僕とウチと恋路っ!   作:mam

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僕とみんなと試召戦争(Bクラス戦)
僕とみんなとBクラス戦part01


 期末テスト最終日の放課後。

 テストも無事終わり、解放された気分に浸っていると

 

「明久。テストはどうだった?また名前を書き忘れたとか、面白い事してないか?」

 雄二が笑いながら聞いてきた。

 

「そんな事、毎回しないよ。あれはたまたまだって」

 僕がそう言うと、雄二が小さく肩をすくめながら

「そうか、それはつまらんな。お前の慌てふためく様を見て笑おうと思っていたのにな」

「今回のテストでは本当に雄二と姫路さんにはお世話になったよ」

「…………俺からも礼を言う」

 いきなり僕たちの会話にムッツリーニが入ってきた。

 

「ムッツリーニも今回は成績上がりそう?」

 僕の問い掛けに、グッと親指を立てて返事をするムッツリーニ。

 かなり良い点数が取れていそうな雰囲気だ。

 …………良い点数と言っても僕たちの普段の点数が“地を這うが如し”だから、高が知れてるけど。

 するとそこへポニーテールをピコピコ揺らしながら美波がやってきた。

 

「アキ。テストはどうだった?」

「うん。今までテストを受けた中で一番手応えがあったよ」

「それは楽しみね。ウチも今回は、かなり問題文が読めたから結構良い点が取れると思うわ」

 

 

 ガラッ

 

 教室の扉が開いて

 

「ムッツリーニ君」

 工藤さんが現れた。一人でFクラスに来るのは珍しいな。

 

「工藤か。一人で来るのは珍しいな」

「ん?ボク一人じゃないよ」

「……雄二。心配しないでも私はいつでも雄二のそばに居てあげる」

「うわぁっ!?しょっ、翔子っ、いつのまに後ろにっ!?」

 雄二は霧島さんと、じゃれている。相変わらず仲が良いなぁ。

 

「工藤さんはFクラスに何しに来たの?」

「ボクはムッツリーニ君に用があって」

 すると、いつの間にか帰り支度を済ませていたムッツリーニが、すっと立ち上がって

 

「…………工藤、行くぞ」

「へぇ。この前はなんだかんだ言ってたけど、ちゃんと進んでるじゃない、愛子」

「やっ、ち、違うんだよ、美波ちゃん。ボクの家のペットの写真を撮ってもらおうと思って」

「ふ~ん。まぁ、そう言う事にしておいてあげるわね」

 美波がニヤニヤしながら工藤さんとムッツリーニが教室から出て行くのを見送っている。

 

 あれ?気が付くと、雄二と霧島さんも居なくなってる。

 まぁいいか。僕らもそろそろ帰ろう。

 せっかくテストが終わったんだし、ゆっくり羽を伸ばしたいよね。

 

「アキ。ウチらも帰りましょ」

「そうだね」

「ねぇ、ちょっと寄り道して帰らない?」

「うん、いいけど……何処に行くの?」

「いいから……早く帰りましょ」

「うん」

 美波に背中を押されるようにして僕は教室を後にした。

 

 

 

--Fクラスの一角

 

『……異端者どもが帰ったか……』

『『『会長』』』

『例の準備は出来ているか?』

『はい、抜かりなく』

『設備の細工の方は?』

『はい、例の人物と交渉済みです』

『よろしい。では細工が終了したら行動開始だ』

『『『了解』』』

 

 

 

--校門

 

 美波と二人並んで校門を抜けて長い下り坂を歩いていく。

 

「今日は何処に寄り道するの?」

「何処でも良いんだけど……出来れば二人っきりになれるところが良いかなって」

 スッと美波が手を繋いできて……頬を赤く染めて俯いてしまった。

 うわぁ、なんか僕もドキドキしてきちゃったよ。

 そう言えば、ここのところテスト勉強とかで、いつも雄二や姫路さんたちと一緒に居たからなぁ。

 

 最近美波と一緒に行って、あまり人が来ないような所か……あ、一箇所あったな。

 あそこなら確実にFクラスの人間は来ないし、静かだし……

 でも、あの雰囲気が僕はちょっと苦手なんだよなぁ。

 ……他に思いつかないから仕方ないか。

 

「じゃあさ、図書館でも行ってみる?」

「え、いいの?たしか、雰囲気が苦手だって言ってなかった?」

「うん。建物の中は苦手だけど、中庭とかなら大丈夫だよ。ちょっと寒いかもしれないけどね」

「ありがと……ウチなら大丈夫よ。アキが傍に居てくれるから」

 繋いだ手をぎゅっ、と強く握り締めてきて……

 

「あ、あのねアキ。お願いがあるんだけど、いいかな……?」

「なに?僕に出来る事なら喜んでするよ」

「ありがと。今日だけで良いから……出来るだけ手を繋いでいて欲しいんだけど……ダメ?」

「うん、いいよ」

「ほんとっ?ありがとう」

 美波がぱぁっと花が咲いたような笑顔に……

 この笑顔を見られるなら今日だけと言わずに毎日でも良いかな。

 

 

 

--Fクラスの隣の空き教室

 

『全員揃っているか?』

『はい、会長。FFF団、会長を含め44名揃っています』

『よろしい。設備への細工はどうなっている?』

『はい、Dクラスの清水に報酬と引き換えに頼んだ作業は完了しています』

『よし……しかし、ずいぶんたくさん積んだな』

『みんなが持ってきた物を全部使っちゃったけど、大丈夫かな?』

『残しても勿体無いしな。持って帰るのも面倒くさいし……全部燃やしちゃえば灰になるだろ』

『そうだね。その方が軽いから片付けるの楽だし』

『誰だ、バットとか持ってきたのは』

『こっちは物干し竿か……うわ、これは何処の看板だ?』

『粗大ゴミ捨て場じゃないんだぞ……ここは使ってないとは言え、一応教室なんだからな』

 

『ところでさっきの報酬って何を渡したんだ?』

『先週の木曜からムッツリ商会で新しく発売されたメイド4枚組の写真だよ』

『ほほぅ……誰が写っているんだ?』

『えっと……島田と島田の妹とちょっと年上の巨乳のお姉さんとアキちゃんかな』

『『『なにっ!アキちゃんだとっ!?』』』

 

『ちょっと落ち着け。で、渡したのはやっぱり島田の写真か?』

『うん。それしかいらないって』

『ふむ。ところで4枚組でいくらなんだ?』

『1500円だったかな』

『ずいぶん高いな』

『うん、しかも今回はセット販売のみで個別には売ってくれないって』

『『『えーっ、アキちゃんだけで良いのに』』』

 

『お前ら、落ち着けと言うのに……まぁ良いか。とっとと始めるとするか』

『そうだな、須川』

『よし、全員消火器の点検を怠るな!』

『『『はいっ!須川会長!』』』

 

『よろしい……では諸君、これより二-F異端審問会クリスマス対策会議を開催するっ!』

 

『まずは会議に出席する我らの士気を高めるため盛大にキャンプファイヤーを行おうと思う……火を!』

『はい、会長……このライターをお使いください』

『うむ……では、これより点火する……(カチカチ、シュボッ)……なかなか火が点かないな』

『湿気ってるのかな?』

『やっぱり、組んだ木にライターで直接火を点けるのは大変なんじゃ……』

『誰か灯油を持って来い』

『はい、会長』

『では、これをかけて……と。これで火が点きやすくなるだろ。では、点火する(シュボッ)』

 

『うぉっ!いきなり派手に燃え出したな』

『天井に炎がくっついてるぞ』

『これだけ火が強いと火災報知器が鳴るんじゃないのか?』

『大丈夫だろ。この教室の火災報知器は全部、Dクラスの清水に使えなくしてもらってるから』

『先生の見回りは?』

『今日は期末テストの最終日だから今頃先生たちは採点で忙しくてそれどころじゃ無いはずだ』

『念のため、学校中から掻き集めた消火器の準備をしておけよ』

『『『おう!』』』

 

『では、諸君。これよりクリスマスにいちゃいちゃ……もとい、不埒な事をする異端者どもの処刑方法を論じたいと思う』

『予想される異端者は、Fクラス代表の坂本雄二、そしてムッツリーニこと土屋康太』

『土屋も異端者にするのか?』

『うむ。最近Aクラスの工藤と仲が良いらしい。今日も一緒に帰ったみたいだしな』

『くっ……いつのまに、あのムッツリに彼女が……』

『そして我らが仇敵、吉井明久……こいつには生まれてきた事を後悔させてやる必要があると思う』

『姫路、木下と奴が持って行きやがった挙句に、仕舞いには島田と付き合いやがって……許せんっ』

『『『異端者に死の鉄槌を!』』』

 

 

 

--図書館の中庭

 

「……くしゅん」

「アキ、寒いの?また風邪引いたりしないでね」

「大丈夫だよ。きっと誰かが僕の噂をしてるんじゃないかな」

 誰が僕の噂をしてるんだろう?

 少なくとも女の子じゃないのは確かだよね。

 しかし、ここは風がよく通るな。(さえぎ)る物がほとんどない。

 

「……すごく心配だわ」

 美波が俯きながらポツリと呟いた。

 

「風邪を引くようなことはしないよ」

「アキが風邪を引くのも心配だけど、その……噂の方が心配なのよ」

「噂?でも僕の噂だと多分良い事言われてないと思うよ」

 あはは、と笑いながらそう言うと

 

「アキがバカとか甲斐性なしって言われるなら良いんだけど……」

 ちょっと待って!美波は僕が(けな)されていても良いのっ!?

 雄二や姉さんに言われるのは慣れたけど、美波に面と向かって言われると……

 

「ちょっと、アキ。具合悪いの?」

 僕がうなだれていると美波が心配そうに声をかけてきた。

 

「美波は僕が悪く言われてても気にならないの?」

「アキはウチが『彼女にしたくない女子ランキング』で三位になってるのは気になる?」

「気になるというか……なんで美波が三位なのかが判らないよ。こんなに可愛いのに」

「あ、ありがと……」

 美波が顔を真っ赤にして俯いてしまった。

 

「たぶん……だけどね。ウチがアキに暴力を振るっていたのが原因じゃないかなって思うのよ」

 そう言えば、一学期前半くらいまでの美波の僕への攻撃はすごかったなぁ。

 今でも臨死体験できるくらい、すごい時があるけど。

 

「でもアキはウチの事を魅力的な女の子って言ってくれた……ウチの事を好きって言ってくれた」

 顔を真っ赤にして大きな目を潤ませながら僕をジッと見ている。

 美波の目から、目を逸らす事が出来ない。

 

「ウチの大好きなアキがそう思ってくれて……言ってくれたのがすごく嬉しかった」

 そう言うと繋いでいた手を離し、抱きついて来て……

 

「他の人がウチの事をどう思っていようと気にしないわ。アキがウチを好きだって言ってくれる事が一番大事なの」

 そして僕を見上げたまま……

 

「アキ……」

 美波が目を閉じて……

 

 これは……やっぱり僕がちゃんとしないとダメなんだろうな。

 そう思って美波に顔を近づけていくと……

 

「……くしゅん」

 

「「ひゃぁっ!」」

 突如聞こえてきた誰かのくしゃみにビックリして僕たちはパッと離れる。

 辺りを見回すと……いつぞやの司書の人が居た。

 

「ごめんなさい。驚かすつもりは無かったんだけど……私は帰るから気にしないでね」

 そう言うと優しく微笑んで門の外の方へ歩いていった。

 

 気にするなと言われても無理だろう。

 美波を見ると……顔を真っ赤にして俯いたままだった。

 僕もきっと耳まで真っ赤になってるだろうな。

 

「「あの……」」

 二人同時に話し掛けようとして止まってしまった。は、話し難い……

 

「かっ、帰ろっか」

「そっ、そうね」

 何とか言葉を搾り出し、二人並んで……手を繋いで歩き出す。

 

 

 

--Fクラスの隣のサバトの会場

 

『火の勢いが強いけど大丈夫か?』

『天井焦げてるな』

『燃えにくい素材で出来てるだろうから大丈夫だろ』

『吉井をこの火の中に放り込みたい』

『よし。では吉井の処刑は火あぶりと言う事にしよう』

『『『おおーっ!』』』

 

『次に坂本だが……学校の屋上からバンジージャンプをしてもらおうと思う』

『紐無しのバンジージャンプ?』

『いや、ちゃんと紐は付ける。そうしないとバンジーとは言えないからな』

『それだと処刑にならないのでは』

『校舎の高さの二倍の長さの紐を足に結んで飛んでもらう』

『それなら十分処刑になるな』

『では坂本の処刑はバンジージャンプとする』

『『『おおーっ!』』』

 

『最後に土屋だが……』

『ムッツリ商会が営業しなくなると色々と我々にも不都合が生じるのでは?』

『アキちゃんや木下の、写真やグッズが手に入らなくなります』

『ふむ。みんなの意見を尊重して土屋にはデコピンの刑でいいか』

『『『おおーっ!』』』

 

 ガラッ

 

『お前ら、なにをやっているっっ!!』

『うわっ、鉄人っ』

『西村先生だ、馬鹿者。ところでなんでこんな所で火を起こしているんだっ!?』

『外は寒いから教室でちょっと焚き火を……』

『大馬鹿者っ!これの何処がちょっとだっ』

『でも先生。昨日は、ろうそく五本だけだったんですが、この人数だと寂しい誕生日ケーキみたいで……』

『だから今日は少し盛り上げようと、みんなで木を持ち寄って』

『寒い日に気分を盛り上げたいのなら校庭でも走ってこんかっ!馬鹿者っ!』

『『『面倒くさいよなー』』』

 

『お前ら……それより早く火を消すんだっ!ん?消火器を持ってるなら何故使わん!?』

『『『使い方が良く判りません』』』

『馬鹿者、頭を使うんだ。なにも消火剤を出さなくても火を消すのに役立てる事は出来る。こう使うんだ』

『おおっ!消火器で燃えてる木を壊すのか』

『江戸時代の火消しの消火作業と言うのは延焼を防ぐのが目的だったそうだ……って、お前らも手伝えっ!』

『『『はい、先生』』』

『消火器の正しい使い方が判る者は細かくなった火を消せ』

『すごいな、先生の言う通りにしたら火が小さくなってきたな』

『西村先生、すごいですね』

『喋ってないで手を動かさんかっ!』

『『『はい、先生』』』

 

………………

…………

……

 

『ふう、何とか火は消えたな』

『『『先生、お疲れ様でした』』』

『待て、お前ら。何処へ行く?』

『いや、火を消したのでそろそろ帰ろうかと……』

『この後片付けは誰がするんだ?』

『…………』

『『『くたばれっ、鉄人』』』

『ほほぅ……。キサマら、良い度胸だな』

『全員でかかれぇーーっ!』

『『『うおおおーーっ!』』』

 

………………

…………

……

 

『くっ……この人数で何故勝てないんだ』

『人外と言っても限度があるだろ』

 

『キサマら、補習や反省文程度で許されると思うなよっ!』

 

 

 

--次の日

 

 ん?掲示板の前に人が結構居るな。なんだろう?

 

-------------

     【処分通知】

 文月学園第二学年Fクラス

    男子生徒44名

    上記の者たちを

 一週間の停学処分とする

 

文月学園学園長 藤堂カヲル

-------------

 

 みんな何をやったんだっ!?

 

 

 僕が教室に入ると、いつものメンバーしか居なかった。

 ……と言う事は男子生徒って、今ここに居る僕と雄二とムッツリーニ以外全員って事か。

 

「雄二。掲示板を見た?」

「ああ。それ以上に隣の教室が面白い事になってるぞ」

「隣のって……使ってない空き教室の事?」

「全く何をやっているんだか」

 

 ガラッ

 

 朝のホームルームのために鉄人がやってきて額に手を当てて溜息をつきながら

 

「あー、掲示板を見たと思うが、お前達6名を除くこのクラスの全員が一週間の停学となった」

「西村先生、このクラスのみなさんは何をやったんですか?」

 姫路さんが首を傾けながら質問をしている。

 

「隣の教室でちょっと問題を起こしてな」

 鉄人はそう言うと僕と雄二を見て

「吉井と坂本は寒くなったら校庭を走るように」

「「なんだ、それはっ!?」」

「あと今日の午前中はシステム復旧のため、召喚システムが使えないから試召戦争が出来ないので注意するように」

 そう言い残して教室を出て行った。

 

「なんなんだ、一体?」

「ちょっと隣を見に行くか。そうすれば判るだろ」

 雄二が立ち上がって教室のドアの方に向かって歩き出そうとした時

 

 ガラッ

 

 教室の扉が開いて……根本君が何でFクラスに?

 

『BクラスはFクラスに対して宣戦布告を行う』

 

 

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