ゼノブレイド2 the Novelize 作:natsuki
「イーラが我が国の兵器を使って、何をしようとしでかしているのかは分かりません。……ですが、イーラがただのテロリストでは無いと言うことは、これでラゲルト女王陛下もおわかりいただけたでしょう」
「……確かに、そうですが」
ラゲルトはそれを聞いて、少し落ち着いたように見える。
「ならば、今回の事態の収束、貴方達にお任せ出来ますか?」
「宜しいのですか?」
「元はといえば、スペルビアが発掘した兵器なのでしょう? インヴィディアの軍は私の命令で留めておきましょう。ただし、それもいつまで出来るかも分かった話ではありません。もしかしたら奮起した兵士が攻撃を仕掛ける可能性が出てくるかも」
「……分かりました。では、それが無いように心がけます」
「よろしくお願いしますよ、スペルビア帝国メレフ特別執権官」
そう言ってラゲルトは踵を返すと、外に出て行くのだった。
◇◇◇
アーケディア港には、一隻の巨神獣戦艦が到着していた。
「でかい船だなあ……。これに乗り込めば、テンペランティアに行けるんだよね?」
「そういうことになるな。まあ、ここからなら距離もそう遠くないはずだ」
メレフの言葉を聞いて、レックスは大きく頷く。
「テンペランティアって、実際には何がある場所なの?」
「テンペランティアには、今はお互いの軍の基地しか無い。後は、遺跡ぐらいか。人は殆ど暮らしていないよ」
「そうなのか。それを聞いて少し一安心」
レックスはそう言って、メレフの後をついていく。
「どうしてだ?」
「もし人が居たら、大変なことになると思ったからね。……でも、人が居ないなら少しは安心出来るかな」
「そもそもテンペランティアは草花が育たない環境でな。人がとても住まうことの出来る場所では無いのだ。……だから、今は共同管轄地とはしているといえ、いずれにせよ、どちらの国が管理するか、ということになるだろうな」
「それは、仮にインヴィディアが支配することになっても、スペルビアにとっては問題無いの?」
「スペルビアには既にグーラという領地がある。そして、スペルビアは最終的にグーラに首都を遷都させる計画もある。それを考えれば、テンペランティアも欲しいところではあるが……」
「インヴィディア側にとってみれば、そうは問屋が卸さないってことか」
「そういうことになる」
こうして、俺達は、テンペランティアに向かうことになった。
その先に何があるのかということについて――今の俺達には分からないのだった。