ゼノブレイド2の小説的な何か   作:natsuki

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第六十一話 眠る力

 

 世界樹内部の朝は奇妙だった。

 窓など無い。

 空も見えない。

 それなのに。

 壁の一部が淡く発光し、まるで朝になったことを知らせるように周囲を照らしている。

 

「不思議な場所だな」

 

 レックスが呟く。

 

「今さらかいな?」

 

 ジークが笑った。

 

「昨日からずっと不思議やったろ」

 

 確かにそうだ。

 木の中とは思えない施設。

 金属の壁。

 古代文明の痕跡。

 ここが本当に世界樹の内部なのか、未だに信じられない。

 

 

     ◇◇◇

 

 

 一行はさらに上層を目指していた。

 巨大な昇降機を利用し、何層も上へ進む。

 途中。

 何度も古代の機械を見つけた。

 動かないものが大半だったが、中には今も稼働している設備も存在する。

 

「五百年以上前のものなんだろ?」

 

 レックスが聞く。

 

「もっと古いかもしれません」

 

 ホムラが答える。

 

「少なくとも聖杯大戦以前から存在していました」

「そんなにか」

 

 レックスは周囲を見回した。

 いったい誰が作ったのか。

 何のために。

 考えれば考えるほど謎は増える。

 

 

     ◇◇◇

 

 

 その時だった。

 警報のような音が響いた。

 甲高い電子音。

 誰も聞いたことがない音だった。

 

「何や!?」

 

 ジークが叫ぶ。

 直後。

 通路の奥が光る。

 赤い光。

 そして。

 金属の身体を持つ異形が姿を現した。

 

「敵だも!」

 

 トラが叫ぶ。

 全員が武器を構える。

 異形は人型だった。

 だが。

 明らかに生物ではない。

 全身を覆う金属装甲。

 赤く光る瞳。

 機械だった。

 

「何だこいつ!?」

「迎撃兵器だろう」

 

 メレフが剣を抜く。

 次の瞬間。

 敵が動いた。

 

 

     ◇◇◇

 

 

 戦闘は激しかった。

 敵の動きは異常なほど速い。

 しかも連携している。

 

「ちっ!」

 

 ジークが吹き飛ばされる。

 カグツチが受け止めた。

 

「厄介やなあ!」

「数も多いも!」

 

 通路の奥から次々現れる。

 まるで侵入者を排除するために作られた守護者。

 そんな印象だった。

 

「ホムラ!」

「はい!」

 

 炎が走る。

 敵が吹き飛ぶ。

 だが。

 その瞬間だった。

 

「っ!」

 

 ニアが膝をついた。

 

「ニア!」

 

 レックスが振り返る。

 顔色が悪い。

 昨日より明らかに。

 呼吸も荒い。

 

「大丈夫か!?」

「平気だよ!」

 

 即答だった。

 だが。

 平気には見えない。

 

「無理すんな!」

「してない!」

 

 言い返す。

 しかし、立ち上がった瞬間——身体がふらついた。

 ビャッコが慌てて支える。

 

「ニア様」

「大丈夫」

 

 そう言いながら。

 胸元を押さえる。

 何かを隠すように。

 その様子を、ファンは静かに見ていた。

 

「限界ですね」

 

 誰にも聞こえないほど小さな声。

 ホムラだけが振り返る。

 視線が合う。

 二人とも何も言わない。

 だが。

 理解していた。

 何が起きようとしているのか。

 

 

     ◇◇◇

 

 

 戦闘は何とか終わった。

 敵は全て沈黙した。

 しかし、一行の消耗も激しい。

 

「今日はここまでにしよう」

 

 メレフが言う。

 反対する者はいなかった。

 誰もが疲れていた。

 そして。

 ニアは特に。

 

 

     ◇◇◇

 

 

 夜。

 レックスは眠れなかった。

 昼間のニアが気になっていた。

 明らかにおかしい。

 病気なのか。

 怪我なのか。

 それとも。

 別の何かなのか。

 

「……」

 

 天幕を抜ける。

 少し歩く。

 すると、案の定だった。

 ニアがいた。

 一人で。

 壁にもたれかかっている。

 

「ニア」

 

 声を掛ける。

 ニアが顔を上げた。

 

「レックス……」

 

 その顔を見て、レックスは息を呑んだ。

 青白い。

 まるで別人だった。

 

「やっぱりおかしいじゃないか!」

「うるさいね」

 

 弱々しく笑う。

 

「だから平気だって」

「平気な奴がそんな顔するかよ」

 

 ニアは返事をしない。

 沈黙。

 長い沈黙。

 やがて。

 

「怖いんだよ」

 

 ぽつりと呟いた。

 

「え?」

「もし知られたら」

 

 震える声。

 

「みんな離れていくんじゃないかって」

 

 レックスは眉をひそめる。

 意味が分からない。

 だが。

 ニアはそれ以上言わない。

 言えない。

 そんな顔だった。

 

 

     ◇◇◇

 

 

 その時だった。

 突然。

 警報が鳴り響く。

 昨日よりも大きい。

 施設全体を揺らすような音。

 

「何だ!?」

 

 レックスが立ち上がる。

 直後。

 壁が爆発した。

 轟音。

 衝撃。

 吹き飛ばされる二人。

 

「レックス!」

 

 ニアの叫び。

 煙の向こう——現れたのは。

 昼間とは比べ物にならない巨大な機械兵器だった。

 赤い瞳が光る。

 侵入者排除。

 その意思だけを宿した怪物。

 

「嘘だろ……」

 

 レックスが剣を握る。

 しかし、怪物は真っ直ぐニアを見ていた。

 まるで。

 何かに反応したように。

 

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