そんなに長くはならないと思いますが、「サイコレンジャー」の合間にやっていくので完成はもう少し先になるかと思います
駄文ですがお願いします
時は室町、国は吉備。桃太郎の鬼討伐から3年が過ぎた頃。
桃太郎と仲間達の活躍によって一度は壊滅状態に陥った鬼達ですが、いつの時代も悪い奴とはしぶといモノです。この頃には新興勢力が現れて諸国各地で悪行三昧を働いておりました。
さて、そんな時代、岡山県のとある農村。
ここでお婆さんは桃太郎が鬼退治を成し遂げた後も変わらぬ生活を送っていました。
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バチャバチャ、ゴシゴシー
お婆さんは例の桃を拾ったあの川で今日もあの頃と変わらぬままに洗濯をしています
「さて、これで最後だね…」
お婆さんはど真ん中に『日本一』と書かれた赤くて派手な褌を川から拾い上げて、それを他の洗濯物と同様に持ってきた籠に入れると、立ち上がって帰路につこうとしました。
そんなお婆さんの耳に遠くの方から何だかガラの悪そうな声が聞こえてきます
「あー、だりぃ。超だりぃ」
「てかお前さぁ、今日ツノ、超ヤバくねぇ? 絶対もうちょっと立てた方がいいって。俺のワックス貸してやろうか?」
お婆さんがふと声のした方角を見てみるとそこには四体の鬼の姿がありました
奥の方から、青鬼、赤鬼、黒鬼、黄鬼です
「てか、今、立てるのだりぃからむしろ早く仕事終わらせて帰りてぇわ」
ツノをワックスで固めるように促された青鬼がそう言うと、促した方の赤鬼は呆れた様に言いました
「お前、本当すぐだるがるのな。マジでダルビッシュ」
さて、そんなことを話しながら、畑の前に到着すると鬼達は一斉にその中へズカズカと侵入していきました
そして、黄鬼が言います
「おー、あった、あった。うまそうな大根だ。よーし、貰っていこうぜ!」
「おー、やるべ、やるべ」
黄鬼の号令に従い、鬼達は畑を荒らしだします
「あぁ! アイツら、また人の家の畑を荒らしにきたんだね…。よーし、今日という今日は許さない。コラー、鬼どもー!」
お婆さんは思わず鬼達の前に飛び出しました。
そんな姿を見て青鬼が言います
「うわ、なんだ、コイツ。なんか来たんですけどー」
「コラ、鬼ども。お前達は何の権利があって人の畑から勝手に野菜をとってるんだい!?」
お婆さんが言うと赤鬼、黄鬼が次々叫びます
「なんかコイツ、キレてるんですけど」
「うぜぇ、超うぜぇ。コイツどうするよ」
そして青鬼はお婆さんの腕を掴みますが、お婆さんはすぐさまその手を振り払いました
「なんだい、なんだい。アンタら年寄りに暴力振るうのかい。卑怯だねぇ」
「うーん、ぐぬぬ、マジうぜぇんですけど!」
「どうせ殴れないんだろ、意気地なし~。やーい」
「ぐぬぬ」
青鬼、赤鬼、黄鬼とお婆さんがそのようなやりとりをしていると、それを見かねたのか、後ろから今までずっと黙っていた黒鬼が出てきました。
コイツは他の鬼たちとはやや雰囲気が違います。お婆さんも思わず身構えました
「おい、どけ」
「あぁ。わかったよ」
青鬼が後ろに下がるのを確認すると黒鬼はいきなりお婆さんを突き飛ばしました
「痛ッ!」
痛がるお婆さんを見て黒鬼は言います
「オイ、ババァ。人間風情が俺達鬼に口答えしてんじゃねぇ。命だけは勘弁してやる。これ以上殴られたくなかったら黙ってそこで見てろ」
他の鬼達は黒鬼の迫力にやや気圧されながらも、続いて言いました
「ハハハ…、ハハハ…。そうだ、そうだよな。ハハハ…」
「バーカ、バーカ」
そして、鬼達は再び畑を荒らし出しました。
それを見たお婆さんは腰を押さえながら立ち上がり、独り言の様に言いました
「あいたたた…。くそ、アイツら、好き勝手しやがって。こうなったら、アイツを呼ぶしかないね…。桃太郎~!」
カラン、コロン、カラン、コロンー
お婆さんが叫ぶとどこからともなく下駄の音が聞こえてきました。
その音に気をとられた一同が一斉にそちらを見ると、そこへ現れたのは派手な着物を着た背の高い青年でした。
彼は下駄の音をさせながら鬼達に近づき、言いました
「オイ、お前ら。畑泥棒はまだしも、年寄りに暴力振るうのは見逃せねぇな」
いかにも生意気そうな口をきく青年に、青鬼が叫びます
「何者だ!」
「てめぇらか。ここらで悪事を働いてるっていう鬼は」
青年が敵意満々といった感じで言うと、鬼達も口々言います
「何だ、貴様は」
「名を名乗りやがれ!」
青年はそれを鼻で笑って言います
「やなこった」
「なんだと!」
「だって無駄じゃねぇか。これから死ぬ輩に名前教えてやってもよ」
「貴様…!」
逆上した青鬼が青年に勢いよく飛びかかりますが、軽くいなされ反対に蹴りをくらってしまいます
「ふぐッ…うぅ…」
唸り声をあげて苦しむ青鬼を尻目に青年は言い放ちます
「どうやら死に急ぎたいらしいな。仕方ない。そんなチャレンジ精神に応えて名前だけでも教えてやろう」
しかし、今の一撃で青年と同様、青鬼の気も変わってしまったようです
「うるせぇ、これから死ぬ奴の名前なんざぁ、聞いても無駄だ!」
青鬼がそう叫んで飛びかかったその時、青年の腰の鞘がキラリと光を放ちました。
そして次の瞬間、一同の目に映ったのは、刀を抜いて仁王立ちする青年と、その足下で血を流して倒れる青鬼でした。
恐ろしく速い居合い。そう感づく鬼達。
それに対して青年は「一つ、人の世の生き血をすすり…」と、
なんだか、やたらと格好つけた長々しい名乗りを始めました。
鬼達がそんな隙だらけの所を見逃すはずはありません。
ここで、すかさず、赤鬼が後ろから飛び掛かります
「ハッ、危ない!」
見ていたお婆さんも思わず、そう叫ばずにはいられませんでしたが、青年は動じませんでした。
青年は背中に目でもついているかの如く、鬼の奇襲をヒラリとかわすと、今度は反対に露わになった赤鬼の背面を袈裟に切り下げます。
ズバッー
赤鬼の身体から血が噴き出すと、青年は続きを名乗ります
「二つ、不埒な悪行三昧」
そこまで言った所でまだ大根を掘っている黄鬼をついでのように突き刺し
「三つ、醜い浮き世の鬼を…」
と言うと、最後に刀を黒鬼に向けて思いっきり見栄を切りました
「退治てくれよう桃太郎!」
それを聞いて黒鬼が叫びます
「貴様があの名高い桃太郎か!」
自らを桃太郎と名乗った青年は不敵に笑みを浮かべながら言いました
「そうだ、だがすまねぇ。間違えて名前言う前に3人も斬っちまった。お前さぁ、これからあの世行くじゃん? だからさぁ、あっち行ったら今の三人慰めてやってくんねぇかな。『相手はあの桃太郎だ。一撃でやられても仕方ない。俺も一分もたずにやられちまったんだ』ってなぁ」
「面白い冗談だ。だが、俺は他の奴とは一味違うぜ!」
そう叫んで飛びかかる黒鬼の迫力には、確かにそれを納得させるモノがありました。ですが、その程度では桃太郎には通じません。桃太郎は飛びかかる黒鬼の爪をかわしながら腹を斬り、更にそこから背中を斬りさげました
「そんな…バカな」
すると、黒鬼はまるで自分でも『何が起こったのかわからない』といったようなア然とした表情で、その場に崩れ落ちてしまいました
「ふん、口程にもねぇ。あーあ、ブランド物の刀が血で汚れちまった」
そう言ってシャネルの刀についた血を払う桃太郎にお婆さんが駆け寄ります
「桃太郎! よく来てくれたね。格好良かったよぉ。そういえば長い事お前と暮らしてるけど、鬼退治してる所を直接見るのは初めてだねぇ」
「あ? そうだっけ?」
「うんうん、立派になったね、桃太郎。きっと柴刈りに行ったまま帰らぬ人になったお爺さんも喜んでるよ」
そう言うお婆さんをよそに桃太郎は荒らされた畑を見て呟きます
「いや、でもそれにしても酷いもんだ。こんな村にまで鬼が出るようになるとはね。これじゃあ死んだ爺さんも安心して眠れねぇな…」
それを聞き、お婆さんは目を見開いて言います
「桃太郎、アンタまさか!?」
桃太郎は力強く頷きます
「もう引退したなんて言ってられねぇよ。婆さん、俺、また鬼退治の旅に出る」
「桃太郎や、止めても無駄なのかい?」
「あぁ。奴らを倒せるのは俺しかいないからな」
「わかったよ、桃太郎。黙ってこれを持ってお行き…」
そう言うと、お婆さんは懐から巾着袋を取り出して桃太郎に渡しました
「婆さん、もしかしてこれは例の…」
「そう、手榴弾だよ」
桃太郎は巾着袋を地面に叩きつけます
「きびだんごじゃないのかよ!」
「お前、何を言ってるんだい。きびだんごなんかより手榴弾の方がずっと役に立つじゃないか」
「そりゃあね、鬼相手に投げつければ効くだろうけど…」
お婆さんはため息をつきました
「はぁ、投げつける? アンタ馬鹿だねぇ~」
「なにが馬鹿なんだよ、手榴弾は相手に投げつけるモノだろうがよ」
「いいかい、桃太郎。これは、鬼に捕まった時に使うんだよ。敵に捕まって辱めをうけるくらいなら自ら命を絶ちなさいってこと。使い方、学校で教わらなかった?」
「アンタいったい何時代の教育うけてるんだ?」
「私には学びなどない。だがその代わりに熱いハートがある。お国の為に死んできなさい」
謎の発言を続けるお婆さんに遂にブチ切れた桃太郎は叫びます
「もういいわ! もう俺、鬼退治行くから!」
そうして、桃太郎が歩き出すと、それを見てお婆さんが噛み締めるように言います
「ちょっと、ちょっと待ちなさい、桃太郎…」
「な、なんだよ。なんだかんだ言って心配になったのか?」
育ての親の態度に桃太郎は照れを隠せない様子でしたが、お婆さんが言いたいのは違う事でした
「桃太郎…。鬼ヶ島は反対だよ」
「いいんだよ! 鬼ヶ島へ行く前に犬、猿、雉を連れ戻しに行くんだから! じゃあな、ババァ!」
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こうして鬼退治の旅に出発した桃太郎。
秘伝のきびだんごを持たない今回の旅。
桃太郎はまず、お供の一人、犬が暮らす街へと足を運びました