他の方のpixiv作品なんですが、『ピカチュウがサトシを取り合っているようです』を見させていただいて、
【会いに来るのが一日遅かった場合の、ゆかりさんの状況】ってこんな感じなんだろうなって思いました。
それと、ニコニコ動画2500再生&120コメント&138マイリスありがとうございます。こんなに好評で、動画作って良かったです。
久しぶりに長期休暇が取れたらしい両親と家族旅行に行って来た。
行きの際、きりちゃんが体重を無くしカバンに浸入していたが、ギリギリで気づきカバンごと東北家に預かってもらい出発し、旅行を終え無事帰ってこれた。
そんなこんなで3日ぶりに東北家にお邪魔した私。帰ったばかりで今日は家庭教師はお休みなのだが...何と言うか、早めにきりちゃんに合わないとヤバいことになりそうな気がしたので遊びに来てしまった。
「「「「「はーい、どうぞ」」」」」
お土産をずん子さんに手渡し、何だか久しぶりに感じながら、きりちゃんの部屋まで行き、ノックの返答を聞きつつドアを開けたら、
「「「「「ゆかりさん、お久しぶりです!!」」」」」
きりちゃんが増えていた。
もう一度言う。
きりちゃんが、増えていた。しかも5人に。
「「「「「あれ?ゆかりさん、どうしま...」」」」」
パタン。
...意味が分からなかったので一旦ドアを閉め、仕切りなおす。そして状況を努めて冷静に考える。
今の現状は...
【3日ぶりにあったら、きりちゃんが増えていた。】
...やっぱり意味が分からない。
視覚だけでなく、声もユニゾンして聞こえたので幻覚の類では無いのだろう。
うーん。3日前までは、きりちゃんは確かに一人だったはずだ。
という事は......放置したのが不味かった?水を入れた増えるワカメ的な感じで?
「「「「「どうしました?ゆかりさん?遠慮しないで部屋に入ってください」」」」」
ハテナマークを量産していると、ドアを開けて部屋からこちらを伺うきりちゃん達(複数形)。
そして1人がドアを開閉し、2人に両手をひっぱられ、2人に背中を押され部屋に連れ込まれる。
別に力が入っているわけでは無いが、これがきりちゃんじゃなければ、数の多さにビビりそうだ。
...とりあえず、何で増えてるのか聞いてみる。
「「「「「ゆかりさんへの愛ゆえです!」」」」」
うん。
とりあえず分かったことは、全員きりちゃん本人と言うことだけだった。
「赤レンジャイ!」
「黄レンジャイ!」
「赤レンジャイ!」
「赤レンジャイ!」
「黄レンジャイ!」
「「「「「5人揃って...ゴレンジャイ!」」」」」
決めポーズのまま静止し、こちらを見る10の瞳。何かを期待した視線は漏れなくキラキラと輝いていた。...うん、まあ、気持ちは分かる。私も5人に増えたら同じことしたい。...そんな機会はないだろうけど。
そして私への特効持ちの視線に逆らえず、色被ってる的な、お望みのツッコミをしつつネタに乗っかった。
「いやー何回も元ネタの映像見て打合せしたから、上手くいきましたね!」
「何度もリハして、頑張りましたからね。」
「でもまさか、急にネタを振られても、最後まで完璧に対応するとは...やっぱり、ゆかりさんは凄いです!」
「ゆかりさん高スペックな上に、ノリもいいですからね!流石は私の...いえ、私達の未来のお嫁さん!!」
「お願いすれば何とかしてくれそうな包容力も、ゆかりさんの魅力の一つだと思います!!!」
ネタを終え、満足そうなきりちゃん's。5人順番にキャッキャと話しあう。
仲良いのは結構だけど、全員に纏わり付かれてるので、音声にサラウンド効果がついてる。うーんと、とりあえず、増えてるのは魔法が原因ってことでいいの?全員本物っぽいんだけど。
「ご明察!さすがはゆかりさんです!3日間暇で習得しました!」
「身代わり的な残像拳とかでは無く、全員が本体の分け身の術...って感じですね。」
「バカめ!そっちも本体だ!!」
「しかもパラメータ劣化なし!1人多いですし、どこぞの三つ目...天津飯とは違うのだよ!」
「魅力も5倍になってます!(当社比)」
やめて、ネタを混ぜないで。つっこまずにはいられ無くて、話進まない。
「本来かなり難しいんらしいんですが、増えた私達でゆかりさんにご奉仕するのを夢見て頑張りました!褒めてください!!あっ、ゆかりさんお菓子どうぞ。はい、あーん。」
「だから、ゆかりさんへの愛ゆえにってのも嘘じゃないんです...えへへ。あっ、クッキーだから喉渇きますよね。はい、ジュースです。コップは私が持ってるので、そのままストローで吸ってください。」
「まあ途中ゆかりさんを誰が一番愛しているかで喧嘩になりかけましたが...あっ、ゆかりさん長距離移動してて疲れてますよね。肩揉みます。」
「いざこざは1日かけてゆかりさんの魅力を語り合って、無事和解しました!ゆかりさんのお膝も順番制で仲良く分けます。ハーレムルート突入ですよ!...あっ、ゆかりさんゲーム電源入れてきました。コントローラーどうぞ。」
...なんだこれ。
きりちゃんとの付き合いも長くなってきたけど、こんなめちゃくちゃな状況は始めてかもしれない。副作用的なのは無いらしいので一安心だが、何だか大変な一日になりそうだ。
...って思ってたんだけど。
なんか1時間しない内に慣れた。
他の人に5人ワラワラ話しかけられたらパニックになるだろうが、全員きりちゃん本人だから話しは早い。きりちゃん側もこちらを考慮して一人づつ話してくれるし。
「ぬわーっ!負けましたか。ふっ、私を倒した所で第2、第3、さらに第4とおまけに第5のきりたんが...ガクッ」
「ふっ、きりたんが負けましたか。やつは私達全員と同格...ってことで、次私の番ですがハンデお願いします。」
「はーい、じゃあ片手ボッシュートです。テレッテレッテ〜...使わない手は私が責任持って、もみもみしときますね」
「多分私は4番目だから...。結構待つことになりますね。あっ5番目きりたん、私もゆかりさんの髪いじりたいです。混ざっていいですか?」
「ふっふっふ、私の味方になれば世界...じゃなくてゆかりさんの髪の半分を渡しましょう。...没収されるの、ロトの剣じゃなくてゆかりさんの腕ですけどね!」
わいわいと話しているが、キチンとこちらの反応を待ってから次のきりちゃんが話してるし、言葉じゃなくても返答がだいたい伝わるし、例えるなら...きりちゃんの手が増えただけで一対一と対して変わらないことに気づいた。
そんな感じで増えた以外はいつも通り...と言うには少しテンション高いきりちゃんと一緒に遊ぶ。
多少テンション高いのは期間空いたから、その反動だろう。なんだかんだ言いつつ、私も久しぶりなきりちゃんにホッとしてるし、人の事あんまり言えない。
だけど、
「「「「「寝る時の順番考えてなかったです。」」」」」
夜も深まってきたころ、きりちゃん全員が一斉にハッと気づいたようだった。いや順番も何も、寝ながら交代なんてできない。...寝る時は流石に一人に戻ったら?
「「「「「...それもそうですね。じゃあ一人に戻ります!」」」」」
お互いに顔を見合わせ、すっと半透明になりながら一人にまとまるきりちゃん。
「...はぅ!?」
途端に蹲るきりちゃん。
...えっ、もしかして無いって言ってたけど魔法の反動があったとか?と一瞬焦ったが、何だか嬉しそうな表情に疑問を持つ。
「いっいえ練習中も問題無かったし魔法の副作用とかでは無いんです。ただえっと...5人それぞれの経験をひとつに集約したんですが」
ああ。NARUTOの影分身みたいに、経験をまとめることができるのか。
「ん...ゆかりさんに抱きついた感触とか、ゆかりさんにお菓子をアーンしてるドキドキとか、ゲームしたワクワク感とか、なでなでされたフワフワ感とか、全員分の経験が一気に...わ、私視点だと同時刻にゆかりさんの感触が5人に増えて......アバババ」
嬉しそうに悶えるきりちゃん。危険とかでは無いらしいけど...これはひどい。こう言う時、どんな顔をすればよいのか分からない。
若干呆れつつ、きりちゃんが落ち着くまでゆっくり撫でてあげた。そして落ち着いた後は3日ぶりに一緒に就寝した。腕に収まるきりちゃんのおかげか、会えなかった時より眠りが深かったらしく、たっぷり寝てしまった。
ついでに件の魔法は、ずん子さんから禁止令を出されてた。ユカリウム?とやらの過剰摂取になりかね無いから...らしい。魔法用語はよく分からない。