Fate/cross wind   作:ファルクラム

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新アーチャーはやっぱりナポレオンでしたか。予想は大当たりです。
スキルもかなり強そうですね。正直、これと戦わなくちゃならんのかと思うと、今から気が滅入りそうです(苦笑
まあ、ガチャを回す気はありませんが。


第3話「華吹くの都」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 門を通り抜けると伝わってくる熱。

 

 物理的な衝撃すら伴っていると錯覚する熱量は、そこがあらゆる文化の中心である事を示していた。

 

 それが人々の発する溢れんばかりの活気であると気付くのに、そう時間はかからなかった。

 

「さあ遠慮するな、入るが良い」

 

 ネロ自らの案内の下、首都ローマへと足を踏み入れたカルデア特殊班一同は、そのあまりの活気に、目が眩む思いだった。

 

 ぐるりと街全体を囲った城壁の内側には、たくさんの家々が立ち並び、多くの人々が行き交っている。

 

 大通りには所狭しと露店が並んでいる。売られている物も様々で、野菜、果物、魚、肉と言った食料の他、装飾品や日用雑貨、果ては武器や甲冑なども売られている。

 

 現代日本のフリーマーケットにも似た様相だが、活気は段違いである。

 

 何より印象が強いのは、道行く人、露店を開いている人、その多くの人々が、顔にはさわやかな笑顔を浮かべている事だった。

 

「すごい賑わいだね」

「そうであろう、そうであろう」

 

 感心する立香に、ネロは自慢げに胸を反らして見せる。

 

 彼女としても、自身が治める街が褒められて、気をよくしている様子だ。

 

「『初めに七つの丘(セプテム・モンス)ありし』と言う言葉があってな。そこから全てが始まったのだ。神祖と、彼の丘と共に、栄光の歴史は幕を上げたのだ」

 

 歩きながら、ネロは周囲を見回す。

 

「この大変な時だと言うのに、このローマでは皆、一丸となって頑張ってくれている。余としても誇らしい限りだ。っと、店主、このリンゴをもらうぞ」

 

 言いながらネロは、露店に並んでいるリンゴを数個受け取ると、代金を籠の中へと放り込む。

 

 対して、驚いたのは店主の方だった。

 

「ああ、皇帝陛下ッ!? こ、これは恐れ多い事を!!」

「良い良い、今は凱旋してきたばかり故な。不作法は許せ」

 

 畏まって平伏する店主に笑いかけながら、ネロはリンゴを放ってよこす。

 

「そなたらも遠慮せずに食べるが良い。余のおごりだ。このローマには、各地からあらゆる良品が集められる。食べ物もまたしかりだ」

 

 促されるまま、立香は手にしたリンゴにかじりつく。

 

 口中に広がる甘味と、程よい酸味。

 

 戦闘で疲れた心と体が、少し軽くなるような気がした。

 

「うむ、気に入った。店主よ、あとで城の方まで届けるが良い。調理場の者には話を通しておく故な」

「は、はいッ ありがとうございます!!」

 

 ネロに対し、深々と頭を下げる店主。

 

 見れば先程からネロは、道行く人々に気軽に声を掛け会話を交わしている。

 

 何とも気さくな態度だ。

 

 世間一般で思われる「皇帝」とはかけ離れたイメージである。

 

「何か、すごいフレンドリーだね」

「ああ、親しみやすいって言うか、何て言うか・・・・・・」

「フォウッ フォウフォウッ」

 

 凛果と立香が、唖然とした様子で呟く。

 

 実際、民と触れ合うネロは実に楽し気であり、それだけ見れば、皇帝と言うより「街のアイドル」というイメージが強かった。

 

「ん、ネロ、大人気」

「うん。ネロ・クラウディウスは、歴代のローマ皇帝の中でも一番、民衆からの人気が高かった皇帝の1人だって言われている」

 

 響の呟きに、美遊が補足説明する。

 

 この光景を見れば納得だった。

 

 この当時、皇帝と言う存在は、後世に伝わっているような「君主」と言うより、一種の「役職」に近い存在であり、要約すれば「多数の権利と役割を持った権力者」と言うのが妥当だろう。

 

 そう言う意味で見れば、人気の高いネロの統治がうまく働いている事は、見ただけで理解できるだろう。

 

「さて」

 

 一通り、民との挨拶を終えたネロは、特殊班の一同に向き直った。

 

「積もる話もあろうが、まずは先の戦いの疲れを取ってからにしようではないか。余の城へと案内しよう。着いてくるが良い」

 

 そう言うと1人、颯爽と歩き出すネロ。

 

 対して、立香達は、曖昧な表情で顔を見合わせる。

 

 何となくだが、この皇帝陛下の性格が判ってきた気がする。

 

 傍若無人、傲岸不遜、唯我独尊。

 

 しかし、そんな負の要素を一切合切吹き飛ばすほどの天真爛漫。

 

 それ故に、彼女はこのローマの皇帝たりえているのだ。

 

 と、

 

 ネロが一同を、怪訝な面持ちで振り返る。

 

「何をしている? 置いて行ってしまうではないか。早く来るが良い!!」

 

 そう言って手を振るネロ。

 

 その姿に、一同は苦笑しながら追いかけるのだった。

 

 

 

 

 

 打って変わって、

 

 その場所は、静寂によって満たされていた。

 

 行きかう住民たちに笑顔はなく、ただ沈黙だけが支配している。

 

 時折、知り合いと行き交った時は、挨拶くらいはする。

 

 しかし、それだけだ。

 

 そこには、ただ「生きる」事のみが生活であるかのような空間であった。

 

 そんな中、

 

 街の中央にある城の一角にて、

 

 この街、

 

 否、今やローマの半分を手中に収めた者達が、顔を突き合わせていた。

 

「ローマ皇帝を僭称するネロ・クラウディウスの暗殺には失敗したようだ」

 

 重々しく告げられる声。

 

 その声に、居並ぶ一同はそれぞれまちまちな反応をする。

 

 嘆息する者、失笑する者、黙って肩を竦める者。

 

 だが一様に、その言葉の意味を受け止めていた。

 

「それはつまり、いよいよ連中が来たと考えて良いのかね?」

「恐らく。前線部隊から報告が上がってきている」

 

 このローマを滅ぼすべく参集した者たち。

 

 彼らにとって最大の障害となるであろう存在。

 

 人理継続保障機関カルデア。

 

 未来から来た異邦人にして、人類の歴史を守護する事を目的に活動する者達。

 

 それが、ネロ・クラウディウスの側についたのだ。

 

 色めき立つ一同。

 

 いよいよ、来るべき物が来た、と言ったところである。

 

 と、

 

「別に、今更驚く事じゃないでしょう」

 

 どこか投げやりな感じのする声が響き渡る。

 

 一同が視線を向ける中、

 

 軍服を着た少年が、壁に寄りかかったまま微笑を浮かべていた。

 

「どういう意味だ、アヴェンジャー?」

「だって、カルデアがいずれここに来ることは判り切っていた事なんだから」

 

 言いながら、

 

 アヴェンジャーと呼ばれた少年は、発言した相手を小ばかにしたように肩を竦める。

 

「彼らが人理守護を大義名分に掲げている以上、このローマを見逃すはずが無い。その事は前々から判っていた筈でしょう。だからこそ、王も僕をフランスくんだりまで偵察に行かせたんですから。彼らの戦力を測るために、ね。まあ、もっとも・・・・・・」

 

 アヴェンジャーは、侮蔑するような視線を相手に向けた。

 

「僕は君の尻拭いなんて御免だけどね」

「貴様ッ」

 

 殺気すらにじませる声で、男はアヴェンジャーを睨みつける。

 

「良い気になるなよ、たかが英霊風情が」

「その『たかが英霊風情』に頼らなきゃ、任務の一つもこなせないのは、どこのどなた様でしたっけ?」

 

 激高しかける男に対し、アヴェンジャーは余裕の態度を崩さない。

 

 一触即発の雰囲気。

 

 ややあって、

 

「フンッ」

 

 男の方が、視線を逸らした。

 

「貴様の手など借りん。既に手は打ったからな。カルデアの連中は、この私が叩き潰して見せるさ。貴様はそこで、黙って見ているがいい」

 

 そう言うと、踵を返して部屋を出て行く。

 

 男の背中を、アヴェンジャーは冷笑と共に見送る。

 

「さてさて、お手並み拝見、と言ったところですかね。もっとも・・・・・・」

 

 言いながら、

 

 アヴェンジャーは口元に笑みを浮かべる。

 

「カルデアだろうが何だろうが、僕としてはどっちが勝っても一向に構わないんですけどね」

 

 そう告げると、

 

 闇に溶けるように、その姿は消えていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 宴は、ネロの性格を反映するかのように、華やかなものだった。

 

 彼女としても、遠方からの客人であり、尚且つ自身の恩人でもあるカルデア特殊班に対し、城を上げての歓待を行ったのだ。

 

 テーブルの上には山海の珍味、美食が並べられ、楽曲と共に踊り子が舞っている。

 

 一般人には、一生かかってもお目に掛かれないであろう、壮大な宴会が繰り広げられている。

 

 そんな状況である為、立香達は却って恐縮してしまい、出された食事に手も付けられないでいる有様である。

 

 気にせず食べているのは響くらいの物であった。

 

「なるほど、『かるであ』とは、そのような物であったか」

《さようです、皇帝陛下。どうかその場にいる5人、立香、凛果、マシュ、響、美遊を、あなたの軍の端にお加えください。必ずや、お役に立てるものと考えます》

 

 しきりに頷きを返すネロに、自分たちの事を説明しているのはロマニだった。

 

 因みに彼の事をネロには「この場にはおらず、声だけで会話をする術を持った高位の魔術師」と説明してある。特殊班のメンバーについては「ロマニの弟子の魔術師たち」と言う事にしておいた。

 

 まあ、あながち間違いではない。魔術師としては新米な立香や凛果は、ロマニから教えを受ける立場、と言えない事も無かった。

 

「皇帝陛下。わたし達は聖杯と呼ばれる、マジックアイテムを探しています。強い魔力を持ったその器は、この世界の在り方をの物を歪めてしまっているのです。恐らく今、ローマを蝕んでいる事態も、聖杯によるものだと思います」

 

 マシュの説明に対し、ネロは額に手を当てて何やら考え込んでいる。

 

 その様子を、凛果が怪訝な様子で尋ねた。

 

「あの、どうかしたの?」

「ああ、いや・・・・・・」

「フォウ!!」

 

 問われて、我に返るネロ。

 

 ややあって、一同を見回す。

 

「そなたたちをわが軍に加える事に異論はない。むしろ、余の方から頼みたいくらいだ。しかしな・・・・・・」

「何か、問題でも?」

「いや、『聖杯』と言う言葉が、胸に引っかかるものがあってな。どうにも、あまりいい感情ではない気がするのだが、それが何なのか思い出せなくてな」

 

 ネロの言葉に、一同は首を傾げるしかない。

 

 いったい、何が彼女の心に引っかかっているのだろうか?

 

 そんな事を考えていると、ネロの方から顔を上げた。

 

「まあ良い。いずれにしても、我々としても優秀な客将は喉から手が出るほど欲しいところ。よろしく頼むぞ、立香、凛果よ」

 

 そう言って笑いかけるネロ。

 

 どうやら、協力体制を築く事に問題は無い様子だった。

 

《それでは早速ですが陛下》

 

 交渉が纏まった事を察したロマニが声を掛けてきた。

 

《今のローマが置かれている状況に着いて、お聞かせ願えますか。何分、我々はまだこの地に着いたばかりで、必要な情報が不足しておりますので》

「うむ、良かろう」

 

 そう言うと、ネロは今の状況を説明して言った。

 

 それによると、ブリタニアとの戦いを終え、治世が続いていたローマ帝国に、突如、歴代皇帝を名乗る者たちが現れたと言う。

 

 彼らは「自分達こそが正当なるローマの支配者である」と名乗り、ネロ率いるローマに宣戦布告してきた。

 

 無論、ネロも反撃に転じる。

 

 彼女も皇帝であると同時に、幾度も死線を潜り抜けた歴戦の将でもある。しかも、治世が続いたとはいえ、ほんの数年前までは各地で戦争が繰り広げられていた。

 

 それを考えれば、戦人としての勘は鈍ってはいなかった。

 

 だが、事は思ったよりも簡単にはいかなかった。

 

 「連合ローマ帝国」を名乗る彼らの軍は、ネロ率いる「正統ローマ帝国」の数倍の規模を誇り、一気にローマ領の半分を席巻してしまったのだ。

 

「奴らは不遜にも、このローマにおける歴代皇帝の名を僭称し、余に挑みかかって来たのだ。本来であるならば、戯言と切って捨てるところなのだが・・・・・・」

 

 そこで、ネロは難しそうに言い淀む。

 

「ん、ネロ?」

「そなたたちも昼間の戦いで見たであろう。最後に単騎で襲い掛かって来た大男。あれは我が母の兄、つまり伯父であり、同時に先々代の皇帝カリギュラに他ならぬ」

 

 カリギュラ。

 

 ローマ帝国第三代皇帝にして、名君と謳われながら暴虐の限りを尽くし、最後は暗殺された悲劇の人物。

 

 ネロからすれば「既に死んだはずの人間」と言う事になる。

 

 となると、連合ローマ帝国の幹部たちが名乗っている歴代ローマ皇帝の名前も、あながち偽りではない可能性が出てくる。

 

 だが、

 

 同じ存在である響達からすれば、既にそのカラクリは読めている。

 

 つまり、連合ローマ帝国を名乗り、ローマに宣戦布告してきた敵は、サーヴァントとして蘇った歴代皇帝たち、と言う訳だ。

 

 そう考えれば、全ての事に辻褄が合う。

 

《ネロ陛下。ついでにもう一つ、お尋ねしたいのですが、「レフ・ライノール」と言う名前に聞き覚えはありませんか?》

「うん? 覚えのない名前だが、そなたらの知り合いか?」

 

 ロマニがレフの名を出した瞬間、

 

 立香をはじめとしたカルデア特殊班の空気が、一気に硬質化するのが判った。

 

 レフ・ライノール。

 

 かつての仲間であり、人類史を滅ぼした裏切り者。

 

 そして、カルデア所長オルガマリー・アニムスフィアの仇。

 

 先のフランスでは、ついに出会う事は無かった。

 

 だが、

 

 自分たちが人理を守るために戦い続ける限り、いつか必ず激突する事になるだろう。その時こそ、決着を着ける時だった。

 

「フム。詳しくは判らぬが、僅かに伝え聞く情報によれば、連合ローマには、何でも凄腕の魔術師がいるとか。あるいはそ奴が、そなたらの探している者かもしれぬ」

 

 確定情報ではない。

 

 しかし、今はどんな些細な手がかりでも、当たっていく以外に無かった。

 

 と、

 

 そこで、楽曲が鳴り止み、中央で踊っていた踊り子たちも動きを止める。

 

 どうやら、演目が終わったらしかった。

 

 跪き、ネロに対し首を垂れる踊り子たち。

 

 そんな中、一座の座長と思しき女性がネロの前に進み出ると、恭しく頭を下げてきた。

 

「皇帝陛下、本日はお招きいただき、光栄の至りでございます。我らといたしましての陛下の御前でお披露目できたことは、末代までの誇りといたしとうございます」

「うむ、実に見事な舞であった。客人にも最高の歓待ができて、余としてもたいへん満足である」

 

 礼を述べる座長の女に対し、ネロも満足げに頷きを返す。

 

 女は、肌が透ける程の生地を使った薄手の衣装を着込み、顔には流麗な仮面で覆っている。

 

 どうやら、踊り子の一座であるらしかった。

 

 実際、踊りの事はよく分からない立香達から見ても、見事な舞であったと思う。

 

「褒美を取らす。何か望む物があれば、遠慮なく申すが良い」

「恐れ多い事です陛下。それでは、お言葉に甘えまして・・・・・・」

 

 顔を伏せたまま告げる、女座長。

 

 次の瞬間、

 

 その姿は、一瞬にしてネロのすぐ眼前に現れていた。

 

 誰もが息を呑む。

 

 次の瞬間、

 

「偽皇帝ネロ・クラウディウス!! あなたの御命、戴いてまいります!!」

 

 女座長が手にした短剣が、真っすぐにネロの胸元へと突き立てられた。

 

「ネロッ!!」

 

 声を上げる立香。

 

 女座長のあまりのスピードに、誰も対応できなかったのだ。

 

 凛果が悲鳴を上げる。

 

 誰もが愕然として様子を見守る中、

 

「・・・・・・・・・・・・ぬ、ぬかった」

 

 ネロが、悔し気に声を出した。

 

「まさか、敵の刺客であったとはな・・・・・・あまりの美しさに、余も油断を禁じえなんだ」

 

 一同の、緊張の視線が集中する。

 

 次の瞬間、

 

「だが・・・・・・・・・・・・」

 

 ネロが、

 

「惜しかったな」

 

 不敵に笑った。

 

 その手には、愛用の大剣が握られている。

 

 「原初の火(アエストゥス・エストゥス)」と呼ばれる、この武骨な外見の大剣は、遥かな過去に落ちてきた霊石を、ネロ自らが削って作り上げた宝剣である。

 

 その大ぶりな刀身が、

 

 女座長の掲げるナイフの刃を、寸前のところで防いでいた。

 

「チッ」

 

 舌打ちする女座長。

 

 対して、ネロは落ち着いた調子で告げる。

 

「見事な不意打ちであったが、殺気を出すのが半瞬早かったな。それが無ければ、あるいは余の首、落ちていたやもしれぬ」

 

 ネロが告げるのと、

 

 立香の手にある通信機越しに、ロマニが声を上げるのは、ほぼ同時だった。

 

《何てこった、気を付けろ、立香君、凛果君ッ その女はサーヴァントだ!!》

「ん、ロマン遅い」

 

 静かな声と共に、

 

 響は一足飛びで間合いを詰めると、即座に抜刀。女座長に斬りかかる。

 

「響、強化!!」

「んッ!!」

 

 同時に凛果が礼装の魔術を発動、響の能力を底上げする。

 

 魔力の光を帯びる、響の刀。

 

 凛果の魔力を得て、攻撃力が強化された形である。

 

「んッ!」

 

 振り下ろされる刃。

 

 その一閃が、女座長を捉える。

 

 だが、

 

「ん・・・・・・・・・・・・」

 

 手応えが、無い。

 

 響の目の前には、脱ぎ捨てられた踊り子の衣装のみが舞っている。

 

 と、

 

「流石は、ネロ・クラウディス陛下。この程度では倒す事はできませんか」

 

 ボディスーツにも似た、漆黒の衣装に身を包んだ女性は、険しい眼差しをネロへと向ける。

 

「しかし、このローマに皇帝を名乗るべき存在はただ1人、あの御方のみ。それ以外の紛い物は、いずれ潰え去る運命と知れ!!」

 

 其れだけ言い残すと、踵を返して駆け去って行く。

 

 兵士たちが慌てて追いかけていくが、相手がサーヴァントでは追いつけないだろうし、仮に追いつけたとしても、返り討ちに合うのが関の山だった。

 

 と、

 

 それまで見事な踊りを披露していた踊り子や、美しい音色を奏でていた楽士たちも、一斉に武器を持ち、こちらを包囲しようとしている。

 

 どうやら、この場にいる余興の出演者全員が、紛れ込んだ刺客であったらしい。

 

「なるほど、計画的に余の首を狙ってきたわけか。その勇気、胆力、そして計画が失敗して尚、向かってくる気概、全てが敬服に値する・・・・・・だが」

 

 言いながらネロは、原初の火(アエストゥス・エストゥス)の柄を持ち上げる。

 

「このネロ・クラウディウスを、聊か舐め過ぎではないか?」

 

 言い放つと同時に、

 

 ネロは剣を構えて斬りかかった。

 

 

 

 

 

第3話「華吹くの都」      終わり

 




オリジナルサーヴァント紹介


【性別】女
【クラス】アサシン
【属性】秩序・悪
【隠し属性】人
【身長】151センチ
【体重】53キロ
【天敵】ネロ・クラウディウス、??????

【ステータス】
筋力:E 耐久:C 敏捷:A 魔力:D 幸運:D 宝具:C

【コマンド】:AAQQB

【保有スキル】
〇主に捧げし我が命
自身のクイック性能アップ。

〇罪の意味
スター獲得。スター発生率アップ。
自身のHPダウン(デメリット)

〇偽りの仮面
1ターンの間、自身の回避付与。及びクリティカル威力アップ


【クラス別スキル】
〇気配遮断:B
自身のスター発生率アップ

〇単独行動:B
自身のクリティカル威力アップ

【宝具】 
??????


【備考】
 ネロを「偽物」と断じ、命をつけ狙うアサシンの女性。とある人物こそが本物の皇帝であると信じ、その人物に絶大な忠誠を誓っている。

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