う事ができたかもしれないのに。

 

「・・・・・・・・・・・・いえ」

 

 諦めるのは、まだ早い。

 

 ローブの下で、眦を上げる。

 

 たとえ既に手遅れだったとしても、自分は行かなくてはならない。

 

 それが、自分と言う存在に与えられた運命なのだから。

 

「お2人とも、ここまでで結構です。あとは私一人で行きますので」

「ちょっと、そんな事ッ」

 

 抗議の声を聴く暇もなく、馬の腹を蹴って走らせる。

 

 背後から叫び声が聞こえてくるが、もはや馬を止める気は無かった。

 

 視線は、既にこの先にある村へと向けられている。

 

 逸る気持ちを押さえようともせず、馬を走らせ続けた。

 

 

 

 

 

 対峙する竜の魔女。

 

 自分たちを見下ろすジャンヌ・ダルクを前に、

 

 響とマシュは、眦を上げて視線を返している。

 

「あれが、竜の魔女、ジャンヌ・ダルク、ですか・・・・・・」

「ん、多分」

 

 視線の先で、少女が従えているワイバーンの群れ。

 

 まさしく、竜の魔女と呼ぶのにふさわしい光景だった。

 

 と、

 

 そこで響は、背後に振り返り、そこに立つ男を見やった。

 

「で、どちらさん?」

「響さん。その聞き方はちょっと・・・・・・・・・・・・」

 

 不躾な響の態度に、嘆息交じりに窘めるマシュ。

 

 どうも目の前の少年には「遠慮」と言う概念が無いようだ。

 

 とは言え、

 

 響達が到着する前に、既にジャンヌ達と交戦していた謎の男。

 

 漆黒の鎧を着込み、手には装飾の少ない、シンプルなデザインの長剣を携えている。

 

 短く切った金髪の下から覗く双眸は鋭く、殺気に満ちているのが判る。

 

 マシュとしても、その正体が気になるのは確かだった。

 

 その時だった。

 

 遅れて追いついて来た立香の通信機が鳴り響き、カルデアにいるロマニが声を上げた。

 

《立香君。その人物の魔力反応を確認した》

 

 視線を、目の前の人物に向ける。

 

《間違いない。そこにいる人物は、サーヴァントだ!!》

「サーヴァント? この人が?」

 

 驚いて呟く立香。

 

 対して、

 

 目の前の男は、舌打ちしつつ目を細めた。

 

「あなたは、サーヴァントなのか?」

「・・・・・・だったら何だ?」

 

 尋ねる立香に対し、男はぶっきらぼうに応じる。

 

 鋭い眼光が立香を睨みつける。

 

「ッ!?」

 

 息を呑む立香。

 

 下手をすれば、そのまま斬られそうなほどの殺気が満ちた眼光だった。

 

 そんな男からマスターを守るように、マシュが大盾を構えて前に出る。

 

「だめです。やらせません」

「・・・・・・・・・・・・」

 

 眦を上げて睨みつけるマシュ。

 

 ふとすると、男が立香に斬りかかりそうな予感がしたのだ。

 

 対して、恐らくセイバーと思われる男は、無言のままつまらなそうに鼻を鳴らした。

 

 と、

 

「待った待った待った!!」

 

 そこに割って入ったのは、凛果だった。

 

「先輩?」

「今は揉めてる場合じゃないでしょッ 問題はあっちなんだし!!」

 

 言いながら、視線をジャンヌ・ダルクへと向ける。

 

 対して、こちらを睨むジャンヌ・ダルクも、厳しい視線でもって応じる。

 

「やはり、現れましたね、カルデアのマスターと、そのサーヴァント達。本来なら、遠路はるばる我が祖国に来ていただいた事を歓迎すべき所なのでしょうけど、生憎ですがここには何もありません。よって・・・・・・」

 

 手を掲げるジャンヌ・ダルク。

 

 同時に、ブラドと、豪奢なカーミラが身構えるのが見えた。

 

「速やかに、お引き取り願いましょうか。あなた方の命と引き換えに!!」

 

 戦場に、張り詰めた空気が浮かぶ。

 

 両陣営ともに、互いに武器を構え、激発するタイミングを待ちわびる。

 

「みんな、来るぞッ 油断しないで!!」

 

 叫びながら、立香は状況を分析する。

 

 現在、敵はジャンヌ・ダルクの他、ランサーとアサシンのサーヴァントが2人。その他、ワイバーンが約10匹程度。

 

 こちらは前線に響とマシュ。後衛に美遊が立っている。

 

 そしてもう1人。

 

 響、マシュと並び立つように剣を構える、謎のセイバーの存在。

 

 自分たちが駆け付けるまで戦線を1人で支えていた事を考えると、かなり強力なサーヴァントである事が伺える。

 

 しかし、

 

 彼が何者で、どう動くかは分からない以上、その存在を前提に戦略を組み立てるのは危険すぎる。

 

 むしろ、彼の存在を無視して、特殊班独自の戦略で動くべきだった。

 

「響、美遊、前線を頼む。マシュは一旦下がって、2人の援護を」

「んッ」

「判りました」

「了解です」

 

 立香の指示に、3人のサーヴァント達は頷きを返す。

 

 アタッカー2人が前に出て、ディフェンダーのマシュが適宜、援護に入る形である。

 

 このメンバーでは、オーソドックスな陣形と言えるだろう。

 

 マスターとして、戦ってくれるサーヴァントの為にできる事をする。

 

 立香もまた、これまでの経験を吸収して成長しているのだ。

 

 次の瞬間、

 

 両者は同時に駆けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 先行したのは響だ。

 

 狙ったのは、槍を持った黒衣のランサー、ヴラド三世。

 

 吸血鬼ドラキュラそのものと言ったその姿に、響は目をスッと細める。

 

「・・・・・・ランサー・・・・・・吸血鬼ヴラド?」

「・・・・・・ほう小僧、貴様、余を知っているか?」

 

 向かってくる響を前に、ヴラドと呼ばれたヴラドは目を細めて、槍を繰り出す。

 

 その表情には、明確な怒りの入りが見て取れた。

 

 武骨な刃が、少年に襲い掛かる。

 

 その攻撃を、空中に跳び上がって回避する響。

 

 そのまま降下と同時に斬りかかる。

 

「余に見覚えは無いが?」

「ん。ちょっと、関係が、あったり無かったり?」

 

 響が振り下ろした刀を、引き戻した槍で受け止めるヴラド。

 

 曖昧な事を告げる響に、ヴラドは睨みつけながら、防御の手は緩めない。

 

「まあ、よかろう。いずれにしても、余をその名で呼んだ事、後悔しながら死ぬが良い!!」

 

 膂力を駆使して響を振り払うヴラド。

 

 対して、

 

 響は衝撃を殺す事無く、そのまま空中で大きく後方宙返り。ヴラドから距離を置く。

 

 同時に響は、刀の切っ先を真っすぐにヴラドに向けて構える。

 

 体内で加速される、魔力の流れ。

 

 同時に瞳は、獰猛な獣の如く、敵を睨み据える。

 

「ほう・・・・・・・・・・・・」

 

 響が何か、決め技を使おうとしていると感じたヴラドは、感心したように呟きながら槍を構えなおす。

 

 互いの刃が煌めきを放ち、視線がぶつかり合って火花を散らす。

 

「良かろう、来るがよい」

「んッ」

 

 次の瞬間、

 

 地を蹴る響。

 

 一歩、

 

 少年の体は加速する。

 

 二歩、

 

 その速度は音速を超える。

 

 三歩、

 

 切っ先は狼の牙の如く襲い掛かる。

 

「餓狼、一閃!!」

「フンッ!!」

 

 突き込まれる刃。

 

 対して、

 

 ヴラドも同時に、手にした槍を繰り出した。

 

 

 

 

 

 美遊は手に構えた剣を振るい、繰り出される爪による一撃を切り払う。

 

 仮面で顔を覆ったカーミラは、剣を振るい、自分に挑みかかってくる美遊の姿を見て口元に笑みを浮かべる。

 

「健気ね、あなた」

「何がッ!!」

 

 斬りかかる美遊。

 

 その一撃を、カーミラは錫杖で受け止めて振り払う。

 

 後退する美遊。

 

 しかし、すぐに体勢を立て直すと、剣を構える。

 

「そんな小さな体でマスターを守ろうとしている。ほんと、可愛いったら無いわ」

 

 言いながら、

 

 カーミラは美遊に向けて魔力弾を放つ。

 

 迸る黒色の閃光。

 

 その一撃を、

 

 美遊は真っ向から剣で受け止める。

 

「こんな物でッ!!」

 

 斬り裂かれ、四散する魔力弾。

 

 だが、

 

 カーミラは矢継ぎ早に魔力弾を放ち、美遊の接近を阻みに掛かる。

 

「あなたも、あの盾の子も、そしてあなた達のマスターも、可愛い娘たちばっかり。全員捕まえて、貴女たちの血を絞り出すほどに浴びてやりたいわ」

 

 おぞましい事を平然と言ってのけるカーミラ。

 

 彼女の元となったエリザベート・バートリは、別名「血の伯爵夫人」とも呼ばれた女吸血鬼の原点である。

 

 エリザベートは自らの美しさを保つと称して、攫ってきた若い女たちの血を一滴残らず抜き取り、それをバスタブに満たして浴び続けたという逸話がある。

 

 世界的に有名な拷問道具「鉄の処女(アイアンメイデン)」(観音開きになった棺桶状の箱の扉に多数の長針が設置されており、その中に人を閉じ込め、針で突き刺して血を抜き出す拷問道具、または処刑道具)は、彼女が考案したとも言われる。

 

 カーミラはまさに、そうしたエリザベートの狂気を具現化した存在であると言えた。

 

「そんな事は、させない!!」

 

 最後の魔力弾を切り払うと同時に、美遊は白地のスカートを可憐に靡かせて疾走する。

 

 体が軽い。

 

 美遊は自分の身体能力がもたらす疾走感に、驚きを隠せなかった。

 

 今の美遊はサーヴァント、セイバーそのものなのだが、つい先日まではただの人間だった。

 

 その飛躍的とも言える身体能力の向上は、爽快ですらあった。

 

 飛んで来る光弾を回避し、あるいは剣で弾いてカーミラとの距離を詰める美遊。

 

 セイバーである以上、遠距離で戦うよりも接近戦の方が得意である。クロスレンジに持ち込んで、一気に勝負をかけるつもりなのだ。

 

 だが、

 

 自身の放つ光弾を弾きながら迫る美遊の姿を見て、

 

 カーミラは仮面の下の口元で、ニヤリと笑う。

 

「挑発に乗るなんて、まだまだ、お子様ね!!」

 

 言い放つと同時に、

 

 カーミラは美遊を迎え撃つように、魔力を帯びた爪を繰り出した。

 

 美遊の剣が、上段から振り下ろされる。

 

 魔力をも帯びた一撃。

 

 だあ、カーミラは構わず爪を繰り出した。

 

 刃と爪が、激しくぶつかり合う。

 

 一瞬、

 

 火花が飛び散る。

 

「クッ!?」

 

 舌打ちと共に弾かれる美遊。

 

 小さな体が、僅かに宙に浮きながら後退を余儀なくされる。

 

 着地。

 

 しかし、少女剣士の体勢が崩れた。

 

 そこへ、上空から襲い掛かる影がある。

 

 ワイバーンだ。

 

 巨大な翼を広げ、急降下して美遊へ迫る翼竜。

 

 その鉤爪が鋭く光る。

 

「ッ!?」

 

 美遊は殆ど反射的に、剣を振り上げる。

 

 無理な姿勢からの斬撃だったが、膂力任せの一撃は、それでも十分な威力を発揮する。

 

 鉤爪のある脚を、美遊に叩ききられ、苦悶の咆哮を上げるワイバーン。

 

 すかさず、剣を返す美遊。

 

 横なぎに振るった一閃が、ワイバーンの首を斬り飛ばす。

 

 轟音を上げて、地に落ちる翼竜。

 

 たとえ巨大な竜でも、英霊相手には敵わなかった。

 

 だが

 

 美遊が見せた一瞬の隙を、カーミラは見逃さない。

 

「貰ったッ!!」

 

 仮面の奥で、視線が怪しく光る。

 

 動けない美遊に対し、魔力弾を放つカーミラ。

 

 黒色の閃光が、真っすぐに少女へと襲い掛かった。

 

 次の瞬間、

 

 割って入った盾兵の少女が、手にした大盾で魔力弾を弾いた。

 

「美遊さんッ 大丈夫ですか!?」

「マシュさん・・・・・・ありがとうございます」

 

 立香の指示通り、一歩下がった場所で援護の準備をしていたマシュが、美遊の危機を感じ取って割って入ったのだ。

 

 さしもの、カーミラの魔力弾でも、マシュの盾には傷一つ付けられないでいた。

 

「クッ 忌々しい・・・・・・」

 

 今の攻撃で仕留めそこなったのが悔しいのか、唇を噛み占めるカーミラ。

 

 対して、

 

 美遊とマシュ。2人の少女たちは、自分たちの武器を手に、カーミラに対峙した。

 

 

 

 

 

 少年暗殺者と、吸血鬼の王が交錯する。

 

 繰り出した刃は、真っすぐに突き込まれ、ただ対象を噛み千切る事のみを目指す。

 

 突き出される餓狼一閃。

 

 アサシンとしての俊敏性を最大限に攻撃力に変換。破壊力を切っ先の一点に集中する事で、少年の剣はあらゆる敵を粉砕する牙と化す。

 

 とある天才剣士には及ばない物の、その一撃がもたらす破壊力は想像を絶している。

 

 迫る刃。

 

 その凶悪な輝きを前にして、

 

 ヴラドは笑みを浮かべた。

 

 次の瞬間、

 

 手近にいたワイバーンの首を鷲掴みにすると、その巨体を盾にするように目の前に掲げる。

 

「なッ!?」

 

 驚く響。

 

 しかし、既に攻撃態勢に履いている状況で、今更止める事は出来ない。

 

 翼竜の巨体に突き立てられる刃。

 

 次の瞬間、

 

 強烈な威力は翼竜の体内に浸透。

 

 内圧に耐えきれなくなった巨体は、弾け飛ぶ。

 

 当然、ワイバーンは絶命する。

 

 だが、

 

 吹き飛んだ翼竜の影から、

 

 ヴラドの笑みが姿を現す。

 

「ッ!?」

「遅いぞ!!」

 

 とっさに後退しようとする響に迫るヴラド。

 

 繰り出された槍が、響の肩口を霞めて鮮血が舞う。

 

「んッ」

 

 舌打ちする響。

 

 まさか、必殺を込めた一撃が、あんな形で防がれるとは思っても見なかったのだ。

 

 と、

 

「響、いったん戻ってッ!!」

 

 背後から聞こえてきたのは、マスターの声。

 

 後方から状況を見守っていた凛果は、響が苦戦していると感じ、とっさに後退を支持してきたのだ。

 

 だが、

 

「逃がすと思うかッ!!」

 

 響の後退を察知したヴラドが、逃がすまいとばかりに前へ出て槍を振るう。

 

 迫る穂先。

 

 対して、

 

 響はとっさに後方宙返りをしてヴラドの攻撃を回避。

 

 勢いをのままに後方へ跳ぶ。

 

 流石に敏捷では響に敵わないと感じたのだろう。ヴラドは下手な追撃は掛けず、槍を構えて備えるにとどめて居る。

 

 その姿に、舌打ちする響。

 

「ん、流石に、強い」

 

 大英雄と言われるだけの事はある。

 

 ヴラドは機動力で攻める響に翻弄される事無く、堅実な戦いに終始している。

 

 正直、少年にとっては聊かやりにくい相手であった。

 

 と、そこで、

 

 美遊とマシュに押される形で後退してきたカーミラが、ヴラドの傍らに立つ。

 

 その姿に、ヴラドは一瞥暮れて口を開いた。

 

「貴様も、苦戦をしているようだな。女吸血鬼よ」

「あら、あんな小僧1人に苦戦しているあなたに言われたくないわよ、大公殿下」

 

 言いながら、互いに睨み合う両者。

 

 どうやら、味方であっても仲が良い、と言う訳ではないようだ。

 

 一方で、ヴラドを仕留めそこなった響も、美遊の元へと後退する。

 

「ん、大丈夫?」

「ええ、何とか」

 

 剣を構えなおす美遊。

 

 その横顔を眺めながら、響も刀を構えなおす。

 

 マシュはその後方にて、盾を構えて援護の姿勢を崩していない。

 

 その様子を見て、立香は内心で頷く。

 

 苦戦はしているものの、全体的に見れば決して悪くないと思う。

 

 響と美遊が攻めて、マシュが守る。

 

 立香が実行した基本陣形は十分に機能を果たし、全員が戦闘力を保ったまま戦線を維持している。

 

 特殊班全員が、尚も戦闘続行可能だった。

 

 その時だった。

 

 視界の先で突如、巨大な漆黒の炎が躍るのが見えた。

 

「なッ!?」

 

 振り返る一同。

 

 その視界の先で、

 

 激突を繰り返す、黒衣のサーヴァント達の姿があった。

 

 

 

 

 

 巻き起こる炎。

 

 その黒炎は、ありとあらゆる物を焼き尽くす灼熱を具現化させる。

 

 たとえ一撃でも食らえば、タダではすむまい。

 

 だが、

 

 手にした剣を腰に構え、セイバーは怯まずに駆ける。

 

 飛んで来る炎を敏捷を発揮して回避。

 

 そのまま一気に、ジャンヌの懐まで飛び込む。

 

「ハァッ!!」

 

 横なぎに繰り出される剣の一閃。

 

 対抗するように、ジャンヌも前へと出る。

 

 激突。

 

 繰り出された剣を、ジャンヌは己の手にある旗で振り払う。

 

 後退するセイバー。

 

 だが、

 

 すぐさま体勢を立て直すと、同時に剣を大上段から振り下ろす。

 

「ハッ!!」

 

 繰り出された一撃を、

 

 しかしジャンヌは旗を振り上げ、余裕で受け止める。

 

 至近距離で睨み合う両者。

 

 セイバーが繰り出す豪剣を、ジャンヌは物ともしていなかった。

 

 逆に、自らの手に剣を抜き放つと、セイバーに向かって斬りかかる。

 

 鋭い刺突の一閃。

 

 その一撃が、セイバーの胸元に襲い掛かる。

 

 だが、

 

「ッ!!」

 

 状態を逸らして回避するセイバー。

 

 ジャンヌの剣は、僅かにセイバーが着ている甲冑の、胸元を霞めていくだけにとどまった。

 

「鬱陶しいですね・・・・・・」

 

 セイバーを睨みつけながら、ジャンヌは可憐な双眸に憎しみを込めて呟く。

 

 名前も知らないような相手が、自分と張り合っている現状に苛立ちを覚えているようだ。

 

「見たところ、神秘性も薄いようだけど、そんなんで、この私に勝てるとでも?」

「別に」

 

 ジャンヌの攻撃を振り払いながら、セイバーは不愛想に返事を返す。

 

「単一のスペックのみで語れるほど甘くはあるまい。俺達サーヴァントと言う存在ならば、なおの事、な」

 

 言いながら、剣を横なぎに振るうセイバー。

 

 銀の閃光が鋭く奔る。

 

 その一閃を前に、ジャンヌはとっさに後退して回避する。

 

「成程」

 

 セイバーの攻撃を回避しながら、ジャンヌは不敵な笑みを浮かべる。

 

 同時に、手を翳す。

 

「それは確かに、その通りですね」

 

 言い放つと同時に、

 

 掌に生じた漆黒の炎が強烈な勢いで拡大。尚も斬りかかろうと剣を構えているセイバーに対して一気に襲い掛かる。

 

「チッ!?」

 

 舌打ちするセイバー。

 

 とっさに攻撃をキャンセルすると、防御の姿勢を取り直す。

 

 次の瞬間、ジャンヌの炎は容赦なくセイバーを直撃する。

 

 強烈な熱風。

 

 地獄の業火の如き熱量が、剣士の体を焼き尽くさんと燃え盛る。

 

 致命傷に近い一撃。

 

 だが次の瞬間、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そんなセイバーを守るように、1人の少女が炎の前に旗を掲げた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 迸る光。

 

 その眩いばかりの輝きが、地獄の業火を完全に防ぎ止めていく。

 

「・・・・・・・・・・・・お前は」

 

 驚いて声を上げるセイバー。

 

 その目の前に立つ少女。

 

 三つ編みに編んだ金色の髪に、整った美しい顔立ち。

 

 銀の甲冑に身を包んだその姿は、清廉その物と言える。

 

 手にした旗は雄々しく翻り、迸る炎を完全に防ぎ止めている。

 

 だが、

 

「・・・・・・え?」

「嘘、何で?」

 

 見守っていた立香と凛果が、呆気に取られたように声を上げる。

 

 それだけ、目の前で起こっている事態は異常だったのだ。

 

「やめなさい。こんな事をして、いったい何になるというのです?」

 

 厳しい口調で、ジャンヌに問いかける少女。

 

 その姿は、

 

 まさに対峙したジャンヌ・ダルクと、寸分たがわず同一とだった。

 

 

 

 

 

第4話「黒白のジャンヌ・ダルク」     終わり

 




オリジナルサーヴァント紹介



??????

【性別】男
【クラス】セイバー
【属性】混沌・中庸
【隠し属性】人
【身長】181センチ
【体重】65キロ
【天敵】ジャンヌ・ダルク  ジャンヌ・ダルク・オルタ

【真名】??????

【ステータス】
筋力:C 耐久:A 敏捷:B 魔力:E 幸運:C 宝具:C

【コマンド】:AAQBB

【宝具】??????

【保有スキル】
〇カリスマ B
1ターンの間、味方全体の攻撃力アップ。

〇黒の誇り
1ターンの間、自身のバスターカードの性能アップ。

〇最前線の矜持
1ターンの間、自身に無敵付与。及び、スター発生率アップ。

【クラス別スキル】
〇騎乗:B
自身のクイックカードの性能をアップ。

【宝具】
??????

【備考】
第1章のフランスに現れたはぐれサーヴァント。全身漆黒の出で立ちをしており、周囲に常に殺気を振舞っている。一見すると好戦的な性格のようにも見えるが、ジャンヌ・オルタに襲われた村人を庇うなど、人道的な面も見られる。カルデア特殊班に対しては、やや非協力的に接している。
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