「その剣……まさか小僧!」
「やはりその瞳、注視しておくべきだったな」
メツとシンがそれぞれそんなことを口にしたが、そんなこと今の俺には関係ない。
俺は、後ろから切り込んできたシンが許せなかった。ただそれだけだったのだ。
「おりゃあああ!」
剣の構えなんて関係ない。
ただ力任せにその両手剣を構えるだけ。
「俺が行こう」
「いや。お前の力をここで使わせる訳にはいかねえ。それはお前だって分かっているだろうが。……俺が出る」
メツが剣を振る。その風圧は思わず吹き飛ばされてしまうほどだった。
「ザンテツ! 行くぞお!」
「おいよっ!」
二人――正確には一人と一匹になるのだろうか――は、走り出す。
俺とホムラも併せて走り出して、俺は剣から炎を、ホムラは防御のシールドを張ることでお互いにカバーし合う。
聞いたことがある。ドライバーの武器はブレイドからエネルギーを供給してもらってその力を発揮する、と。あのときは話半分で聞いていたけれど、今思えば聞いておいて正解だったと思う。
しかし、ザンテツとメツの攻撃に、俺たちは受けの姿勢をとることしかできない。
なんとか反撃に出たいところだけれど……なかなか難しい!
「レックス!」
ホムラが叫んだのはちょうどそのときだった。
「どうしたの、ホムラ!」
「私のかけ声に併せてください。剣を一緒に、もって!」
剣を持つ手がホムラの手に触れる。ちょっと恥ずかしくなったが、そんなことを言っている場合じゃない!
そして、剣を上に構えると、そこから火柱が立ち上った。
「ばあああにんぐ、そおおおおおおおおどおおおおおおおっ!」
そして、炎の柱がメツたちに命中した。
ウズシオはこの混乱に乗じて全員が乗り込み、ゆっくりと動き出していた。
ほんとうなら俺たちもあの船に乗りたいが……そんなことを言っている場合じゃない。
そして煙が晴れると――まだメツたちは生きていた。
いや、生きていたどころじゃない。無傷だ。
「そんな……バーニングソードを浴びてもまだ無傷なんて」
「おめえはいつまでその仮初めの姿で居るつもりだ?」
メツの言葉に、ホムラは唇を噛んでいた。
だが、だからこそ気づけなかった。
モノケロス――メツたちが乗ってきたあの船から砲弾が発射されていたことに。
「ビャッコ! レックスたちを守るんだよ!」
「了解です、お嬢様!」
ビャッコのシールドが俺たちを守ってくれるまで、その砲弾に気づけなかった。
「……ニア? 助けてくれたのか?」
俺の言葉に、ニアはピースして応える。
「ニアぁ! 何をしているのか、分かっているのか!」
「その台詞、そっくりそのまま返させて貰うよ! いったい何がしたいんだよ。何かを手に入れることは知っていたけれど、こんなことになるなんて、人を殺さないといけないんて聞いてないぞ!」
「人間がクズだということは、ニア、お前にだって分かっていたことだろうがよぉ!」
ニアはそれを聞いて、答えることができなかった。
ビャッコがニアの前に立ち、ニアを守ろうとする。
それにしても、このままでは何もできない。逃げようにも船は動かない古代船と、シンたちの船と思われるモノケロス。
「くそっ……こんな時にじっちゃんが居てくれたら……!」
「れええええっくすうううう!」
「……え?」
幻聴が聞こえたのかと思った。
でも、違った。
空を見上げると、じっちゃんが確かに飛んでいたのだ。
「セイリュウ、か。……成程、あの少年とともに居たのならば、納得できる。あいつがあの血筋であるならば……」
シンの言葉は相変わらず訳が分からない。
でも、とにかく今は、逃げないと!
「ニア、ビャッコ! あの巨神獣に飛び移れ!」
「ええっ!」
「あれは俺のじっちゃん……ええっと、味方だ! いいからとにかく早く!」
「わ、分かった!」
もしかしたら分かっていないかもしれないが、ニアとビャッコはじっちゃんへと飛び移っていった。
そして俺たちもまた飛び移る。
「じっちゃん、どうして俺のことが分かったの?」
「お前さんのことじゃ。何か騙されているような気がしていたからのう。それに、あのノポンは何か変なことを考えていたようにも見えるし、現にそう聞いていたからな」
「誰に?」
「ワイがその巨神獣に教えたんや」
突然、第三者の声がして俺は耳を疑った。
振り返るとそこには一人の青年と、女性が座っていた。
どこかで見たことがあるような気がするけれど……ええと、どこだったっけ。
「ボンが、天の聖杯のドライバーか。……ああ、安心せい。今のところは味方や。ボンが天の聖杯をどう使うかどうかによっては敵になるかもしれないがな」
「あんたは……いったい」
「ジークや。そんでもって、こっちはサイカ。ワイのブレイドやな。……ま、詳しくは逃げ切ってからの話とさせてもらおか」
そうして。
俺たちは古代船からじっちゃんを使って逃げ去っていくのだった。
「畜生、まさか小僧、巨神獣を持っていたとは」
メツは舌打ちをして剣をしまう。
「一度、アジトに戻るぞ」
シンの言葉に、メツは首を傾げる。
「追いかけなくていいのか」
「天の聖杯が目覚めたならば、今はそれで構わない」
「ああ。そうかよ」
そうして二人もモノケロスへと入っていった。