ゼノブレイド2 the Novelize 作:natsuki
「テンペランティア……?」
「かつて聖杯大戦で滅んでしまった国ユーディキウムが存在していた巨神獣のことだ。ユーディキウムはかつて文明の利器によって発達した国家だったと言われていて、兵器開発にも重点がおかれていた国家だったはずだ……。今は、スペルビアとインヴィディアが共同で管理している場所の筈だよ」
「丁寧にご説明ありがとうよ、マルベーニ」
メツの話は続く。
「そんでもって、その国家が残した兵器をスペルビアが発掘しているんだ。良い話だとは思わねえか? かつての聖杯大戦で使われていた兵器だ。今蘇らせたら凄いことになるだろうなあ? ただでさえ、各巨神獣の体力が落ち込んできているという中、巨神獣の体力を使うと言われているその兵器を使えば!!」
「辞めるんだ、メツ! 君は未だ『世界を滅ぼす』だとかそんなことを考えているのか!」
「そうよ、メツ。辞めなさい!」
「……へん、マルベーニに言われることはあまり気にならねえが、『その元凶』に言われるとは困った物だねえ」
「?」
俺は、メツの言っていることが分からなかった。
だから、その言葉を、疑問をもって迎えることしか出来ないのだった。
メツは、そんな俺の表情を察したのか、舐るように俺の表情を眺め、
「……どうした? まさか『天の聖杯』のドライバーのくせにそんなことも分からねえ、って言わねえだろうな?」
「どういう……ことだよ?」
「辞めなさい、辞めなさいメツ!」
「……聖杯大戦でイーラという国家が滅んだ。その原因は貴様だろう、ヒカリ」
シンが、ゆっくりと口を開いた。
「……っ!」
「……ヒカリ? それって…………ほんとうなのか?」
俺の知らない事実。
俺の知らない出来事。
ヒカリの顔は、ひどく動揺しているように見えた。慌てているように見えた。
「違う、違うの……。時が来ればいつか話すときがやってくる、そう思っていたの……」
「ははは! ヒカリはドライバーすら信じられねえって訳か!」
その俺たちの関係に、ひびが入った――そう思わせたタイミングで。
メツは俺たちに語りかけた。
「メツ! 彼女が力を放出したのは、お前のせいでも有る訳だろう。それを勝手に一人で暴走したかのような言い草をするのは悪いことだとは思わないかね」
マルベーニさんは言う。
そう。そうだ。
何もヒカリは暴走したなんて一言も言っていないじゃないか。
ヒカリの口から、はっきりとその言葉を聞いていないじゃないか!
心の中でマルベーニさんに感謝の気持ちを述べながら、俺はメツたちに向かって、
「そうだ! ヒカリの口からはっきりと聞いていない! 俺は、お前のことを信じたつもりはない!」
「……へえ、流石にそれで信頼関係が崩れる程のものじゃない。だてに『命を分け与えた』関係性じゃないって訳か」
「レックス、私は、私は確かに」
「だからなんだって言うんだ」
「!」
「……今はとにかく何にも決められないけれど、とにかく俺は、楽園に行くって決めたんだ。ヒカリと、ホムラと、一緒に!」