ゼノブレイド2 the Novelize 作:natsuki
そして数日後。
俺たちはイヤサキ村――正確に言えば、俺の故郷へとやってきていた。
別にイヤサキ村は経由するだけで、そのまま港に向かっても良かったのだけれど、ホムラがどうしても一度見てみたいと言うから、致し方なく、それに従った次第だった。
「よう、レックス。たくさん人を連れ込んで。コルレルさんが心配していたぜ」
「そうだと思ったよ。最近は、仕送りも出来てないからさ」
コルレルおばさんの家に入ると、コルレルおばさんが俺たちを出迎えてくれた。
「おやまあ、レックス。連絡もしないで、どうしたんだい。急に」
「実はさ……アーケディアに行く用事が出来て、ちょっとね」
「はじめまして、コルレルさん」
頭を下げたのは、ホムラだった。
「レックスのブレイドの、ホムラです」
「ブレイド? へえ、あんた、ドライバーになったのかい。……父さんと母さんが聞いたら、喜ぶだろうねえ」
「そうだな。……ちょっと、皆、ここで待っていてくれないか?」
「ほう? どうかしたのかね」
メレフの問いに、俺は少しだけ恥ずかしくなりつつも、答えた。
「ちょっと、父さんと母さんに挨拶がしたくてさ。別にこの村を回りたいなら回ってもいいし。……コルレルおばさん。急で申し訳ないんだけれどさ、今日皆を泊めてもらえないかな? 明日には、アーケディアに出発しようと思うんだけれど」
「別に構わないよ。ところで、アーケディアに何の用事があるんだい?」
「それはまた話すよ! じゃあ、ちょっと行ってくるね!」
そうして俺は走って行く。目的地は村の外れにある墓地だ。そこに父さんと母さんが眠っている――。
◇◇◇
墓地。
俺の父さんと母さんが眠っている墓に、俺は手を合わせる。
「……ここに居たんですね、レックス」
声が聞こえたので、振り返る。そこに立っていたのはホムラだった。
ホムラはその墓を見て、
「もしかしてそれって……」
「うん。俺の父さんと、母さんの墓。二人が亡くなってから俺の親代わりとなったのがじっちゃん、ってわけ」
今はじっちゃんも事情を察してコルレルおばさんの家に居るけれどね。
「あの方は……?」
「コルレルおばさんのこと?」
それを聞いてホムラはゆっくりと頷いた。
「コルレルおばさんは、ここの孤児院みたいな人だよ。……身寄りの無い子供を集めて、育ててるんだ。そして俺も、その一人ってわけ」
「そうだったんですね……」
「父さん、母さん。今、俺すっごく面白いことになってるんだ。なんてったって、天の聖杯のドライバーになってるんだぜ」
そうして俺は、今までのことを語り出した。
英雄譚でも、美辞麗句でも、何でも無いただの思い出話だった。
聞き手はホムラだけだったけれど、たまにホムラが突っ込みをいれてくれたり、相づちを打ってくれたり、色々と話は積もるばかりだった。