ゼノブレイド2 the Novelize 作:natsuki
「おっ、ビャッコはっけーん。良かった良かった」
何とかビャッコと再会した俺たちは、喜びを分かち合う束の間もなく、ニアの居場所を探すことになるのだった。
「……あの、ところで、こちらの方は?」
「トラだも!」
「ハナですも。ご主人の人工ブレイドですも」
ビャッコの問いにトラとハナは答える。
「ほんで、わいはジーク。こいつはサイカや」
「うわあ、虎のブレイドとかはじめて見たで。もふもふやろうなあ、なあ、さわってもええか? ええか?」
どうやらその問答だけで、ビャッコは信用に値する人間(正確にはノポンとブレイドか)と判断したらしく、ゆっくりと頷いた。
「分かりました。では、向かいましょう。お嬢様は今……この戦艦に居ます。確かスペルビアへ移送するためだとか……」
「ええっ? 処刑するためじゃないのか?」
「いや、そんなことは聞いてませんが……」
「ま、いいか」
俺は頭を掻いて、取りあえず話を続けることにした。
「とにかく、今はニアを探す。お前も協力してくれるか、ビャッコ?」
「勿論ですとも」
こうして、ビャッコが仲間になるのだった。
「お、おーい……。うちの話は、無視?」
「ここを脱出したら、少しは触らせてあげてもいいですよ」
「やったー! うち、頑張るでえ」
……何か、サイカのモチベーションも上がってるけど、それはそれでいいか。
◇◇◇
ニアはあっさりと見つかった。ビャッコが捕まっていた区画を第一区画と呼ぶらしく、ニアはそこから南方の第二区画の一室に軟禁されていた。
「ニア、大丈夫か?」
「馬鹿。なんでお前たち……」
「仲間だろ、俺たちは」
「……そうか」
「さ、アニキ。急いで脱出するも。情報が違うと言うことは、嫌な予感がするも」
「その通りですよぉ」
やけに声のトーンが高い、気味の悪い声が聞こえた。
振り返るとそこには一人の男と、大男のごついブレイドが立っている。
「私の名前はモーフ。以後、お見知りおきを」
「モーフ……! 確か、このトリゴの領事をやってる人間やと聞いていたが」
背中に背負っていた大剣を取り出すジーク。
対してモーフは何故それを知っているのか、といった感じで目を丸くする。
「あらぁ? どこかでお会いしましたかしらぁ?」
「……職業柄、お前さんのような人間を知る機会はよくあるんや」
ジークの言葉に舌打ちするモーフ。
「ということはアーケディア関連の人間ですか。だったら話は早い。……まとめて消し去るが良いですよぉ!」
「ニア!」
ビャッコはニアのそばに立ち、武器へエネルギーを送る準備をしている。
そして、俺たちは通路という狭いフィールドではあったが、トリゴ領事モーフとの戦闘を開始するのだった――!