「ブレイドイーターを知っているとは、さすがはイーラといったところかいのう!」
「王子!」
「おう行くで、サイカぁ!」
「くっ……これは想定外ですねえ! 脚本にないことを演じて貰っちゃあ困るんですよ!」
ヨシツネは明らかに焦りを見せている。
しかし、俺たちは未だに力を出せていない状態だ。ブレイドから力を供給されないだけで、これほど無力になるとは、俺たちは思いもしなかった。
「何へこたれてるんだ、レックス!」
そこを後押ししたのは、ヴァンダムさんだった。
「いいか、レックス。ブレイドの武器ってのはなあ……こういう風にも使えるんだあ!」
そして、ヴァンダムさんは自らが構えていた武器を――そのまま自分の腹に突き刺した。
「!」
ぽたり、ぽたりと血が垂れる。
しかし、ヴァンダムさんは一歩、また一歩と歩み続ける。
メツは舌打ちをして、
「あのやろう……。武器に僅かに残ったエーテルを利用して、自分の身体に入っているエネルギーを引き出すつもりか」
「おうよお。得られるエネルギーは僅かかもしれねえが、それでもお前達の策はこれで実現しなくなる。そうだろう!?」
「だが、それがどうしたあ!」
メツは持っていた武器を振り回す。
ヴァンダムさんは既に息も絶え絶えという状態で、はっきり言って戦える状態じゃない。
「ヴァンダムさあああああああん!」
俺は叫んだ。
叫ぶことしか、出来なかった。
「いいか、レックスっ!」
ヴァンダムさんは、最後に俺の目を見て、はっきりと告げた。
「お前の戦を、戦えええええええええええええええええええっ!!」
そして、メツはヴァンダムさんの身体を貫いた。
「……そんなことをしたって無駄な話さ。五百年前から何も変わっちゃいねえ。首都に見た武器を見たか? 兵士を見たか? 俺たちは、そのために降誕したんだ。それぐらい、分かっているよなあ?」
メツは剣を抜き、ホムラを見つめる。
「いいえ、間違っているのは……間違っているのは、あなた。あなたよ、メツ」
「うわあああああああああああ! よくも、よくもヴァンダムさんをおおおおおおおお!」
俺は、もう、我慢できなかった。
力を。力を。力を。
こんなところで諦めてたまるか。
力が。力が。力が。
力が欲しい。あいつらをぶちのめすだけの力が。あいつらを倒すだけの力が。
「うっとうしいぞ、小僧!」
しかし、メツの攻撃に俺の身体はなぎ倒される。
「終わりにしようや、小僧」
俺の身体に近づくメツ。
だめだ……身体が……動かない……。
そして、俺の身体を貫こうと、剣が身体に――。
「レックスううううううう!!」
ホムラの叫びも、俺の耳には届くだけだった。
だからこそ、だからこそ、見えなかった。
ホムラの身体が光り輝き――まったく別の姿になっていたということを。
メツはギリギリで俺の身体から剣を離し、ホムラのほうを見た。
「やっとお目覚めか……ヒカリぃ!」
俺は後ずさり、ホムラ……いや、ヒカリ? の元へと向かう。
その姿は赤色を基調とした服を羽織っていたホムラとは違い、銀と青を基調とした服に身を包んでいた。髪色も赤色から金髪に変わっている。
「ほ、ホムラ……なのか? その姿は、」
「私はホムラじゃない」
「え?」
「私はヒカリ。ホムラは……私が作り出した、もう一つの人格よ」