ゼノブレイド2 the Novelize   作:natsuki

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第三十話 里帰り③

「楔をよこせ、だと? 久々に帰ってきて何を言い出すかと思いきや、そんな言葉だとはな」

「天の聖杯と出逢って、ワイは思った。ありゃあ、今、世界に必要な力や。だからこそ、世界樹に連れて行く必要がある」

「その為に、『サンクトスチェイン』を必要とする、と?」

 

 ジークと会話をしていたのは、ルクスリアの王だった。

 

「サンクトスチェインは、世界樹の周りに居るデバイスを管理している。そうやったはずやろ。英雄アデルの意向で世界樹には誰も近づけさせないようにするために……」

「……………………それは、違う」

「なんやて……?」

「サンクトスチェインは、反アデル派が手に入れたもの。そして、ルクスリアは、アデル派が建国した国と言われているが、それは全くのデタラメなのだよ。……王を継ぐ人間は、その秘密を未来永劫隠し通し、そのためにアーケディアとの『契約』を執行し続けている」

「アーケディアとの……契約?」

「ルクスリアが寒いアルスと化していることは、お前も重々承知していることだろう。その為には、雲海に潜らなければいずれこのアルスが崩壊してしまうということも」

「それは……」

「つまり、それはアーケディアとの契約によって生み出された結果、なのだよ」

「アーケディアが生み出した結果…………やて?」

「アーケディアは、反アデル派がこの国を建国した事実を知っていた。いつからかは知らないがな……。そして、それを公にしない代わりに、このアルスが生み出すコアクリスタルの一定量の供給を命令した。それからだ。我が国、このアルスの冷却化が始まったのは」

「つまり、アーケディアが全ての元凶というわけか…………?」

「そうかもしれない。だが、そうとは言えないかもしれない。いずれにせよ、このアルスが存続するためには、我がルクスリア王家を維持するためには、これしか方法が無いのだ」

「レックスは、楽園に行こうとしているんや」

 

 その言葉に、王は目を丸くする。

 

「レックス……確か、天の聖杯のドライバーだったか。お前は、そんな人間の言葉を信じるのか?」

「でも、今はどうこう言っている場合やないやろうが! もう一人の天の聖杯、メツも世界樹を目指していると聞いた。もしかしたら次に狙われるのはルクスリアかもしれないんやぞ!」

「分かっている! だが、」

「五月蠅いですねえ。いったい何の騒ぎですか?」

 

 声が聞こえた。

 そこに居たのは、ヨシツネだった。

 

「貴様は……」

「何者や!」

「お初にお目にかかります。ルクスリア王。僕の名前はヨシツネ。イーラに所属する者です。何を求めているのかは……おわかりですよね?」


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