ゼノブレイド2 the Novelize   作:natsuki

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第三十四話 謁見③

「そんな国があったのかあ……。何というか、想像が付かないな」

 

 ちなみにヒカリはさっきからずっとむすっとした表情を浮かべている。どうしてだろうか? イーラに何か因縁でもあるのだろうか?

 

「イーラ。それは過去に栄えた国家の名称であり、現在は犯罪組織の名称として使われている。滅びた国の残党がね、未だに生きているんだ」

 

「未だに、って五百年前のことですよね……」

 

「マンイーター」

 

 言ったのはメレフだった。

 

「或いはブレイドイーターといったところでしょうか?」

 

「詳しいねえ。流石はスペルビアの特別執権官、といったところか」

 

「法王聖下にお褒めいただき、恐縮です」

 

 メレフは帽子を外し、頭を下げる。

 

「その、イーラがどうかしたんですか?」

 

「イーラはかつて我々アーケディアにとっても良い国だった。だからその名前を汚す組織をさっさと潰してしまいたいのだよ。しかし、そこにかつてのイーラの秘宝であるブレイドが関わっているならば猶更」

 

「イーラの秘宝のブレイドって、もしかして……」

 

「シンよ」

 

 声を出したのは、ヒカリだった。

 

「……流石に忘れていた訳ではないか」

 

「私はずっと五百年もの間、眠りに就いていたから、今までの状況は分からないけれど、イーラの秘宝なら知ってる。五百年前に、一緒に手合わせをしたことがあるからね」

 

「手合わせって……シンと?」

 

 こくり、とヒカリは頷く。

 

「そうだったか。ということは、君は『あの』記憶も覚えているのかな?」

 

「さあね、どうだったかしら。五百年も眠っていたから記憶の片隅には残っているかもしれないけれど、掘り起こすまでには時間がかかるってものよ」

 

「そうか。……まあ、そっちの方が君にとっては良いのかもしれないがね。ああ、到着した」

 

 そこは牢屋だった。

 

 牢屋には二人の人間が座っていた。

 

 一人は長髪の女性、そしてもう一人は金髪の男性。二人ともドライバーのように見えるけれど。

 

「調査した結果、彼らはマンイーターとブレイドイーターであることが分かった。二人とも、かなり長い年月を生きているようだ。……ところで、ええと、」

 

「ヒカリ、よ」

 

「ヒカリ。君は二人に見覚えはないかね?」

 

「…………ないわね」

 

 一瞬、金髪の男性の方を見やった気がするが、気のせいだろうか?

 

 また、金髪の男性もヒカリの方をじっと見つめているように見えたが、ヒカリの言葉を聞いて俯いてしまった。

 

「そうか。残念だな。何か情報が分かれば、と思ったのだが。彼ら、自らの名前以外明かさないんだよ。ええと、名前は」

 

「ベンケイ。そんでもってこいつはサタヒコ」

 

 長髪の女性、ベンケイはそう言った。

 

「ああ、そうだ。そうだった。ベンケイにサタヒコだ。名前を覚えるにはもう大分年を取ってしまってね。仕方無いんだ、許してくれ給え」

 

「そんなことより、さっさとあたし達をこの牢屋から出しな」

 

「……何故だい?」

 

「何故、ってそれがベストな選択だからさ」

 

「私はそうは思わない。よって君たちを解放することもしない。何故なら君たちはイーラの人間である疑いがあるからだ」

 

「……さあ、今ここでもう一度訊ねる。イーラの目的は何だ?」

 

 イーラの目的。

 

 確かにそれは知らなかったし、聞いてみたかった気もする。

 

 けれど、そう簡単に話してくれるのだろうか? 俺はそうは思わなかった。

 

「……ラウラに」

 

 言ったのは、サタヒコだった。

 

「ちょっと、サタ!」

 

「ラウラに、『永遠の命』を与えるため。その為に俺たちは活動しているんだ……!」

 

 サタヒコははっきりと、マルベーニの顔を睨み付けるようにして、そう言った。

 

 


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