僕とウチと恋路っ!   作:mam

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僕とウチと帰ってきた姉さんpart02

 

 美波と一緒に後片付けを終わらせて、リビングで二人で話していると

 姉さんがお風呂から上がってきて

 

「お風呂、先に頂きました」

「じゃあ、美波が先にお風呂入ってきなよ」

「そう?悪いわね」

 美波が席を立って部屋から出て行くと

 姉さんが椅子に……

 

 …………座っている僕の膝の上に座ってきた。

 

「ちょっ、ちょっと姉さんっ!何処に座ってるのさっ!?」

「アキくんが覗きに行かないようにしてるんですよ」

「そんな事するわけないじゃないか」

 僕がそう言うと姉さんは真剣な表情で僕を見て……

 

「アキくんに一つ聞きたいのですが」

「うん」

 姉さんがここまで真剣な顔をするのなら、僕もきちんと答えないといけない。

 何を聞いてくるんだろう?

 

「私と美波さんのどっちの裸が見たいですか?」

「美波に決まってるじゃないか」

「絶対に動きません」

 

 

 

 姉さんは僕の膝の上に座ったまま、テーブルの上に置いてあったマロングラッセをつまんでいる。

 

「このマロングラッセはアキくんが作った物ですか?」

「うん。姉さんがもらってきた栗で作ったんだ」

「くせがなくて食べやすいですね。美味しいです」

「ありがとう……そう言えば、姉さん?」

「なんですか?」

「マロングラッセを送る時の意味、知ってたでしょ?」

「ええ」

 姉さんはにっこりと微笑むと……

 

「美波さんは喜んでくれましたか?」

「う、うん……すごく、喜んでくれたよ」

 意味が判ったら、すぐ電話をくれたくらいだし。

 思い出したら、なんか顔が熱くなってきたよ。

 

「そんなに赤くなると言う事は……アキくんも意味が判ったようですね。それとも……」

「それとも?」

「私を抱っこしてるのが嬉しくて……」

「違うからねっ!?」

「もう絶対に動きません」

 

 

 

 そして姉さんは僕の顔をジッと覗き込んで……

 

「そう言えば、アキくん」

「何?」

「冬休みになってもちゃんと勉強していますか?」

「うん。美波と一緒に勉強して冬休みの課題はもう終わらせたよ」

「そうですか」

 姉さんはにっこり微笑むと

 

「アキくんは、進路はどうするか決めたのですか?」

「うん。進学しようと思ってるんだ」

「それなら頑張らないといけませんね」

「うん……それだけ?」

「ええ。私にも手伝える事があれば手伝いますが、頑張るのはアキくんですし」

「そうだね」

「はい。でも、ここは動きません」

 

 

 

 しばらくすると……姉さんは僕の膝の上で舟を漕ぎ出した。

 そんなに疲れているなら早く布団で寝れば良いのに……

 それとも僕に会えなかったのが、そんなに寂しかったのかな。

 

「アキ。お風呂、先に頂いたわ」

 そこへ美波がやってきて、僕と姉さんを見て

「アキ……アンタ、ウチにもそんな事、やってくれた事ないのにっ」

 指をボキボキ鳴らしながら睨んでいる。

 

「わわっ。姉さんっ!起きてよ」

 僕が慌てて揺すると姉さんは寝惚け眼(ねぼけまなこ)を擦りながら

「じゃあ、アキくんは私の抱き枕になってくれますか」

「何、寝惚けてるのっ!?僕は今からお風呂に入るんだから寝るなら姉さん一人で寝てよっ!」

「アキくん、お風呂に入るんですか?それなら私が背中を流してあげます」

 いきなりカーディガンを脱いでパジャマのボタンを外そうとする姉さんを

 美波と二人で止めて、僕が肩を貸してベッドまで連れて行った。

 そして美波と二人、リビングへ戻ってくると

 

「じゃあ、僕、お風呂に入ってくるね。美波は湯冷めしないうちに早く寝た方が良いよ」

「うん……」

 

 

――お風呂

 

 そう言えば姉さんをベッドまで運んだ後、リビングに戻った時

 美波がなんとなく寂しそうだったけど……

 ひょっとして僕が姉さんを抱っこしてたのがまずかったのかな。

 「やってくれた事無いのに」とか言ってたしなぁ……

 

…………

………

……

 

 僕はお風呂から上がり、何か飲もうかな、と思ってキッチンの方へ行くと……

 あれ?リビングの方が少し明るい。

 でも灯りが点いているとかじゃないくらいの淡い明るさだ。

 

「美波?まだ起きてたの?」

 灯りの点いてないリビングに行くとカーテンが開けられていて外からの光が差し込む室内には……

 姉さんのカーディガンを着た美波がソファに座っていた。

 僕が声をかけると立ち上がって

 

「うん……」

 美波は髪を下ろしていてあまり見ることの無いパジャマ姿だからなのか、普段よりも少し小さく見える。

 そして姉さんのカーディガンは少し大きいみたいで袖の部分から指先がちょこんと見えている。

 少し俯き加減でもじもじしているんだけど……寒いのかな?

 

 しかし普段カーテンを開けたくらいではこんなに部屋の中は明るくならないのに……と、思っていると

 美波が僕の手を握って

 

「あのね。アキと一緒に外を見たいな、と思って……待ってたの」

「外?」

「ほら、行こ?」

 美波が僕の手を引っ張って窓の方へ……

 

 外は街灯の光が雪に反射して地面や建物の壁や屋根

 街路樹など窓から見える景色全部がキラキラ輝いている。

 その光が部屋の中に差し込んでいたから普段以上に明るくなっていたのか。

 

 所々街灯の色が違うみたいで、(かす)かなオレンジや青白っぽいところがあり

 遠くで青緑が点滅して赤に変わったり、青緑から黄色になり、そして赤へ変わる所は……多分信号だろう。

 確かに普段見ている景色とは違って……

 ちょっとしたクリスマスツリーのイルミネーションみたい、と言うと言い過ぎかな?

 

 美波は僕と手を繋いで僕の腕に頭を(もた)れかけて外を見ている。

 

「……くしゅんっ」

「美波、寒いんじゃないの?」

「そんな事は無いけど……」

「風邪を引く前に早く寝た方が良いよ」

 僕がそう言うと美波は僕を見上げて……

 

「それなら……お願いがあるんだけど……」

「ん?何かな?」

「あのね……お布団まで抱っこ……して欲しいの」

 僕にお願いをしてきた美波の笑顔は……

 外から差し込む淡い光に照らされた美波の笑顔が普段とは違う……

 光の弱さをそのまま反映しているような儚い美しさの笑顔で……

 

 やっぱり、さっき僕が姉さんを抱っこしていたのを気にしていたのかな?

 それなら僕は……美波が望む事で僕に出来る事なら叶えてあげたい。

 

「じゃあ、ちょっと失礼して……行くよ?」

 僕は少し(かが)んで……美波の背中と膝の裏に手を回して

 掬い上げる様に美波をお姫様抱っこして立ち上がる。

 そしてしばらく美波を見ていると……

 

「アキ、どうしたの?……ひょっとして、ウチ……重いの?」

「うん。すごく重いかな」

「ひどい……アキのバカ」

「あ、ごめんね。体重の事じゃないんだ」

「じゃあ、何よ?」

 美波が少し拗ねた顔で僕を見上げている。

 僕は出来るだけの笑顔で……

 

「今、僕の両手の中には……僕の一番大切な人が居るんだなって思って」

「やっぱり……アキのバカ」

 そう言うと美波は頬を少し染めて目を瞑った。

 

 僕は客間まで美波を抱っこして行くと……

 美波を抱っこしてるから手が使えなくてドアが開けられない。

 

「美波、ごめんね。ドアが開けられないから、ここまでで良いかな?」

「うん」

 と言って、美波は僕の首に両手を回してきたので、僕は足の方から美波を下ろしてあげた。

 

「アキ……ありがと」

 そう言い終わると……僕の頬に温かい感触があって、美波が両手を僕の首から離した。

 そして美波は穏やかな笑顔で

 

「おやすみ、アキ」

 美波が客間に入っていったので廊下には僕一人になり……

 一人でここに(たたず)んでいても寒いだけなので自分の部屋に戻ろうかな。

 

 自分の部屋に向かって歩き出した時、リビングのカーテンが開けっ放しだったのを思い出した。

 仕方なくリビングへ戻り、もう一回窓の外を見ると……あれ?さっきほど綺麗に見えないな。

 一人で外を見てても……ただ寒いだけだった。

 

 僕はカーテンを閉めて自分の部屋へ戻った。

 

 

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