東北きりたんが、結月ゆかりを大好きな短編小説集   作:甘味処

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暑いので、書きました。
忙しくて更新頻度落ちてますが、ゆっくり続けていきます。


㊱プール日和で水着で協力プレイな、ゆかりさんときりたん

「予定のバスが来るまで後10分ですか。」

反射する日光で真っ白に輝くアスファルト、そして燃え尽きる寸前の悲鳴のようなセミの鳴き声が響く炎天下のさなか、私ときりちゃんはバス停にいた。

 

今は私達以外、周りに誰もいないが約束したバスはもうすぐなのでそろそろいつものメンバーも来るはずだ。本当はずん子さんも来るはずだったが、残念ながら急用で来れなくなってしまったらしい。

 

 

「アイスと、木陰を作ってくれる木がなかったら干からびてる所でしたね。何というか、暑さが殺しにかかってきてますよね。」

気温は聞くところによると40℃を記録したらしいが、きりちゃんが言うように、バス停を守ってくれるような木陰で、アイスを食べているので暑さはかなり軽減されていた。...汗が滲んでしまうほどには暑いけど。

 

 

 

「ん~、こういう時はガリガリ君が最高でしゅよね。」

口の中いっぱいにアイスをほうばり話す言葉は少し舌足らずな感じだったが、とっても美味しそうに食べるきりちゃん。そんなニコニコな笑顔に釣られて、私もニコニコしながら同じくガリガリ君をしゃくしゃくして、振られた話題について考える。

 

確かに、ガリガリ君は美味しい。普段食べるには多いくらいの量が60円で買えてしまい、今の気温だとパクパク食べることができる。

...ついでに、私のおススメの食べ方は、アイスを口に含みながらお茶とかの飲み物を少し口にいれる食べ方だ。口の中で程よく解けて喉に抜けるのが気持ちよく、さらに美味しく食べることができる。

 

 

 

「ほほう...美味しそうですね。さっそく試して見ます。ん、んきゅ、...んん、んー...なぅほど。口の中で少し解けて良い感じですね。あっ、ゆかりさん。洋ナシ味も食べたいから私のソーダ味とトレードしましょう」

きりちゃんはそう言うと水色のアイスを口元に近づけてくれた。トレードは対等でなくてはならない。だから、きりちゃんの口の大きさを考えて少し控えめにかぶりつく。

そして口内にソーダ味を響かせながら、きりちゃんに私のアイスを差し出した。

 

 

「あーんっ、...ん、んふー、んぅ?んー...ん!」

...うん。きりちゃんは本当に美味しそうに食べるのが上手だ。ニコニコと笑顔を送ってくる。口は互いにふさがっているので言葉は鼻声しか出なかったが、それが逆に楽しくて互いに単音だけの会話をしばらくし続けてみた。...割と意味が伝わってしまうのがさらに笑えてしまって、癖になってしまいそうなやり取りだった。

 

 

誰かに見られたら恥ずかしいやり取りだがバス停には私達しか並んでいない。なので調子に乗ってしばらく掛け合いを楽しんでいると、横から視線を感じた。

 

 

きりちゃんと揃ってその方向に顔を向けると、一緒に集まる予定なマキさんとIAさん、それに琴乃葉姉妹がいつの間にか到着して、すっごいニコニコ...いや、ニヤニヤして私達を見守っていた。どうやらさっきまでのやり取りを見られていたらしい。恥ずかしくて日差し以外の熱を顔に感じた。

 

 

「えぅ...えっと、その、皆さん来てたんですね...こっ、声をかけてくださいよ!もう...あっバスが来ましたよ!さあ乗りましょう!!」

そんなきりちゃんのセリフに同調しつつ、ちょうど来てくれたバスに逃げるように乗った私ときりちゃん。後から乗ってくるメンバー含め、6人で今日の予定である、市営のプールに向かったのだった。

 

そして話しはプール到着後に続く。...そう、今回はプールがメインの一日だ。私ときりちゃんが恥ずかしい姿を見られた挙句、その後の逃げ場が無いバス内で延々とからかわれたなんてどうでも良い描写は全てカットだ...と、現実逃避をしていると

 

 

 

「ぅ、たっ確かに間接キスですけど、...はっ初キス!?違います!もう何度も...じゃなくて、えっと、...そっ、それにさっきのはアイスが甘い上に冷たすぎて、いつものゆかりさんの味が感じられませんでし...」

残念ながらカットできないようだった。仮にこの世界が創作ならば著者はずいぶんと性格が悪いらしい。

 

そして、いつのまにやら琴乃葉姉妹に挟まれて両側から追求されていた、きりちゃんが混乱して爆弾発言をしていた。なんだ、いつもの私の味って。それと何度もって、間接キスの方だよね?

 

 

「あ...ゆ、ゆかりさん...!!」

案の定、さらに追求をされ助けを求めるように私を呼ぶきりちゃん。けれども私も動くに動けなかった。隣に座ったIAさんに、揺れる瞳で見つめられながら『ゆかりちゃんも、きりたんちゃんの味、分かるの?』なんて聞かれ、私にも追求の手が伸びていたからだ。

 

その真っ直ぐな瞳に思わず口ごもっていると、私を挟んだ反対側に座ったマキさんから『分かる、見たいだね』と謎のアシストが飛んできた。そんな言葉にIAさんは『うん。そっか、分かっちゃうだ。...大丈夫、小学生に手を出しちゃっても、ゆかりちゃんはゆかりちゃんだよ...私達の大切な、大切な友達。』と悲哀に満ちた謎の納得をされてしまった。やめて、にっこり笑ってるのに涙を滲ませないで。そんな収監される友人を憐れむような、哀愁溢れる笑みを向けないで。

 

...と言うか、何故か自信が持てなくて即答できなかったけど、きりちゃんの味なんて流石に分からないから...多分。だからえっと、違うから。...なんて弁解はできなかった。何故なら、

 

 

「ゆ、ゆかりさん!助けてください!!へるぷです!!!」

色々追求されて限界だったのだろう。きりちゃんが魔法でも使ったのか、文字通り飛ぶように抱きついてきて私に助けを求めて来て、私は押しつぶされてしまったからだ。

 

 

 

バスの中は私達しかいなかったからか、騒いでも怒られることは無かったが、その後も押し合いへし合いしたせいで冷房が聞いている車内にいたはずなのに、バスを出た時には息が切れて汗まみれになっていた。兎にも角にもプールに着いた...さっきのやり取りはさっさと忘れて、水着に着替えてパーっと遊ぼう。

 

 

 

「ゆかりさん、私の水着なんですが...どっちが良いと思います?」

更衣室で水着に着替えていると、きりちゃんは左右の手でそれぞれ1着づつ水着を持ち、私に聞いてきた。

 

片方はつい先週、一緒に買いに行った白を基調とした水着で、もう片方は紺色の学校指定の水着...所謂スク水だった。

 

今日は別に学校の行事でも何でもない。それにこの前せっかく買ったんだし、白を基調としたものにしたらと告げると、

 

 

「いえ確かにこの前、ゆかりさんの助言に従ってゆかりさん好みの水着を買いましたが...気づいてしまったんです、あの店のラインナップにはスク水が無かったんだって。世の中には、スク水の方が興奮する方はいっぱいいます。だから念のため...そう、念のため聞いておかねばならないなと。」

きりちゃんに似合ってるってだけで別に私の好みな訳では無い。それにスク水の品揃えを普通の店に期待するのは間違ってると思う。

 

少し半笑い気味に冗談めかしているような口調とは裏腹に、その瞳はすさまじいほど真剣でこちらの意を読み切ってやろうという覇気が見えた。恐らく少しでも瞳をそらしたら最期、きりちゃんの中で私はスク水愛好家と決定してしまうのだろう。

 

 

 

...私はにっこり笑って、そんな趣味はない。と断言した。

 

 

 

「そうですか。...そうですか?......本当に?別に私はゆかりさんを貶めようと何てしていません。安心して、性癖を暴露しても大丈夫ですよ?受け入れますから...ね?」

...ね?じゃない。優しげな表情をするんじゃない。

だから、私に、そんな趣味は、無い。

 

更衣室で謎の見詰め合いタイムを過した後、きりちゃんは無事にこの前購入した水着を着用してくれたのだが...何故かちょっと残念そうだった。何でだ。

 

 

 

「そりゃ、ゆかりさんに私が有利な属性が無いのは残念ですよ」

むすっとするきりちゃん。...なるほど。...なるほど?

いや、スク水属性が無いことを不満に思われても困る。

 

 

「...まあ、ゆかりさん趣味の水着も着れて、私が選んだゆかりさんの水着も見れたし、良しとしましょう。ふふっ、水着姿なゆかりさんもきゅーとですね!...だけど、何ででしょう、普段着のほうがエロさは高いような気がします。」

失礼な。確かにちょっと露出が高い服を普段着にしているかも知れないが、至って健全な服だ。...きりちゃん、そんな不思議そうな顔しないで。

 

 

「えー...まあ、いいでしょう。ゆかりさんのエロさは今に始まったことでは無いですし。...さて、着替え終わりましたし、まずはプールに潜って見ましょう!」

エロくなんて無い...

まあいいや、プールを目の前にした炎天下でする話じゃ無い。気持ちを切り替え、ゴーグルを付け、2人して水底に沈んで...特に何をするでも無く、息が苦しくなったら水面に顔を出した。

 

 

...何をしているのかと言うと、日差しを受け続けていた体を冷ますのと、

 

 

「ゆかりさん!水の中冷たくて気持ち良くて...それにキラキラ輝いてて、とっても綺麗でゲームと一緒でしたね!」

きりちゃんの言う通り水中の風景を楽しんでいたのだ。

別に普段からそんな習慣があるわけではないのだが、つい先日2人で楽しんだゲームは海の底を歩くゲームで、グラフィックにかなり力をいれていて凄く綺麗で...今日のプールで一緒に現実の水中も見て楽しもうとこっそり約束していた。

 

無論、ゲームのように海の底ではないし、そもそも実際の海底だと真っ暗になってしまいそうだが...そんな無粋なことなど気にならないほどに、冷たい水は気持ちよくて、きらめく日の光とゆらゆらと揺らめく水中が綺麗で、事前のゲーム補正もあってか、2人して大満足な光景だった。

 

 

「ふふふ...ゲームだったらあの隅らへんにアイテム落ちてそうですね。...あっなるほど。そっちはセーブポイントがありそう...」

一緒に一通りゲームを楽しんだ私ときりちゃんの感性は通じるものがあるらしく、現実がゲーム空間だったらあるだろう様々な物を妄想して、流れるプールに流されながら水中を楽しんだ。

 

 

...なお、水着に着替えてすぐに楽しみにしていたプールに特攻した私達は、何も言わずにいなくなってしまった上に大体水中にいたことで見つけにくかったらしく、マキさん達に怒られることとなった。

 

見つかった時、いつも通り手を繋いでいたこともあいまって、恋人同士の逢引とか勘違いされかけてので慌てて弁明したが、そもそも一緒にゲームをしていないと説明しづらい事をしていたので上手く伝わらず、結果的に『私ときりちゃんでしか分からないことを水中でこっそりして楽しんで(ラブラブ)していた』と言うことになった。言葉にして無いが4文字の副音声が聞こえた。

...きりちゃん、頬を赤くしてくっつかないで、勘違いを加速されちゃうから。

 

その後は6人揃ってプールを遊びまわったが、その中でも特にウォータースライダーが一番楽しかった。

きりちゃんの年齢だと保護者同伴が望ましいらしく、きりちゃんをうしろから抱えるような形で滑ったのだが結果的に質量が増えていつも以上にスピードが上がったのが、いつも以上に楽しめた要因だったのかも知れない。

 

子供じゃなくても2人くっついてスタートするのは問題ないらしく、途中から2人組みを私達含め3個作って競争したりした。体重的に負けているはずなのだが、スピードをあげるための様々な工夫が功を奏しているのか戦績は勝ち越すことができた。

 

 

「ゆかりさんっ!ドキドキしますね!」

スライダーの先で水しぶきを上げ、何度目かのダイブを終えると同時に告げられた、きりちゃんの言葉に肯定を返す。

 

 

実際に例年よりも楽しい。同時に出発するメンバー達に勝つために抵抗を減らす体勢を考えたり、スタートダッシュになる手の動きをあわしたりと、きりちゃんとの協力プレイに通じる楽しさがあった。

 

 

そんな風に思ってると、繋いでいたきりちゃんの手に腕を引かれて顔がきりちゃんに近づく。

そのままきりちゃんは私の耳に口元を近づけて、こっそり囁いてきた。

 

 

「ふふっ...それが恋ってやつですよ...!!」

顔を離してニヒルに笑うきりちゃん。相変わらずな、きりちゃんの様子に苦笑が微笑みに変ってしまう。

 

その後も皆んなで競争して楽しみ、通算できりちゃん曰く恋に10回ほどは落ちることとなり、その日のプール行事を終えた。

 

 

 「すぴー、すぴー」

.......なお、きりちゃんに囁かれていた場面は他のメンバーにしっかり見られていたらしく、視点の関係でキスをしていたなんて疑惑が上がっていたのを知るのは、帰り道だった。遊び疲れて眠ってしまったきりちゃんの頭を膝に乗せた私は、追及から逃げることができずに散々いじられることとなった。

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