ゼノブレイド2 the Novelize   作:natsuki

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第十五話 フレーズヴェルグの村①

「ここが俺たちの村、フレーズヴェルグの村だ」

 

 フレーズヴェルグの村。

 インヴィディアの首都フォンス・マイムへ続く道の中腹にあるその村は、傭兵団本部を中心に形成されている小さな村のようだった。

 

「傭兵団……ですか」

「おうっ。俺たちは傭兵団で生計を立てているからな。インヴィディアのフレーズヴェルグ傭兵団と言えば結構有名な方なんだぜっ」

「へー」

 

 サイカの冷たい目線がヴァンダムに届く。

 ヴァンダムは傭兵団本部の隣にあるテーブルに荷物を置くと、そばの椅子に腰掛けた。

 隣に居る鳥のような――おそらくブレイドだろう――存在もヴァンダムの隣に立つ。

 

「おう、それじゃあ、座ってくれ。いろいろと話をしたいこともあるしな」

「こっちも聞きたいことがある。……ラゲルトは、あのラゲルト女王のことでええんか?」

「ああ。相違ないぜ。いろいろと傭兵団の任務を熟しているとな、女王との繋がりも出てくるってもんよ。……そんでもんで、聞いたことはあるだろ? ラゲルト女王に仕える予言官、ってのをな」

「……ああ、名前だけは、な。でもそれはあくまでも噂っちゅう話じゃないんか?」

「俺もそうだと思っていたんだよ」

 

 すっかり話はジークとヴァンダムのマンツーマンになっていた。

 さらに話は続く。

 

「しかし、居るんだよ。名前は……なんて言ったかな。難しい名前だったし、一度しか教えてくれなかったからな。名前は覚えてねえんだけれどよ」

「ヴァンダムは名前を覚えるのが苦手だからな!」

 

 漸く、そこで隣のブレイドが声をかける。

 

「俺の名前はスザク。ヴァンダムのブレイドだ」

「スザク、途中で茶々を入れるんじゃねえっ。……んで、どこまで話したかな?」

「予言官の名前が覚えられない、ってところまでかな」

 

 俺もここぞとばかりに言葉を言う。そうでないと、会話に割り入ることも出来ないからな。

 ヴァンダムはそうだそうだ、と笑いながらジョッキに入っている飲み物――酒の類いだろう――を飲み干した。

 

「そんでもって、その予言官が言ったそうだ。近いうちに、天の聖杯が目覚める。そのときはインヴィディアが力を持って、協力せよ、ということらしいんだよ。どうしてかはしらねえ。予言官はあくまで神と交信する存在だ。その言葉を信じるも信じないも人間の自由だ。けれど、昔からずっとインヴィディアは予言官の言葉を信用してきた。それはその言葉が、ずっと的中するからだ」

 

 予言官の言葉。

 それについては、根無し草の俺でも聞いたことはある。

 しかしずっと噂だと思っていたから、あくまでも信用はしていなかったけれど。

 

「……さて、俺はお前達を助けてやらねばならねえ。だが、傭兵団も続けていかなきゃならねえ。だから、お前達に教えてやることは、ただ一つだ」

「それは……?」

「ブレイドの使い方、だよ」

 

 ヴァンダムはそう言うと立ち上がる。

 まだ食事も終えていないのに、と言いたかったがそれよりも早くヴァンダムは俺を睨み付けた。

 

「まだお前さんはブレイドを使い慣れていないように見える。だから、お前さんだけで良い。ついてくるんだ。ブレイドの力の使い方ってやつを教えてやる」

 

 そして、俺とヴァンダムの訓練が、幕を開けるのだった。

 

 


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