ゼノブレイド2 the Novelize 作:natsuki
第十四話 アギトの漂流地
俺たちはセイリュウ――じっちゃんに乗って一路アーケディアへと向かっていた。
アーケディアに向かうには、世界樹の付近を通過しなくてはならない。時期的な問題もあるけれど、それについては致し方ない。そして、今俺たちを乗せたじっちゃんは世界樹を抜け、アーケディアへ――。
「着くはずだった、んじゃがのう」
すっかり小さくなってしまったじっちゃん(じっちゃん曰く、新陳代謝が良いから出来ることなんじゃ! とか言っているけれど、宿無しになってしまった俺に取ってみればそんなことどうだって良かった)が、そんなことを言っていた。
問題は、世界樹の付近の雲海にうろついているサーペントと呼ばれる獣だった。
どうやら昔は天の聖杯――つまりホムラ――が管理していたらしいのだが、今はその管理が行き届いていないらしい。噂によると、ルクスリアが保持しているらしいのだが、ジークはそれを聞くと目を丸くしていたっけ。何かあったのか、と聞きたかったけれど、あまり聞かないことにしておいた。誰しも聞かれたくない話題はあるし。
そうしてサーペントの攻撃を受けた俺たちは、そのままインヴィディアの巨神獣に食べられてしまった――というわけだ。
「……インヴィディアか。まさか、インヴィディアに来てしまうとは、思わなかったがな」
「ジークってインヴィディアに来たこと、あるの?」
「おう、あるでえ。ワイはなんやかんやで全部の国に回ったことがあるからな!」
「新兵と間違えられて一週間の研修に付き合わされたこともあったけどなー」
後ろからサイカのちくりと刺さる言葉が聞こえる。
「おい、サイカぁ! それは言わん約束やろ!」
「なんでー? 王子から何も言われてないけれど?」
それはそれとして。
とにかく、前に進むしかない。
「確かインヴィディアの腹部に都市があるはずや。そこまで向かえば、船の一つや二つは出とるやろ。流石にあの女執権官もここまではやってこないやろうからな」
「そっか。それなら、そっちに向かってみようか」
俺たちの目的地は、決まった。
インヴィディアの首都、フォンス・マイムへ。
広い場所に出た。
それにしても何というか、インヴィディアは広いし、美しい光景が広がっているように見える。グーラでは見ることの出来ない景色だ――なんて言ったらグーラ人のニアに怒られるのだろう。
「ほう。あの女王の言い分も聞いてみるものだな」
声が聞こえた。
そこに居たのは、屈強な体格をした巨漢だった。
「何者だっ!」
「それはこちらの台詞だぜぇ。翠玉色のコアクリスタル……聞いた話に寄れば、天の聖杯が目覚めたらしいが、まさかそのドライバーがこんな少年だったとはな」
「何がおかしいっ」
俺たちは剣を構える。
一言で言えば、戦闘態勢に入る形だ。
しかし、男は両手を空にして、
「おいおい、戦うつもりはないぜ。それに、どちらかといえば俺はお前達を助けるためにやってきた。あのラゲルトからの依頼じゃあ、頼まれても断ることも出来やしねえ」
「おいおい。ラゲルトって……ラゲルト女王のことかいなっ。いったい、何者なんや」
「俺の名前はヴァンダム。まあ、積もる話はこの先にある、フレーズヴェルグの村でやろうじゃねえかよ、天の聖杯とそのドライバー」
そうして、俺たちは言われるがままに、フレーズヴェルグの村へと向かうのだった。