僕とウチと恋路っ!   作:mam

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僕とみんなとBクラス戦part03

 

 

「雄二、次は何処行くのさ?」

「次はAクラスだ」

「霧島さんに会いに行くの?」

「ごほっ。何バカ言ってるんだっ」

 雄二も、まんざらでもないくせに変なところで意地を張るなぁ。

 僕たちは階段を下りてAクラスへ……

 

 

 ……ガラッ

 

「……お帰りなさい、雄二」

「ちょっと待て。ここは俺の家じゃないし、お前と一緒に住んでないし、何でお前がすぐ応対してくるんだ?」

「……私と一緒にお風呂に入る?それとも私と結婚する?」

「いろんなステップが飛んでるぞっ!?しかも順番が逆だっ!!」

「……結婚以外は冗談」

「結婚とお風呂しか言ってないじゃねぇか」

「雄二、早くしないとお昼食べられなくなるよ?」

 そういう会話は二人だけの時にして欲しい。

 

「そうだったな。今は翔子に用があって来たんじゃないんだ」

「……誰?」

 そう言うと霧島さんはいきなり雄二にアイアンクローをかましてきた。

 

「……私以外の人に興味があるなんて……浮気は許さない」

 ギリギリと雄二の顔に食い込んでいく霧島さんの細くて綺麗な指。

「きっ、木下に用があって来たんだっ」

「アタシに何の用?」

 この騒ぎを聞きつけたのか、木下さんの方からやってきてくれたみたいだ。

 

「ちょっとお願いがあるんだが……Fクラス(おれたち)がBクラスに宣戦布告されたのは知ってるか?」

「ええ、掲示板も見たわ。根本君の考えそうな事ね」

 腕を組んで雄二の方を向いている木下さん。

 二卵性の双子らしいんだけど、本当に秀吉とそっくりだな。

 そして雄二の方はと言うと霧島さんにアイアンクローを極められたまま木下さんと会話している。

 あの状態で良く普通に喋れるな。

 

「それで試召戦争の間、秀吉と入れ替わって俺たちと一緒に行動してもらいたいんだ」

「嫌よ」

 間髪入れずに断られた……他のクラスの戦争に巻き込まれるのは面倒だしなぁ。

 すると、ムッツリーニが、スッと木下さんの前に出て何か写真のような物を手渡した。

 

「こっ…これは……」

 そして写真を見た後、僕と雄二を交互に見ているみたいだ……何が写っているんだろう?

 

「しっ、仕方ないわね。話だけなら聞いてあげても良いわ」

 木下さんが顔を真っ赤にしながら、そう告げる。

 

「ねぇ、ムッツリーニ?何が写っていたの?」

「…………企業秘密(プイッ)」

 ぶっきらぼうにそう言うと横を向いてしまった。

 何が写っていたのか凄く気になるんだけどっ!?

 

「翔子。これだと話しにくいから、いい加減離してくれ」

 残念そうに雄二の顔から手を離す霧島さん。

 そして雄二は顔に霧島さんの手形をつけたまま木下さんに説明をしていた。

 

………………

…………

……

 

「ちょっと吉井君と坂本君、本当にそんな事するつもりなのっ!?」

「ああ、本気だ。それしか勝つ方法が見つからなくてな」

「木下さん、無理を承知でお願いするよ」

「あっきれた……そんな事、協力できる訳無いでしょう」

「……優子、私からもお願い」

「代表。そんな目で見られても……もぅ、判ったわよ。協力すれば良いんでしょう」

 おでこに手を当てて俯きながらも渋々と言った感じで木下さんは引き受けてくれた。

 

「木下さん、ありがとう」

「すまん、木下。恩に着る」

「ただし条件が一つあるわ」

「「条件?」」

 僕と雄二が顔を見合わせる。すると木下さんがまた顔を赤くした。

 本当にさっきの写真には何が写っていたのか、誰でもいいから教えて欲しい。

 

「うちのクラスと試召戦争する時は正面から堂々と勝負して欲しいんだけど?」

「判った。こんな手段()は、どうせ今回しか使えないだろうしな」

「雄二、いいの?」

「ああ。今回負けたら、こっちから戦争を仕掛ける事が出来なくなるからな」

 そう言えば負けたクラスは三ヶ月間、戦争を仕掛ける事が出来ないんだっけ。

 明日から12月だから今日負けると、ほぼ三学期全部戦争出来なくなるのか。

 

「でも、口約束だけで良いのか?最初の戦争の時は信じられないとか言っていたが」

「大丈夫よ。代表がそんな事はさせないみたいだから」

「……もし雄二が約束を守らなかったら即結婚。明日にでも学校で式を挙げる」

「オーケー。俺も男だ。命に代えても約束は守ろう」

 普段表情があまり変わらない霧島さんが凄く残念そうな顔をしていたのが印象的だった。

 放課後すぐに行動を開始するので木下さんには五時間目が終わったら休み時間の間に

 秀吉と入れ替わってもらうようお願いをして、僕たちはFクラスへ戻った。

 

 

 そして僕たちはFクラスに戻って、ようやくお弁当を食べる事が出来た。

 僕が美波とおかずの交換をしていると、雄二がムッツリーニに

 

「ムッツリーニ。判ったらで良いんだがCクラスの小山の予定と根本の携帯の番号は判るか?」

「…………3分くれ」

 ノートパソコンを取り出し、何やら操作している。

 

「…………小山は風邪を引いて休み」

「何でそんな事すぐわかるんだ……」

「…………俺の情報網を甘く見るな」

 情報網と言うよりスト-カーレベルだよね。

 そしてまた何やら操作して……画面を雄二に見せている。

 

「…………根本の携帯番号」

 どこから、その情報は拾ってくるんだろう?

 

「いつも助かる」

「小山の事を聞いてどうするのじゃ?」

 秀吉に質問をされながら雄二が携帯をいじっている。

 そして雄二が携帯を秀吉に渡して

 

「小山の声真似は出来るか?」

「ちょっと待つのじゃ……あーあー」

 秀吉が声の調整をして

 

「こんな感じで良いかしら」

「バッチリだ。それで携帯を使って、これに書いてあるとおりに根本に伝えてくれ」

 秀吉が雄二からメモを受け取って電話をかけている。

 

「もしもし、根本君?」

『ゆっ、友香か!?』

 僕だけじゃなく、美波や姫路さんまでお弁当を食べるのを止めて秀吉が電話しているのを見守っている。

 いつもは授業中でも騒がしいFクラスの中が、シンと静まり返って秀吉と根本君の声だけが響く。

 

『どうしたんだ、いきなり?何度電話をかけても全然取り合ってくれなかったのに』

「今日ちょっと話があるんだけど……放課後にFクラスの隣の空き教室まで来てくれるかしら?」

『今日は、その……Fクラスの奴等と戦争するんだけど』

「それは私には関係ないわ。とにかく今日が良いんだけど?」

『どうしても今日じゃないとダメなのか』

「そうね。明日なら、もう貴方に用は無いわ」

 なんか秀吉の表情が生き生きとしてるな。

 演技しているのが楽しいみたいだ。

 

『……わかった。後で必ず行くから待っててくれ』

「そう。なら良いわ。後で待ってるから」

 秀吉が顔から携帯を少し離すと

 

『そう言えば非通知で来ているんだけど携帯変えたのか?』

 根本君の一言で雄二の顔色が変わった。

 そこまでの会話は想定してなかったのかな?

 でも秀吉は顔色一つ変えずに

 

「そうよ。後で来てくれたら番号を教えてあげても良いわ。じゃあね」

 と言って携帯を切った。

 

「秀吉助かった。まさか根本があそこまで食いついてくるとは思ってなかったからな」

「なんのなんの。アドリブもまた(たの)し、じゃ」

 と言って、にこにこしながら携帯を雄二に返す。

 

「よし。これでゆっくり飯が食えるな。みんな、すまなかった」

 雄二が言い終わると同時に予鈴のチャイムが鳴り響いた。

 お弁当、まだ途中だったのになぁ。

 

 

 

 

 そして五時間目が終わり、休み時間。

 秀吉は木下さんと入れ替わるためにAクラスへ行った。

 

「じゃあ、姫路と島田は数学と世界史の先生なら誰でも良いから放課後に四階の空き教室へ来るよう伝えてくれ」

 僕たちFクラスの男子だと警戒されるかもしれないけど

 数少ない女子の美波や姫路さん、秀吉なら先生方の信頼も厚い。

 

「はい、わかりました」

「じゃあ、行ってくるわね」

 美波と姫路さんが連れ立って行ってしまった。

 

「俺たちは隣の教室の窓を締めておくか」

「うん」「…………(スッ)」

 僕たち三人で隣の教室へ……

 

「でもなんで使ってない教室の窓なんか閉めるのさ?」

 別に開いてても閉まっててもあんまり関係ない気がするけど……

 後でここで根本君を待つ事になる秀吉が風邪を引かないようにって事かな?

 

「さっきも言ったが今回のポイントは二つ。根本が疑わないでここに来る事と俺たちが潰されない事だ」

「うん」

「最初の時はムッツリーニと大島先生が窓から侵入しただろ?」

「…………(コクコク)」

 窓を閉めながらムッツリーニと一緒に頷く。

 

「根本が教室に入ってきて窓が開いてると、また俺たちが窓から来るって心配するかもしれないだろ」

「なるほど」

 全部の窓を閉めた僕たちはFクラスに戻って、席に着くとガラッと扉を開けて

 秀吉……じゃない、木下さんがやってきた。

 

「ううっ。この教室寒いわね」

 身体をちぢこませながら木下さんは僕たちの方へやってきた。

「アンタたち、いつもこんな寒い所で勉強しているの?」

「慣れれば気にならなくなるぞ」

「慣れたくは無いわよ」

 そう言うと木下さんは周りを少し見回してから……目を輝かせながら、僕と雄二に向かって

 

「ねぇねぇ、代表と島田さんには黙っているから……吉井君と坂本君って付き合っているの?」

「「なっ、何でこんなバカとっ!?」」

 そう言ってお互いに相手の頬に拳を叩き込む僕と雄二。

 どうして僕がこんなブサイクと付き合っているように見えるのさっ!?

 

「おかしいわね。さっきの……」

 木下さんが何かぶつぶつ言っているけど……

 今度は逆にあの写真に何が写っていたのか、知らない方が良い気がしてきた。

 

 ……ガラッ

 

「たっだいまー」

「ただいま戻りました」

 美波と姫路さんが戻ってきたみたいだ。

 

「あ、優子来てくれてたのね」

「木下さんありがとうございます」

「気にしなくて良いわ」

 うんうん、女の子が三人も居ると華やかでいいなぁ。

 でも木下さんは秀吉と雰囲気が違うから、なんか普段と違うな。

 ……と、思っていると次の授業の先生がやってきた。

 

 

(アンタたち、まだこんな所やってるの?)

 木下さんが授業中なので小声で聞いてきた。

(こんな所って?)

(教科書の進み具合よ)

 たしか教科書だけはAクラスもFクラスも関係なく一緒だったよね。

 その他の設備は色々と差があるけど……

 

(うん)

(ずいぶん遅れてるわね。うちのクラスだと今年中には教科書終わるわよ)

(ええっ!そうなの?)

 Fクラスは授業中でも大騒ぎになることがあるからなぁ。

 こんな調子でAクラスに勝つのは大変そうだ。

 

(あのバカ、大丈夫かしら)

 木下さんが頬づえをつきながら何か心配をしているみたいだ。

(あのバカって……秀吉の事?)

(そうよ。また何か変な事言ってアタシの悪い噂を広められたりしたら大変だもの)

(またって……前にもあったの?)

(なっ、なんでもないわ。ほら、ちゃんと授業受けないと)

 木下さんが慌てて姿勢を正した。

 そう言えば、何時だったか秀吉の雰囲気が凄く男っぽく見えてた事があったな。

 今の木下さんがそんな感じなんだけど……たぶん気のせいだよね。

 

 

 

 そして六時間目の授業が終わり……ホームルームも無事終わり、放課後になった。

 

「よし、お前ら。Fクラス(おれたち)に戦争を仕掛けてきた根本の野郎に後悔させてやるぜっ!」

「「「おおーっ!」」」

 

 今回の戦争前の雄叫びは、人数は少ないけど初めて女子が半分だから凄く可愛いな。

 

 

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