Fate/cross wind   作:ファルクラム

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第25話「星の彼方」

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼方で、轟音を上げて魔神柱が倒れていくさまが見える。

 

 さながら巨木が倒れるに等しい光景。

 

 美遊の放った宝具、「遥か永久に黄金の剣(エクスカリバー・リバイバル)」を受け、魔神柱は根元から切断されている。

 

 あれだけの猛威を振るった魔神柱が倒れる様は、まるで、世界そのものが終わりを告げたかのようだ。

 

 やがて、構造を保てなくなった魔神柱は、崩れ落ちて消えていく。

 

「・・・・・・・・・・・・やった、かッ」

 

 魔神が倒れる様を遠望していた絞り出すように、歓喜の声を上げる立香。

 

 その傍らで、共に眺めていたマシュも、笑顔で寄り添う。

 

「はい先輩ッ これで全ての敵性勢力撃破に成功しました!!」

 

 マシュの言葉に、頷きを返す立香。

 

 敵は全て倒れ、味方は1人も掛ける事無く健在。

 

 これが意味する事は一つ。

 

 この第3特異点における戦いが事実上、カルデア側の勝利で終わったと言う事だった。

 

 同時に、変化は起こった。

 

 少年の手元に、光が収束していく。

 

「先輩ッ それッ!!」

「ああ」

 

 頷きながら立香は、掌に現れた、ずしりとした重みをしっかりと握りしめる。

 

 何が起きたのか、これからの展開は、立香にも容易に想像がつく。

 

 それがやがて形作られると、光り輝く器へと変化したのだ。

 

「兄貴、それ、聖杯!!」

「ああ。間違いない。イアソンの中にあった奴だ」

 

 叫ぶ凛果に、立香も頷きを返す。

 

 魔神柱の打倒、そして聖杯の回収、どちらも完了した。これで、この特異点の修復も成ったはずだった。

 

 

 

 

 

 だが、

 

 歓喜に湧く立香達。

 

 その背後から、狙いを定める影があった。

 

 その人物は、手にした槍を構えつつ、口元に苦笑にも似た笑みを浮かべている。

 

「負けちまったか・・・・・・まあ、仕方がないね」

 

 ヘクトールだ。

 

 クロエの一撃によって倒れたと思われていた大英雄は、尚も執念深く、現界を保っていたのだ。

 

 その体からは、今も金色の粒子が立ち上っている。

 

 既にその体は半ばから崩壊し、すぐにでも消滅してもおかしくは無い。

 

 しかし、大英雄は、最後の力を残していた。

 

 そして、

 

 その飄々とした眼差しは、自身が狙うべき獲物を見定めていた。

 

「このままじゃ収まりがつかないんでね。帳尻くらいは合わせさせてもらおうか」

 

 その視線の先では、

 

 聖杯を手に喜ぶ藤丸立香(ふじまる りつか)の、無防備な背中がある。

 

「ま、行きがけの駄賃って奴さ!!」

 

 言い放つと同時に、

 

 槍を投擲すべく振り被った。

 

 次の瞬間、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

女神の視線(アイ・オブ・ザ・エウリュアレ)!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今にも槍を投擲しようとしていたヘクトールの胸に、光の矢が突き刺さった。

 

「なッ!?」

 

 驚愕する大英雄。

 

 その手から、槍が零れて砂浜に落ちる。

 

 見開かれ、向ける、視線の先。

 

 そこには、

 

 短弓を構えた女神が立っていた。

 

 吹く風に長いツインテールを靡かせ佇む姿は、いかなる戦神にも劣らないだろう。

 

 弓を下すエウリュアレ。

 

 その視線は、いつになく厳しい眼差しでヘクトールを睨んでいた。

 

「こいつは・・・・・・驚いたな」

 

 膝を突きながら、笑みを浮かべるヘクトール。

 

 同時に、噴き出る光の粒子は濃度を増す。

 

 エウリュアレの宝具がトドメとなり、崩壊が加速したのだ。

 

 このような形で奇襲を防がれるとは思ってもみなかったのだヘクトールは、もはや苦笑するしかなかった。

 

「まさか、俺が最後にこうすると、読んでいたのかい?」

「まさか」

 

 ヘクトールの言い分に、しかしエウリュアレは肩を竦めて首を振る。

 

 けど、と女神は続ける。

 

「あなたはアステリオスを殺した。それだけで、わたしがあなたを警戒するには十分すぎる理由だったわ」

 

 その言葉に納得したように嘆息するヘクトール。

 

 やはり、やり慣れない事はするべきじゃなかった。こんな形でツケを払わされる事になるとは思ってもみなかった。

 

 やがて、

 

 大英雄の姿は風に溶けるように消えていった。

 

「・・・・・・・・・・・・終わったわよ、アステリオス」

 

 ヘクトールが完全に消滅したのを確認してから、

 

 女神はそっと、語り掛ける。

 

 

 

 

 

 えうりゅあれ・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

 ふと、覚えのある声に呼ばれた気がして振り返る。

 

 そんなエウリュアレを、大きな気配が優しく包み込んでいった。

 

 

 

 

 

 メディアは、まだ現界を保っていた。

 

 もっとも、砂浜に倒れ伏したその姿は既に崩壊を始めており、体からは金色の粒子が溢れている。

 

 この第3特異点における黒幕たる少女も、間もなく消滅する運命にあった。

 

 そんなメディアの傍らに、立香は膝を突いた。

 

 既に魔女には、戦う力は残されていない。そう判断したため、立香は敢えて、気になっていた事を尋ねる事にしたのだ。

 

「教えてくれ、メディア」

 

 消えゆく魔術師に、少年は問いかける。

 

「君の背後には、いったい誰がいたんだ?」

 

 メディアは明らかに、何者かの意を受けて行動していた。

 

 イアソンに対する裏切り行為も、恐らくはその一環だったのだろう。

 

 しかし、若い姿で現界しているとはいえ、ギリシャ最強とも謳われた魔女メディアを軍門に従える相手がいるとも思えない。

 

 もし、いるとすれば、それはすなわち・・・・・・

 

 ある種の確信と共に尋ねる立香。

 

 果たして、

 

 消滅しつつあるメディアは、嘆息気味に答えた。

 

「・・・・・・残念ですが、私はその質問に答える権利を失っています」

「え?」

「なぜなら、私は魔術師として、あのお方に完全に敗北してしまったからです」

 

 その言葉に、立香は戦慄する。

 

 最高の魔術師でもあるメディアが「魔術師として」敗北したと言う。

 

 果たして、それはいかなる存在なのか。

 

 得体の知れない底深さを感じ、立香は思わず身震いした。

 

 そんな立香に対し、

 

 メディアは最後の力を振り絞るようにして言った。

 

「星を、集めなさい・・・・・・」

「星? それはいったい・・・・・・・・・・・・」

 

 尋ねる立香。

 

 意味深な魔術師の言葉に、訝りを覚える。

 

 しかし、質問に答える前に、メディアの体は金の粒子にほどけて消えていく。

 

「それがきっと、あなた達を導く光となるはずです」

 

 そう言って、目を閉じるメディア。

 

 少女の脳裏に、いったい何が浮かんだか、立香には判らない。

 

 人理消滅に失敗した事への悔悟か?

 

 敗れた事への諦念か?

 

 あるいは、

 

 裏切ってしまったイアソンへの贖罪か?

 

 問いかける間もなく、少女の姿は薄らいでいく。

 

 やがて、メディアの姿は風に吹かれるように消え去って行った。

 

 後に残された立香は、脳裏で彼女の言葉を反芻する。

 

 星を集めろ。

 

 メディアはそう言った。

 

 それを意味する事、

 

 その先に待つもの

 

 果たしてそれは、何であるのか?

 

「星、か・・・・・・・・・・・・」

 

 少年の手の中にある聖杯が、ずしりとした重みで、その存在感を伝えてくる。

 

 これまでの経緯から考えて、メディアの言った星とは、聖杯の事なのではと考えられる。

 

 つまり、この先も聖杯を求め続ければ、いつかは真の黒幕にたどり着けるかもしれなかった。

 

「・・・・・・・・・・・・やってやるさ」

 

 決意と共に、少年は呟く。

 

 全ての聖杯を集め、黒幕の下へとたどり着く。

 

 そして、必ずや人理を、世界を、取り戻して見せる。

 

 その決意が、少年の中で新たに芽生えるのだった。

 

 と、

 

「よう、こっちも終わったみたいだね」

 

 声を掛けられ振り返る。

 

 果たしてそこには、

 

 砂浜を、真っすぐにこちらに向かって歩いてくる、女海賊の姿があった。

 

「ドレイク、無事だったのかッ!?」

「ああ、何とか。お互いね」

 

 そう言って、ニヤリと笑うドレイク。

 

 彼女の背後の海には、黄金の鹿号(ゴールデン・ハインド)の姿も見える。

 

 ライダーとの激しい戦闘を物語るように、船はボロボロに傷ついている。

 

 しかし、甲板上ではボンベ達が手を振っているのが見えた。

 

 立香とドレイク。

 

 戦闘前に2人で交わした約束。

 

 生きて、互いに再び会う。

 

 その約束が、果たされたのだ。

 

 拳を打ち付け合う、立香とドレイク。

 

 その顔には、笑みが浮かべられた。

 

 その時だった。

 

 立香の体から、金色の粒子が浮かび始めた。

 

 特異点が修正されたため、世界の修正力により、異物である立香達の排除が始まったのだ。

 

 今頃、カルデアではロマニ達が、立香達の帰還シークエンスを始めている事だろう。

 

 間もなく皆、この世界から姿を消す事になる。

 

 見れば、アタランテやアルテミス、オリオン、ダビデ等も消滅が始まっていた。

 

 否、彼女達だけではない。

 

 カルデア特殊班のメンバー達、凛果も、マシュも、響も、美遊も、クロエも、フォウも、

 

 皆、同様に金色の粒子を立ち上らせている。

 

 違うのはドレイクと、他の海賊達だけ。彼女達は元々、この世界の住人である為、消滅する事は無い。ただ、元の海に戻るだけだった。

 

 その事を察したのだろう。

 

 ドレイクが、立香に向かって右手を差し出してきた。

 

「ありがとうよ立香。あんた達のおかげで、本当に楽しい冒険が出来たよ」

「お互い様、だよ。俺達だって、ドレイク達がいてくれたおかげで、ここまで来れたんだし」

 

 そう言って、ドレイクの手を握り返す立香。

 

 あの時、

 

 この海だけの世界に放り出された時、

 

 最初に自分たちの前に現れたのが、ドレイクで良かった。

 

 彼女達がいてくれたから、ここまで来る事が出来たのだ。

 

 人理を守る為、共に戦った2人は、互いの友情を確認するように、しっかりと手を握り合った。

 

 と、

 

 そこへ、小さな足音が近付いてくるのが判った。

 

 振り返る立香。

 

 すると、

 

 小さな女神が、少し躊躇うような態度で目の前に立っていた。

 

「今回は、その、世話になったわね」

 

 どこか、そわそわしたようなエウリュアレの態度。

 

 訝るような眼差しで見ていると、女神は意を決したように顔を上げた。

 

「立香、ちょっと屈みなさい」

「え、な、何?」

 

 怪訝な表情をする立香。

 

 対して、エウリュアレは焦れたように前に出る。

 

「時間が無いんだから、早くするッ まったく、アステリオスと言い駄妹(メドゥーサ)と言い、あなたと言い、何で無駄に大きい奴が多いのよッ」

 

 愚痴愚痴と言いながら、立香の顔を引っ張るエウリュアレ。

 

 前のめりになる立香。

 

 その頬に、

 

 エウリュアレはそっと、唇を押し当てた。

 

「・・・・・・・・・・・・え?」

 

 頬に感じた甘い感触に、思わず茫然とする立香。

 

 エウリュアレにキスされた。

 

 顔を上げれば女神が、はにかんだような、それでいて悪戯に成功した子供のような、そんな表情をしている。

 

 その傍らでは、ドレイクが口笛を吹いている。

 

「えっと・・・・・・」

「め、女神の祝福よ。ありがたく思いなさい」

 

 ちょっとどもった辺り、やった本人も恥ずかしいらしい。

 

 と、

 

「ちょ、ちょっとマシュッ マシューッ!! どうしたのよ、急に固まっちゃってッ!?」

「ん、返事がない。ただのシカバネのようだ」

 

 急にフリーズしたマシュを、凛果と響が必死に介抱している様子が聞こえてくる。

 

 そうこうしている内に、エウリュアレの体も消え始めた。

 

「最後に、一つだけ・・・・・・もし、この後、あなたが私の駄妹(メドゥーサ)に会う事があったら、その時はよろしくね。あの子、けっこうどんくさいから」

 

 そう言って、微笑む女神。

 

 その言葉を最後に、

 

 立香達の視界も、光の渦に飲み込まれるようにして消えていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 世界崩壊が進む中、

 

 1つ、取り残されたように、砂浜に転がるものがあった。

 

 巫女装束に身を包んだキャスターは、美遊に斬られた傷から血を流しつつ、崩壊の時をただ待っていた。

 

 と、

 

 砂を踏む音が、ゆっくりと近付いてくる。

 

 黒い軍服にコートを羽織り、腰には日本刀を差した少年。

 

 別の世界ではアヴェンジャーを名乗っていた少年は、倒れているキャスターの前まで歩いてくると、そこで足を止めた。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 無言のまま見据える先で、倒れたまま動かない巫女服の魔術師。

 

 と、

 

「いつまで寝てるんですか? いい加減起きてください。僕も暇じゃないんですから」

 

 まるで独り言のように、復讐者の少年が語りだす。

 

 返る静寂。

 

 対して、アヴェンジャーは嘆息する。

 

「まさかと思いますけど、『本当に死んだ』なんて冗談言いませんよね。流石に笑えませんよ」

 

 果たして、

 

「・・・・・・・・・・・・それこそ、まさか、よ」

 

 気だるげな声と共に、

 

 キャスターは身を起こした。

 

 見れば驚いた事に、美遊にやられたはずの傷は、完全に塞がっている。

 

 その様子を見て、アヴェンジャーは嘆息する。

 

「やれやれ、いつ見ても、おぞましい体ですね」

 

 言った瞬間、

 

「ッ!?」

 

 一瞬、アヴェンジャーに対して瞬きを向けるキャスター。

 

 後方へと跳躍して回避するアヴェンジャー。

 

 同時に、一瞬前までアヴェンジャーの頭部があった場所の空間が弾ける。

 

「あら、はずしたわ」

「・・・・・・相変わらず、危ない人ですね」

 

 躊躇なく自分を殺そうとしてきたキャスターに、非難の眼差しを向けるアヴェンジャー。

 

 対してキャスターはと言えば、どこ吹く風と言わんばかりに欠伸をしながらそっぽを向いている。

 

 やがて、

 

 世界が崩壊する音と共に、

 

 2人の姿もまた、消えていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうして、第3特異点も修復された。

 

 魔神柱は倒され、無事に聖杯はカルデア特殊班の手によって回収された。

 

 紆余曲折はあった物の、全てがうまく行った。

 

 だが、

 

 いくつか、謎が残ったのも確かである。

 

 中でも一番の謎は、メディアの背後にいた黒幕の存在だろう。

 

 その正体が何であるか、立香達には判らない。

 

 しかし相手が人理焼却を狙っている以上、

 

 そして、自分たちが人理守護を謳っている以上、いずれ来る激突は避けられないだろう。

 

 それに、

 

 メディアは最後に言った。

 

 星を集めろ、と。

 

 それが、自分たちを導くだろう、と。

 

 導かれた先に何があるのか、何が待っているのか、それは判らない。

 

 先に進むしかない。

 

 先に進めば、見えてくる風景もあるはずだった。

 

 そう、

 

 次の戦いは、もう始まっているのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 と、その前に

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はい、と言う訳で」

 

 カルデアの食堂に集まった一同。

 

 そんな彼らを前に、

 

「この度、晴れてカルデア特殊班に加わりました、クロエ・フォン・アインツベルンです。知っての通りクラスはアーチャー。スリーサイズは、上から・・・・・・」

「ストップ。そこまで言えとは言ってないよ」

 

 暴走気味に自己紹介しようとした褐色弓兵少女を、ロマニが嘆息気味に止めに入る。

 

 その表情は、どこか疲れたような顔をしている。

 

 そして、

 

 一同の視線の先では、

 

 オケアノスで共闘したクロエ・フォン・アインツベルンが、どこか悪戯っぽい笑みを浮かべて佇んでいた。

 

「えっと、ロマン君? これはいったい・・・・・・」

「響君や美遊ちゃんの時と一緒さ。気が付いたら、カルデアの管制室に立ってたんだよ」

 

 そう言うと、ロマニはガックリと肩を落とした。

 

 彼女が現れてから今まで、いったい何があったのか、想像に難くない事態に、一同は曖昧な表情を浮かべる。

 

「てな訳で、これからよろしくね」

 

 そう言って、クロエはニコリと、小悪魔のように笑うのだった。

 

 

 

 

 

第25話「星の彼方」      終わり

 

 

 

 

 

封鎖終局四海オケアノス      定礎復元

 




ホレイショ・ネルソン

【性別】男
【クラス】ライダー
【属性】秩序・善
【隠し属性】人
【身長】184センチ
【体重】65キロ
【天敵】ナポレオン・ボナパルト

【ステータス】
筋力:C 耐久:A 敏捷:E 魔力:E 幸運:A 宝具:EX

【コマンド】:AQQBB

【保有スキル】
〇海上のカリスマ:C
味方全体の攻撃力アップ、バスター性能アップ(3ターン)

〇ティータイムは船上で:A
味方全体のNPを増やす。及びHPを回復

〇義務を果たしたまえ:B
自身に無敵付与(1ターン)。及び、味方全体の防御力アップ(3ターン)

【クラス別スキル】
〇騎乗:B
自身のクイックカードの性能をアップ。

【宝具】 
 〇突撃、我に続け(ヴィクトリーズ・ネルソンタッチ)
効果:《敵全体に対する超強力な攻撃。及び、防御力大ダウン、スター発生率大ダウン、くるてぃかる威力大幅ダウン(3ターン)》
 ネルソンが考案し、実際にトラファルガー海戦で用いた、前代未聞の艦隊突撃を再現した宝具。彼の旗艦である戦列艦「ヴィクトリー」を中心に、配下にあった大英帝国艦隊が一斉に出現し、敵に向けて砲火を放ちながら突撃して行く事になる。まさに海上の騎兵突撃とでも称すべき、艦隊突撃戦法である。

【備考】

 海軍の軍服を着た、長身の男性。余裕を感じさせる態度を崩すことなく、たとえ戦場であっても、3時のお茶を欠かす事は無い。

 真名「ホレイショ・ネルソン」

 ナポレオン戦争時代の大英帝国海軍艦隊司令長官。若い頃から海にあこがれ、成長すると当然のように海軍に入隊した。

 その頭角は、入隊後しばらくして現れ始める。21歳、尉官の時に既に小型艦の艦長に任じられる。更に35歳の時には戦列艦の艦長に就任、多大な戦果を挙げる。

 若い頃に右目を失明。更にその後、右腕を失うなど重傷を負うが、それでも尚、彼は不屈の闘志で海の上に立ち続けた。

 やがて、欧州大陸一帯を制圧したナポレオン・ボナパルトは、その侵略の目を、海の向こうのイギリスへと向ける。
 
 その有り余る経済力で大艦隊を組織したナポレオン。

 そのナポレオンの前に、敢然と立ちはだかったのがネルソンであった。

 ネルソンは優勢な艦隊を率いてフランス海軍の行動を徹底的に妨害、港に封じ込める「大陸封鎖」を実行する。

 このネルソンの作戦は図に当たり、フランス艦隊は悉く大陸の港に押し込められてしまう。

 業を煮やしたナポレオンは、ネルソンを打ち破るべく主力艦隊を差し向ける。

 これに対抗すべく、全艦隊を率いて出撃したネルソン。

 両艦隊はトラファルガー沖で激突する。

 ここでネルソンは、後の世に語られる伝説的な艦隊突撃戦法「ネルソン・タッチ」を用いてフランス艦隊の隊列を分断。各個撃破する事に成功する。

 この戦いの終盤、敵艦からの狙撃を胸に受けたネルソンは、戦場に倒れる事になる。

「諸君のおかげで、わたしは義務を果たす事が出来た」

 それが、ネルソンの最後の言葉だったと言われている。

 この戦いに敗北したナポレオンは、イギリス攻略を諦め、その侵略の矛先を遠く北のロシアへと向け、やがて破滅の道を転がって行く事になる。

 この事からネルソンは、ナポレオン没落の端緒となった人物、とも言われている。

 尚、

 彼の旗艦である戦列艦「ヴィクトリー」は大英帝国政府によって修復を重ねられ、記念艦と言う形ではあるが、今なおイギリス海軍籍の軍艦として登録されている、世界最古の現役軍艦である。







衛宮響・影月

【コマンド】:BAAQQ

【固有スキル】
〇限定固有結界「天狼ノ檻(てんろうのおり)
《自身のクイック性能アップ、スター集中アップ(3ターン)、自身に回避状態付与(3回、3ターン)3ターン後、攻撃力、防御力ダウン(デメリット)》
 「衛宮響を中心に半径2メートル」と言う範囲で展開される極小型の固有結界。響の持つ魔力量でも固有結界を展開できる、ギリギリのラインである。この結界を展開中は、響の中での体感時間が加速され、通常の数十倍のスピードで機動する事が出来る。半面、小型であっても固有結界である事に変わりはなく、世界からの修正力により、長くは展開できない。持続時間は通常空間内における時間に換算して3分が限界であり、しかも、結界が解除されると、修正力によるフィードバックにより、響はほぼ戦闘不能に近い状態になる。


【宝具】
〇盟約の羽織・影月
 盟約の羽織・高速戦形態。布地は黒に、段だらは赤に変化、同時に響の髪は白く染まり、目も赤くなる。この状態であるならスキル「限定固有結界:天狼ノ檻」が使用可能になり、更に「鬼剣:魔天狼」が使えるようになる。


【鬼剣】
魔天狼(まてんろう)
《敵単体に超強力な攻撃、及び自身に必中状態付与(1ターン)、自身のクリティカル威力アップ(3ターン)
 天狼ノ檻を展開する事で使用可能となる鬼剣。固有結界の効果を現界突破(リミット・ブレイク)する事で、埒外の超高速を発揮。対象となる敵を斬り刻む。








朔月美遊(さかつき みゆ)
【性別】女
【クラス】セイバー
【属性】秩序・善
【隠し属性】地
【身長】134センチ
【体重】29キロ
【天敵】??????

【ステータス】
筋力:C 耐久:C 敏捷:B 魔力:A 幸運:A+ 宝具:B

【コマンド】:AAQBB

【宝具】
遥か永久に黄金の剣(エクスカリバー・リバイバル)
《自身の宝具威力アップ(1ターン)、敵全体に超強力な防御無視攻撃。自身の攻撃力アップ(3ターン)及び、HP、NPをチャージ(3ターン)》
 アルトリア・ペンドラゴンの宝具「約束された勝利の剣(エクスカリバー)」を、美遊が受け継いだ霊基を元に使用した宝具。「戦いで折れた聖剣を鍛え直し、新たな、より強力な聖剣として蘇らせた」と言う、聖剣伝説の別解釈を体現した宝具であり、倒れたアルトリアから、美遊が彼女の想いと共にセイバーへと新生した事を現している。
本来、聖剣を解放するためには「十三拘束(シールサーティーン)」と言う封印を解除しなくてはならない。これは、円卓の騎士1人1人の承認が無ければ解除できないのだが、美遊自身、人々の願いを叶える神稚児の力を持っている。その為、この承認をキャンセルしたうえで封印を解除。フルパワーで放つ事が出来る。


【保有スキル】
〇直感:B
スターを大量獲得。

〇魔力放出(偽)
3ターンの間、自身のバスター性能を大幅にアップ。

〇星の祝福
自身の攻撃力アップ、防御力アップ、NP獲得

【クラス別スキル】
〇対魔力:B
自身の弱体耐性をアップ

〇騎乗:C
自身のクイックカードの性能を、少しアップ。

【備考】
 元々は冬木市にある旧家出身の少女。朔月家が用意した「小聖杯」として聖杯戦争に参加した彼女は、そこでセイバー「アルトリア・ペンドラゴン」と出会い、共に戦う。特異点の崩壊後も、セイバーの願いによって生かされ続けた彼女は、セイバーの消滅の際、彼女の霊基を受け継ぐ形で英霊化する。その姿は、アルトリア・ペンドラゴンの若き日の姿を模している。

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