第三十九話 会議の中止①
「テンペランティアに関する会議が中止になった、と? それはいったいどういうことですか」
メレフはスペルビア兵からの話を聞いて、怒りを募らせていた。
いったい全体どういうことなのか、ということ。それが彼女にとって問題だと言えることだったのだ。
「何でも、アーケディア側で問題が発生したとのことで……」
「御託はどうでも良い。今から私はアーケディアに直接駆け込む」
既に船はアーケディアに到着していた。
ならば外に出れば、直接神殿に向かえば、マルベーニ聖下に会うことが出来る。
そう思い、彼女は外に出るのだが――。
「……少年?」
外に出ると、スペルビア兵に入るのを止められていた一人の少年が居た。
そしてその脇に居る翠玉色のコアクリスタルのブレイド。
そこに居たのは、紛れもない、レックスだった。
◇◇◇
「……何だと。つまり、テンペランティアにあるスペルビアが掘り出した兵器を、イーラが使おうとしていると?」
「ああ、そうなんだ。それはシンって奴が言ってた」
メレフとレックスは、甲板にて会話をしていた。
ちなみにレックス曰く、他のメンバーはアーケディアの宿屋で待機しているのだという。いつでもテンペランティアに出発出来るように準備を整えているのだ、と言っていた。
「シン……イーラの首魁と言われている男か。しかし、それでは困ったことになるぞ。もし、テンペランティアのそれが会議の中止になった要因だというのなら」
「ラゲルト女王陛下っ! ここから先はスペルビアの重要な会議中で幾らあなたでも入れることは」
「ええい、黙りなさい! 私はインヴィディアの首長ですよっ!」
そう言って強引に中に入ってきたのは、一人の大柄の女性だった。
ラゲルト、と呼ばれていたと同時に、女王陛下とも呼ばれていた。
レックスは聞いたことがある、と思った。インヴィディアの首長、ラゲルト。長きにわたりインヴィディアを統治し続けているその存在は、インヴィディアでも大きなものになっているという。
「……これはこれは、ラゲルト女王陛下。いったい全体どうしたというのですか?」
「しらばっくれても無駄ですよ。貴方達スペルビアが兵器を起動させたということを、私は聞きました! 貴方達はいったい何をしようとしているのですか! スペルビアとインヴィディアの共同統治領であるテンペランティアを、自らのものにしたくなったとでも言いたいのですか!」
「……落ち着いてください、ラゲルト女王陛下。こちらも状況を確認している最中です。そして、スペルビアの兵器を使っているのは、噂に寄ればイーラではないかと考えられているのです」
「イーラ……!? 国に所属せず、自らの信念を貫くと言うあの集団のことですか……!?」
こくり、とメレフは頷く。