東北きりたんが、結月ゆかりを大好きな短編小説集   作:甘味処

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いつも通りタイトルは不穏ですが、いつも通り内容はほのぼのとゆかきりがゲームを楽しむだけです。今回は縛りプレイ(物理)で。



㉙拘束されたゆかりさんと、暴発したきりたん

「すいません、ゆかりさん。私の魔法が暴発したせいでこんな事に...」

 

シュンと俯くきりちゃん。

普段なら...いや今も慰めようと頭を撫でようとする私の腕は、届く事はなかった。

 

私達は揃って拘束されて身動きができないからだ。そして拘束しているのは...

 

 

 

 

 

 

 

 

布団だった。

つまり、くっついて寝ていた私ときりちゃんは、朝起きたら2人まとめて布団に簀巻きにされ転がっていたのだった。

 

...意味が分からない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「......えっと」

 

反省中らしく言葉少なげな本人が話した通り、寝ぼけたきりちゃんの魔法が原因らしい。

 

私ともっとくっつきたいと言うきりちゃんの欲求が布団を魔道具化。布団は私達が離れないように今も頑張ってくれているらしい。

 

現状、布団は呪われた装備のように外せなくなっており、結果として恵方巻きの様に、私達は包まれ転がっていた。

 

 

昨日交代でやっていたゲームの、解呪の巻物か装備外しの罠が欲しい所だ。

 

 

 

「...すいません」

 

何度も謝るきりちゃん。...でもまあ、本人に悪気は無い見たいだし、あんまり気にしないで欲しい。悲しそうな様子に胸がザワザワしてしまう。

 

痛みも無いし、普段からくっついてるので、いつも通りと言えばいつも通りだし、それに時間が経てば魔力が消えて外せるようになるらしいし...きりちゃんには笑っていてほしい。

 

 

「......そうですか?...そうですね、呼吸も(スハスハ)できるし、手だって(サワサワ)動かせるし、体も(グリグリ)触れ合ってあったかいし...いつも通りで問題無いですね!」

 

言葉にしていないが何故か伝わる擬音がおかしい...と指摘する前に、その擬音通りの行動をしてくるきりちゃん。体勢を固定されている私は逃げられない。

 

 

「くっくっく...今のゆかりさんは、まな板の上的な状態です。許してもらったからにはこの状況を思いっきり楽しんじゃいますよ!観念してください!!...スハスハ」

 

くっ、殺せ...!!的な、ちょっと教育に良くなさそうな悪ふざけな掛け合いをしつつ、きりちゃんの様子を観察する。まだ少し空元気気味だが、調子が戻ってきているようでホッとした。

 

そして、きりちゃんの表情に陰りが消えたあたりで私達は、いつも通りゲームをすることに。布団の呪いが時間制限で解呪されるまでの時間つぶしだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「意外と体勢を限定されてもゲームってできるもんですね。」

きりちゃんの魔法でテレビを付け、近くにあったSwitchなコントローラーを隙間から布団の中に取り込み、それぞれ布団の中で操作する。

 

色々と試行錯誤した結果、布団の外に手を出せない以上、互いに背中に回した手で操作する持ち方が一番楽だった。

 

それと簀巻きの布団は魔法のお陰か転がりやすく、少し力を入れると布団ごとベットの上で私達は転がった。今も、きりちゃんが力を入れたらしく半周し、きりちゃんが私の体の下にくる。

 

「んっ......ふぅっ」

残念ながら体重を軽くする魔法なんて私は使えない。体重は同年代の平均より軽いとはいえ、小学生のきりちゃんには負担が大きい......と最初のほうは慌てて私が下に来るように体勢を元に戻していたのだが、

 

 

 

「ゆかりさんが上だと密着度が上がって...ふへへ。それに押しつぶされて、ちょっと息が苦しくなるの、何か、イイ、ですね...」

 

...らしく、本人が喜んでいるのでやりたいようにさせている。

と言うか、体勢を戻そうとしてもイタチゴッコになって互いに目を回すだけなので、諦めた。...きりちゃんが何か目覚めかけてるような気がするが、きっと気のせいだろう。...気のせいのはずだ。

 

ただ、ずっと体重を支えるのはキツイらしく、たまに私が下の状態に戻る...本人曰く【息つぎ】とやらをしながら、ゲームを進めた。

 

   

「ゆかりさん、ゆかりさん、これがいわゆる縛りプレイってやつなんですね」

違う、そうじゃない。確かに縛られてるけど、いつも通りゲームできるから縛りになってないし。

  

それに『ゴロゴロしながらゲームをする』のは好きだが、実際にゴロゴロ転がりながらするのも何か違う気がする。そんな縛り違いとゴロゴロ違いについて取り留めなく談笑していた。

 

 

 

  

  

  

 

   

 

 

  

  

  

 

そしてゲームのBGMを鼻歌し出したきりちゃんに釣られ、低音と高音に分かれて2人で口ずさみながらのんびりゲームに夢中になっていた...そんな時だった。

ノック音と共にずん子さんが現れたのは。

 

 

 

「...あっ、ずん姉さま。」

 

ずん子さんは朝食に呼びに来てくれたらしい。...そう言えば、色々あったせいで朝食の事忘れてた。

 

 

 

「......えっと、これはですね」

 

朝食を告げる途中で黙り、私達を見下ろしながら、言葉を失っているらしいずん子さん。

 

うん、まあ...無理もない。友人と妹が布団に簀巻きになって転がりながら楽しそうにゲームしてたら、私だって言葉を失う。

 

 

そんなことを考えつつも、何とか状況を説明しようと私ときりちゃんが口を開く前に、ずん子さんはどこからか取り出した高級そうなカメラを構えた。

 

 

そして響くシャッター音。

 

 

「...えっ、ちょっとずんねえ様!?何で写真撮ってるんですか!?」

 

さらにスマホも取り出し写真を撮り続ける。ずん子さん曰く、かわいいから皆にもおすそ分けするらしい。

恥ずかしいのでやめて欲しいが、文字通り手も足も出ず、大人しく被写体になり続けるしかない私達。

 

 

 

 

 

 

その後、呪われた布団の装備が外れたのは私のスマホの通知音《LINEグループの新着メッセージ》が一通り鳴り終わってからだった。...無念。

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