魔法科高校の劣等生 殺人特化魔法師の暴走 (凍結) 作:tsrg
2019/4/30
最後の部分を変更しました。前の終わり方だと、次に繋がるストーリーが全く思いつかなかったので。
1月28日土曜日 夜
学校を休んで睡眠時間を確保した黒河は、漸く眼を覚ましてCADを手に取り行動を開始した。各勢力の情報は随時四葉から送られて来ている。現在シリウスと吸血鬼が戦闘中の現場へ急行する。
「達也?」
そこには吸血鬼の姿は無く、シリウスと対峙する達也の姿があった。そして、あろうことか投擲榴散弾を自身にも当たるような距離へ放り投げた。
「アホかアイツ!」
咄嗟に達也の周囲に障壁魔法を展開する。
「黒河?」
「っ!」
「俺も混ぜてくれよ?」
黒河は早速新魔法の実験を行う事にした。
加重系プラスコードを用いた魔法、ポリニトロバースト。三校は論文コンペのプレゼンで、金属酸素を作り出そうとしていた。金属酸素生成に必要な圧力は約100GPa。これが達成出来るのなら、21世紀初頭にドイツで発表されたポリ窒素の生成に必要な圧力、110万気圧も作れるのではないかと黒河は考えた。収束系で窒素を集めて閉じ込め、振動系で断熱と内部の加熱をしながら、加重系プラスコードを用いた魔法を魔法演算領域の許す限り一度に大量に重ね掛けし続ける事により、ポリ窒素を大量に生成して一気に解放し、爆発を引き起こす。
ポリ窒素生成の副産物の超高温の熱と、不安定で高いエネルギーを持つポリ窒素の引き起こす爆発がシリウスを襲った。
咄嗟に障壁魔法を発動したものの、防ぎ切れずに何回か張り直したようだ。相手方は軽い火傷と疲弊、此方は化け物級の魔法師二人、勝敗は既に明らかだ。
「お前なぁ、障壁魔法碌に使えないのになんて無茶しやがる!」
「今のは窒素化合物か?」
「魔法の解説は後でしてやる。今はコイツだ」
シリウスは黒河と達也を睨み付ける。
「喰らえ!」
黒河は専用のCADを取り出して、もう一つの新魔法、タービュランスを発動した。指定したエリア内にプログラムで作用点とベクトルをランダムにとった不可視の弾丸を同時に100個マルチキャストする。比較的単純な魔法式の為、黒河の魔法力ならばこれだけ同時発動が出来る。更に1秒間隔で次々に別の100個の起動式群が黒河の魔法演算領域に送られていく。新魔法と言っても、魔法自体はただループキャストの機構を外しただけの不可視の弾丸だ。
シリウスが圧力の奔流に晒されて吹き飛ばされ、着けていた仮面が剥がれた。
追撃しようとした黒河だったが...
「キャアアアアアアア!!!」
シリウスが突然悲鳴を上げた。
「はぁ?」
「誰か、誰か助けてっ!」
その直後、突如として制服警官が四方から一人づつ現れた。
「達也、そっちの二人は任せるぞ」
「了解」
黒河は普段使いの腰に装着している端末型の汎用型CADを起動させ魔法を発動させた。
収束・放出系複合魔法、ライトニングスフィア。球状の低圧領域を作り出し、周囲から球内部に電子を放電させる。
制服警官二人は為す術無く2つの球体に呑み込まれ、気絶した。
達也の方は、警官が二人凍りづけにされていた。
...
「ん?」
黒河はその光景に違和感を覚えた。
(あいつあんな魔法使えたっけ?)
ふとその奥を見ると、そこには達也の妹司波深雪と見知らぬ僧侶がいた。
(あぁ、妹が来てたのか。あの坊さん誰だ?)
ふと目を離した隙に、近くでシリウスが攻撃態勢に入っていた。
黒河は再度タービュランスを発動した。
シリウスも再度地面を転がる。
達也達は未だに談笑中だ。
「おい!コイツの対処を俺一人に押し付けんな!後にしろ!」
「あぁ、すまなかったな」
「で、どうすんの?殺す?」
「いや、それは外交的にマズイ」
「じゃあ捉えて晒すか」
「...戦争を引き起こしたいのか?」
「洗脳して駒に...」
「やってくれたわね...それにさっきから好き勝手な事ばかり...」
シリウスがゆっくりと起き上がる。
「まだ元気たっぷりのようだな。腕と足一本ずつ消しとくか」
「やめておけ。リーナ、訊きたいことがあるんだ」
「...力尽くで訊問するつもり?」
「訊問というのは大概、力尽くなものだと思うが?」
「俺もう行っていい?コイツのバックアップチームの方襲撃してきたいんだけど」
「ちょっと待って!」
「いや、今日の所は家で休んでくれ。明日の朝、学校で詳しく説明したいことがある」
「了解。じゃあな」