東北きりたんが、結月ゆかりを大好きな短編小説集   作:甘味処

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記念すべき30話目!でも内容はいつも通りです。

実は当初、30話目で一旦完結させるつもりでした。
ところが最終話が難産で放置してるせいで、予定は未定になってます。書き上げたら投稿しますので、急に形だけの最終話が現れるかも知れませんが、その後も変わらず投稿し続ける予定なので気にしないでください。


㉚奪われたゆかりさんと、裏切りのきりたん

「ゆかりさん...いい、ですよね?」

 

きりちゃんといつも通り、のんびり遊んでいると不意にきりちゃんの言葉が響いた。

  

きりちゃんを見ると、いつになく真剣な表情。...え、何が?と、思わずキョトンとする私。

 

 

 

 

「もう私、我慢できないんです。ゆかりさんの...奪っちゃいますね?」

 

そんな不穏な言葉と、動けない自身の状況、そしてきりちゃんが持っている危険な道具...ここまで状況が揃って、やっと身の危険を感じた私は腑抜けていたのかもしれない。

...いや違う。きりちゃんを信頼していたが故にだろう。

 

き、きりちゃん?冗談だよね?そんな悪いことしないよね?いい子だから...

 

「すいません、ゆかりさん。もう私は決めたんです...!!」

きりちゃんの言葉は決意に満ちていて、説得や抵抗が意味をなさないことを察してしまった。そ、そんな...

 

  

もう、どうすることもできない。私は、私を陥れるために動くきりちゃんを見ているしかできなかった...

  

  

   

  

 

  

  

  

  

  

  

  

  

「...それじゃあ、アイテムでテレサを呼び出して、50コイン払って、ゆかりさんのスター強奪!...やった最終ターンで逆転!!勝ちました!!!」

 

マリオパーティにおけるテレサのスター強奪は、リアルファイトに繋がりかねないから禁止してたのに...最終ターン行動後で私が反撃できない状態でのいきなりな裏切りに、私がゲーム内で集めていたスターは《奪われ》、きりちゃんに敗北してしまった。...ずるい。

 

「禁止って言っても言葉にはしてないじゃないですか。それに勝負は時として非情にならねばならないのです。それじゃあ罰ゲームの時間です!...ゆかりさん、《お手》です。」

 

確かに空気を読んだだけではっきり言葉にしてないけど...それに罰ゲームなんて初耳だし、私はペットじゃないよ?

 

 

「そう言いつつも、しっかり《お手》をしてくれるゆかりさんが大好きです。」

 

注意した私の言葉とは裏腹に、私の右手は無意識にきりちゃんの手に着地していた。むぅ...

 

 

 

 

「はい。それじゃあ動かないでくださいね。」

そのまま、きりちゃんは私の手の甲にシールを貼った。<持ち主 東北きりたん>と書いてある。む、むぅ...?

 

 

 

「罰ゲームだから取っちゃダメですからね。それじゃあゲームの続きしましょう。次、海のステージがやりたいです」

  

それは良いけど何これ?名前シール?

  

  

  

「はい。そうです。新年度が始まったので、教科書とか貰って...自分の持ち物にはシールを貼るように先生に言われて多めにもらっちゃいました。」

  

それで何故に私の手に貼る発想に行き着くのか意味不明なんだけど...正月の羽子板と同じような罰ゲームってことかな?

  

  

  

「そうです。罰ゲームですし...それに、ゆかりさんの両手は既に私のものですから」

  

純粋な笑顔。けれど瞳は光を反射しない、本気で私の手の所有権を保持していると信じて疑わない狂信者な目だった。

ダイスを振るまでも無く説得は自動失敗する感じの。

  

  

「むふふ...。次は左手に貼り貼りしちゃいますからね。」

  

何か既に次のゲームまで勝ったつもりな、きりちゃん。そんな様子を見てると、まさかの逆転で負けた現状も相まって普通に...いやかなり悔しい。

...次は絶対勝とう、どんな手を使っても。

  

  

  

  

  

  

  

  

  

《↓↓↓残り3ターンまで時間経過↓↓↓》

  

  

  

  

  

  

  

  

「大人気ない...」

   

残り3ターンが表示されたころ、きりちゃんの飽きれたような呟きにピクリと反応してしまう私。...やっぱりそうかな?油断ならない相手とは言え、小学生相手に容赦なくスターを10枚以上荒稼ぎして単独トップ。そんな状況に、今更ながら気恥ずかしさを感じてきた。

   

 って言うか、きりちゃん、さっきから同じ所回ってるの何で?勝負を捨ててるってわけでもなさそうだし。

  

  

  

「まあ子供っぽいってことは私と同じ目線でいてくれるってことなので、私はそんなゆかりさんでいて欲しいです。...あー、同じ所を回ってるのはもう普通の手段だと、ゆかりさんに追いつけないので...あっ、これ行けそうかな?」

   

私、周囲から大人っぽい印象で通ってるつもりなんだけど...きりちゃん相手だとついムキになっちゃうんだよね。

 

なんて思ってたら、自分に《呪いキノコ》を使うきりちゃん。確か効果は、サイコロの目が3以下しかでないってやつだ。....げっ、まさか。

  

  

  

「...よし!《チャンスタイムマス》に止まりました!それじゃあ対象は《ゆかりさん》と《私》で内容は...《持ってるスターを交換》!!やった!!逆転です!!」

目押しに成功したきりちゃんに、私と持ってるスターを強制的に交換されてしまった。し、しまった!?これを狙って...

  

  

「残り2ターン、これはもう決まりましたね。」

くふふと笑うきりちゃん。圧倒的だった得点差がそのまま私に跳ね返ってくることに。残り2ターンでは流石に足掻き用も無く、また敗北してしまった。そ、そんな...

 

「2連勝!!じゃあ次は左手の罰ゲームですね。ゆかりさん、《おかわり》です。...むっ。」

  

別にシールを貼られるくらい気にしないが、また負けた上に良い様に操られるのが悔しかったので意識して左手を動かさなかった。そもそも罰ゲームなんて私は了承してないし...

  

  

手を出さない私に、不満そうなきりちゃんの表情。思わずニヤリとしていると、

 

 

「...ちゃんと言う事聞かないと”躾”しちゃいますよ?」

色彩が消えた瞳と、一オクターブ下がったきりちゃんの言葉に、反射的にサッと左手を差し出してしまった。

 

...別に小学生相手にびびったとかではなく、断ると面倒そうになると、私の勘が告げたからだ。...ちょっとだけ、ペットにされてしまった日《ペットな話参照》を思い出して、背筋がビクッとしてしまったが。

 

 

「はい、良い子ですね。じゃあこっちも...よしよし」

 

結局貼られてしまうシール。それに満足そうに私の手を撫でるきりちゃん。...ぐぬぬ。つ、次は絶対勝ってやる!!

 

 

 

 

 

 

   

《↓↓↓3戦目終了まで時間経過↓↓↓》

 

 

  

 

 

 

 

 

  

「...あっ、私のことはお構いなく。もっと可愛いく、喜んでてください。」

 

その後、3度目の正直で何とか勝ち星を掴んだ私。思わず両手を挙げて、はしゃいでしまった。

   

それ自体は、まあ、良いのだが...何だか生暖かい目で見つめるきりちゃんに、その様子をスマホで撮られてた。お前は、ずん子さんか...

 

     

「姉妹ですから行動が似ちゃうんです。それじゃ、罰ゲームですね。...ふむ、私にシールを貼る所、おへその下とかどうです?」

  

ん?別にどこでも良いけど、何でおへそ?

...何て聞くと、ススっと近づき耳元に口を近づけるきりちゃん。過去の経験から何だか不穏な予感がする。

  

  

  

「...淫紋って知ってますか?シールもそれっぽい形の用意しますので、ね?」

   

内緒話をするように耳元で囁くきりちゃん。うん。おへその下は却下で。

  

  

  

「むう、残念。それなら...額とかどうですか?」

  

前髪を上げて、目を閉じ、ついでに頰をほんのり赤くしながら待つきりちゃん。

 

うん。そこなら大丈夫かな?...でも何で頰を赤くしてるのか意味不明なんだけど。

  

 

「いや、目もつぶってますので、ついでにファーストキスも奪ってくれないかなーって思っちゃって。...合わせるとお得なので、おすすめですよ?」

  

セットメニューか何かなの?...絶対しないから、ドキドキしてるのが伝わる表情やめて。

何か変なことしてる気がしちゃうから。私も何だか頰に熱を持ちつつ、きりちゃんのおでこに私の名前を書いたシールをペタリと貼った。

    

「んっ、ゆかりさんの物にされちゃいました。...えへへ。でも今回、唇はお求めじゃなかったんですか。残念ですが次の機会に期待です。それじゃあ、ゲーム再開です!」

   

そんな感じに、ペタペタと互いにシールを貼りつつ、きりちゃんと私はゲームを楽しんだ。

 

 

 

 

  

  

  

  

  

  

  

   

 

 

  

その後、剥がし忘れたシールがあったらしく夕食中にずん子さんに指摘され、きりちゃんが赤面して慌てて剥がす...なんてイベントがあったが、ずん子さん含むご家族からは特に深く追求されなかった。でもやたら生暖かい視線を送られた。

   

  

  

「こっ、これが、羞恥プレイってやつなんですね。また一つ大人になってしまいました.......」

    

違います。 

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