ゼノブレイド2 the Novelize 作:natsuki
「まさかこんなところに道があるなんてな……」
「偶然、雲海が低いところに居て助かったも。もし高いところに居たら宿屋でぐっすり一晩明かす必要があったも」
「それはニアが処刑される可能性が非常に高くなるから、避けたかったけれどね」
俺たちはグーラの大木から伸びる根を歩いている。根といっても道のようになっており、整備こそされていないが、ここなら誰にも知られること無くなんとか戦艦へ侵入することが出来そうだった。
「戦艦にはクラウドタンクというものがあるも。それは技術の上では必要な場所で、それは雲海が低い時に空にすることで自らを雲海より高くすることが出来るも。逆に沈んでおきたいときはクラウドタンクを満タンにしておけば沈むことが出来るという画期的なシステムだも。で、そのクラウドタンクは今日のような雲海が低い日だと、」
「そこへと通ずる扉が開けっぱなしになっているから、そこから入ることが出来る、と」
「そういうことだも」
「じゃあ、そこから入った方がベストだな。……って、これ?」
根元から上を見上げると、確かに戦艦の穴が開いている。しかし、高さはかなりある。梯子なんて持ってきていないし……。あ、そうだ!
「こんな時は……」
そうして、アンカーを発射する。発射されたアンカーは通路へと落下し、それを音で確認する。後はアンカーを引き戻せば良いだけ。
「よし、あとは同じ要領でホムラたちを引き上げれば」
「手伝いますも」
「ええっ?」
気がつくと隣にハナが居た。ハナ……まさか、飛べるの?
「ハナは何でもできるんですも。さあ、そのアンカーを伸ばしてくださいも」
「あ、ああ」
すっかり話の主導権をハナに取られてしまった俺は、アンカーをホムラたちに向けて伸ばす。
「それに乗って!」
「ありがとうございますも、あとはハナにお任せしてほしいですも」
そう言うと、ハナはあっさりとホムラとトラが乗ったアンカーを引きずり込んでしまった。
「……すごい」
「ご主人の体重なんて軽々持ち上げられますも。……でも、ホムラさんは少しだけ予想よりも重かったので少しだけエネルギーを使いすぎたような気がしますも」
「え、ええっ?」
顔を赤らめるホムラ。
俺はなぜ顔を赤らめるのか分からなかったが、トラの叱責でようやく理解する。
「……さて、とにかく向かうことにするか。ニアを助けに」
「はいも」
「そうだも!」
「…………そうですね」
そうして、俺たちは戦艦の中へと足を踏み入れる。
私が眠っていると、音が聞こえました。
その音は耳を澄ませてよく聞いてみると――誰かが戦っている音のようにも聞こえます。
どうやら誰かと誰かが戦っている? では誰が?
私は気になり耳を近づけようと扉の方へ向かうのですが――ちょうどそのとき、
扉が炎の熱で融け始めたではありませんか!
どういうことなのか――私はピンときました。
もしかして、と。
そうして穴の向こうから見えたその姿を見て、私は驚きながらも、その名前を口に出すのでした。
「ホムラ様、レックス様……!」