東北きりたんが、結月ゆかりを大好きな短編小説集   作:甘味処

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ツイッターの方でお題箱作ってたんですが、そこに投稿してくれたお題のSSです。【お題】「ゆかりさんに一緒に甘えるきりちゃんとイアちゃん」
 
今回の主役?はIAさんなので、番外編的かもです。今までと違い、「」内はきりたんとIAさんの会話文になります。


㊲きりたんなIAさんと、ゆかりさんときりたん【番外編?】

「ねえねえ、ゆかりちゃ...さん。いつも通りに遊ぼ...ましょう?」

結月家、ゆかり部屋に、2人の人間がいた。

1人は私、部屋の主な結月ゆかりで、もう1人は東北きりたん...に変装しているつもりなIAさんだ。

 

慣れない丁寧語を使い、頭に包丁の髪飾り(布製)を付けて、どこから引っ張り出したのか巫女服的な和装の彼女は、急に我が家に訪れて自身を東北きりたんだと言い張り、現状を処理できない私を置いて部屋に押し入ってきたのだ。

 

「あっ、それとも...エッチなこと、しちゃう?」

IAさんが何故こんな暴挙に出たのかは直ぐに判明した。今もしているように時折私に誘惑?的な行動をしつつ探るような瞳を向ける彼女は私を"試して"実態調査をしているのだろう。...私が小学生に手を出しているのか。

 

ちょっと変わっていてたまに突拍子も無いことをしだす我が親友は、何か服の裾をチラチラめくりながら少し恥ずかしそうにして恐らくこちらを誘惑していた。その様子はきりちゃんが普段見せる"小さい子が必死に大人びている"様な微笑ましさと残念さを想起させる。

とは言え、きりちゃんよりも成長している肢体で、そんな行動を見せるIAさんの様子は、無垢な表情もあいまって男性が見ればたまらないエロさをかもし出しているのだろう。...無論、同じ女性で幼馴染ともいえるほどに付き合いが長い私には無効化されているが。

 

とりあえず、きりちゃんは小学生だからそういう事したらダメだよと告げる。...多分これで良いのだろう。

 

 

「そっか、うん。そうだよね。きりたんちゃん...じゃなくて、私...は小学生だもんね。エッチなのはダメだよね...信じてたよ、ゆかりちゃん!」

断ると瞳を輝かせウンウンと頷くIAさん。信じている人は変装までして人を試そうとはしないと思う。

そしてIAさんが頷く頭の動きに、変装用の髪飾りは即席だったためか外れかかっていた。

 

いや、私もあの包丁がイマイチどういう原理でくっ付いているのか分からないけど...たまにピコピコ動いてるし。きっと魔法的な接着方法なのだろう。

なんて事を考えつつ、プラプラ取れかかっている髪飾りを取り除いてあげようと頭に手を伸ばすと、IAさんはピクリと体を震わせ、目を丸くしてこちらを見つめてきた。

 

 

「...あっ」

その様子に思わず近づけていた手を離すと、罪悪感に胸が締め付けられるような声を上げるIAさん。

手を右に動かすと瞳も右に、左に動かすと左に。IAさんの瞳は私の手の動きに合わせて動いている。...なるほど。

 

 

「...んっ、んっ。えへへ......役得、役得」

恐らく求められているのだろう頭へのナデナデをすると、満足そうな笑顔。どうやらこの対応で合っていたらしい。

と言うか以前みんなの前できりちゃんの頭を撫でてから、2人っきりになると"私も撫でて欲しい"と他のメンバーにも度々求められていたので察することができたのだろう。

意外にもリピーター率100%なので、そんなに気持ちよいのかと自分で自分を撫でてみたことがあったが、自分自身ではダメなのか、全く良さが分からなかった。

 

 

「流石はましょーの手...これで、きりたんちゃんも毒牙に...ぅみゅ」

何だか失礼な言葉が毀れていたので思わずほっぺ辺りも揉みこむように撫でて言葉を途切れさせる。くすぐったそうにしているが、IAさんは特に抵抗せずに身を任せていた。

それはそうと人によってほっぺたの感触は違うのだと感じた。モチモチな柔らかさは少ないが、サラサラな肌さわりにあの娘とは違う触り心地を感じ取ってしまう。誰と比較しているのかと言うと...

 

 

「ゆかりさん?ずいぶんと楽しそうですね...浮気、ですか?」

そう、たった今声をかけてきた東北きりたん、きりちゃんだった。きりちゃんはいつの間にか私の部屋のドアを開けて、ジト目で、私を咎めるような声を上げていた。悪いこと等全くしていないのに、何故か冷や汗が背中を伝った気がした。...えーと、何でここに?

 

 

「IAさんから連絡が入ったんです。"ゆかりちゃんのナデナデを借りるかも"って。」

なんだその怪文書。そんな思いをしつつIAさんを見ると、

 

 

 

「だってゆかりちゃんのナデナデはきりたんちゃんの物なんでしょ?だからちゃんと事前に断ったの。」

筋が通っているような筋違いのような返答をするIAさんはムフーとドヤ顔をしていた。きりちゃんが以前告げていた所有物宣言を真剣に受け取っていたらしい。

思わず抗議として、IAさんの額に指をグリグリしてみる。IAさんは鳴き声のような声を上げて眉根を潜ませた。とは言え、口元が笑っている様子は全く反省していないようだった。

 

 

「そこ!いちゃつかないで下さい!!それで連絡を受けて家から急いで来てみたら...どっかで見たような巫女服っぽい服なんか着させて!そういうプレイなんですか!?ゆかりさん巫女フェチだったんですか!!?それならそうと言ってください、これからは部屋着や寝間着も和装にしますからね!!!」

 

「えっ、そうなの?ゆかりちゃん。」

きりたんの謎な追求に、心から驚くIAさん。いやいや、その服はIAさんが勝手に着てきたんでしょうに。

 

 

「あっそうだ。今、私はきりたんちゃんだったんだ。」

「へ?IAさんが私?何を言って...」

IAさんの謎の言葉に目を点にして聞くきりちゃん。うん、それだけだと意味不明だよね。

 

 

「えっとね。ゆかりちゃんが、きりたんちゃんにエッチなことをするのは年齢的にダメでしょ?だから私がきりたんちゃんになって...」

「ゆかりさん!幾らなんでも親友に恋人のコスプレをさせてエッチしようなんて高度過ぎます!!いくら私が幼くて手を出しづらいとしても!!」

続くIAさんの言葉に、さえぎるように叫びだすきりちゃん。違う、ちょっとまって。

 

 

「あっそうか。私がそうやってゆかりちゃんのエッチな衝動を解消してあげれば...」

「あー!やっぱり浮気!」

ボケにボケを重ねる、あまりにも早すぎるボケの応酬...私じゃなければ見逃しちゃうね。...なんてネタに走りそうになるほどトントン話しが進む2人。誰か止めて。いや、この2人以外に私しかいないから、その誰かは私がしなきゃいけないのか。

 

 

 

 

 

 

「「なるほど」」

何とか理解してくれたのか、無駄にハモって納得する2人。それ自体は良かったけど、話しの途中で何故か対抗心を燃やし出したきりちゃんとIAさんに、ぎゅーぎゅーくっつかれ、競い合うように腕を取られて中々話しが進まず大変だった。

 

「じゃあせっかく3人集まったし、一緒に遊ぼっか?」

「あっ、いいですね。それじゃあ家に連絡してから...急いで来たから家にスマホ置いてきちゃいました。ゆかりさん、お電話借りますね。」

そう言って部屋を出て、固定電話がある居間に向かうきりちゃん。きちんとお家に一報をいれる様は、相変わらずとっても良い子だった。

 

 

「ふふ、きりたんちゃんも、ゆかりちゃんもとっても良い子だね。」

その様子にほんわか笑うIAさん。きりちゃんは同意するけど、私まで良い子扱いされた。IAさんと私は同い年のはずなんだけど。

 

 

 

そんなぽわぽわした空気の中、おもむろにIAさんは私の両肩に手を載せ、体重をかけてきた。

ゆっくりとした動作、けれども脈絡が無い行動に私は座っていたベッドに押し倒されてしまう。

 

...えっ?

 

 

「でも、2人共良い子だから、純粋だから、心配だな...」

憂いを含みつつもじっとこちらを見る瞳、そんな今までに見たことが無いIAさんの表情に、思考が止まってしまう。

 

 

 

「ねっ、ゆかりちゃん。小学生に手を出すのはいけないこと、なんだよ?」

私に覆いかぶさり、目と鼻の先ほどに顔を近づけ話すIAさん。急激な状況の変化に頭がからっぽになり、うまく返答ができない。

 

 

「だからね、さっき話しにあったけど、エッチな事したくなったら...私に言ってね?きりたんちゃんの代わりに、してあげるから...分かった?」

滑舌が良いとは言えない彼女の言葉は、それ故に一音一音をしっかり言葉にして耳に残る独特な波紋を響かせる。頭に響くIAさんの言葉と、至近距離にある真剣な表情に呑まれてしまった私は、身をすくませて"はい"と頷くことしかできない。

 

 

その返事を聞いたIAさんは先ほどまでの怪しげな雰囲気を消し、いつもの純粋な笑みを浮かべた。思わずほっとするが、何か変な言質を取られてしまった。いや、効果を発する機会は無さそうだから別にいいけど。

 

 

「ふふっ、約束だよ?...うん。やっぱり、ゆかりちゃんも良い子だね」

先ほどとは違い、逆に頭を撫でられて、ぎゅぅっとされてしまう。...うん、やっぱりナデナデの良さなんて分からない。だってこんなに頬が熱くなって、心臓がドキドキするほど恥ずかしいし。

 

 

 

 

 

その後、きりちゃんが戻ってきて3人でゲームをすることに。その日は夕飯も食べてもらって我が家にお泊りすることになった。まあそれはそれとして...

 

 

 

「...ゆかりさん。何だか全身から、さっきはしなかったIAさんの香りがするような気が...あっ!目を逸らしましたね!!やっぱり浮気ですか!?」

「ごめんねーきりたんちゃん。さっき、押し倒してぎゅーってしちゃった。」

「えぇ!?押しっ、押し倒して!?!?」

「ふふっ、こうやってぐーっとした後にぎゅっとしてね...」

「まっ負けませんよ!?ゆかりさんにマーキングするのは私です!!」

ゲームをし始めて早々に先ほどのやり取りがバレて、2人がかりでもみくちゃにされてしまうのだった。

 

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