魔神王が断つ!   作:なと〜

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リアルの影響で更新がとても遅れてしまいました。
お待たせしました!

そういえば皆さんはFGOイベはどうでしたか?
自分は本当に欲しいキャラはガチャでは出ないという法則を導けました(泣)


三つ巴の予感

 皇帝陛下とオネスト大臣。この二人の組み合わせは、珍しいものではないが、最近は滅多にない。理由はひとえに、ゲーティアという謎の存在なのだが、そこは割愛しよう。

 

 

「ですので陛下。賊を処刑する段取りは完了しています。後の雑事は私にお任せを」

「おお!そうか!さすがはオネストだ!」

「いえいえ、私など…しかし、陛下。少々、陛下に許可をいただきたい事があるのです」

「む?なんだ?」

親衛隊(・・・)をお借りしたいのです。賊の護送に」

 

 

 オネストの腹積もりはこうである。今回の賊、ナイトレイドのシェーレの処刑には万全を期したい。そのために親衛隊の護衛を使いたいというのだ。ナイトレイドが襲ってこなければ、親衛隊の評価は大して上がらないし、仮にナイトレイドが襲撃した場合、護衛に失敗すればこれを咎めることができる。最悪なのは親衛隊がナイトレイドを返り討ちにした場合であるが、それでもナイトレイドに被害が発生するため、オネストには得がある。

 

「ぜひ、賊の確実な排除のため、陛下のお力を」

「う、うむ…貸してやりたいのは山々なのだがな……あ奴らは休暇に行くらしい」

「……はい?」

「だから、休暇だ。しっかりと休暇届なるものまで残していった」

 

 このご時勢、休暇届を出す者もいなければ、まともに受理する者もいないのだが…

 

「…陛下!これは謀反ですぞ!」

「だ、大丈夫だろう。『数日で戻る』と書いていたし…ほら、エスデス将軍も帰ってきたしな!」

「いやいや!陛下!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 数日後、帝国の辺境にて…

 

「…とまぁ、これが帝都の現状です」

「なんという事だ…地方だけではなく帝都までも…情報感謝致しますぞ、フラウロス殿」

 

 辺境の地には珍しい豪勢な馬車と物々しい護衛の数々。だが、更に異質なのは所々にいる漆黒の鎧(・・・・)を身に纏う人々である。

 

 言うまでもなく、現在休暇中の筈の親衛隊御一行である。

 

 

「しかし、まさか陛下直属の護衛とは…このチョウリ。全身全霊で陛下をお支えいたしましょう」

「そう言っていただけると助かります。何せ、相手はあのオネストですからね」

 

 オネストの独裁を知ったチョウリは、一時は政界から身を引いた我が身を呪い、これから陛下のために全霊で力を貸すと心に誓った。

 

 

「そうじゃ、ひと段落したら、娘を嫁にもらってはくれんかの?」

「ち、父上!なんてことを!?」

「ははは、生憎と私には勿体無いお話。心当たりがあればご紹介しましょう」

 

 

 

 

 

 

 

 

「撤退するぞ」

 

 黒服を身に纏い、ただならぬ雰囲気を醸し出す三人。その中で最も年上らしき男は、他の二人にはっきりと宣言した。

 

「それって、将軍の命令に逆らうのわかってる?」

「勿論。だが、将軍はこう言っておられなかったか?『現場での指揮はリヴァに任せる。判断はお前がしろ』とな」

 

 指揮を任された男、リヴァは屁理屈とも言える意見を出す。同じくエスデス将軍に絶対の忠誠を捧げるニャウとダイダラはその意見に激しい不快感を示した。

 

「私の言葉が将軍の言葉に相反する事くらいわかっているさ。だが、我々が将軍に捧げるべきものは、完璧な結果だ」

「?、だからあいつらを殺すんだろ?」

「そうだ。だが、最も忌避すべきものは我々が犬死(・・)することで将軍にご迷惑をかける事だ」

「…あいつらが俺たちより強いって事か?」

「少なくとも数の利はあちらが上だ。良くて対象(チョウリ)の暗殺後に()られる。最悪は犬死だ」

「じゃあ、やろうぜ」

 

 どこまでも忠実な彼らは、ほんの僅かでも命令を遂行できる可能性があるのならば、たとえ死ぬことになっても躊躇いなく実行する。

 

「問題はその後なのだ。我々、三獣士がかつての高官や親衛隊の暗殺を実行したという事実が知れれば、エスデス将軍に多大なご迷惑をお掛けする」

 

 

 今までであれば、たとえ暗殺が失敗したとしても、オネスト大臣の力で全て闇の中に葬り去られただろう。だが、今はオネストに匹敵する権力を持つゲーティアが存在する。

 必ず追及されるだろう。仮に、将軍が『三獣士(部下)が勝手にやったことだ』と言っても、将軍の監督責任を問われるのは必然である。

 

(思えばエスデス様はこの事態を予感していたのか…)

 

 普段なら命令一つで済ませることを、わざわざ現場の指揮まで頼んだのはこの為か、と自らの心の中で整理をつける。

 

 

「撤退だ。責任は私がとる」

「ちぇ、しょうがないな~」

「あ~あ、あいつら殺せば結構な経験値、手に入るんだろーな」

 

 命を捧げる忠誠心を持つ者が恐れるのは、忠誠を捧げる者に失望される事である。

 

 

 

 

 

 

 

 〔前方に確認した敵影が撤退していく。敵影の解析を求む。〕

 〔解析結果、第二級警戒対象である『三獣士』と断定。チョウリの暗殺が奴らの目的であると推定。〕

 〔今後の行動予測パターン……分析完了。プラン2の可能性が80%以上〕

 〔〔〔了解〕〕〕

 

 

「フラウロス殿。何か私達に隠していませんか?」

「…何かとは?」

「いえ、なんというか…少し雰囲気が変わったような」

「流石ですね。同胞が少し先に盗賊らしき者共を見つけたものでね」

「またですか!?全く、ひどいものですね!」

「ええ、一刻も早くこの国を善きものに」

 

 

 

 

 ___________________________________

 

 

 

 

「くそ!!」

 

 悪態をつきながら普段の倍の食事にかぶりつくオネスト。

 ストレスの要因は親衛隊の勝手な行動と最近、再び宮廷に仕えだしたチョウリ元大臣、もといチョウリ内政官の存在である。

 付け加えるなら、捕まえたナイトレイドに逃げられたこともストレスの一因である。

 

「してやられたな」

 

 そんなご機嫌斜めのオネストと話すのはエスデス将軍。こちらはむしろ機嫌が良さげだ。

 理由はリヴァ達から聞いた親衛隊の実力の高さだろうか。

 

 

 ちなみに、親衛隊は独断行動の責を問われたが、チョウリが無事に帝都に到着したため、以降こんなことが無いように、という厳重注意で済んだ。

 

 

「全く!何が親衛隊だ!陛下の命令無視など反逆罪だ!死刑だ!」

「命令が出る前に行動していたから、命令無視(・・)ではないだろう?」

 

 それさえも反逆行為なら、陛下の知らぬ所で色々やっているお前も同罪である。

 

「あいつらのせいで食事量が増すばかり!くそ!!」

「最近、拷問官の仕事も減っているそうだな。良識派の者達はこぞってゲーティアに護衛を頼んでいるぞ」

「ちっ!やはりここは少しばかり尻尾を切る必要がありますな。まずは小癪な賊共から始末しましょう。ゲーティア(あいつ)はその後で…」

「暗殺か?できれば親衛隊と私の軍で一戦交えたいのだが」

「…まぁ、前向きに善処しますよ」

 

 

 

 

 

 _______________________

 

 〈数日後、ナイトレイドアジト〉

 

「マインとシェーレの怪我は?」

「順調に快方に向かってるみたい。でも次の仕事には無理」

「そうか。まぁ、全快でも次の仕事までは休養させるつもりだ」

 

 団長、ナジェンダは広間にマインとシェーレ以外のメンバーを集め、次の任務を説明する。

 

「ここ最近、あくどい文官が数人ほど暗殺された。護衛含めて死者は30人ほど」

「?いい事じゃないのか?」

「そうだな。現場に『ナイトレイド』を騙る紙がばら撒かれてなかったらな」

「「「「「!!」」」」」

「暗殺された文官は全員が中立、といえば聞こえはいいが、実際はどちらからも、うまい汁を啜ろうとする蝙蝠みたいな連中だ。死んで当然とは言わないがな」

「そして、そいつらの暗殺現場に…」

「これは挑発だ。だが、このまま黙っているわけにもいかない」

「…次の任務は偽物の捜索?」

「いや、奴らが次に狙う目標も見当がつく。近日、良識派の者が二人、宮殿を出る。必ずそこに偽物は現れる」

「さすがボス。やる~」

「一人は辺境の村へ。もう一人は竜船に乗るらしい。今回の任務はこの二人の護衛だ」

 

 

 

 ___________________

 

「統括局より陛下の御命令を伝える。エスデス将軍が作る特殊部隊の人員候補の護衛を親衛隊(我々)に命じた。一個中隊ないし大隊での要請だ」

「アモンより推測。間違いなくオネストの介入だ。近日、二人の文官が外出予定だな」

「フォルネウスより予測。三獣士の行動と帝具より竜船での襲撃確率が70%強」

「フラウロスより計算。三獣士の戦闘力からして、通常戦闘員では危険。我々の中から出なければ」

「ハルファスより賛同。ならば私の出番か」

「バアルより意見。ここは私に任せてもらおう」

「バルバトスより反論。なぜバアルが出る必要があるのか。成功確率が高いハルファスの方が適しているだろう」

「バアルより立論。最新の魔神柱(我々)専用武装の試験が可能だ。これを機に専用武装の作成に取り掛かれる。戦力の大幅な増強が見込める」

「統括局より決をとる。賛同の者はその意を示せ」

 

 

 ___________________

 

 

 数日後、竜船乗り場

 

「すっげー!デカい!」

「おいおい、気をつけろよ」

 

 正装に身を包み、目の前の巨大な船に唖然とするタツミ。そして指名手配されているが、インクルシオの透明化で誰にも注目されないブラート。

 

 

 

 

「いくぞ…」

 

 コートで顔まですっぽりと覆った三人組が人混みを避けるように蠢く。

 

 

 

 

 

「……フン」

 その三人を見つめる老人。間に人が入ったとしても見失うことなく三人組を見続ける。

 

 もしもこの世界にある世界の探偵がいたら、全力で船からの転落事故を防ごうとするだろう。

 

 

 

 最もこれから起こるのは犯罪紳士に似つかわしくない派手な事件になるだろう。

 

 

 

 




探偵の件がわからない人は『恐怖の谷』を読んでみましょう。
個人的にあれはホームズの数少ない結果的な敗北の一つだと思う。
シェーレ救出シーンはざっくりカットしました。しかしシェーレの役割はまだまだこれからです。

更新ペースは上げられるよう努力します。気長にお待ちいただければ幸いです。
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