1.スライムの衝撃~友の声~   作:清水一二

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仲間たちは言葉を失い、二匹を見守っていたが、やがて一匹が口を開いた。

 

「こいよ。合体するんだろ」

「受け入れてくれるのか?」

「当たり前だろ」

 

ダニエルがうれしそうに跳び上がり、二段の頂点に着地した。合体に成功した瞬間、キングスライムの体が橙色に変化した。

 

途端に、巨体の大きな目がまん丸に見開かれた。仲間のうちの一匹が叫ぶ。

 

「なんだこれ!? どういうことだよ!」

 

そのとき、茂みが思わせぶりにさざめき、キングスライムベスに緊張が走った。巨体を強張らせ、身構える。

 

草を掻き分け、馴染みのある巨体が現れた。勇猛そうな堂々たる体躯、ぷりんっとしたやわらかそうな空色。キングスライムだ。

 

その顔に木の影が落ち、色濃く濁って、ひどく異質に見えた。凶悪な生物そのものだ。

 

獲物を狙う鋭利な視線が、キングスライムベスの心の臓を射抜いた。

 

「ご、誤解だ! ボクたちはキングスラ――」

 

キングスライムが跳び上がった。

 

本来なら味方なのだ。その攻撃に、キングスライムベスは敵対するわけにもいかず、まごついた。眼前に、巨体の底が迫ってくる。息つく暇もなく、キングスライムベスは顔を蹴られた。その衝撃でふっ飛ばされ、木の幹に背中がぶち当たる。

 

攻撃の隙を与えないためか、キングスライムが素早く飛び上がった。重力にまかせ、見るからに重量のある巨体の底がキングスライムベス目がけ、落ちてくる。

 

空気を切り裂く鈍い音がキングスライムベスの心臓を凍りつかせた。キングスライムベスは激痛を堪えながら、慌てて分散した。あっという間に、空色の小さなスライム集団が現れた。

 

それでもキングスライムの速度は緩まず、巨体の底がスライムたちの真上に迫り、いまにも押しつぶさんとしていた。

 

「避けて!!」

 

その声を受け取る前に、スライムたちは弾けるようにして散らばっていく。キングスライムの巨大な底辺が、幹に激突した後、くるりと宙返りし、華麗に着地した。

 

「ごめん。まさかスライムだとは思わなくて」

 

スライムたちは安堵の吐息を漏らしながら、キングスライムのもとに集まっていった。

 

「仕方ないよ、ボクたち橙色だったから。それもこれも」

 

小さなスライムたちの大きな目玉が、二匹の変わり者を睨みつけた。橙色をしたスライム――ダニエルとレベッカだ。

 

ダニエルが申し訳なさそうにうつむいた。

 

「ごめん。でも僕たち、悪気があったわけじゃ――」

「全部おまえたちのせいだ!」

「出ていけ!」

「二度と顔を見せるな!」

 

口々に罵られ、二匹は声を吞み込んだ。仲間たちを傷だらけにしたのは自分たちなのだから、責められても仕方がなかった。

 

二匹は泣きそうな想いを引きずるようにして、仲間たちに背を向けた。重たい足取りで、茂みの中に入っていく。振り返ると、キングスライムが仲間たちに頭を下げていた。

 

その光景に、ダニエルの胸は引き裂かれんばかりに痛んだ。

 

「ごめん……あやまるのは僕たちのほうだ」

「みんなは許してくれないわ。でもわたしは、あなたと恋に落ちたこと、後悔なんてしてない」

「僕もだ……」

 

そう答えたものの、ダニエルの全身からはとめどなく哀愁が漏れていく。未練を断ち切れないまま、前を向いた。

 

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