魔法科高校の劣等生 殺人特化魔法師の暴走 (凍結) 作:tsrg
第一話
国立魔法大学付属第一高校一年A組所属、一科生であるその少年の名は黒河透。特に有名な家系の出身ではないが、その魔法力は一科生の中でも抜きん出ていて例年ならば確実に新入生総代を務めていたであろう。そう、
黒河は生徒会と学内の差別撤廃を目指す有志同盟による公開討論会の会場で大きな欠伸をしていた。というのも、面白そうなイベントだと思い足を運んでみたものの同盟側の答弁が稚拙すぎて、生徒会側の代表者である生徒会長 七草真由美の独擅場となってしまっていたのである。そんなわけで討論会もそろそろ終盤、生徒会長が締めの演説を終えて会場全体が拍手に包まれている。
その時、突如として轟音が鳴り響いた。
「ん?何?これ?」
黒河は混乱を露わにする。
そして、何故か同盟のメンバーの拘束を始める風紀委員。さらに窓を割って飛んでくる榴弾。しかも、すぐに窓の外に逆戻りをした。一瞬のうちに様々な事が起こる。それに対して黒河は...
「何?事件?テロ?それとも戦争?まぁどれでもいいや...
すぐに講堂の外に飛び出した。
「おい!待て!一人で飛び出すのは危険だ!CADを持っていないんだろう!?」
風紀委員長の制止の声を無視して...
「アイツ!...」
「では俺は、実技棟の様子を見てきます」
「お兄様、お供します!」
「気をつけろよ!」
風紀委員長は、現場の指揮とともに、先程一人で飛び出して行った生徒の援護に行ける人員の確保に動き出した。
飛び出して行った黒河の方はというと
講堂前一帯が闇に呑まれていた。黒河の魔法によるものである。
光波振動系魔法 ニザヴェッリル
北欧神話において黒い野を意味する世界の名前を冠する魔法。
この魔法の工程は二段階に分けられる。第一段階で設定したエリア内に存在する全ての光波の波長を遠赤外線のレベルまで長くする。そして、第二段階でその光波の
この魔法によって講堂前のテロリストは全員金属製の装甲以外の部分や露出していた肌を焦がされ、さらに視界が確保出来ない状況によって混乱の様相を呈していた。そこに追い撃ちをかけるように、ニザヴェッリルが解除され新たな魔法が展開される。
発散系魔法 ヘルヘイム
こちらも北欧神話に登場する死者の国という意味の世界の名を冠している。
魔法の構造は至ってシンプル。設定したエリア内に存在する窒素を液化させる。シンプルではあるが、その事象改変規模の大きさからかなりの干渉力を要求される。
これによって、抵抗力を失っていたテロリストは液体窒素の海に沈んだ。そして、ヘルヘイムが解除された瞬間液化していた窒素が気化し始め、テロリスト達の体内でも膨張してその身体が弾け飛んだ。これで一人残らず死亡が確定した。
「.....つまらない。もう終わりか?」
黒河は失望を露わにした。
そこに、風紀委員長の要請を受けて援護に駆け付けた生徒達が到着する。
「は?...」
「おいおい...なんだこれ」
「嘘...」
黒河は笑みを浮かべて
「あぁ...遅かったな、獲物は全員俺が殺してしまったよ」
上級生に対する敬語も投げ捨てて、嘲りのニュアンスを伴った言葉を発する。
魔法科高校には特殊な事情を抱えた生徒も多く在籍する。高校生といえど、荒事の対処が可能な生徒も少なくない。しかし、実際に躊躇なく人を殺せる生徒となるとその数は激減する。今回援護に駆け付けた生徒は前者が圧倒的に多かったようだ。その目に浮かぶ感情は恐怖。
異常者の異常性が発覚した瞬間だった。