「永遠の命? そんなものがほんとうに存在するとでも思っているのかね?」
しかし。
マルベーニさんは、いとも簡単に、あっさりとサタヒコの発言を否定した。
「な……!」
「てめえ、何言ってやがる! 永遠の命は確かに存在する。それは楽園に行けば、」
「楽園に行ったところで、メツのほんとうの力が目覚めるだけだよ。永遠の命など、神を冒涜する存在でしかないからね。ブレイドだって、人だって、そうだ。すべて限りある命であるからこそ、『生きている』という証を残すことが出来るのだから」
「メツのことを侮辱するつもりか」
「侮辱するつもりはないよ。元々、彼は私のブレイドだったのだからね」
「……何だと?」
「メツから聞いていないかい、その様子だと。メツは相当君たちには心を開いていないように見える」
「巫山戯るな! 私たちは、私たちは……!」
「もう良い。ここで判決を待つが良い」
そう言って、マルベーニさんは踵を返した。
「これ以上ここに居る意味も無い。会議の再開と行きましょう」
「会議?」
「君たちは、『世界樹』に渡りたいのだろう?」
「世界樹……」
そのワードにいち早く反応したのは、俺たちではなく、サタヒコだった。
サタヒコは高笑いをしながら、俺たちを見ると、
「世界樹。そうか。お前達も世界樹に登りたいのか! だが、無駄なこと。無駄なことだよ。世界樹には、」
「世界樹には、サーペントと呼ばれる使役される獣が跋扈している……そうだろう? 流石の私も知らないとは言わないよ。それに、それを防ぐ手段などいくらでも……いや、それは言い過ぎか。手段なら、存在している」
「サンクトスチェインのことか?」
「……! 何故、その名前を」
「俺たちだって世界樹に登りたいからね。それぐらいのことは調べが付いているよ。そしてそれを、ルクスリア王家が所持しているという情報も」
「……まさかお前達はデコイだったというのか!」
苦虫をかみつぶしたような表情を浮かべるマルベーニさん。
俺たちにはすっかり何のことだか分からなかった。唯一ヒカリがそれを聞いて俯いているぐらいだったか。
「なあ、ヒカリ? サーペントって何だ?」
「サーペントというのは、私たち天の聖杯が所有する使役出来る獣のことよ。とはいえ、今は自由に操ることは出来ないけれどね。サンクトスチェインと呼ばれる鎖を持って、無理矢理に使役させるしか道がない」
「そう。そうだ。だから、俺たちはサンクトスチェインを手に入れるために、二手に分かれた。片方は、敢えてアーケディアの捜索に捕まり、もう片方をルクスリアに行かせるための『罠』を張った、という訳だ。そうして、その罠は成功した。今頃、ルクスリアではサンクトスチェインを手に入れているヨシツネが居るだろうよ!」