ゼノブレイド2 the Novelize 作:natsuki
「ここが俺たちの村、フレーズヴェルグの村だ」
フレーズヴェルグの村。
インヴィディアの首都フォンス・マイムへ続く道の中腹にあるその村は、傭兵団本部を中心に形成されている小さな村のようだった。
「傭兵団……ですか」
「おうっ。俺たちは傭兵団で生計を立てているからな。インヴィディアのフレーズヴェルグ傭兵団と言えば結構有名な方なんだぜっ」
「へー」
サイカの冷たい目線がヴァンダムに届く。
ヴァンダムは傭兵団本部の隣にあるテーブルに荷物を置くと、そばの椅子に腰掛けた。
隣に居る鳥のような――おそらくブレイドだろう――存在もヴァンダムの隣に立つ。
「おう、それじゃあ、座ってくれ。いろいろと話をしたいこともあるしな」
「こっちも聞きたいことがある。……ラゲルトは、あのラゲルト女王のことでええんか?」
「ああ。相違ないぜ。いろいろと傭兵団の任務を熟しているとな、女王との繋がりも出てくるってもんよ。……そんでもんで、聞いたことはあるだろ? ラゲルト女王に仕える予言官、ってのをな」
「……ああ、名前だけは、な。でもそれはあくまでも噂っちゅう話じゃないんか?」
「俺もそうだと思っていたんだよ」
すっかり話はジークとヴァンダムのマンツーマンになっていた。
さらに話は続く。
「しかし、居るんだよ。名前は……なんて言ったかな。難しい名前だったし、一度しか教えてくれなかったからな。名前は覚えてねえんだけれどよ」
「ヴァンダムは名前を覚えるのが苦手だからな!」
漸く、そこで隣のブレイドが声をかける。
「俺の名前はスザク。ヴァンダムのブレイドだ」
「スザク、途中で茶々を入れるんじゃねえっ。……んで、どこまで話したかな?」
「予言官の名前が覚えられない、ってところまでかな」
俺もここぞとばかりに言葉を言う。そうでないと、会話に割り入ることも出来ないからな。
ヴァンダムはそうだそうだ、と笑いながらジョッキに入っている飲み物――酒の類いだろう――を飲み干した。
「そんでもって、その予言官が言ったそうだ。近いうちに、天の聖杯が目覚める。そのときはインヴィディアが力を持って、協力せよ、ということらしいんだよ。どうしてかはしらねえ。予言官はあくまで神と交信する存在だ。その言葉を信じるも信じないも人間の自由だ。けれど、昔からずっとインヴィディアは予言官の言葉を信用してきた。それはその言葉が、ずっと的中するからだ」
予言官の言葉。
それについては、根無し草の俺でも聞いたことはある。
しかしずっと噂だと思っていたから、あくまでも信用はしていなかったけれど。
「……さて、俺はお前達を助けてやらねばならねえ。だが、傭兵団も続けていかなきゃならねえ。だから、お前達に教えてやることは、ただ一つだ」
「それは……?」
「ブレイドの使い方、だよ」
ヴァンダムはそう言うと立ち上がる。
まだ食事も終えていないのに、と言いたかったがそれよりも早くヴァンダムは俺を睨み付けた。
「まだお前さんはブレイドを使い慣れていないように見える。だから、お前さんだけで良い。ついてくるんだ。ブレイドの力の使い方ってやつを教えてやる」
そして、俺とヴァンダムの訓練が、幕を開けるのだった。