ゼノブレイド2 the Novelize 作:natsuki
「サンクトスチェイン……成る程、それが君たちの欲していたものか」
「それ以外にも理由はあるがね!」
「……一つ、言っておこう。我々人間も知っている事実ではあるが、『永遠の命』など存在しない。それに君たちはコアクリスタルを盗んでいるようだが……、コアクリスタルもまた、私の洗礼がない限りまともに動かすことが出来ないのだ。同調させることが出来ない、とでも言えば良いだろうか。勿論、例外は存在するがね」
一息。
「例えば、天の聖杯や、スペルビアの秘宝も私の洗礼を受けていないコアクリスタルと言えばそれまでになってしまうがね」
「……ねえ、マルベーニ」
「何だね、天の聖杯?」
「彼らを、解放してはくれないかしら」
「……!」
サタヒコの反応を横目に、ヒカリは話を続ける。
「彼らは何も悪さをしている訳じゃないんでしょう? だったら――」
「――だったら、解放するべき、とでも言いたいのかい? それは愚問だね。間違っている。彼らはかの犯罪組織、イーラに所属している存在だ。イーラの目的が何であるかはっきりしない以上、彼らを解放する訳には」
一つの衝撃が起きた。
それがいったい何であるか彼らにはさっぱり分からなかった。
「マルベーニ聖下、こんなところに!」
アーケディアの兵士がマルベーニに声をかける。
「何だ、この衝撃は」
「今、イーラの船がアーケディアに衝突した模様! そこから大量のブレイドが放出されているとのことです!」
「イーラの船、ってことは」
「マルネサスだね! でもいったい誰が操縦を……」
ドゴンッ!! と壁に穴が開いたような衝撃音が聞こえた。
見ると、彼らのいた牢獄にぽっかりと穴が開いていた。
「シン……!」
そこに居たのは、シンだった。
「少年。まさかここで出逢うことになろうとはな」
「少年じゃない。レックスだ!」
「そんなこたあどうだって良いんだよ、おい! サタヒコ、ベンケイ。捕まってねえで、さっさとここから脱出するぞ!」
隣に立っていたのは、メツだった。
「メツ……! 君はいったい何がしたくてこんなことを」
「マルベーニ。俺は言ったよなあ? ずっと昔過ぎて覚えてねえのかもしれねえけれどよ。俺は人間が嫌いだ。だからこの世界を滅ぼそうと決意した。五百年前は、イーラの秘宝だとか、もう一つの天の聖杯だとかに邪魔されたが、今は違う! 俺が、俺たちが、やりたいために行動する! その為に俺たちはイーラとして活動しているんだよ」
「少年」
「だから少年じゃなくてレックスだよ!」
シンの言葉に突っ込みを入れながら、俺はシンに問いかける。
「シン。お前はいったい何をしたいんだ……?」
「少年。全てを知りたいならば、テンペランティアに来い。そこで全てを話してやる」