ゼノブレイド2 the Novelize 作:natsuki
「そうだ。どうせなら、ちょっと知り合いに顔を出してくる。お前達もついてこい」
ヴァンダムさんのその言葉を聞いて、俺たちは首を傾げた。
だって別にヴァンダムさんの知り合いってだけなら、俺たちは要らないはずだ。
水入らずで会話をしてくればいい。ただそれだけの話なんだから。
けれど、どうして?
「ほら、ぼさっとしてねえで、ついてこい。じゃないと次の演劇が始まっちまうだろ」
そんな思考をさせてくれる暇など与えられるはずもなく――ヴァンダムさんは、俺たちを強引に引っ張っていくのだった。
◇◇◇
「よう、コール。元気にしていたか?」
「ほう。久しぶりの客だな……。おや、その翠玉色のコアクリスタルは……!」
コールという老人は、ローブを被っていたためその表情があまり見えなかった。
しかし、その身体を動かしている様子からして、驚いているのは明らかだ。
「まさか、あなた……ミノチさんですか?」
「そうだ。そうだよ。…………ああ、噂には聞いていたが、まさか本当に天の聖杯が目覚めるとは!」
ミノチさん――コールさん? どっちで呼べば良いのか分からないけれど、今はミノチさんということにしておこう――は、どうやらホムラの昔の姿を知っているようだ。
天の聖杯。まだ知らないことが多すぎる……。
「……しかし、天の聖杯が目覚めるとは、何か世界に異変が起きようとしておるのかのう……」
「ミノチさん、あなたなら、知っているのではないですか? 世界樹に、行く道を」
「世界樹……か。ああ、すべて懐かしいよ。あの『大戦』で多くの巨神獣が失われた。その原因は天の聖杯の一つ、メツのせいであるというのが今や常識の一つだ。それに……君が天の聖杯のドライバーか」
突然俺に視線が移り、首を傾げる。
「え? あー。はい。そうですけれど」
「その目……奴と同じ目だ。あいつは子供を作らないと思っていたが、よもやこんな形で再会出来るとは思っていなかったよ」
「同じ目……?」
「ああ。そういうことでしたか……。となると、レックス、」
ホムラはミノチさんの言葉に納得している様子。
となると納得出来ていないのは、ホムラ以外の全員だけれど。
いったいホムラは何を理解して、何を納得したのか。
それを俺が聞こうとする前に、ホムラは俺のほうに向いて、頷いた後に、言った。
「……あなたが天の聖杯のドライバーになったのは、別に偶然じゃない。必然だったんです。あなたは、英雄アデルの……血を引きし者なのでしょう。恐らくは」