FFダンジョン’s冒険譚   作:紫苑試験式

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文字通り。
書いたの昔過ぎぃ!
どうも、ご迷惑をお掛けします。


全滅

 いつまでこうしていればいいのやら。

 身を潜めた岩陰で、目の前を通り過ぎて行く魔物の群れをやり過ごす。

 先程からまるで金魚のフンみたいにわらわらと、うんざりする程行列を作ってるのはゴブリンの集団である。

 どうやらかなりの大物が率いているらしく、此処までの大所帯で行動しているのは異例のことだろう。

 ここ『天と狭間のダンジョン』の地下2/20階層では基本的にFFⅠ・Ⅱの序盤のモンスターが生息しているみたいだったのだが、先程から見ていてどう考えてもヤバそうなのが混じっている。

 

 

now serch libla……ブラックゴブリン Lv20 装備:珊瑚の剣

 

now serch libla……レッドキャップ Lv25 装備:皮の鎧 ミスリルシールド ウィンドスピア

 

now serch libla……ゴブリンプリンス Lv?? 装備:??

 

now serch libla……???

 

 

なんか、もう……ね?

 

 

 

 

 

 確認しておくが、此処は初級のダンジョンだ。

 5層フロアボスも、いいところでLv10〜15くらいのものなのである。

 ここで四苦八苦するようでは無かったので、そのLv4〜5くらいの誤差には対応出来るものの、はっきり言って今の状況には完璧に詰みである。

 巫山戯るな、と言いたい。

 

 4人パーティーで4層辺りに潜ってその帰りに先方を務めていたゴブリン・ゴブリンガードの群れに遭遇し、経験値稼ぎ(狩り)宜しく無双して討伐数を競争したりしていたのだが……。

 いつまで経っても減らないのにいい加減うんざりした赤魔術師のラルド君(Lv13)が、ドロップを放棄しての全体掛け魔法を――

 

 

「いかずちよ!サンダー5!」

 

 

――と、若干決め顔でぶっ放す。

 このパーティーのリーダー格(……?)であるらしいお貴族様〜な彼は、低級層では十分な威力を発揮するFFⅡ式で熟練度5レベル代の魔法を取得しているのをよく自慢していた。

 確かに、低級のゴブリンらレベルのザコになら十分であったのだが……

 

 

『反撃《カウンター》・固定サンダガ』

 

 

 敵群にヒットした直後、頭の芯に響いて来るようなナレーションが何処からともなく聞こえて来て。

 ラルド君のソレとは比べ物にならない光量の稲光が視界を満たし――

 

 

「がばばばばっ!?」

 

「ぐ、ぐぁぁぁぁ!?」

 

 

――身を叩く轟音となって雷撃が横殴りにラルド君へ直撃。

 辺り一帯のゴブリン達諸共に巻き込んで、爆風が荒れ狂う。

 俺も当然巻き込まれて衝撃でブッ飛ばされたのだが。

 位置的に戦士のアズレイ君(Lv11)を挟んでラルド君とは反対側に居たために、全身甲冑《フルアーマー》であるアズレイ君が避雷針の様な役割りを果たしてくれたようで、感電はなどは殆どしていなかった。

 呆然として、何が起きたのか整理の付かない内に視界が晴れると、そこには黒焦げに炭化していて即死しているであろうラルド君と、肉の焼ける鼻に付く匂いで重傷だろうアズレイ君の姿。

 ……そして、この惨劇を生み出した、一回り大きくて青と黄色の配色のゴブリン。

 

 

「ひっひっひ、引っ掛かりおったな!いかづちを倍にして返してやったわ!」

 

 

 このゴブリンのものと思われるひしゃがれた声に、咄嗟に草陰に身を隠せたのは我ながらいい判断だった。

 ジョブスキルの『隠れる』を発動、身を伏せて渦中の場所を伺い見る。

 幸いにもどうやらこちらには気づいてない様で、取り敢えず緊張からホッとため息を付く。

 

 

「き、きゃぁぁぁぁぁぁぁ!!ラルド様ぁぁぁぁ!!!」

 

 

 しかし完全に慮外であったもう一人のパーティー仲間で白魔術師のリリィさん(Lv9)が錯乱して、止めようとする間もなく、ラルド君の亡骸に近寄ってしまう。

 ……あー、結局君もイケメン主義だったのか、と、場違いな感想が浮かぶ。

 確かに蘇生呪文《レイズ》なら復活も可能だが、先ずはアズレイ君を回復させないと、どうにもならないのだが。

 

 ……こんな時に考えることでも無いが、道理で、アズレイ君の不器用ながらも健気なアプローチはスルーされていた訳だ。何というか、哀れだ。

 

 そんな呪文詠唱の間など与えてくれるはずも無く、先程のゴブリンが接近してきて殴られて気絶させられ、更にいつの間にか湧いて来たゴブリン系の色違いらに連れ去られてしまう。

 助けるにもシーフ(Lv12)の俺では一人で立ち回るのは無謀であるし、何よりレベル差は絶望的だ。

 こっそりと《ライブラ》の呪文で窺い見たモンスター達は、ゴブリンと言えども上級種らがおり、しかもこちらを全滅に追い込んだ例のゴブリンに至っては格上過ぎて種族すら分からない。

 ……つまりは、最低でもLv20以上差のある化け物である。

 

 推測になるが、そこまで高レベルのゴブリンというと……もしかしなくともリルマーダーなのか……?

 歴代FFの中でも最強格のゴブリンであり、大抵は最後の方のダンジョンなんかででてくるやつだ。

 ……実の所、こいつが出てくるあたりまで進んでいれば自キャラとの相対的にあまり問題にはならないモンスターなのだが、勿論今の俺では論外もいいとこ、手に負えない。

 

 そのまま何も出来ずにじっと潜んでいると、踏み潰されて粉々になったラルド君とゴブリンガードらに群がられていたアズレイ君がクリスタル結晶化してしまう。

 やるかはともかく、あのクリスタルを回収して大神殿に持って行けばまだ助かる可能性もあったのだが、それも叶わずにゴブリン達が砕いて吸収してしまったのであった。

 南無三。

 

 

 

 

 

――とまぁ、そんな感じであっという間に全滅してしまった我がパーティ。It's a パーリぃ。パリーン!

 

 ……などと途方に暮れつつも、生きる気力というものが今の所特に無い俺は、どこまでも客観的に事態を把握に勤めていた。 

 まぁ出来ることも特にないので。

 

 

 まず、このゴブリン種の混成での大群は通常では有り得ない。

 根拠は、ゴブリンの知性。基本的に余程の上位格でない限り行動パターンが単純なゴブリン達は、下位になればなるほど多数での統制など取れようはずもないからだ。

 現に群れを成して曲がりなりにも行進していくゴブリン達の中には、チョロチョロ動く緑バンダナタイプのゴブリンを鬱陶しく感じたのか、黒装束のそれ(ブラックゴブリン?)が剣を振り回して虐殺したりしている。

 だが、それに怯えつつも、他のゴブリンらは行進の流れを離れて逃げること無くダラダラ歩いていく。

 

 そもそも先には魔物不可侵の領域――冒険者村《ベースタウン》――くらいしか無い路を行くこの流れが、一体何を目指しているのかなど気になるところだが。

 それより重要なのは、この群れを何者かが何らかの方法で支配しているのではないか?という可能性だ。

 

 例えば歴代の魔王。種としてのカリスマでなのか、数多くの魔物達を束ねる、言わば悪の象徴とも言える存在。

 この世界にも存在するらしい、神なる輩が俺達を此処へ導いた目的である。

 他世界から転生を果たした歴代魔王の面々は、神々の刺客たる勇者との戦いなどで消耗または失った力を取り戻し蓄えるために、モンスターの巣窟となって手に負えなくなっていた次元の狭間であるこの世界――次元《ジェイド》――の深部に潜り、そこまでの領域を迷宮《ダンジョン》として神々が隔離し、世界自体も現世から封印した……らしい。

 

 ……というのが教会(神様陣営)の語る世界観であるが、実のところこの《ジェイド》、隔絶したというにはかなり広大で、始まりから凡そ百年は跨いだと思われる現在も未だに埋まり尽くしていない領域が多々あるのである。

 臭い物に蓋をしたのが実情だろうことが、プンプン臭う。

 因みに、ウボァーの人ん家の手前のラストダンジョンと同じ名前だが、こっちの方がデカイと思われるし、完全に別物である。

 

 思うに、既に魔王陣営はこの次元(ジェイド)を支配するのを目的に切り換えているのだろう。

 

 魔物や都合のいい資源が眠る世界……発展するのは両者による陣取り合戦である。

 そうして奇しくもダンジョンに挑む冒険者社会のパーバランスが形成されて、統治された場所から陣取りの最前線まで順に段階を踏めば、それこそRPGの如く力を付けていくことができるのだと言うのだから、ゲームの設定も強ち馬鹿にできない。

 

 

 超閑話もいいとこに休題。

 

 もしもそんなラスボス級な神様の敵対者らによるものであるならば、この規模の群れの支配も可能であろうが、例え歴々で一番弱いとされる奴でさえ、今現在の人間勢トップクラスが背伸びして当たってやっとというレベルなのである。

 可能性として有り得なくも無いが、であるならばこんな辺鄙な――既に神々によって統治されている――場所ではなく、激戦区である空白地帯――神の未加護地――に攻め込んでいるだろう。

 それほどに、此処次元(ジェイド)は広い。

 

 

 とまぁ、そうなると他に考えられるのは……種の長である“統制者”の存在か。

 

 

 

now serch libla……hit of boss class……種族 ゴブリンキング Lv??

 

 

 

 そう、ゲームで言う規模の大きいダンジョン等でのボスモンスターである。

 某四天王の様に程度の差は激しいが、言わば中ボス格とは一線を画する存在。

 誰が考えたのかは知らないが、冒険者の間での専門用語であり、“ダンジョン”の再奥で構える筈の奴である。

 それでもこの数を動かす絡繰は分からないが。

 

 こんな所まで出張られては堪まったものではないのだが、コイツが原因か。

 

 明らかにレベルも無茶苦茶そうだが、ボス特性で名前だけが判明する。

 FFCC登場だったか、名前だけは覚えているのだが……こんなにデカかったか……?

 

 

「……いやいや、そりゃ無いでしょうよ。只でさえ意味分かんないのに、そりゃ無いでしょうよ……」

 

 

 大事なことなので三回言う。そりゃ無いだろう。

 不可解だった統制者クラスの進出。その原因はすぐ側に在った。

 6m超えの化け物の肩に佇む一つの影。

 

 それは、ゴブリンでも他のモンスターでも無く。

 

 

「……悪堕ち、か」

 

 

now serch libla……hit of human……???? Lv?? ジョブ:闇魔物使い

 

 

――神が施した加護による結界は、冒険者のみを行き来させるフィルターの役割を果たしている。

 それはどんなジョブに就いていようと代わり無く、中にはモンスター自体が仲間にする様なものもあったりする。

 魔獣使いや獣使い、果てには話術師なんていう敵を直接勧誘するようなのまで。

 中央街《セントラルシティ》でティアマットを連れてる高レベル冒険者を見かけた事があるし、モンスターを連れ込むのは可能だ。

 

 そこで、こいつら。

 もし、仮にこの規模の群れ全てを傘下に置いているのだとしたら?――

 

 

「地獄の前線の出来上がり、ってか」

 

 

 フードを被った、黒ずくめのローブに身を包む人物。

 ライブラで、人であることは判明している。

 野生の本能でなく、人間の知性によって襲い来る魔物の群……否、軍。結界を越えた先に訪れるのは、文字通りの地獄だろう……

 




FFジャンルがもっと増えれ(自分が積極的に増やしにいったりはしない)

偉大なる先達であるDQダンジョンのFF版目指して書き始めたようです(発掘したUSBに意気込みが書いてあった)
週一投稿目指します(今年のとは言ってない)
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