早坂さんは明かしたい   作:パン de 恵比寿

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早坂さんは認めたい

 

「もういい加減にしてください会長」

 

 呼び出された学院の屋上。寒空の下で待っていた早坂は開口一番そう言い放った。

 

「な、なんのことだ」

「なんだじゃありません。会長さんの私に対する態度です。一体どういうつもりなんですか」

 

 戸惑う白銀に対し、早坂は益々語気を強めズイっと詰め寄ってくる。いつもの演じがかった雰囲気などまるで感じない、本心から怒気を感じた。

 

「待ってくれ、話が見えない。一から説明してくれ」

「……はぁ…。私が以前、この場所で明かしたこと。覚えていますね?」

「ああ。四宮に仕える専属侍従だと。それで、目立たないように四宮と離れた関係を演じてるとも。だから……」

「ええ。会長が私の立場を案じて、無関係を装おうとしてくれていること、感謝しています。

 ですがーーー下手すぎる」

「は?」

「演じ方があまりに下手すぎです!

 私が視界に入ったり、廊下ですれ違う度!平静を装おうとしてるつもりでしょうが、意識しすぎて逆に挙動不審さが増してるんですよ!その悪目立ちっぷりといったら……周りでどんな噂が立とうとしてるか知ってますか!?」

 

 

『あの白銀会長が、めっちゃビクビクしてんぞ』

『ギャルっぽいあの子に?昔虐められてたんじゃね?』

『親が不倫関係とか複雑な事情があるのかも』

『なんか前、二人だけでカラオケ行ったとかいう噂立たなかったっけ』

『まさかの元カノ?』

 

 

「そんな噂で立つたびに、揉み消す私の苦労がわかりますか!?」

「そ、それは……だが待ってくれ。普段の俺は、そんなに不審な態度を取っているのか」

「まだ認めませんか!……いいでしょう。でしたら証拠をお見せします」

 

 自身を落ち着けるように溜息を吐いたのち、おもむろに携帯(スマホ)を取り出す早坂。

 最新機種。白銀の持つそれより3割ほども大きな画面に、いくつかの動画が映し出されている。

 

「これは?」

「学院内の各所に設置された防犯カメラ。その記録映像を拝借したものです」

 

 そんなものが……と驚く白銀の隣。恐ろしく慣れた手つき液晶に指を滑らせていく早坂。再生ボタンを押すと同時、音声とともに映像が流れ始める。

 昼時の学院内。白銀もよく通る見慣れた廊下を行き交う生徒たちの姿が映し出されていた。

 

「ここで、会長と私がすれ違います」

 

 指をスワイプし画面が拡大されると同時、廊下の奥から白銀御幸が姿をあらわす。目つきの悪い、分厚い本を片手に憮然とした表情で歩く姿は、いかにも近寄りがたい雰囲気を醸し出している。

 

 怖っ。普段の自分はこんな風なのかと知らず気が落ち込んでくるのと同時、えー、マジー?と黄色い声が聞こえ始める。早坂を始めいつもの女生徒たちが、白銀と反対方向から歩いてきていた。

 

 ……ああ、この時のことは覚えている

 確か移動教室の際にすれ違ったのだったか。だが、あの時も、互いの関係を悟られぬよう自分は普段と変わらぬ表情(てい)を装っていたはずだ。

 

『……』

 

 事実、ほら。映像の中の自分は、5mほどの距離にまで近づいているのに、別段変わりない表情でいるではないか

 

「早ーー」

「いいから黙って見ててください」

 

 言い出そうとする声を、猫のような細く冷たい目が封じる。その間も縮まっていく両者の距離

 

 距離2メートル

『……』

 1メートル

『……』

 0メー……

『(しゃくれ)』

 

 

「出来てないし!!」

「!?」

 

 ダンっ!とすぐ足元で地面を踏まれ、ビクリと体が跳ね上がる

 

「全然出来てないし!どこの世界にすれ違うだけでク◯キングパパになる人がいるし!?それともイ◯キ!?これからはアントン会長とでもお呼びしましょうか!?」

「……げ、元気があればなんでも」

「出来てないし!!」

 

 再び踏まれる地面。溢れる怒りに口調が混ざってきている。初めてあった時とは真逆の雰囲気に白銀もタジタジであった。

 

「兎に角。このままでは私の業務に支障がでます。会長に恐れられる影の女番長なんて呼ばれた日には、かぐや様にお暇を言い渡されかねません」

「う、ぐ……。だが具体的に何をすれば」

「会長には、私と会い、仮に会話しようとも無関係を装えるほどの演技力を身につけていただきます」

 

 重みのある低い声と共に、懐から何かを取り出す早坂。赤く細長い布帯。

 見覚えのある『おに鉢巻』。

 

「な!?まさか、それは!?」

「誰にも知られていないとでも思っていましたか?四宮の密偵を甘く見ないことです」

 

 再び携帯を操作する早坂。同時に、聞き覚えのある声の数々が記憶と共に流れ始める。

 

『ママに任せて!』

『俺がこんなみっともない姿みせられるのは……お前だけだから』

『じゃあ……一回だけですよ……?』

『あうふっ!おひぃいぃい!?』

『どうしても食べるというなら私を食べてください〜!』

 

「ぁ……うぁ……」

 

 音の出所である小さな機械から慄き後退る白銀。

 というかなんか編集に悪意がないか。

 

「断ると言うのなら、貴方と書記ちゃんの赤裸々な動画を公表させていただきます。全校に。全国に。もちろん、かぐや様にも」

「ーーー!!?」

 

 オオォオと背後に湧き上がるオーラを携え、口では見目麗しい微笑みを作っているが、目は全く笑っていない。

 

「では放課後、体育館で。私は書記ちゃんほど優しくはありませんので、覚悟しておいてください」

 

 パクパクと鯉のように口を開け閉めする白銀を残し、優雅にも背を向ける彼女。

 冬時の屋上。吹き付ける風はどこまでも冷たかった。

 

 

 

【早坂さんは認めたい】

 

 

 

 日の沈み始めた夕刻の体育館。

 普段は室内スポーツや全校朝礼などに使われ、衆知院学園の生徒全員が入ろうとも余りある広さを誇る館内には、しかし現在、運動用のジャージを着るたった二人の少年少女だけが声を響かせていた。

 

「はぁ、はぁ……。どうだ早坂、この演技力。あまりの迫真さに言葉も出ないーーー」

「あまりの醜さに人の言葉を忘れていただけです」

「っ!?」

「私、『失意に沈む少年』を演じてって言いましたよね?何で膝を故障したカンガルーがコンタクト探して這いずり回ってるんですか」

 

 落胆とか失望とか通り越して、恐怖さえ宿す瞳で見下ろしてくる早坂。

 ぐっ、と項垂れる白銀は、今度こそ失意に沈む少年の姿であった。

 

「……いいですか会長。先にも言いましたが演技の基本は、表情、表現、発声の3つです。

 それら全てが同じ意志、同じ感情を得ることで、初めて説得力というのが生まれてくるのです。会長のは全てがバラバラ……というか、別方向に全力で振り切れてしまっているので、見る側からすれば困惑しか覚えません」

「っ、そんなに酷いのか。俺は……」

「泣く子も鼻で嗤うほどには。なぜその演技力で、今まで会長の立場を演じて来られたのか不思議でなりません。もはや基礎からの矯正が必要なレベル。そもそもセンスが絶望的でーーー」

「わかった!認める!だからこれ以上傷口に塩を塗り込むのはやめてくれ!」

 

 歯に衣着せぬ言葉に奥歯を噛む白銀。同時に、藤原書記は優しかったのだなぁ、と得も言われぬ哀愁の念が湧いてしまう。

 

「……」

「……?どうした?」

「いいえ。なんでもありません。ではまず基礎の基礎、発声の練習から始めましょう」

 

 

 

 

 

 所変わって。生徒会室

 

 

「なんだか私のアイデンティティが奪われてる気がします!」

「先輩どうしたんですか突然」

「どうせ、いつものことでしょう」

「それもそうですね」

「うえーん、二人が冷たいー!」

 

 

 戻って。体育館

 

 

「会長、次、『苦しい』ですよ」

「む……ふっーーつーーっ!」

「それじゃ、ただ力んでるだけです。もっと顔を眉間に皺を寄せて。息遣いも交えて表現してください」

 

 2時間にも及ぶ発声練習を終え、定期的にカフェインを摂取しなければ眠ってしまう白銀のこともあり、休憩を挟む二人。

 

 だがその間にも訓練は続いている。早坂の手に握られたカードの束。5分ごとにその一番上をめくり、書かれた感情を演じていくのだ。

 

「……まだ表情がぎこちない。普段から難しい顔ばかりしている表情筋が固まってるんですよ。何より目つきが悪すぎます。それじゃ、どんな顔しても怒って見えますよ」

「っ、好きでこうなっているわけではーー」

「反論は聞きません。次、『酸っぱい』。

 ……誰が火男(ひょっとこ)に成れって言ったし!?」

 

 またグイっと押し付けられる手鏡。

 発声練習の間も、何度も表情を確認させられたが、今までの人生、これ程自身の顔を眺めたことがあっただろうか。

 

「会長に教えることが、まさかこんな苦行だったなんて……。初めて書記ちゃんを尊敬しました」

「なかなか酷いことをいう」

「一番酷いのは会長だって自覚あります?」

「ぐっ……だ、だが表情や感情なんて、結局は本心からしか生まれでないものだろう。そう簡単に自分の心を騙せるものか?」

「それを為すのが技術というものです。何度も言うようですが、常に自分の表情を意識してください。そしてイメージすることです。本当に『そう』なった時、自分はどんな顔をするか。こんな風にーーー」

 

 ふっ、と息をはいたかと思うや、次の瞬間には『酸っぱい』の顔になる早坂。

 ギュッと耐えるように片目を閉じ。窄められた唇、額には微かに汗まで浮かび。その説得力たるや、見ているこちらにまで酸っぱさが蘇り、唾液が出てくるほどだった。

 

「……すごいな」

「四宮に仕える者ならば当然の技術です。まして、かぐや様の侍従ともなれば」

「相当な努力を重ねたんじゃないか」

「……自分で、望んだことですから」

 

 厳しく、どこか俯いた表情で呟く早坂。

 話題を逸らすようにめくられたカードには『真剣』の2文字が書かれていた。

 

「『真剣』……しんけん……。

  まさか『真剣』について真剣に考えさせられる日が来るとは」

「まあ、会長さんはニュートラルが真剣顔ですけど。表情を作るのが難しいのなら、台詞等で表すのも一つの技術ですよ」

 

 ふむと顎をかく。真面目な話をすれば自然と表情も追いついて来るわけか

 暫しの思案ののち、口を開く白銀。

 

「ーーそういえば、まだ礼を言ってなかった」

「?」

「花火大会の時だ。早坂さんだったんだろ?鍵付きだった四宮のツイアカ。その承認を送ってくれたの」

「ああ……」

 

 思い出すように目を細める早坂。

 

 夏休みの終盤。皆で行くことを約束していた花火大会に、四宮かぐやは行くことができなかった。

 四宮の令嬢としての体裁や本家の意向に従わされ。だがその胸奥では、皆で花火を見ることを切望していた。

 

 その本心が語られた、たった一つのツイート。

 あの呟きがあったからこそ、白銀はかぐやの想いを知ることができたのだ。

 

「……あの時は驚きました。会長さん、(かぐや)を見て館に乗り込んでくるかと思えば、すぐさま正体を見破って引き返していくんですから」

「そうか。やっぱり、あの時。窓際で四宮に化けていたのも、アンタだったんだな」

「……まあ、あの時は急ごしらえで変装も完璧ではありませんでしたからね。万全だったら決して見破れはしなかったでしょう」

「何を悔しがっているんだか」

 

 くっくと笑う白銀につられるように、微かに口元を溶かす早坂。

 

「夏休みは碌に外にも出られず、本家から無理な呼び出しもあったりと酷く心を痛めていましたから……あの子も随分と救われたと思います」

「まあ夏休みはこっちも……。あの子、か」

「……?なにか」

「いや、やっぱり四宮の話をしている時が、一番自然だと思ってな。専属侍従だからか?」

「それは……」

 

 言葉に迷うように口籠る。

 また一枚。めくったカードに書かれる『追懐』の2文字に、思い馳せるように目を細める。

 

「……あの子は、私にとって妹のようなものですから」

 

 早坂家は代々、四宮家に忠誠を誓う家系。

 かぐやの名付け親である父。母はその乳母として。共に本邸で生まれ、7つの歳の頃から共にあり続けてきた仲だ。単なる主従関係ではない、お互いに猫を被らず本心を明かせる数少ない存在でもある。

 

「……どうりで。風邪の見舞いで訪ねた時、アンタの四宮に対する態度に遠慮がないと思った」

「あの子の面倒臭さと言ったら本当に昔っからなんです。体もそんなに強くないから風邪を引くこともしょっちゅうで、その度アホにーーー」

 

 演技がそうさせるのか。ポツリポツリと過去の思い出を語る早坂。どこか愚痴の混ざる物言いも、浮かべる表情は柔らかく、優しさを感じるものだった。

 

「……少し、安心した」

「え?」

「いや。以前、屋上で話した時、アンタは演技することを嫌っているように聞こえたんでな。だから四宮にも……嫌々仕えているのかと思っていた」

 

『そうして己を偽っていくうちに段々と、自分の本心が分からなくなっていくんです』

 

 かつて自分が明かした言葉。確かに、これではまるで……

 

「けど今日話を聞いて、違うとわかった。演じることにも。四宮に仕えることも。どちらにもアンタは真剣で……誇りを持っていて……だからかな、不思議と安心してしまったんだ」

 

「……」

 

 白銀の言葉に、何も返さず顔を俯せ、カードをめくる早坂。

 垂れる前髪に表情は見えないが、その姿は照れているようでもーー

 

「わかったような口を、聞かないでください」

「……え?」

 

 響いた低く思い声に思わず顔を上げる白銀。

 目に映るのは、今朝と同じように、滲み出るような怒りの表情を浮かべる早坂。

 カードに記されていたのは『激怒』の二文字。

 そのまま休憩は終わりとばかりに立ち上がり、演技用の台本を取りに行ってしまう。

 

 しかし言い放たれた言葉が、演技と本心のどちらなのか。

 白銀は結局最後まで、知ることができなかった。

 

 

 

 

 

 

「かぐや様の送迎があるので、今日のところはここまでとします。……というかこれ以上は私の身と心が持ちません」

「そ、そうか。じゃあ……」

「明日も。また同じ時間に行います」

「な、まだ続けるのか!?自分で限界だとーーー」

「当然でしょう。未開の先住民がなんとか大根役者の足下に至ったレベルでどうして納得できますか。私に教わる以上、中途半端は許しません」

 

 ピシャリと言い放っては、3冊もの分厚い本を押し付けて来る。

 

「明日までにこの本で学習しておいてください。勉強は得意でしょう?」

「ぐ……うむ…」

 

 何か言いたげに口ごもりながらも、結局は渋々頷いて本を受け取る白銀。

 同時に取り出されるスケジュール帳。後ろから中を盗み見れば、国際討論大会や期末試験が近いこともあるのだろう、1日の大半以上が勉学に染められ、睡眠時間は3時間を割っていた。

 

 それでも拒否の言葉を口にしない以上。彼はきっと更に睡眠時間を削ってでも、勉学を重ねて来るのだろう。

 

「……本はあくまで予習に。軽く目を通すだけで結構です。お疲れ様でした」

「え?あ、ああ。こちらこそ」

 

 頭を下げ、体育館を去っていく白銀の背中に、微かに息をこぼす。

 

 ああ……いけない。

 彼の前に居る自分は、どうにも感情的になり過ぎている。

 平静を装えるよう演技を習わせておきながら、教える側がコレでは立つ瀬がない。

 

『わかったような口をーーー』

 

 言い方なんていくらでもあっただろうに。胸に沸き立つ想いを抑えることができなかった。

 

 かぐや様の……四宮家の専属侍従ともなれば、その地位を望むものは全国に掃いて捨てるほどに居る。その役に至るため積み重ねた努力。払ってきた犠牲は、決して小さなものはなかった。

 その苦労、刻苦を、軽々しく語って欲しくなどなかったのだ。

 何も知らない人が。

 なんの苦労もしていない貴方に、どうしてーーー

 

(……いいえ)

 

 頭に浮かんだ言葉を、自身が否定する。

 そう、それは違うと。

 

 私は知っていた。

 

『白銀……もう生徒会やるつもりはないって言ってなかったか?』

『そのつもりでした。だけど……一生に一度、根性見せる時が来てしまったみたいで』

 

 あなたがかぐや様のため。ただその為だけに、多忙極まる生徒会長の任を続けたこと。

 

 勉強一色に染められたスケジュール帳。目に染み付いた色濃い隈。学年一位を守るため。天才と呼ばれるかぐや様に並ぶために。勉学というただ一つの武器を手に、貴方がどれほどの犠牲を払っているのかも。

 

 常に求められる完璧は、一人の肩には重すぎる。

 期待に応え続ける重圧。失敗は許されない恐怖。

 

 私はーーー私だけは、知っていた。

 

 

 

(……私と貴方は似ています)

 

 努力で塗り固め、本当の自分を隠す様も

 かぐや様の側にいるため、身を削る姿も

 

(そして……だからこそ赦せなかった)

 

 かと思えばカラオケでは容易く醜態を晒し。

 素直に人に教えを請い、尚、自分への自信を失っていない。

 その姿が恨めしくも羨ましく。

 

 何よりーーー氷のようだったかぐや様を救ってくれたのが、幼い頃から側にいた私ではなく、貴方だったこと。

 

 

 それが幼い嫉妬心であることなんて、初めから分かっていた。

 

 ……ただそう。

 

 認めてしまうのが悔しかっただけで。

 

 

 

「これでは、もう『お可愛い』なんて言えませんね」

 

 盛大なため息とともに、遠い記憶に笑みをこぼす早坂。けれど認めてしまえば、胸に抱えていた蟠りが微かに軽くなったように感じた。

 

 明日からはきっと、またいつもの私を演じることができるだろう。

 会長も、筋は悪いが今日1日だけでも着実に演技の基礎を身につけている。このまま根気強く教えていけば、いずれは名役者に成長するかもしれない。

 

 そうすれば、またいつもの日々が戻ってくる。

 我儘な主人の要望に応える、あの面倒くさくも面白可笑しな日常がーーー

 

 

 

 

 

「………?」

 

 その時ふと、懐から伝わる振動に目を落とす。普段使用する携帯とは別の、黒く無骨なデザインの携帯。コレが繋がる相手は決まっていた。

 

(四宮……本邸から?)

 

 着信ボタンを押し、電話に出る少女。

 だが携帯を握る手は、知らず震えている。

 そう。コレが鳴る時はいつだってーーー

 

 

 少女は忘れていたのだ。

 自分が常ある日常。

 その日々もまた、容易く崩れ去ってしまうものだということを。

 

 

 

 

 

 次回 最終話【早坂さんは愛されたい】に続く

 




次回 最終話【早坂さんは愛されたい】に続く

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