東北きりたんが、結月ゆかりを大好きな短編小説集   作:甘味処

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本短編小説の1〜5話をニコニコ動画にアップしました。動画作るの大変でしたが、楽しかったです。以下URL。
http://sp.nicovideo.jp/watch/sm33022845

それで今話の話ですが、エイプリルフールネタです。遅刻しました。


㉗結婚間近なゆかりさんと、お布団なきりたん(エイプリルフール)

「すぴー、すぴー…」

目を覚ます。今日は日曜日だ。

起きたばかりで、ぼやけた視界にはっきりしない思考。

そして聞こえる規則的な寝息に、感じる体温と、軽い重み。

...ああ昨日は、きりちゃんに乗っかられたまま寝たんだった。

 

トトロのお腹に着地したメイ的な感じだ。そこまでの体格差は無いけど、大体あってる。

 

 

 

 

昨日、きりちゃんから新魔法を習得したと話を切り出された。その魔法は、体重を軽くする女の子には夢のような魔法…かと思いきや、やせる訳では無く質量だけ減らす、体型は変わらない......微妙な魔法だった。

きりちゃんが、そんな魔法を習得した理由は私に負担をかけずにくっついて寝たりしたいから...らしい。

確かに小学5年生とは言え、体重をかけられたら寝苦しいかも知れない。好意を寄せつつも気をつかってくれる、良い子なきりちゃんに、頬を緩めてほんわかした。

そして説明しながら、頑張ったから褒めてと言葉にはしないが仕草や瞳で全力アピールするきりちゃん。無論断れずに、たっぷり褒めた後、要望通りの寝方をして昨日は就寝した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んー...」

足は蟹挟みで、腕を私の腰に回し、顔を私の胸につっぷし、寝息だか寝言だかを漏らすきりちゃんは、私の体からズリ落ちたりせず、思ったより安定していた。

 

安定している一因に、私の胸の膨らみがあると推測した(確信)。

 

見てると、きりちゃんの頭が横にズレないようガードレール的な役割をしているようだった。…これがずん子さんやマキさんだったら、きりちゃんの首が90度後方に曲がるか、顔が埋まって窒息しかねないので、何事もホドホドが良いと言うことなのだろう。

また1つ世界の心理を悟ってしまった。

 

 

「…ぅかりさん、えへへ」

何やら幸せそうに寝言を呟く、きりちゃんの体重は軽い。一夜明けてもしっかり魔法は継続中らしかった。

でも暖かさはそのままで…昨日も感じたが完全に寝具だった。暖かくなってきたら、就寝時、きりちゃんをかぶるだけで、他の掛け布団はいらないかもしれない。

...私は何を考えているんだろうと自問自答しつつ、きりちゃんを起すために声をかけた。

 

 

「……んっ...おはよう、ございまぅ」

私の視界には後頭部しか見えないが、これ絶対瞼が閉じて、意識も半分夢の中な状態だ。

平日よりゆっくりだが、可能な限り東北家では休みでも全員一緒に朝食を取っている。

時間的に、そろそろ起きないとまずい。

「...だっこ」

…えっ?

なので、きりちゃんを起そうとしていたが、不意にきりちゃんから予想外な言葉が発せられる。

 

「このまま、だっこで、運んで、くだ...さい」

えー...。

逡巡している内に回されていた、きりちゃんの腕が動き、きゅっと抱きなおされた。

...まあ軽くなってるし、いいか。

朝起きたばかりの私の頭は、様々な思考を放棄し、手の位置を調整して抱きあげる。

「...ふみゅ。」

お腹が少し圧迫されたのだろう、ぬいぐるみのような音を口から出すきりちゃんを抱え、私は目を覚ますために、部屋を出て洗面所に向かった。

 

 

 

 

そんな感じで始まった今日は、4月1日。年度初めな日曜日だ。

↓↓↓顔を洗って、朝食中↓↓↓

「ゆかりさん、今日はエイプリルフールですね。」

そうだね。

無事朝食を済ませ、きりちゃんの部屋に2人で戻ってきた。...今考えると朝食から戻る時は、だっこはいらなかった気がしつつも、きりちゃんの言葉に頷く。

「だから、嘘をつきましょう。」

はぁ...。

いいけど、それは事前に言うことなのだろうか。

「良いんです。標的はゆかりさんじゃないので。...2人で共謀して、マキさんやずん姉さま達、皆んなを騙しちゃいましょう!」

ふむ、なるほど。

2人で悪巧みするの楽しそうだし、私もそれで構わない。...きりちゃん相手に嘘付くと、かなり荒唐無稽な嘘でも妄信された上に、騙した後の罪悪感が凄そうだし。

「ふっふっふ...悪のゆかきりコンビ結成ですね!それでは...ちょっとスマホを貸してくれませんか?LINE使うので。」

ニヤリと笑い合う私達。

えっスマホ?...ああ、なるほど。

直接会って嘘をつくより、簡単に会話できてすぐに嘘がつける。しかも2人同時に同じ内容を言うことで信憑性を上げるのか。

納得した私はあんまり深く考えずに、きりちゃんにスマホを渡すと、以前教えたパスワードを慣れた感じで入力し、まず私の端末でグループメッセージを打ち込み始めた。

画面を後ろから覗くと…

 

 

 

 

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《ゆかり》

私、結月ゆかりと東北きりたんは、この度、結婚することになりました。

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...!?

「ふふっ、皆のびっくりする姿が目に浮かびます...」

いや、既に私がびっくりしてます。...まあ、エイプリルフールだし、誰も傷つけない嘘だし、別に良いか。何て考えていると、きりちゃんは次に自分の端末でメッセージを送る。

 

 

 

 

 

 

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《きりたん》

昨日デートだったんですが、高級レストランでディナーを食べて、夜景の綺麗な橋の上で抱きしめられて求婚されました。もちろん、喜んで受けました。

【夜景が綺麗な橋の上で2人で自撮りした、仲良さそうな写真送付】

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「ぬふふ...」

昨日は確かに映画を一緒に見て晩御飯食べ、帰り道、夜景の綺麗な橋を通って、そこで写真を撮った。

でもファミレスだったし、求婚なんてしてない。きりちゃんがこういう所で求婚されたいとか、今日はもう実質恋人デートとか色々言ってたけど。

そして今度は、私のスマホで文章を打ち込む。どうやら交互に打ち込むようだ。

 

 

 

 

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《ゆかり》

まだ資金面で2人とも自立できていないので、家を出て同棲等はまだしません。ですが、両家に顔合わせは済ませています。

【結月家の両親と2人が一緒の、楽しそうな写真送付】

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「ゆかりさんのご両親、とっても優しい方でしたねっ!」

その日、いつもとは逆に我が家に遊びに来たきりちゃん。あまり家にいないが偶然揃っていた私の両親に、きりちゃんは猫かわいがりされていた。

娘が増えるとか、自分達があまり構えない分、私を構ってあげてほしいとか、私の好きな卵焼きの味付けは...とか色々言っていた私の父母。それでいいのかあんたら。

「あっ、こっちの画像も上げときましょう」

 

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《きりたん》

【東北家親戚一同がずらっと並んだ集合写真...に、ゆかりさんも並んでる写真送付】

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「えへへ...あの時、親戚の皆に認められちゃいましたね。ゆかりさん、堂々としてて、かっこ良かったです。」

いつも通り、きりちゃんの部屋に遊びに行ったら東北家親戚一同が集まっていた日があった。

流石にそんな中、無神経に混ざるほど肝が据わってなかったので帰ろうとしたのだが、ずん子さんに家庭教師として面通し?とか言われ、着替えされ、あれよあれよと紹介されてしまった。

少し前なら作法とか分からなかったが、ずん子さんに色々習っていたので、良家らしい人たちな集いの中でも料理や食事などには困らなかった。...なんか周りが関心してたけど付け焼刃です。

しかも大御所っぽい雰囲気でありながら優しそうな曾々おばあちゃんには視線を合わされ《優しくて誠実な目だね。あの娘をよろしく頼むよ》とか言われた。

犯罪者の目だ!とか言われなくて良かったけど、私ときりちゃんが愛し合っていると言う勘違いをされてしまった。

 

後で知ったのだが、私がずん子さんから作法を習ってることが花嫁修業として取られてしまったらしい。

そのため私がアクションを取る度に、【健気に花嫁修業を頑張ってる娘】的な視線を向けられていたそうだ。...何でだ。

 

頼みの綱な、きりちゃんも自分の親戚達だろうに何故か恥ずかしがって私の背中で赤面しつつ隠れて、親戚達を説得してくれず...結局誤解は解けなかった。

 

 

 

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《ゆかり》

後ほど、招待状を正式に送りますが、日時と場所は以下の通りです。

【式場の招待状の写真送付】

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「そしてトドメに...この写真です!」

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《きりたん》

式場に下見に行った時に試着しました。

【和洋中様々な花嫁衣裳を着た2人の写真送付(20枚ほど)】

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私ときりちゃんの仲を勘違いしてる人だらけな東北家の中で、誤解していない数少ない理解者がいた。

 

妙齢な女性の方で、連絡先も交換していたのだが、結婚式場で働いているらしく、無料試着のイベントをやっているので試してみないかと誘われた。

 

女友達同士でも参加可能で2人一組とのことだったので、きりちゃんと私で参加させてもらい、着せ替えして、写真を撮って、かなり楽しんだ。

 

その際、なんちゃってな招待状も作ってもらったが、きりちゃんは取っておいたらしい。

 

「ふーっ、やりきりました。」

うん、お疲れ様...でもこれ、大丈夫だろうか。

一つ一つは何て事もない。ただ仲良くしてるだけの写真だけど、これだけ集まると何だか真実味を感じる。

「いや、真実味がある嘘ならエイプリルフール的に良い事じゃないですか。それより、ネタばれまで時間空けたほうが良い思うので、しばらくゲームしてましょう!」

うーん...。まあいっか。

その後、ゲームに熱中してそろそろ昼食と言う時に、そう言えばネタばれしてないことに気づいたのだが......

誰一人内容を疑わず、グループトークで、式場の出し物を相談する親友達。

どこからか聞きつけたらしく、お祝いメッセージを送る私の両親と東北家親戚達。

結婚式のスピーチの原稿を既に結構な枚数書き上げているずん子さん 。

 

 

そんな様子を見て、私ときりちゃん、2人して肝を冷やした。誤解を解くの大変だこれ。

「えーっと、エイプリルフール成功...?で良いんですかね?」

う、うーん…

何と言うか、成功と失敗が両立してる気がする。そんなエイプリルフールだった。




~以下蛇足かもしれない補足的な文~

(私の作品内では)権謀術数チートキャラなずん子さんが、今回2人の嘘に見事に騙されてたりします。(描写しきれてないですが)

ずん子さん視点だと、デートした翌日に抱き合って起きてきたり、写真や式場の招待状が加工じゃないことを見抜けたり、そもそもゆかきりコンビが付き合ってないことが摩訶不思議な程仲良かったりしてるので...しょうがないね。
 
 
そして、理解者っぽい結婚式場で働く東北家親戚な女性(実は社長)。誤解はしてないけど、初見でゆかりさんの事をかなり気に入って、きりたんと結婚させて東北家に取り込んでゆくゆくは自分の会社の跡取りに...とか企んでます。なのできりちゃんの恋をフォローしたり、ゆかりさんの外堀埋めたりします。

ずん子さん的な役割をする人が増えるよ。やったね、ゆかりさん!

まあそんな訳で、有る意味一番の敵なのですが、ゆかりさんは気づいていません。
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