「 ゆかりさん、ゆかりさん、ここ!ここに座って…ちょっとお耳、貸してください。」
きりちゃんの家庭教師を初めて半年ほどになる。今日は何だか気がそぞろで、何か楽しみなことを伝えたくて頰がピクピクしちゃって、でも我慢しているような…そんな感じだった。そんな様子が伝わってきて、何だか分からないが私も楽しみに思えて、ニコニコしていた。
そして家庭教師の時間が終わり、目をキラキラさせながらベットの端、きりちゃんの隣に座るように促され、満を辞してという感じで私の耳にコソコソ話しかけてきた。何か分からないが勉強中は我慢していたらしい。相変わらず良い子だ。
「実はですね。エッチな本を持ってきたんです。一緒に読みましょう!」
私の耳にコソコソと伝えつつ、A4ほどの本らしきものが入っている紙封筒を取り出すきりちゃん。
良い子って言う前言の撤回が必要になった。きりちゃん、自分が小学生ってことをちゃんと自覚しようね。没収するから渡しなさい。
「ふっふっふ…ところがこの本、私が読んでも大丈夫なエロ本なんです。」
そんなはず無いでしょ?変な言い逃れしようとしないの。
今なら、本を渡してキチンと反省するならずん子さんには言わないから。
「言い訳じゃありません。確かめて見ますか?」
叱っても変わらない態度に少しひるむ。きりちゃんは居直ったり、嘘を言って誤魔化すような子じゃない。…エッチな要素があるけど全年齢向けな漫画とかなのかな?
「ぬふふ、それでは一緒に見て見ましょう。
何故か肩を並べてエロ本?を見る事態に。そして封筒から出てきたのは雑誌風のグラビア的な写真集で、ページを開くと年端もいかないせいぜい中学生程度な少女の裸体が目に入る。目や重要な箇所は黒い線などで隠されているが下着姿で、充分エッチな本だった。
確かに性描写などは無いけど、あんまり教育には良く無い。すぐに読むことを止めようとしたが、きりちゃんを見るとニヤリと不敵な笑みを浮かべていて、気勢が削がれる。
「私が見ても大丈夫な理由、別に年齢指定は関係ないんですが...まだ分かりませんか?ほらこことか、よーく見てください。」
挑発的にきりちゃんにそう言われ、目をそらしがちだったが細部まで見始める。横で説明するきりちゃんのコソコソと囁く声と、小さな指の誘導を受けて真剣にページを見ていると…幼い姿だが、柔らかそうな肌をさらしている少女の姿に、何だかドキドキしてくる。
「お腹が少し出ていますよね?これは別に太っているわけではなく幼い故に内臓が下に出てしまってるんです。通称イカ腹と言いまして、このくらいの年頃特有なぷにぷに加減でしてね...」
きりちゃんと同年齢くらいな少女のあられもない姿を、同じく幼い少女のきりちゃんに臨場感たっぷりな表現で説明されて、よく分からなくなってきていた私だったが、ギリギリであることに気づくことができた。
…この写真集に写ってるの、きりちゃんだ。
「ふっふっふ、その通りです!私の写真を私が見ても無問題です!ずん姉様にゆかりさんに意識してもらう為にはどうしたら良いか相談したことで生まれた努力の結晶です。もちろん、ゆかりさんに見せるためだけの世界に2冊しか無い超プレミア本ですよ!それにしても、顔が隠れてるのに裸だけ見て判別できるなんて、やっぱり毎日裸を見せ合ってるだけあって、私の裸体は覚えられちゃってるんですね。恥ずかしいけど、ゆかりさんなら…」
早口でまくし立てて、赤く染めた頰に手を当ててテレながらクネクネするきりちゃん。多分成長したら黒歴史になるに違いない様子だがスルーしてあげよう。...思春期と言うのは多感な時期だ。きっとしょうがないのだろう。
そして注文すらしてないのに特注品が誕生する世の中って不思議。ついでにもう一冊は目線無しバージョンらしい。そして、やっぱりずん子さんの暗躍か。後、お風呂のことを誤解を招く表現するのやめて。
「ついでにカメラマンもポーズの指導も、ずん姉様です。そ、それでどうですか!?興奮しましたか!?小学生は最高だぜ… って感じになりましたか?ダメですよ?犯罪者になっちゃうから性的な対象は私に限定しないと。私なら相思相愛、合意の上なので合法ですから!セーフな上に、むしろウェルカムです!」
純粋で邪な...矛盾した瞳をこちらに向けつつ、横から私の腕に頰をすろすりして、先ほど説明したお腹に私の手の甲を当てて誘惑?しているらしいきりちゃん。合意の上でも違法でアウトだからね?
そもそもいやらしい目線なんて向けません。確かにこう言う本を見るのは初めてで、ちょっとどきどきしてたけど、きりちゃんって分かったらスッと熱が消えたし。
「え、な、なぜ!?」
いや、きりちゃんってかわいい妹的な立ち位置だから。家族の裸じゃ興奮しないよ。そもそも毎日お風呂一緒に入ってるから見慣れてるし。
「妹…かわいい…家族…。む、むぅ。親愛は感じるので、それはそれで嬉しいのですが…それだけじゃなくて恋愛的なラブも欲しいと言うか…」
不満そうな、でもなんだか口元がニヨニヨしているきりちゃん。かわいいなぁ。
その後、健全な写真を一緒に何枚か撮ったことで、きりちゃんの気をそらすことに成功した。チョロい。
…と思っていたのだが、帰った後、きりちゃんの本(目線無しver)が私のバック内から発見された。こっそり入れられたらしい。チョロいのは私だったようだ。
本人に返そうとしても拒否されそうで、そもそもこれを東北家まで持ち歩きたく無いし、それに内容はともかく私のために必死に作ってくれたことを考えると捨てることもできず、悩んだ結果取り敢えずテンプレ通りにベットの下に隠しておくことにした。なんだってこんなことに…