魔神王が断つ!   作:なと〜

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ゲーティア達の異世界ものが見たいから自給自足の結果です。
あと、今更ながら『アカメが斬る!』に手を出しまして、救済ルートを模索してみました。

なお、全てのキャラが救済されるわけではありません。推しキャラが救済されなくてもクレームはおやめください。


プロローグ

(ここは…)

 

 永い、永い夢を見ていた気分だと感じる。

 

 

 ほんの数分の出来事をまるで数時間かけて味わったような、そんな感覚におそわれる。

 

 たった数分、されど彼、否、彼ら(・・)には数千年分の価値があったと感じる。

 

 

 

 

 

 

 

 三千年間、一つの目的を達成するために神殿で無限ともいえる調整と研鑽を行ってきた。

 そして、誰にも、世界にも、あの無能な王(ソロモン)にも気取られずに、計画は実行された。

 

 全てはうまくいっていた。あの組織(人間)が介入するまでは。

 

 

 人理継続保障機関カルデア、否、人類最後のマスター・藤丸立香。

 

 無駄だと切り捨てた。もうやめろと告げた。だが、彼はあきらめなかった。

 全ての魔神達が困惑していた。なぜ、なぜだと…

 疑問を抱えるも所詮、ただの人だと決定した。それ(・・)は間違いではなかった。

 

 

 7つの特異点を越えた先にある我々の神殿。そこで私達は終わりだと推測していた。

 たかが一人の人間とデミサーヴァント。例え、サーヴァントを数体呼んだところで、我々、72柱の圧倒的な物量差に何ができると嘲笑った。

 

 

 極点の流星群を見るまでは。

 

 

 それからは怒涛の展開だった。

 数多の英霊が藤丸立香のもとに集い、我々と交戦した。何度も死んだ。だが、すぐに復活する。何度も殺した。だが、すぐに戻ってくる。

 統括局(ゲーティア)に第三宝具の使用許可を求めた者もいた。だが、許可は出なかった。

 

 結果的にマスター、藤丸立香と相棒、マシュ・キリエライトは玉座にたどり着いた。

 統括局は彼らと戦うことを決意した。ソロモンの姿を崩し、魔神王としての姿で彼らにあの光帯を使用する決断を下した。人類史三千年分の熱量を持つ光帯を。

 最初の一撃に手加減などは微塵もしていなかった。わかっていたことだった。彼女、マシュ・キリエライトの盾ならば第三宝具を防ぐだろうと。彼女の命と引き換えに。

 

 彼女によって救われた藤丸立香に余力など無かった。そう、藤丸立香には(・・・・・・)

 

訣別の時きたれり、其は世界を手放すもの(アルス・ノヴァ)

 我々が知ることのできなかったロマニ・アーキマン(ソロモン)の宝具によって我々(・・)()になった。

 

 そして私は知る。彼がここまで戦う理由を。

 

 

『決まっている!生きるためだ!!』

 

 

 彼の当たりの答えは私を納得させるには十分だった。(魔神王)はそこで倒された。

 

 

 

 

 

 

 そして、(人王)は彼に最後の勝負を挑み、再び敗北したはずだった。

 そこで私の記憶は途絶えている。

 ふと、頭の中に声が響く。やかましい程の大勢の声が

 

『これはどういうことだ…統括局よ!判断を求める!』

『このような結末は我々の推論に存在しない!どういうことだ、何が起きている!』

『生死生死生死!死にたく…』

『フジマルリツカァァァ!!!』

『あぁ…あぇ…キアラ…様?』

『祈りを!外なる神を!!』

『死にたくない…もっと我を…』

 

 

 ……なんだこれは?魔神柱なのか?確かに第一宝具にて、72体の魔神として分断され、最後はそれぞれの個を確立したと思っていたが、あまりに混沌とし過ぎている。

 

「鎮まれ、72柱達よ。まずは情報だ」

 

 鶴の一声で静かに…ならなかった。以前ならば考えられないことだ。やはり彼らにも問題が生じているのだろう。

 結局、全員で意見を話し合うまで一柱ずつ静かにさせなければいけなかった。一番疲れたのがゼパルだ。虚ろな眼でぶつぶつと何か言っていた。

 

「統括局より質問だ。お前たちの最後はあの戦い(・・・・)か?」

 

 この質問に67の魔神柱が訂と答え、5の魔神柱が否と答えた。

 

「統括局よ。まずは現状の把握を優先すべきと思案する」

「否、我々の内部に問題が存在するか否かの調査を行うべきだ」

「…観測所、管制塔、溶鉱炉は現状の把握。覗覚星、生命院、廃棄孔は我々に問題が無いか調査しろ。兵装舎は万が一の事態に備え戦闘準備。情報室は我々に集結する情報を共有させろ」

「「「了解」」」

 

 全ての魔神柱が自らの持ち場に着き、行動する。いかに個として分かれても、かつては全能を超えし魔術式。瞬く間に作業を終わらせるだろう。

 ふと玉座の上を見上げる。そこには何も無かった(・・・・・・)。あの光帯も…

 同時にあの戦いは夢でも幻でもないと実感する。

 

(あの戦いの後ならば、この時間神殿も崩壊したはずだ。だが、現にこうして存在が確立されている)

 

 全てが矛盾している。我々はあの戦いを記憶しており、心身共にその傷を抱えている。だが、時間神殿だけは光帯以外はあの戦いの前の状態だ。

 

(理解が追いつかない。やはり魔神柱達の報告を待つべきか)

 

 そんなことを考えていると、彼に感じたことの無い(・・・・・・・・)感覚が襲い掛かる。

 

「こ、この感覚は!!?」

 

 訂正、正確には忘れていた(・・・・・)感覚だった。

 だが無理も無いだろう。なぜなら、三千年以上(・・・・・)感じていない感覚なのだから。

 

「警告!統括局よ!我々は()ばれている!」

「馬鹿な!ありえぬ!王は無に至ったはずだ!!」

 

 彼ら、七十二柱をよぶ人物はたった一人しかいない。彼らを生み出し、使役し、激怒させた、あの無慈悲で無情で、人間としての感情を持てなかったイスラエルの王、ソロモン。またの名をロマニ・アーキマン。

 彼は、最後、あの少年に全てを託し、第一宝具の効果で無へとなったはずだ。

 だが、今こうして彼らは召ばれている。

 

「……統括局より、全七十二柱に判断を求める」

「…判断材料が少なすぎる。我々に最適解は導き出せない」

「我々が死んだとしても時間神殿がある限り復活は容易だ。ここは召喚されては?」

「…そうなったら統括局一人で逝って(行って)くれ」

「なぜそうなるフェニクス!?」

「死にたくないからな」

「フェニクスの意見に同意する。私も死にたくない」

「アンドラスまで!?」

「統括局ならば問題ないだろう。死んでも復活できるし、ソロモンの姿ならば余計な問題を生まずに済む。さあ、行け」

 

 結局、うまいことまとめられてしまったゲーティアが行くことになった。

 

 

 

 

 

 

 

 ________________

 

 

 

 私、皇帝は幼い。だが、この帝国をまとめ上げる人間だ。私が皇帝の地位にいるのはひとえに大臣、オネストのおかげだ。彼の巧みな政治手腕によって私は皇帝となれた。今も彼の意見に間違いは無いと信頼している。

 いずれ、私もオネストのような素晴らしい男になりたいものだ。あの肥満体はどうかと思うが…

 

 

 

 今日も一日、執務を終えて寝室に入る。オネストのおかげで私はあまり仕事をしないが、罪人の判決や皇帝()のサインが必要な書類は大臣である彼にはできないことだ。

 

 寝ていると、変な感覚に陥る。まるで夜の海に投げ出されたような感じだ。

 暗く、底が見えない。だが不思議と息苦しくない。非日常のことだが、どこか自分で当たり前と納得してしまう。

 

「あれ?こんなところに人?」

 

 声を掛けられ、振り向くと、そこには白髪でゆったりとした豪華な衣装を纏うヘタレっぽい男性がいた。

 

「ヘタレかぁ。まぁ事実だけど初対面の人に言われると、ぐさっとくるね」

 

 あっ、申し訳ありません。まさかこの空間では心の声が出るなんて知らなくて…

 

「まぁ、いいさ。というか、心の声にさらっと順応したね」

 

 まぁ、私の国でもとんでもないものがたくさんありますからね。帝具とか、帝具とか…

 

「大変そうだけど…君も王様かい?ちょっと失礼」

 

 彼はまじまじと私を見つめ始めた。さっきの言葉から察するに彼もどこかの国の王なのだろうか?

 

「……ああ、なるほどね。帝国の皇帝さんか。しかも……いや、これは言うべきじゃないね」

 

 そう言われると気になります。

 

「うん、そうだよね。だけどこれは…僕にはどうにもできない。もうすぐ消える僕にはね」

 

 もうすぐ消える、ですか?

 

「そう。もうすぐ王の僕は消えるんだ。でも後悔はないよ」

 

 そうなんですか。なんの後悔もなく消えることができるなんて素晴らしいことだと思いますよ。

 

「そうかな…そうだ。後悔ついでに一つ引き受けてくれないか?」

 

 えっ?何ですか藪から棒に。

 

「簡単に言うと僕の分身達を引き受けてほしいんだ。彼らはすでに消滅してるけど、無くなったわけじゃない。彼らの遺体、痕跡、残り物だけでも十分危険だ。君が彼らを引き受けてくれれば、君の国の運命も変えられるかもしれない」

 

 帝国の運命?どんな運命ですか?あと、その分身って危険すぎません?

 

「帝国の運命については悪いけど言えない。僕が全てを伝える時間は無いし、どうするかは君次第だ。分身達のことは一応の安全装置はかけておくけど、彼らを最高の味方にするのも最悪な敵にするのも君の行い次第だ」

 

 ……私の行い次第、ですか…

 

「そう。君が最後まで最高の王であり続けられるか、僕のような無能な王になるかどうかだ」

 

 あなたが無能?まさか、僅かな言葉しか交わしていませんが、あなたは素晴らしい人だと感じますよ。

 

「まあね。でも彼ら曰く、王としての僕は無能だったらしい。気にしなくていいよ。彼らも丸くなっているだろうし、僕が感じた君の信念はいい王の信念だと思うよ」

 

 …わかりました。その話、受けさせて下さい。

 

「…わかった。じゃあこれを」

 

 そういって彼は手のひらから十の金色の指輪を取り出した。

 

「オリジナルじゃないけど、彼らを縛るには十分な力を持っている。何かあったらこの指輪に命じるんだ。あと、こんな事、あのロクデナシみたいで言いたくないんだけど…

 

 

 

 

 

 この指輪を手にしたら最期、君は人では無くなるよ」

 

 

 ……わかりました。私の使命は良き帝国を保ち続ける事。そのためにあなたの分身、お引き受けします。

 

「そうか。ありがとう、幼くもよき王よ。君の未来に幸あらんことを」

 

ありがとうございます。いずこの王よ。そしてさようなら。

 

 

 

 

 

意識の浮上と共に目が覚める。まだ明朝のようで、窓からは暗い闇しか入ってこない。

あれは夢だったのか?少なくとも現実ではない。だが、空想でもない。間違いなく私はあの人に会った。だが、それは現実では無いどこかでの出会いだろう。だって、私の手の中には彼から託された十の指輪(・・・・)があるのだから。

指輪をはめるか、戸惑う。我が国の帝具には適合しなかった者を問答無用に殺す帝具があると聞く。もし、この指輪が私に適合しなかったら…

 

 

いや、彼は私を信頼してくれた。ならば、私もその信頼に応えよう。

全ての指にはめた瞬間、情報が流れ込んでくる。この指輪の使い方、分身達の名前が。

 

「ゲーティア、か」

 

名前を知っても、彼らがどんな存在かは教えてもらえなかった。

 

「あとは自分で調べろということですね」

 

彼らは危険だ。本来なら指輪を取り、厳重に封印すべきだ。だが、国を維持するには時に、圧倒的な武力も必要だ。かつて始皇帝が帝具を作ったように。

 

「来てくれ、ゲーティア!」

 

強く願い、彼らを呼ぶ。そして現れたのは…あの王の姿を模したナニカ(・・・)だった。

 

「っ!!?」

 

あの人とはかけ離れたオーラ。一番近いものが、帝国最強に数えられるブドー大将軍の戦いを見た時だ。自分では想像もできない鍛錬の果てにたどり着く最強のオーラ、それに近い。

 

「…貴様は一体…」

「あなたは…一体…」

 

 

 

 

 

この会合から一年たたずに、帝国は大きな節目を迎える。

 

 

その後、皇帝陛下はこの日を、『運命にであった日』と呼んだ。

 




いかがでしたか?
途中に出てきた男性が誰かはわかるよね?

ちなみに私は2部でロマニ、オルガ復活する派です。

感想、改訂点などお待ちしています。
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