東北きりたんが、結月ゆかりを大好きな短編小説集   作:甘味処

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⑲告白し続けるゆかりさんと、告白し続けるきりたん

「ゆかりさん。ゆかりさん。」

 

いつも通り勉強を終え、きりちゃんを抱き枕にしてゲームな今日この頃。

今日はストリートなファイター達を操作する格闘ゲームで対戦中だ。

 

相変わらず小学生とは思えないほど巧みに操作するきりちゃんだが...流石に年齢差分で私が勝ち越している。

 

多分そろそろ、きりちゃんからハンデを付けて欲しいと言う頃だろうと思ってたので、

呼びかけてくる声に少しだけ感じてしまう優越感にひたりつつ、気の無い感じな返事で先を促す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...好きです」

 

 

 

左耳と右耳に同時に入ってきた告白の言葉。遅れて意味を理解して、思考が数瞬膠着する。

 

...脈絡が無さすぎる。

何故このタイミングで私は急に告白されたのだろう、と言う疑問は

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今です!もらいましたっ!!」

 

きりちゃんが操作する世紀末ヘッドなキャラが繰り出す小キックからのコンボ、そしてカットイン入りの強烈なムーンサルトに、私の操作キャラが断末魔をあげる...一連の流れを見て答えにたどり着いた。

 

なるほど。さっきの発言は私の隙を生み出すための言葉だったのか。

 

 

...卑怯な。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あっすいません。噛みました。《好きです》じゃなくて《隙ありです》の言い間違いでした。嘘じゃないです。噛みまみたので。...ほらほら、次のキャラを選択してくださいよ」

 

違う、わざとだ。私はどこぞのロリコン半吸血鬼とは違うので騙されない。

証拠にきりちゃんの頬が赤くなっている。照れるくらいなら言わなければ良いのに。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゆかりさん。良く言うじゃないですか。《精神攻撃は基本》だって...それに私は非力な小学生ですよ?年齢差的にも、このくらいの場外攻撃は許してくださいよ」

 

つまりわざとじゃん。と言う言葉は、年齢差の話題を出されると止まってしまう。普段小学生とは思えない言動を乱発している癖にこういう時だけ縮むのはずるい、と思いつつキャラ選択を終える。

 

 

 

 

 

 

 

「それじゃあ、続けましょうか...」

 

まあいいや。同じ手は通用しない。私の心を弄んだお仕置きに...次はコテンパンにしてやろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふっふっふ...また勝っちゃいました!ゆかりさんにここまで連勝したの、初めてかもしれませんね」

 

同じ手が通用しまくってる件。

また、きりちゃんの心理攻撃(告白)によって負けてしまった。

 

 

初見、いや初耳?...で無ければ動揺しないと高をくくっていたのだが、何とか初撃の言葉に耐えても、きりちゃんの(無駄に)心がこもっている甘ったるい言葉はその後も続き、翻弄されてしまう。

 

 

 

...どうしよう、凄い悔しい。

 

小学生相手に大人気ないのかもしれないが、年齢差で勝敗を割り切れるような相手なら、そもそもここまで入り浸っていない。きりちゃんは私にとって、強敵と書くライバルでもあるのだ。だから誰よりも勝ちたい...のだけど、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「(前略)...ゆかりさんがぎゅーっと抱きしめてくれるとですね、大切にしてくれるんだなぁって実感するんです。もちろん、恋愛的な要素はそこに無いのかもしれませんが、その度に惚れ直してしまうと言うか...(中略)...それで照れているゆかりさんの表情はとっっても綺麗で、それでも今もこうしてきちんと私の言葉を無視せずに聞いてくれるじゃないですか、そこに...(中略)...ゆかりさんは分類するとすればスレンダーエロって感じですよね。確かにボリューム的な意味ではずん姉さまの体系が理想なのかもしれませんが、むしろその抱きしめると壊れちゃいそうな線の細さと、チラチラ見えちゃううなじとか発禁ものですよ?私の性癖ゆがんだらちゃんと責任とってくださいね?と言うか...(後略)」

 

きりちゃんは熱に浮かされたように目をトロンとさせながら私への好意?を話し続ける。小学生がしちゃいけない表情をしてる。

と言うか、それだけしゃべって何故噛まない。何故普通にゲームができる。

 

 

私の方は、きりちゃんからの心理攻撃が来るとわかっていても、予測可能回避不可能でやられてしまうと言うのに。

 

 

 

 

格闘ゲーム全般に言えるが、ある程度コンボが繋がるようになると、後はプレイヤー同士の読み合いが勝負を決める。

だからプレイの腕に大きな差が無い私ときりちゃんとの対戦は、普段年齢的にも私が有利なのだが...心理的にガタガタになってしまう今の状況だと、勝てるすべが無い訳で。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

...いや、勝つ方法ならある。

私もきりちゃんへ心理攻撃、つまりは好意を伝えてスキを作れば良いんだ。

 

 

 

 

気の利いた言葉は考え付かないので、とりあえずストレートに《好きだよ》と伝えてみる。

 

...ちょっと遅れて《友人として》とつけ加えるのも忘れない。これなら嘘じゃない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さらにゆかりさんの魅力はですね...ん、何ですか、ゆかりさ...え?えっ?......ああ。なるほ...ええっ!?」

 

混乱するきりちゃんを尻目に、高速で私の指がコンボからの必殺を打ち込む。今度は逆に、きりちゃんの操作キャラが吹っ飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーっ!ずっ、ずるい!!大人気ない!!!」

ずるくない。大人気なくない。

対戦中に手を止める方が悪いし、精神攻撃は基本なんでしょ?と告げる。

やばい、久しぶりの勝利にニヤニヤが止まらない。悔しそうなきりちゃんの表情もあいまって、なんてカタルシス。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「くっ......いいでしょう。ですが初恋真っ最中の私に心理戦(告白合戦)で勝てると思わないことですね!乙女心をもてあそんだ報いは受けてもらいますよ!!」

 

それはこっちのセリフだ。

察しが良いきりちゃんには心のこもっていない形だけの言葉では鼻で笑われてしまうだろうが、問題ない。

 

きりちゃんのことは慕ってくれる妹として好きだし、優秀な教え子として好きだし、競い合うライバルとして好きだし、安眠できる抱き枕として好きだし、自発的に暖めてくれる湯たんぽとして好きだし、健気なペットとして...何か後半は人に向ける好意じゃない気もするけど...ともかく、本音で言える告白はいっぱいあるのだから。

 

 

その後も精神攻撃込みのゲーム対戦にのめりこみ、いつも以上に疲れてしまった私達はぐっすり寝入って、翌朝寝坊しかけ、ずん子さんに揃って叩き起こされることとなるのだった。

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