「行ってきまーす。」
「行ってらっしゃい。」
毎朝の挨拶を交わし家を出る。
腰まである茶色の髪を揺らし、いつもとは違う道を歩く。
私は水無月子子。『子子』と書いて『ネコ』と読む。
「友達、出来るかなぁ……。」
両親の都合で祖母の家に預けられた私は、その家から一番近い中学に通うことになったのだ。
学校に着いた私は事前に場所を聞いていた職員室に向かう。
途中、見慣れた身長、髪型の少年が目に入った。
……もしかして、あの警察官の少年なのでは?と思いながら追い抜く。
あ、申し遅れました。私、怪盗月猫という者です。
「なぁ、お前。」
「ひゃい!?」
声をかけてきた少年は、追い抜いたばかりの彼。
振り向くとやはり昨晩の彼でした。
「ぷっ……あははっ、なんだその返事。」
笑いながら言う彼だが、思ってもみないところから突然声をかけられたら、普通にびっくりすると思うんですが。
「お前、転校生か?」
「え、あ、はい……。」
声をかけられたときは、まさか怪盗であることがバレたのではないかと思ったが、さすがにそんなことは無かったようだ。
「お前、転校生の1年だろ?俺、刑部青。お前、可愛いし目立つから声かけてみたんだ。」
「か、可愛いですかね……?あ、私、水無月子子です。」
「ネコ?変わった名前だな。名前まで可愛いじゃん。」
この学校の女子の制服は、リボンの色で学年が見てわかるようになっている。だが、その情報だけで転校生だとわかるようなものだろうか。
制服の新しさなどは考えてみたが1年生の制服など皆まだまだ新しく、あまり大きな違いがあるようには思えない。
彼の観察力はかなり高いのだろう。
……少し、警戒していたほうがいいかな。
「あ、子子。お前職員室の場所とかわかるか?ホームルームまで時間はまだまだ余裕あるし、案内してやるぜ。」
「じゃあ、お願いします。」
彼とは、仲良くなっていたほうが、後々怪盗だと怪しまれにくいのでは、と思ったため、素直についていくことにした。
「ん、ここが職員室な。適当にノックしてドア開けりゃ、先生が誰かしら出てくるし、転校生なら話も通ってるだろ。」
「ありがとうございます。」
「俺、1年3組。同じクラスだといいな。違うクラスでも遊びに来いよ。あ、あとお前、同じ学年なんだから敬語無しな?」
「同じ学年だったんですね。わかった、敬語やめるよ。案内してくれてありがとう。」
そういうと、彼は照れ臭そうに笑いながら廊下を走っていった。
……途中、すれ違った先生に、廊下は走るなと怒られていたが。