やはり俺達の恋愛感情は間違っている。   作:まつ壱

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時々見せる顔。

「ハァハァ…」何とか逃げることを口実として戸塚とファーストフード店まで手を繋いでいくことが出来た。 あっ、手を繋ぐではなくて逃げる為だな、うん…。

 

っと自分の思い語りに耽っていると、戸塚に服をぎゅっと握られた。

 

「どうした? 戸塚」

 

「…強引過ぎだよ、もぉ」

 

あのぉ、俺怒られているんだよな? なんでか、戸塚に怒られると心の底から嬉しさが湧き出る。 …不思議だ。

 

「ねぇ! 聞いてる八幡?」

 

「あぁ、ちゃんと聞いている」

 

「ほんとうに?」

 

「う、うん」と頷くと、戸塚はニッコリと微笑み、「じゃぁ、行こうかな」と言いファーストフード店の中へ入っていった。

 

俺もあとを追うように自動ドアを通る。

 

カウンターの所では、テンションが上がっている戸塚がメニューから何を食べるかを選んでいた。 俺も一緒になって考えることにしようかな。

 

さりげなく戸塚の後につく、そして、後ろから覆いかぶさるようにメニューに手を伸ばす。

 

「なぁ、戸塚。もう決めたか?」

 

「八幡は?」

 

「決めてないけど…」

 

「じゃぁ、早く決めて… 八幡と同じものが食べたいから…」

 

これで何回目だろうか? ここまで戸塚にドキッとしてしまうのは。 た、ただ戸塚は俺と同じものが食べたいと言っているだけじゃないか。 その他に深い理由でもある訳でないだし…。

 

何とか危なかっしいこの気持ちを落ち着ける。 もし、何があってからでは遅いしな……。

 

「う〜ん、じゃぁ、この照り焼き香るテリビーのセットで!」

 

「ぼっ僕も同じもので」

 

「テリビーセット二個でお会計1280円になります」

 

店員から言われた通り、指定された金額を支払う。 隣では640円を握り締めていた戸塚が驚き困っている。

 

「えっ? 半分は僕が出すんじゃ?」

 

「今日は戸塚に色々とご馳走になったんだし。 奢らせてくれないか?」

 

「僕、何かしたかなぁ……」

 

「あぁ」と戸塚を戸塚を安心させるように頷く。 ご馳走になったとは言葉の綾なのは黙っておくことにした。

 

 

✕ ✕ ✕

 

 

「うぅぅぅん! 美味しいよ八幡!」

 

「そうだな、この甘辛いタレがパンと肉に染み込んでいてとても美味しいな」

 

出来たばっかりのファーストフード店だったから不安もあったが、この店は当たりのようだ。

 

「ごめんね…、奢ってもらって…」

 

「気にするな、俺ならタダ飯なら喜んでもらうぞ」

 

「八幡ったらぁ……」

 

戸塚もどうやら理解してくれて、さっきまで640円をどうやって受け取って貰うかを悩んでいたぐらいだ。 …ってまだ持っているんじゃないかちょっと不安かも。

 

 

 

 

 

「八幡、スマホ鳴っているよ」

 

戸塚に言われポケットからスマホを取り出す。 ホームボタンを押すと新着メールが二件もきていた。

 

…えっと、何だ何だ。

 

メールの画面を開くと、差出人は雪ノ下からだったので少し怖いが勇気を振り絞って(ポチッ)とメールをタップする。

 

『少し聞きたい事があるのだけどいいかしら… 由比ヶ浜さんがさっきから「ヒッキー、ヒッキー」と言っているけど、何かあったの? ฅ•ω•ฅニャー』

これが、一つ目で。

 

『最後のはただ手が滑っただけだから。 あまり気にしないで。』

二つ目だ……。

 

…ฅ•ω•ฅニャーとは?

 

あの雪ノ下がミスとは珍しい事もあるんだなと感心する。 いやいや、そうではなく…、多分あの時のだよなぁ。

 

教室でのことを思い出す。 しかし、男子同士で恋人繋ぎしたぐらいで…、あれっ!? 男同士でって異常ではないか!?

 

今更ながら、おかしいことに気がつく。 そんな性癖では無いと俺自身でも分かっているが、色々と引っかかる。

 

まぁ、急いでいたからな…、うん。 結局は自己完結してしまった。

 

戸塚はとゆうと、さっきからスマホを見ながら「う〜む…」と唸っている、比企谷を心配していた。

 

「さっきから浮かない顔をしているけど、大丈夫?」

 

「…あっ、何でもないから大丈夫だ。」

 

(本当かなぁ…)と疑っているのか、じっと目で戸塚が見つめてくる。

 

「なぁ、戸塚」

 

「んっ? どうしたの八幡」

 

「顔… タレが付いているぞ」

 

ちょっと照れながら戸塚は顔に付いたタレを拭き取る。 「これで…、大丈夫?」と聞いてきたものだから、恥ずかしさのあまり自分の顔を伏せた。

 

「ねぇ、八幡?」

 

「あぁ、安心しろ。 もう取れているから」

 

「良かった」

 

それは、ニッコリとした満面の笑みだった。 …もうこのまま、戸塚をお持ち帰りしたくなったのは内緒にしよう。。

 

そして、それから時が経ち。 食べ終えた紙くずを捨て、残りのジュースを勢いよく喉に通す。 むせ返りそうになったが、何とか止める事に成功した。

 

 

✕ ✕ ✕

 

 

「今日はありがとうね…、とても楽しかったよ」

 

「そうか、まぁ、俺も楽しかったのは言うまでもないがな」

 

「ふふ、八幡らしい」

 

嬉しそうな戸塚を見つめ、今日の事を振り返る。 色んな問題があったが俺が出来ることはやったと思う。 …どうしようもないのが一件あったが。

 

由比ヶ浜には明日にでも弁解して、今日のところは潔く帰ることにした。

 

案外戸塚の家とファーストフード店が近く。 戸塚とは直ぐのお別れとなり、少し悲しい。

 

「それじゃぁね… 八幡!」

 

「それじゃ。 戸塚」

 

そして、俺は一人で歩き出した。

 

『明日の恐怖』に向かって……。

 

 

 

 

 

 




誤字脱字があると思います、もし良ければ、コメントをよろしくお願いします……。
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