「閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ。閉じよ―」
もっとも詠唱に意味はないのだろうが、焦りと共に唱える。そして、現れたのは―「召喚により参上いたしました。どうか、このパラケルススと―」おそらくは、有名な錬金術師。だが、生憎口上を聞く時間はない。切羽詰まった状況、こう言う外ない。―「パラケルスス、俺達を助けてくれ!」
「―承知致しました。では、水よ―」
目の前の骨の軍勢が碎け散る。所長は何か言いたげに口を開こうとするが、安堵が勝ち、その場崩れ落ちた。
...「この時代にこんな物が?何故―」「パラケルスス?」 「これはマスター。いえ、少々貴重な素材が手に入りまして。何と言うこともありませんが。」
―そうか。これは貴重なのか―と思いながら、50本程出す。たまたま拾っていたが、パラケルスス―所長の説明からすれば恐らくキャスター―に渡す。
「これは...!?マスター、どこで?」
「拾ったんだよ。倒してる最中何もしないのもアレだろ?」
「...このマスター、活動的すぎでは?」
「ついでだ、これもあげるよ。」
「...これは、聖晶石!鉱石科や降霊科ばかりが取り扱って居ましたが...これも?」
「うん、拾った―」
「マスター、貴方という人は...」
「立香ー!何してるの!?取り敢えずカルデアに通信繋ぐわよー!」と、所長の声が聞こえる。「...パラケルスス、取り敢えず話はあとで、着いてきてくれる?」 「ええ、分かりました。」
「...アナタ、パラケルススってとんでもないの呼んだわね。まぁいいわ。もう驚き疲れたもの。」ピピー、と通信が繋がる音が聞こえる。神秘的とも言える機械的なこの場所で、所長が通信をする。
「―オルガマリーよ。そっちは?」
「―ピピー、 ロマニ・アーキマンです。」
「レフ、レフは何処?レフを出してちょうだい!」
―延々話を聞いていれば、
・レフさんがいないようだ。いい人そうだったのに残念だ。
・カルデアスタッフは殆ど焼け死んだ。...残念というより、惨いといった感想が浮かぶ。何故そのような事をしたのか、よく分からない。
・そして今通信に出れるのはロマニくらいであり、他の上位マスター、スタッフは焼け死んだ。
...ほぼ全滅である。そして所長はー「うそ。嘘よ、レフが死んだなんて―」と言って、慌てふためいた。
が、すぐに。「マスターが危篤?じゃあ―」と、すばやく采配をとった。もしかしなくても、この人、有能ではないのだろうか。そもそもあんな100何十名を纏め上げる時点で相当有能である。
...これからは労って、かつ話を聞いてあげるようにしよう。そう心に誓い、歩を進めるのであった。
く ど い