東北きりたんが、結月ゆかりを大好きな短編小説集   作:甘味処

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⑱ディフェンスなゆかりさんと、オフェンスなきりたん

「ゆかりさん、ゆかりお姉ちゃん、ゆか姉...うーむ」

 

一緒にゲームをしながら私の膝の上で、私の名前を色々連呼しているのは東北きりたん、きりちゃんだ。

親友の妹さんで、気の合うゲーム仲間で、慕ってくれる元婚約者で、お泊まりさせてくれる家庭教師の生徒で、最近は大体一緒にいる妹分だ。

 

...改めて考えると、きりちゃん属性多くない?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゆかくん、ゆかちゃん、ゆかりん...」

 

思考にふけってる間にも何だかヤバい方向に進んでいた。

止めるべきだろうか...うん、止めるべきだな。とりあえず声をかけてみよう。

 

 

 

 

 

 

 

「んぅ?何ですか、ゆーちゃん?」

それは私が聞きたいです。きーちゃん。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...あっ、えっとですね。呼び方を変えれば、もっとゆかりさんと親しくなれるんじゃないかなーと試行錯誤してたんです。」

 

振り返り、混じり気のない真剣な瞳を向けられ、つい視線をそらす。

...相変わらず好意がまっすぐ過ぎてくすぐったい。

 

そんな風に赤くなっているだろう頬を、いつの間にか体ごと向かい合わせになってるきりちゃんが両手で挟み込み、無理やり視線を合わせられた。

 

 

 

 

 

 

「照れてますよね?やっぱり可愛いですね。...ゆかりさん。チューしていいですか?」

ダメです。て言うか、顔近い。

 

この前のペットのてんやわんやの後、ボディタッチが多くなったと言うか、さらに距離が近くなった気がする。

 

 

 

 

「そこを何とか」

 

何ともなりません。

 

 

 

 

 

 

「舌は入れないので。」

 

むしろ入れる予定あったの?最近の小学生こわい。

 

 

 

 

 

「うーん確かに...初キスはディープなのより、ライトな感じで、夜景もしくは夕暮れが綺麗な所で2人っきりが良いです。」

 

そっか。ならそれは、将来のお婿さんにとっておいてください。

 

 

 

 

 

 

 

「でも据え膳は頂きたいと言うか...後、お婿さんって言うより、ゆかりさんはお嫁さんの方がしっくり来ますよ?」

 

 ......手強い。狙いをそらしてくれない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん~、あっ、なるほど。...ゆか姉、キスしましょう」

 

だからしません。

 

 

 

「それなら...ゆかちゃん、ちゅっちゅっしよっか?」

 

...呼び方と誘い方変えても無駄だよ?

別に呼び方変えると好感度が上がる的な裏設定は私には無い。好きに呼んでほしい。

でもキスはダメです。

 

 

「むー。」

きりちゃんのほっぺたがふくれて、遺憾の意的な感情を伝えてくるが、きちんと断ったので分かってくれたはず...なんて考えていると、服を掴まれ引っ張られる。

 

 

 

 

 

 

 

「...その、私とキスするの、嫌なんですか?...やっぱり」

 

そのまま悲しげな表情で見上げられ、心が揺さぶられる。

......唇はダメとしても、頰にキスくらいなら良いかもしれない、なんて少しだけ思ってしまったが、やっぱりダメだ。

 

 

 

 

 

 

 

「む、頭を撫でて誤魔化そうとしてますね。...まったくもう。」

 

一度受け入れてしまうと、きりちゃんは遠慮とか自重とかかなぐり捨てて飛びかかってくる。

 

 

例えば...膝に乗ることだって、当初は背筋を伸ばし気味で体重をかけまいと気にしていた。

そんな様子に遠慮しなくて良いと告げたのだが...結果的に今では当たり前のようにくったり寄りかかり、むしろぐいぐい体重をかけることを楽しんでいるようで、遠慮のカケラも残ってない。

 

 

いやまあ、暖かいし懐いてくれるのは嬉しいのでそれは自体はまあ良いのだが...問題はきりちゃんのブレーキが0か1しかない所だ。

 

 

今回も、もし頰だけでも許してしまうと、許された範囲で全力でキスをしてくるに違いない。...絶対ヤバいことになる。

 

 

 

 

 

 

幸い、きりちゃんはダメと伝えれば、きちんと我慢できる良い子だ。

だから、これからもダメなことは年上の私がきちんと断って、ブレーキ役にならないと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...あっ、でも呼び方の方は何でも良いんですよね?じゃあ旦那様とか、あなたとかでも...」

 

 

...あっ、やべ。

そこもブレーキかけとくべきだった。

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